特化にしたいので極振りしてみた、と言うゲーマー達の話 作:ウィンド
〜宙斗side〜
「さてと、僕はどうしようかな〜」
宙斗は設定を悩んでいた。
「名前は『ソラ』で良いかな。宙斗の宙は『そら』とも読むし。ん〜お兄ちゃんは剣士とか選びそうだな、お姉ちゃんは魔法使い辺りかな?だったら二人をサポート出来る職業が良いかな?」
そんな宙斗の目にある職業が目に入る。
「あっこれ良いかも!これにしよっと」
そう言って宙斗が選んだのは・・・『大盾使い』である。
「ステータスは、大盾だし防御力に振った方が良いよね・・・全部振っちゃお」
宙斗は防御力であるVITに全てのポイントを振る、所謂極振りである。
「これで良いかな」
こうして宙斗、改めソラはNWOに足を踏み入れた。
〜洸太side〜
「名前は『コウ』これ一択だ!」
洸太は元気良く名前を決めると次に職業を選びだす。
「んで職業は・・・剣士でも良いけど、三人で一緒にやる以上俺が宙斗と姉ちゃんを守ってやらないとな、守ると言えば!」
そうして洸太は選んだ、『大盾使い』を。
「ステータスは大盾なら硬ければ強い筈だ、全部VITに振る!」
そうして宙斗同様、洸太も極振りにしてしまう。
「よし!準備万端だ、それじゃあ始めるぜ!」
洸太改めコウ、彼もこのNWOの世界に足を踏み入れる。
〜楓side〜
「名前は、本名は駄目なんだよね?じゃあ『メイプル』っと」
後に語られる悪魔の名前である。
「職業は、二人は男の子だし攻撃系のやつ選ぶよね?ん〜私は痛いのは嫌だしな〜、なら遠距離の魔法使いかな、ん?」
そんなメイプルの目にある装備が入り込んだ。
「大盾と短刀?攻撃力は低いけど、防御力はナンバーワン・・・えっ!?防御上げればダメージって無くなるの!」
楓は大盾を選ぶ、そしてステータスポイントもVITに全て振った。
「これで良いよね?それじゃあゲームスタート」
楓改め、メイプル降臨である。
視点変更(楓・洸太・宙斗→メイプル・コウ・ソラ)
「「「えええええっ!!?」」」
町中に響き渡る声。道行くプレイヤーも思わず足を止めてしまう程である。
「嘘でしょ・・・」
「三人とも・・・」
「同じ装備・・・」
メイプル:Lv1
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0〈+9〉】
【VIT 100〈+28〉】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0】
コウ:Lv1
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0〈+9〉】
【VIT 100〈+28〉】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0】
ソラ:Lv1
HP 40/40
MP 12/12
【STR 0〈+9〉】
【VIT 100〈+28〉】
【AGI 0】
【DEX 0】
【INT 0】
装備どころかステータスも全く一緒で、違うとすれば性別や背丈である。
「え〜やだ〜何だか仲の良すぎる姉弟みたい〜!」
声を上げるメイプル、かなり嬉しそうである。
「いやまあ、実際そうだけどさ」
「でも、なんか恥ずかしいね」
コウとソラも照れながら返す。
「まあ作り直すのも面倒だし、取り敢えずこのままやっちゃおうか!」
「姉ちゃんが良いなら俺はそれで良いけど、ひr・・・あっえっと」
コウはソラをリアルの名前で呼びそうになり慌てて止める。ソラはそれに気付き名前を教える。
「ソラだよお兄ちゃん。僕も二人が良いならこれで大丈夫だよ」
「そっか、あっ因みに俺はコウだ」
「分かった、コウとソラだね。私はメイプルだけど、二人は関係ないか・・・それじゃあ早速モンスターとかを狩りに行こう!」
「「おぉ〜!」」
仲睦まじく微笑ましい光景に思わず周囲のプレイヤー達はほっこりとした笑みを浮かべる。まあそんな顔が出来るのも今だけである。
「って、どっちに行けばいいのかな?」
「適当にどこか歩けば良いんじゃね?」
「でもうっかり上級者向けの所に行っちゃったら危ないよ?」
どうすれば良いのか分からず困っている三人。そんな彼女達に手を差し伸べる者が。
「君達何かお困りかな?お姉さんが話聞くよ」
声を掛けたのは金色の髪を後ろで結んでいる少女だった。
「あっえっと、初心者向けの狩場とかってありますか、私達今始めたばかりで」
「あぁそうなんだ、それだったらあそこだよ」
少女の指差す先に森の入り口があった。
「何もしなくても向こうから寄ってくるから、気をつけてね」
「「「ありがとうございます!」」」
三人はお礼を言うと森へと向かった。
「戦闘の準備OK!」
「さあ!何処からでも良いよ!」
「出て来いモンスター!」
ガサガサ
三人の意気込みに応えるかの様に、草むらからウサギが三匹現れた。
「わぁ可愛い!」
ウサギはメイプル達に目掛けて突進してきたが、VITに極振りしてる三人には全く効いていない。
「凄い、痛くない!」
「どうだ私の腹筋!」
「いいぞ!そこだ!」
三人共、モンスターの攻撃を腹部で受けてはモンスターに激励を飛ばす、モンスターに心があればとっくに折れているだろう、そしてそのまま時が流れ・・・
スキル『絶対防御』を獲得しました。
「ん?なんかスキルが手に入ったよ」
「おっ」
「うわっ」
その時不思議な事が起こった。表示されたメッセージを見る為にメイプルが横に振り向く。振り向いた勢いでコウの盾に当たり、その反動でコウの盾がソラの盾に当たる。ソラは慣性の法則で体が少し動く。それを持ち直す為に体を動かすと持っていた盾が飛び込んで来たモンスターの正面に、そして吹き飛ばされ、モンスターは他の二体を巻き込み吹き飛ぶ。
「「「ビギュ!」」」
モンスターはそのまま消滅した。
「ウサギさん!?」
レベルが上がりました。
「ウサギさぁ〜〜〜ん!!!」
メイプルの悲痛の叫びが響き渡る。
スキル【絶対防御】
このスキル所持者のVIT2倍、STR、AGI、INTのステータスをあげる為のポイントが3倍
取得条件:一時間の間敵から攻撃を受け続け、かつダメージを受けないこと。
また魔法、武器によるダメージを与えないこと。
「凄い!VIT2倍だって!」
「へぇこんなスキルあるんだな」
「うぅ〜倒すつもりなかったのにぃ・・・」
コウとソラは画面を見てスキルを確認している。メイプルは涙を流しながら墓を三つ作ってる。
「しょうがないよお姉ちゃん、ゲームなんだから」
「倒さないとレベル上がらないんだしさ」
「うぅ、次は可愛くないモンスターが出て来て欲しい・・・」
それからメイプル達は蜂と戦って『毒耐性 中』を獲得して、昼寝をして大量のモンスターに囲まれた後に『瞑想』と『挑発』を獲得した。
〜白峯家〜
「んんっ・・・はぁ、明日は一限からだし早く支度して寝よっと」
丁度ゲームを終えたサマーこと浩将がログアウトしていた。
「にしても、まさかロキがな・・・」
少し前
ロキがサマーと同じトンデモプレイヤー入りを果たした事に少し落ち込んでいると、後ろから赤い装備に大盾を持った青年に声をかけられた。
「サマーじゃないか、何してんだ?」
「クロムか、ちょっとこいつがな」
「ん?ってお前!」
「え?その声何処かで・・・えっ兄貴!?」
ロキはクロムの声で振り向くと、そこにはログイン前に会っていた自身の兄の姿があった。
「ロキの知り合いか?」
「兄貴だよ、リアルの」
「ロキ・・・お前のプレイヤーネームだな。まあ、そう言う事なんだサマー」
「成る程ね」
「所でロキ、お前その装備どうした?まだ始めたばかりだろう?」
クロムはロキの装備が初期の物ではない事に疑問に思う。
「ダンジョンの報酬だよ」
「ダンジョン!?二人でクリアしたのか?」
「いや、俺一人だけど?」
「ソロ!?いやいや、レベルが足りてる筈がないだろう」
「俺今レベル19だけど?」
「19!?俺と大して変わらないじゃないか!始めたてのお前が何でそんなレベルに・・・」
「サマーのおかげだよ、経験値めっちゃ稼げる場所教えてくれてさ」
「レベル1でも俺みたいな高レベルのプレイヤーがいれば一気にレベル上げられるからな。まあ、頼れる先輩プレイヤーがいて初めて成り立つシステムだけどな」
サマーが今までゲームで培って来た経験を活かした方法である。
「そうだったのか・・・弟が随分と世話になった。今度もし俺でも何か役に立てるなら力になるよ」
「大袈裟だよ。俺はただロキにゲームを楽しんでもらいたいと思ってやった事なんだからさ」
「だからだよ。俺達先輩がそうやって後輩達にも楽しんでプレイさせてやらなきゃならない。自分達の利益しか考えない様な奴等が許せないからな」
「それに関しては激しく同意するよ」
多くのゲームをプレイして来たサマーにも勿論そう言った経験はある。初心者をダシにレアなアイテムや装備を手に入れたりするプレイヤーをサマーは見て来たし、危うく自分も利用されそうになった時もあった。
「まあだから、貸し一つって事だよ。借りは必ず返すのが俺のモットーだからな」
「なら、お言葉に甘えとくよ」
「おう、何時でも頼ってくれ・・・そんじゃ俺はコイツのメンテに行かなきゃならないから、そろそろ行くわ」
「もしかしてあそこか?だったら俺達も行くよ。ロキにも紹介しときたい」
「そうだな、じゃあ一緒に行こうか」
クロムは目的の場所まで向かう。
「良い奴だな、クロム」
「当たり前だ・・・俺の兄貴だからな」
そして三人はとある場所に来ていた。
「ここって?」
「生産職のプレイヤーがやってる工房だよ」
「生産職・・・あっサマーが言ってた知り合いの」
「そっ、腕が良いから贔屓にしてるんだ。お前も何か欲しい装備とかあったら頼んでみると良いよ・・・イズ、居る?」
サマーが工房に入り呼びかけると、水色のロングの女性が現れた。
「っ!」
「あらサマー、ごめんなさい頼まれてた装備まだ出来てないのよ。意外と難しくて・・・」
「そうか、悪いな無茶言って」
「気にしなくて良いわよ、可愛い後輩の頼みだもの。まあその分お代は貰うけどね♪」
「それに関しては心配御無用だ」
「フフッ、所でその後ろの子は?」
「新人だよ。世話になるだろうし、宣伝兼ねて顔合わせさせとこう思ってさ」
「そう言う事ね・・・始めまして、私はイズよ。生産職で鍛治をメインにしてるけど調合も少しは出来るの、何かあったら頼ってちょうだい」
「・・・」
イズはロキを手を差し出すが、ロキはイズを見つめたまま固まっている。
「ロキ?」
「ひゃっひゃい!」
「ロキって言うのね、よろしくね」
「は、はい・・・」
ロキは少し戸惑いながらもイズの手を取る。
「ってあらクロムも居たのね。気付かなかったわ」
「おい!」
イズがクロムの方へ向かう。ロキはイズを見つめたままなのでサマーが声をかける。
「ロキ、お前まさかとは思うけど・・・惚れた?」
ロキはその言葉に顔を赤くしながら頷いた。
「マジか・・・」
「で、装備のメンテ?かなり消耗してるじゃない」
「あぁ、例のダンジョンに行って来たんだ。まあ途中でやられたけどな」
「あらそれって『AGIが150以上無いと入れない』って言うあの?」
(ん?それってまさか・・・)
「あぁ、装備とパーティのステータス合計でなんとかギリギリ入れたんだが、まず入ると動く床の一本道になっててな。それを超えていざボス戦と思ったら山道を歩く事になったんだが、鳥型のモンスターも沢山出て来て大変だったよ、まあその後の落石ラッシュにやられて戻って来たんだ。クリアした奴が居るみたいなんだが、あんなのクリア出来るとか化け物だぜ」
「ふぅん、まあ取り敢えず装備預かるわ」
イズはクロムから装備を受け取り作業場に向かう。
「だそうよ、化け物くん」
「うるせぇ」
その途中でサマーの横で止まるとそう呟いてから作業場に入って行った。
「サマーってイズさんとリアルで知り合いなのか?」
「大学の先輩、学科違うけどゲーム繋がりでな」
「そっそうか・・・」
「・・・確か今フリーらしいぜ。まあ頑張りな」
「おっおう!」
そして現在
「にしてもあの道に仕掛けがあったのか、全然気付かなかったわ」
浩将は先程のクロムの話を思い出した。
(アマツを仲間にしたのにダンジョンが機能してた。つまりあのダンジョンは再戦が可能なのか、まあ次挑戦する時は楽勝だな)
浩将はサマーとしてまた再びあのダンジョンへと足を運ぶ事になるのだが、その時に起こる出来事をサマーはまだ知る由もない。
次回はメイプル達の視点からスタートです。
極振りするならどっち?
-
STR(攻撃力)
-
VIT(防御力)
-
AGI(素早さ)
-
DEX(器用さ)
-
INT(知能)
-
HP(体力)
-
MP(魔力)
-
いやちゃんと考えて振るよ