特化にしたいので極振りしてみた、と言うゲーマー達の話 作:ウィンド
ロキはダンジョンに入ると、大きな空間が広がってるだけだった。
「サマーの話では通路が続いてたって聞いたけど、やっぱダンジョンごとに違うのか?」
辺りを見渡すが他の空間に繋がる道などは無かった。だが一部だけ明らかに壁の色とは違う場所がある。
「かなりデカい、アレがボスか?」
ボスかどうかを確認する為にロキが近づいた瞬間、それは目をギョロッとロキに向けて壁から飛び降りた。
『ンガアアアニィ!!!』
それは巨大な蟹のモンスターだった。
「蟹・・・サマーの予想通りだ!」
ロキは挑戦前にサマーの言っていた事を思い出す。
〜少し前〜
「戦略?」
「あぁ、今回ユニークシリーズを手に入れるにはソロ攻略が必須だ。けどお前はAGIが0、早く動き回れない分自身の立ち回り方とボスがどう動くかを予測するのが鍵だ」
「確かにそうだな。いくらSTRが高くても当てれなきゃ意味無いもんな」
「ダンジョンの名前は『岩壁のヌシの迷宮』。つまりは壁を自由自在に動き回るモンスターだな。ヤモリやイモリなんかの爬虫類に両生類型のモンスターが定石だが、ここのエリアモンスターの特徴、それは全てが陸に対応した水棲生物だ。つまりボスは・・・」
「・・・壁を動き回れる水辺の生き物モチーフって事か?」
「俺の予想じゃ蟹なんかの甲殻類かサンショウウオ辺りだな。もしそうなら壁に張り付いて移動する、魔法を使うなら恐らく土、前者なら物理メイン、後者ならブレス系の攻撃主軸、となるとお前の取るべき行動は・・・」
〜そして現在〜
「(まずは遠距離、投擲や飛撃で様子を見つつ、ボスの行動パターンを読みながら近距離にシフト、俺のSTRなら大抵の攻撃は弾き飛ばせる筈だって言ってたし、取り敢えず・・・)やるだけやってやら、『投擲』!」
ロキは足元の石を持ちボスに向かって投げつけるが、ボスが避けた為当たらずに終わってしまった。
「やっぱ避けるよな。なら『投擲』!」
次は石を投げた直後に武器を構えて、ボスが避ける動作に入った瞬間。
「そこだ!『飛撃』!」
斬撃の衝撃波を飛ばし見事に命中、だがロキの極振りされたSTRでも三割程度しかHPを削れていなかった。
「硬いな。けど当てれば勝てる!」
『ンガアアアニィ!!!』
ボスはロキに向かって岩を数発飛ばしてきた。
「サマーが使ってた『ロックブラスト』か、『飛撃』!」
岩を全て斬り裂き攻撃を無効化させながらボスに近づいた。
「もう一発喰らえ!『飛撃』!」
今回は見事に命中し残りのHPは四割となった。
「よし!後二発・・・」
『ンガアアアニィ!!!!!』
今までと違う雄叫びと言っても良い程の咆哮が響き渡り、ボスの体に何かバフの様な物が掛かった。
「何だ!?」
するとボスは壁を走り回るが、その速度は先程の動きを上回っていた。
「ちょ、速っ!『飛撃』!」
飛撃を放つも速度が上がったボスには当たる事が出来ず、またもロキに向かって今度は岩の塊を放った。
「飛撃はまだクールタイム中だ。だったら『投擲』!」
ロキは持っていた双剣の片方を投擲に使うが、岩に跳ね返されてしまった。
「うわっ!?」
跳ね返った反動で軌道が逸れたのかロキにはギリギリ命中する事は無かったが、命中した壁には巨大なクレーターが出来た。
「何で、急にこんな強くなってんだ?さっき叫んでからアイツの動きが変わったし、多分ステータスにも影響出てるよな」
少なくともAGIとINTは強化されているのは明白である。最悪STRも強化されてると思った方が良いだろう。
「不味いな、さっき投げた剣は消えちまったし、AGIとVITが0の俺があの速度と火力に相手に敵う訳がないし、アイツの攻撃を一撃でも受けちまったら終わりだ・・・一か八か、賭けに出るか!」
ロキは残った剣を構える。ボスもそれに応えるかの様に腕の鋏をロキに向け、ロキに向かって走り出した。
「っ!」
ロキはそれに合わせてボスの下に滑り込み、ボスの腹部に潜り込んだ。
「『ダブルスラッシュ』!」
放たれた一撃がボスの体に斬り掛かる。
「これで終わりだぁ!!!」
攻撃は見事ボスを斬り裂き、ボスは消滅した。
「勝った、のか?」
レベルが19に上がりました。
スキル『連刃』を獲得しました。
「一気に上がったな、後このスキルなんだ?」
スキル【連刃】(双剣使い専用スキル)
常に攻撃に0.5倍の攻撃が追加で発生する。
取得条件:STR100以上で対象、攻撃後に1秒以内に同じ場所に同じ攻撃をする。
「所謂追い討ち攻撃みたいなものか?でも俺、さっきの攻撃で武器無くなっちまったしな・・・そうだ!ユニークシリーズは!?」
ロキは当初の目的を思い出した。起き上がると壁際にあった大きな岩が砕け散り中から祠が出て来た。すると祠が光り宝箱がロキの目の前に現れた。
「おぉ〜!」
ロキは興奮気味に宝箱を開けた。
「これが、俺のユニークシリーズ・・・」
【岩壁マフラー】
〔MP+20〕〔再生力〕〔破壊不可〕
【岩壁ジャケット】
〔STR+15〕〔赫怒ノ甲羅〕〔破壊不可〕
【岩壁ジーンズ】
〔STR+15〕〔甲殻ノ装甲〕〔破壊不可〕
【岩壁ノ双鋏】
〔STR+40〕〔スキルスロット空欄〕〔破壊不可〕
【岩壁ブーツ】
〔AGI+15〕〔岩壁ノ支配者〕〔破壊不可〕
朱色のジャケットとジーンズにブーツ、黒色のマフラーにインナー、更には蟹が鋏を開いた様な形をした双剣、ロキが手に入れたユニークシリーズだ。
「凄え!攻撃特化型の仕様、如何にも俺好みの装備だ・・・って武器の方のスロットに空欄があるな。ならさっきの連刃をセットするか、スキルポイントもSTRに振ろ」
ロキ:Lv19
HP 40/40
MP 32/32
【STR 150〈+70〉】
【VIT 0】
【AGI 0〈+15〉】
【DEX 0】
【INT 0】
装備
頭【岩壁マフラー:再生力】
体【岩壁ジャケット:赫怒ノ甲羅】
右手【岩壁ノ双鋏:連刃】
左手【岩壁ノ双鋏:連刃】
足【岩壁ジーンズ:甲殻ノ装甲】
靴【岩壁ブーツ:岩壁ノ支配者】
装飾品 【空欄】【空欄】【空欄】
スキル
【双剣の心得Ⅲ】【ダブルスラッシュ】【投擲】【飛撃】
【土魔法Ⅰ】【闇魔法Ⅰ】【
【体術】【MPカット 小】【MP回復速度強化 小】
【MP強化 小】【筋力強化 中】
「後はスキルだな」
【再生力】
1日一度だけ、致死ダメージを受けてもHPを1残して生き残れる
【赫怒ノ甲羅】
HPが残り51%以上の時にプレイヤー、モンスターの攻撃で50%以下になった場合、VITが15%減少するが、STR、INT、AGIが15%上昇
【甲殻ノ装甲】
プレイヤー、モンスターの攻撃に対してクリティカルが発動しなくなる
【岩壁ノ支配者】
岩の壁や崖を移動出来る、そしてその間の全てのステータスが2倍になり、30秒毎にHP、MPが1%回復する
「『赫怒ノ甲羅』・・・さっきの攻撃はこれの所為か、ん?」
祠が光り、ロキの目の前に更に絆の架け橋が現れた。
「この指輪、サマーがしてたのと同じ・・・モンスターと共闘?「ンガニィ」っ!」
ロキが振り向くとそこには先程戦ったボス?が居たが、体躯はかなり小さくなっている。
「お前はさっきの、共闘ってまさかお前と?」
「ガニィ!ガニガニ!」
ボス?はロキの周りをグルグルと歩き回る。まるでロキと共闘に喜んでいるかの様だ。
「そうか、ならこれから宜しくな・・・えぇと、お前名前は?」
ロキがボス?の名前を聞くとステータス画面が現れた。
ノーネーム
Lv5
HP 85/85
MP 55/55
【STR 100】
【VIT 115】
【AGI 90】
【DEX 65】
【INT 40】
スキル
【覚醒】【休眠】【挟む】【蟹ノ鉄槌】
「ノーネーム、名前が無いのか?だったらえっと、蟹・・・クラブ、あっ蟹座って確か・・・よし!お前は今日から『キャンサー』だ!」
「ガニィ!」
「って事があってさ」
ロキはアレから街に戻りサマーと合流した。
「・・・・・なぁロキ、お前今の自分STR計算したか?」
「ん?装備込みで220だな」
「なら、今持ってるスキルが全部発動したら・・・」
「ん?」
「しかも連刃で常にその半分が加算されるから実質の一撃は1320だ」
「ん??」
「更にはダブルスラッシュ持ってるだろ?普通なら四連撃とかなり強力だけど、連刃のおかげてお前の場合は八連撃だ」
「んんん〜???」
「つまりお前は即死級の一撃を八回撃てるようになったって事だ」
「ヒエッ・・・」
ロキは自分の規格外さに思わず声をあげる。
「と、普通なら思うだろ?」
「えっ、まだなんかあんのか?」
「連刃の効果、もう一回よく読んでみ」
ロキはサマーに言われた通り、連刃の説明分を見る。
スキル【連刃】(双剣使い専用スキル)
常に攻撃に0.5倍の攻撃が追加で発生する。
取得条件:STR100以上で対象、攻撃後に1秒以内に同じ場所に同じ攻撃をする。
「いや、これと言って変な所は・・・」
「あるだろ、
「?」
常に攻撃に0.5倍の攻撃が追加で発生する。
「ん?」
常に攻撃に0.5倍の
「んん?」
常に攻撃に
「・・・サマーさん、これってまさか」
「一撃入れるとそこに連刃が発動、そしてその攻撃にも連刃が発動、更にそれにも連刃が発動して、また連刃が発動、発動の度に威力が下がり続けるとはいえ、下手すればどんな高耐久のモンスターもワンキルだ」
AGIのサマーに続き、STRのトンデモプレイヤーの誕生である。
「・・・何で、こんな事に」
後に運営でこの発言に対して「こっちのセリフだ!!!」と発せられるのだが、当事者であるロキには決して届かないのである。
〜一方その頃〜
『凄く面白いから!楓もやろう!ね?ね?』
「う〜ん、でも私ゲーム得意じゃないし、それに理沙はまだ出来ないんでしょ?」
理沙は親友である
『うん、お母さんに追試合格するまで駄目って言われて・・・あっでも!お兄ちゃんはもう初めてるから色々教えてくれると思うし!それにソフトとハードはあるでしょ?』
「あるにはあるけど、う〜んでもなぁ・・・」
『お願い!楓様!』
理沙と楓が会話していると、楓の部屋である扉が開かれた。
「お姉ちゃん?」
「何騒いでんの?」
「あぁ、宙斗、洸太」
彼等は本条
『お!宙斗、洸太、久しぶり〜!』
「あ!理沙姉!」
「久しぶり、理沙姉」
『あっそうだ!二人もNWOやってみない!すっごく面白いから!』
理沙は宙斗と洸太にも勧める、楓が折れそうもないのでまずは外堀を埋める作戦に出た。
「それ俺達が買って来たやつじゃん」
「『えっ!?』」
「クラスで話題になってたからやってみよって二人で話してたんだよね」
「二人もやるの?」
「ん?あれ、姉ちゃんも買ってたの?」
洸太が楓の寝具に置かれた、ギアとソフトを見た。
「お姉ちゃんもやってみようよ」
「ん〜・・・可愛い弟達と友達の頼みなら仕方ないか」
『やったぁ!それじゃあ私は追試終わらせてから合流するから楽しんでね!』
そう言って理沙は通話を切った。
「ハァ、あのキラキラした目を見ると断れないんだよな〜」
「アハハ、それじゃあお姉ちゃん僕達も部屋で設定やっとくね」
「ゲーム始まったら噴水がある広場に転移するらしいから、そこで待ち合わせしよ」
「うん、それじゃあまた後でね」
弟二人が出て行くのを見送ると楓はギアを手にした。
「それじゃあやりますか」
本家トンデモログインまであと少し・・・
次回、遂に・・・
極振りするならどっち?
-
STR(攻撃力)
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VIT(防御力)
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AGI(素早さ)
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DEX(器用さ)
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INT(知能)
-
HP(体力)
-
MP(魔力)
-
いやちゃんと考えて振るよ