【完結】ぼっち・ざ・ぜっと!   作:渚 龍騎

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今のところ戦闘をさせるつもりはありません。
5〜10話程度を予定しています。
ウルトラマンの知識は多分必要ありません。ぼざろメンバーが変身して戦うようなこともありません。ウルトラマンは別。

※出来る限りの配慮はしますが、アニメしか見ていない為、原作ネタや細かい設定はからっきしとなります。不備があってもそこら辺は気にしないって方は気軽に楽しんでいただければなと思います。


1 日本語の下手な宇宙人

 

 

 

『──き────い』

 

 

 

 声が、聞こえる。誰かの声。

 

 

 

『──お────さい──地──人』

 

 

 

 でも、誰の声?

 聞いたことのない声だった。

 

 

 

『────なさ、い──地球────』

 

 

 

 地球? いったいなんのこと?

 男の人の声にも聞こえるけど、凄く頭に直接響いてるような感じがする。

 

 

 

『──起きなさい』

 

 

 

 徐々に声がはっきりとする。

 起きなさい──起きる?

 そういえば私って、いま寝てたのか。

 

 

 

『──起きなさい、地球人』

 

 

 

 地球人──まるで、地球人以外にもいるような言葉。日本人、とかなら分かるけど、どうして『地球人』なんて呼ぶのか。

 よく分からない。眠っているのか、起きているのか、それすらもよく分からない感覚。そんな中で『起きなさい』と言われても困る。朦朧としていた意識がようやく鮮明になって、ゆっくりと瞳を開いた。

 

「真っ暗…………」

 

 眼前に広がっていた景色は、ただの闇。

 目を擦る。変わらない。頬を抓る。痛いだけ。なにをしても目の前の暗闇は変わらなかった。だけど真っ暗な中でおかしかったのは────、

 

「見える……」

 

 視線を落として、自分の手を見つめる。視界は真っ暗なままでも、自分の身体だけはハッキリと見えた。

 困惑はしていた。けれど、自分でも驚くほどに思考は鮮明で冷静だった。

 目の前は相も変わらず真っ暗。取り敢えず両手を伸ばしてみた。両手は宙をうようよと漂うだけで、そこになにかがあるわけでもない。見えないだけで、この暗闇は果てしなく広い。押し入れの中ではなかった。

 

「ここは、どこ……?」

 

 誰もいないのは別になにも思わない。

 寧ろ誰かと二人きりとかじゃなくて良かった。

 もしそうだと思うと背筋に嫌な汗が流れる。慌てふためいて、どんな言葉を掛けるべきなのか分からなくて、相手に迷惑をかけるのが目に見えた。

 

 でも、いまこの状況に一人で冷静にいる──私って、もしかして成長したのかな。

 

 そう思った直後──背後から声が聞こえた。

 

『──おお、やっと起きたか!』

「──っ!?!?!?!?!?」

 

 びくっと身体が驚きで飛び跳ねた。

 心臓が飛び出てしまうのではないかと思うほどに、ばくん、と跳ね上がった。

 声にならない声が身体のどこからか鳴り響いて、少女は飛び退くようにして振り返った。

 

「ひ──っ!!」

 

 思わず喉から恐怖に濡れた声が漏れる。少女の目の前にいたのは、暗闇の中で少女を見下ろす青い巨人だった。

 暗闇を照らし、少女を見つめる白銀の瞳。『Z』と象られた胸の光──それは一定の感覚で赤く点滅していた。

 未知の存在との邂逅に、少女は一歩後退る。それを見ていた巨人は慌てた様子で『大丈夫だ!』と宥めるようにそう言った。

 

『別に取って食おうって訳じゃないんだ』

 

 いや、そうじゃなくても怖い。

 え……なに、この人……そもそも、人、なのかな……。コスプレ……にしては出来過ぎてる気もするし、なによりデカ過ぎる。

 私がかなり見上げないと、その顔?の部分が見えない。

 

『おーい、聞こえてる?』

「い──っ!!」

『そんなに怖がらなくても……』

 

 巨人は『ウルトラショック』と訳の分からない言葉を口にして、しょんぼりと肩を落とした。ごめんなさい、と途切れながらの謝罪をする少女に向けて、巨人が後ろ首を掻きながら頷いた。

 

『ま、まあいいや。私はウルトラマンZ』

「うるとら……?」

『そうだ。M78星雲、ウルトラの星のウルトラマンだ』

 

 えむ……え? 星……?

 星……宇宙人……? 本物の?

 いやいやいや、そんな訳ない。どうせまたイマジナリーフレンドが増えたんだ。でも宇宙人を作り出すなんて、私にもそんなロマンとかあったのかな……。

 

『いま私はウルトラマズイ状況にある。そこで、お前の力が必要なのでございます』

「…………」

 

 意味が分からない。理解不能。

 ただでさえ訳の分からない状況で、力が必要と言われても分からない。それになにより、ゼットと名乗った巨人の発する日本語がどこかおかしい。

 

『おーい、聞こえてる?』

 

 震えながら、少女は頷く。ゼットは首を傾げた。

 

『言葉通じてる? えくすきゅーずみー』

「は、はい……」

『まだ怖い?』

「はい、怖いです……」

 

 その言葉を受けて、ゼットは更に肩を落とす。表情の変わらない顔立ちをしているが、雰囲気や今の佇まいから落ち込んでいるのだと、大方推測はできた。

 少女は喉の奥に詰まった疑問を引っ張り出す。あ、と漏れた声ががっくりと肩を落とすゼットの耳に聞こえ、彼は視線を上げた。

 

「い、いや……その、私は、どうしたらいいんですか……?」

 

 私のばーかぁ……。

 いつもなら話そうとすら思わない。だが、普段は出て来ない言葉が、思っていたよりも簡単に出てくる。それは自分として成長したのか、それとも目の前の巨人が『人』でないからなのか──はたまた、異常な状況で頭がおかしくなってしまったのか。

 どれなのか自分ですらも分からないが、少女は胸の前で祈るように両手を組む。視線だけは合わせず、ゼットの顔は絶対に見ないようにしていた。

 

『おお! 恩に着るでございます!』

 

 聞いてみて、少女は首を傾げた。

 不思議な日本語。聞いていて違和感が尋常でなく席巻するが、ゼット本人は気付いていない様子だった。

 

『取り敢えずこれを……って、そういえば名前を聞いてなかったな!』

「あっ、ご、後藤ひとり……です……」

『ひとりか! いい名前でございますな!』

 

 感謝するべきか、分からずに取り敢えず「ありがとうございます」とだけを伝える。するとゼットはひとりに顔をずいっと近づけた──眩いほどに輝く瞳が眼前まで迫って、当然ながらひとりは恐怖して後退り。

 

『それじゃあ早速、これを受け取ってくれ』

 

 そう言ったゼットがゆっくりと腕を伸ばし、ひとりに向けて手を開く。その中からぼんやりと朧げに輝く光が伸びていき、ひとりは訝しみながら手に取る。それは手のひらに納まるサイズの不思議な形をしたカギのようだった。

 そのカギの正面には、腕を十字に組んだゼットの姿があり、側面にスイッチのようなものが付いていた。

 

『それはガッツハイパーキー。俺の力が込められたアイテムだ。生憎それしか渡せないが、これから俺とひとりは、二人で一人。ウルトラ凄い関係になる』

「えっ、そ、それって、どういう……」

 

 ウルトラ凄い、という言葉があまりにも抽象的でひとりはまるで理解できなかった。だがゼットは特に悩んだ様子は見せず、両腕を胸の〝Z〟と象られた輝石に翳した──瞬間、眼も開けてられない程の眩い光が輝いて、ゼットとひとりを飲み込んだ。

 瞬く閃光。目蓋の裏から辺りの光が和らぎ、温かみを帯びたのを感じて、意識が安寧の中に引き摺り込まれてしまった。

 

 

 




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