特化にしたいので極振りしてみた、と言うゲーマー達の話 作:ウィンド
「来たね雪山!意外と速かったね」
「俺達のAGIじゃ到着はそりゃ当然だな」
グループの中でトップを張れるAGIの二人は、半日も掛かる事なく目的地に到着したのである。
「それにしても、雪山なのに全く寒くないんだね」
「まあゲームだからな、取り敢えず登って行こうか」
「うん!(お兄ちゃんと二人っきり、しかも一週間・・・フヘへ)」
(理沙の奴何か嬉しそうだな、まあ初イベだからそりゃテンションも上がるか)
「「きゃあああ!」」
「「っ!・・・(コクッ)」」
暫く登っていると前から少女の悲鳴が聞こえた、二人はアイコンタクトをして頷き合うと走り出した。
「やっやめて、ください・・・」
「私達、まだ一枚も持ってないです・・・」
初期装備をした少女二人が三人の男女の集まりに囲まれていた。
「いやいや嬢ちゃん達嘘はいけないな、俺達さっきメダルを拾ってる所を見たんだからよ」
「だからアレは・・・」
「ねぇ、もう辞めない?流石にこんな小ちゃい子達を痛めつけるなんて・・・同じ女としても可哀そうよ」
少女二人に武器を向けている男に向かって、後ろにいる女が言う。
「はあ?メダル回収すんのにそんな情を持ってんじゃねぇよ、こう言うゲームは弱肉強食、文句があるなら弱いのにイベントに出しゃばった自分に言うもんだぜ」
「言い過ぎだろ、この子達は初心者なんだからさ・・・」
後ろにいるもう一人男が口を開く。
「だからだよ!初心者の癖に俺達先人のプレイヤーに倒されるから強くなれませんだから倒さないでくださいなんて甘ったれも良いとこだぜ・・・何も俺だって痛めつけたい訳じゃねぇの、メダルを渡さない往生際の悪さに腹立ってるだけだ」
聞いていればかなり不快になる発言だが、男の言っている事も一理があるのもまた事実である。
「メダルじゃなくてアイテムです!」
「これです!この石を拾ったんです!」
少女の二人の手には青緑色の石があった。
「この子達もこう言ってるぞ、お前が見間違えたんじゃ無いのか?」
「い〜や、アレは確かにメダルだった!俺がそうやって間違えた事なんてあったかよ!」
「ほぼ全部がそうだったじゃん・・・」
「違いない・・・」
「んだよ!兎に角さっき倒したプレイヤーからはメダルが出たんだ、つまりこのガキ共も倒せば同じ様にメダルが出るだろうよ!」
男が剣を振り上げると、少女達は目を閉じてお互いを抱きしめ合った。
「『ロックウォール』!」
「『超加速』!」
突如間に岩の壁が出現し、男の剣を弾いた。
「何!?」
壁が消えると、そこには少女達の姿が無かった。
「なっ!何処行きやがった!?」
「あそこ!」
女が指差す先に、少女二人を抱えたサリーがいた。
「この子達が初期装備で良かった・・・」
「あれ?」
「私達、助かってる・・・」
「もう大丈夫よ」
「うっ、うぅ・・・」
「怖かったですぅ・・・」
サリーがそう言うと二人は安心したのか泣き出したので、サリーは二人を優しく抱き寄せた。
「こんなに小ちゃい子達をこんな目に合わせて、恥ずかしくないんですか!」
「いや私もそれ思った」
「右に同じだ」
「おいお前等!さっきからどっちの味方してんだよ!?」
するとサリーの側にサマーが飛翔を解除して降りて来た。
「なっ、今空から・・・」
「まさかコイツ、一位のサマーじゃ・・・」
「ん?お前等何処かで・・・あっ」
サマーは思い出した、この三人こそがサマーが韋駄天を入手し、更にAGI以外のステータスが振り難くなった原因となった三人だと。
「お前等はあの時の!よくもあの時は・・・」
サマーは顔を強張らせた、誰がどう見ても怒りを露わにしているのは明白だった。
「えっ何、アンタまた何かやらかしたの!」
「イベントトップがここまで怒るとか相当だぞ、一体何したんだ!」
「いやいやいや!何で俺が悪いみたいになってんの!身に覚えがないんだが!?」
「忘れもしねぇ、一層の森でお前達が挑発のスキルを使った所為で、俺はAGIにしかステータスが振れなくなっちまったんだぞ!どう落とし前つける気だこの三下共がぁ!」
(あっお兄ちゃんスイッチ入っちゃってる・・・)
「一層の森・・・」
「挑発・・・」
「あ〜あん時か!つまりアレはお前だったんだな!ほら見ろ!やっぱ人居たじゃねぇか!俺の目に狂いは無かったんだよ!」
「『バインド』」
女が男にスキルを使い、身動きが取れない様にした。
「えっ?はっ?・・・えぇ!?何してんだお前!」
「サマーだよね?悪い、あの時はコイツが勝手にスキルを使ったんだ、あたし達は止めたのにさ・・・」
「謝って済む事では無いと思うが、どうかこの阿保を煮るなり焼くなり好きにしてくれ、それで手を打って貰えないか?」
「いや何お前達平然と仲間売ってんの!?」
「いやどう考えてもアンタが悪いんじゃん、あたし達まで迷惑被るのはごめんよ」
「今回の事と言い良い機会だ、偶にはお灸を据えられろ」
「良いだろう、そう言う事ならそれで勘弁してやらぁ」
「いや良い訳あるか!?」
数分後、男の断末魔の様な悲鳴が聞こえたのは言うまでもないのであった。
その後残りの二人は消滅した男の回収に向かう為、その場を後にした。
「落ち着いた?」
終始サリーの腕の中で泣いていた二人は、漸く落ち着き近くに倒れていた木に座っていた。
「はい、助けて頂いてありがとうございました」
「ありがとうございます・・・でも私達、お礼出来る様な物は何も・・・」
「良いの良いの!気にしないで、偶々通りかかっただけだから・・・ねっお兄ちゃん!」
「・・・やっぱりな」
サリーの問い掛けに反応せず、サマーは二人を見ながら考え込むとそう呟いた。
「お兄ちゃん?」
「お前達、『美紘』と『美沙』だろ?」
「「「えっ!」」」
サマーに美紘と美沙と呼ばれた二人とサリーは驚きの声を上げた。
「えっ嘘!美紘と美沙なの!?」
「何で私達の名前・・・」
「覚えて無いか?五歳の時によく遊んでやってたんだけど・・・」
「えっ!もしかして・・・」
「浩将お兄ちゃんと理沙お姉ちゃん!」
「わあ〜本当に二人なんだ!大きくなったね〜!」
サリーは二人の頭を撫でる、この二人はサマーとサリーの父親の弟の娘、つまり二人にとっては従姉妹なのである。
「お久しぶりです!」
「二人にまた会えて嬉しいです!」
「うんうん!私も嬉しいよ〜!」
二人を撫で回すサリーをサマーは優しい目で見守る、そして暫くして美紘は『ミルフィ』、美沙は『ミーシャ』と名乗っていると知り、サマー達も名乗り一緒に同行する事になった。
「でも良いんですか?私達じゃ浩将おに・・・サマーさん達の足手纏いに・・・」
「気にしないで!私もお兄ちゃんも、二人と一緒に居たいし!(本当はお兄ちゃんと二人っきりが良いけど、さっきみたいにまた二人が襲われる可能性も考えたら・・・うん、考えるまでもないね!)」
サリーは二人を本当の妹の様に可愛がっている為、サマーと二人で居るよりも二人を守る事を優先した。
「にしても以外だな、お前達がこのゲームをやってるなんて」
「お父さんが会社のゴルフの大会で一式当てたんです」
「しかも二人で共有出来るペアハードだったんです」
「えっ!?あの最新型のハードを!うわ超羨ましい!」
「と言う事はギアもゴーグルタイプか、確かに良いな」
そして暫く登り続けて、サリーはミルフィとミーシャの二人を見ると少し離れた所から必死に走ってる様子が見える、その姿にサリーは自分の親友を連想させた。
「ねえお兄ちゃん、二人のAGI・・・」
「・・・お前も気付いた?」
そして漸く二人が追いついて来た。
「二人共、ちょっとステータス開いてもらっても良い?」
二人はサリーに言われるままにステータスを開いた。
ミルフィ:Lv1
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 100〈+24〉】
装備
頭【魔法のローブ】
体【空欄】
右手【魔法の杖】
左手【魔法のグローブ】
足【空欄】
靴【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル
なし
ミーシャ:Lv1
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0】
【VIT 0】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 100〈+24〉】
装備
頭【魔法のローブ】
体【空欄】
右手【魔法の杖】
左手【魔法のグローブ】
足【空欄】
靴【空欄】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル
なし
「なっ・・・」
「・・・二人共、このゲームいつ始めた?」
「「『今日』です!」」
「「あぁ〜・・・」」
「「?」」
ミルフィとミーシャの眩しい笑顔にサマーとサリーは顔を片手で覆い上を見上げる。
「この幾つか初期装備じゃないのは・・・」
「このイベント始まる前に、親切なオジさんが売ってくれたんです!魔法の装備セットで、それぞれINTが5もプラスされるんですよ!」
「お金は無くなっちゃったんですけど、みんな買ってるって言ってたので思い切って買っちゃいました!」
それを聞き二人の顔は少し青冷めた。
「じゃっじゃあ、このステータスの数値・・・これは?」
「最初に魔法使いを選んだんですけど、INTが上がると威力が上がるって書いてあったので」
「私も同じです!足が結構遅いですけど、レベルが上がったら早くなると思うので、それまで我慢です!」
サマーとサリーは、ミルフィとミーシャのキラキラした目に耐え切れずorzの体制になった。
「サマーさん!?サリーさん!?」
「二人共どうしたんですか!?」
その後サマーとサリーは、二人にこのゲームの仕組みと、そう言ったプレイヤーには絶対関わらない様に教え、二人の事は何がなんでも自分達が守ろうと決意するのであった。
カントーで好きな御三家は?
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フシギダネ
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ヒトカゲ
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ゼニガメ