『フザケルナッ! そんなもの如きで、私のハイパーゼットンが敗れるはずがない!』
声を荒げ、憤慨するゼットン星人。
ウルトラマンゼットは新たなる力──イプシロン・ザ・ロックで戦闘態勢を取った。
怒り心頭。沸々と込み上げる怒りを爆発させ、ハイパーゼットンは暗黒火球を連射。大気を焦がし、途方もない熱量の火力が突貫する。だがゼットは避ける身振りは見せず、腕を突き出した。
『──ゼットギター!!』
瞬く輝き。それはゼットの呼び掛けに答えて、一つのギターを生み出す。ゼットはゼットギターを握り締め、勢い良く掻き鳴らした。
響き渡る音色が空間を揺らし、眩い閃光が火球の全てを空中でぴったりと止めた──まるで、
そしてゼットがギターの弦を弾いた瞬間に、火球は方向を転換してゼットンに向かっていく。慌てて瞬間移動をしようとした直後、ゼットン星人は異変に気が付いた。
『身体が、動かない……!?』
ウルトラマンゼットの掻き鳴らす音色。それは辺り一帯の空間を揺らめかせ、ハイパーゼットンのみの時間を停止させていた。そしてギターの弦を抑え──最初は苦戦していた『Fコード』。それをこなして、音色を変化させる。響き渡る演奏は、ゼットのゼスティウムエネルギーを音符のような形に変化させて、まわりにゆらゆらと浮かび始めた。
『俺たちの
結束バンドの演奏に合わせて、ゼットはギターを弾く。そしてゼットの周りに浮いている音符を象ったゼスティウムエネルギーが、一気にゼットンに向かって突進。受けたゼットンが火花を散らして吹き飛んでいった。
即座に瞬間移動でゼットの背後に回り込み、その豪腕を振り払ったが、それを見越していたかのようにゼットの姿が消える。その瞬間、ゼットンは訳も分からず飛んできた音符から攻撃を受けた。
ゼットンが瞬間移動を何度も使ってウルトラマンゼットの近くに飛ぶが、ゼットは瞬間移動の如き移動の速さでゼットンの背後に回った。
『──なぜだっ! なにが起こっているんだ!』
とうとう困惑を怒りに乗せて叫んだゼットン星人だったが、振り払われたゼットギターの横一閃を受けて倒れてしまった。
イプシロン・ザ・ロック──それは音楽を司る力。
音楽とは曲調が速くなればなるほど、時間が経つのを早く感じ、逆に緩やかなテンポになれば時が経つのを遅く感じるもの。生命の持ち得る感覚の崩壊。即ち、イプシロン・ザ・ロックはリズムを変えることで『
「ゼットさん、いつギターなんて覚えたんすか?」
『オレの新しい師匠のおかげだ!!』
そう言ってゼットは演奏する結束バンドの方を見下ろし、ひとりと視線が交じった。
『──ひとり師匠! 御一緒に行きましょうっ!!』
「──はいっ!」
結束バンド『星座になれたら』には、ひとりのソロパートがある。それに合わせて、ゼットはひとりと息の合った演奏を繋ぐ。その瞬間、郁代たちはゼットの姿に目を疑った。
キレのあるストローク。ギターの持ち方から弾き方、なにもかもがひとりの姿と重なっていた。
(ゼットさん、凄い……この短い期間でここまで上手くなってるなんて……)
ウルトラマンゼットは、誰よりも熱い心を持ち、目標に向かって突き進む努力の天才。人一倍努力を重ね、高く掲げた目標にしがみつくウルトラマンだ。
ひとりは顔を上げ、ゼットを見上げた。
互いに頷く。息の合った演奏が、ウルトラマンゼットに更なる進化を遂げさせ、空間が波打つように揺らめく。それは変幻自在の衝撃に変わり、瞬間移動を多発するゼットンから完全に逃げ場を封じ込んだ。
『なぜだ! ナゼだ! ナゼダナゼダナゼダ!! なぜそんなもの如きに、恐怖で作り上げた私のハイパーゼットンが押されているんだ!!』
ギターを掻き鳴らし、結束バンドのウルトラマンゼットを鼓舞するライブが響き渡る中、彼は弦を弾く手を止めてハイパーゼットン──ゼットン星人に告げた。
『バンドは人を繋ぐ。音は心を繋ぐ。そしてロックは、俺たちを一つにする──!!』
『そんなものが……! そんな訳の分からないものに、恐怖の権化が、負けるはずがない……!』
『この演奏は、人々を笑顔にする力がある! 恐怖に打ち勝つのは──〝笑顔〟なんだ!!』
ハイパーゼットンが瞬間移動する。だがウルトラマンゼットは自身の動きを加速させ、その瞬間移動に対抗。ゼットギターを振り払い、光に輝く斬撃がハイパーゼットンの翼を切り裂いた。
結束バンドの想いがいまやウルトラマンゼットの背中を押す。更に強く、更に激しく、そして更に優しく、ゼットはゼットギターを強く弾いた。
これはゼットの力だけではない。
結束バンドの四人全員の力が込められて顕現した希望の力。未来を諦めようとせず、夢に向かって歩み、自分たちにしかできないことをやり遂げる強き意思だ。
『さあこれが最後だ!! 共に行きましょうぞ、結束バンドの皆さんッ!!』
「──皆さんよろしくお願いしますッ!!」
瞬間、ライブを続け、各々の楽器を鳴らす結束バンドのメンバーが黄金の輝きに包まれる。想いが〝光〟となり、感情の昂りが声援となる。まだ希望を諦めようとしない人々の声援が、ウルトラマンゼットとナツカワ・ハルキに届いた。
全ての輝き。それら全てを受けて、ウルトラマンゼットは『
『──ぼっち・ざ・ぜぇっと!!』
心の底から叫んだ。
ただ叫びたかっただけである、意味はない。だが、その想いこそが力となる。ウルトラマンゼットはゼットギターを地面に立てて、両腕を自身のカラータイマーに翳した。
闇を照らす黄金の光が、ゼットの身体から溢れる。そして両腕を平行に構えて大きく斜めに広げ、その身で〝Z〟の文字を作り描いた。
そして溜め込んだ黄金の光を両腕に溜め込み、叩きつけるように腕を〝
『──ゼスティウムクロスオーバーッ!!』
水色の輝きが、黄金の色に染まり上がる。光速で伸びて行く渾身の
ブラックホールの如き暗黒が、黄金の光線を飲み込む。ウルトラマンゼットとハイパーゼットン。ナツカワ・ハルキとゼットン星人。四人の雄叫びが轟く。最強と最凶の攻防戦は、どちらかのエネルギーが尽きるまで行われた。
だがしかし────。
叫びが轟く。
「──ゼットさんっ!」
ひとりが一歩前に出た。
続けて、郁代、虹夏、リョウも合わせて前に出る。そしてウルトラマンゼットを見上げた。
「──負けないで、ゼットさん!」
「──行けっ、ゼットさん!」
「──ウルトラマンゼットっ!」
────より高く。
────より強く、願った。
「──頑張れぇっ!!」
ウルトラマンゼットの勝利を────!
ほんの僅かにウルトラマンゼットが放つゼスティウムクロスオーバーが、ハイパーゼットンを押し込む。その瞬間を見逃さずに、ゼットとハルキは叫んだ。
『「──チェストォォォォッ!!」』
光線の威力が更に上がる。イプシロン・ザ・ロックの能力と噛み合わせ、ゼスティウムクロスオーバーはハイパーゼットンアブゾーブの出力を遥かに上回った。
『──なんだとっ!?』
ゼットン星人が驚愕の表情を浮かべた瞬間──ハイパーゼットンアブゾーブは破られ、本体を撃ち抜く。そしてハイパーゼットンが地面に倒れると同時に閃光が瞬き、耳を聾する大爆発が巻き起こった。
見つめた先──炸裂した紅蓮は、光に満ちた。
やがて遍く空を照らす輝きが、祝福するように辺り全てを包み込んで────。
◆◆◆◆
朝。憂鬱な朝。カーテンの隙間から差し込む日差し。窓の外から聞こえてくる鳥の囀り。様々な物事が、それを朝だと知らせている。普段なら、朝だと思ってしまった瞬間に身体は拒否反応を起こして、
『今回起こった怪獣と巨人の戦闘で、下北沢を中心に殆どの建物が崩壊してしまいました』
今日は珍しく、憂鬱を吹っ飛ばせるほどに気分が良かった。早起きをして、いつものジャージを身に纏い、出掛ける為の支度をする。今日、学校は急遽休み。なにせ数日前にウルトラマンゼットとハイパーゼットンの熾烈な戦闘があった後なのだから、休みになって当然だった。
因みに、学校は無傷だった──壊れればよかったのに、なぜだ。
気分が良いのは、学校が休みだというのもある。だがしかし、それ以上にひとりの気分を昂ぶらせていたのは、また別のことだった。
朝支度をしていると、心配げな表情で母親──美智代が部屋を覗いた。
「ひとりちゃん、本当にバイト行くの?」
「あっ、うん。どうしても行かなきゃいけないから」
嘘である。バイトはない。けれど、結束バンドのメンバーで集まることには違いない故に、バイトといっても過言ではない。嘘ではないが、嘘である。
どうしても行かなければならないのは、ひとりに出来た大切な友人の為だった。
「そうなの……? それじゃあちゃんと気を付けるのよ?」
「うん、大丈夫」
できるだけ笑顔で、母親を心配させないような声色で、しっかりと返事をして部屋を出る。階段を駆け下り、リビングへと向かって、ふとテレビのニュースに目が行った。
『ようやく復興の目処が立ち、あの災厄から立ち直ろうとする意思が見えて来ました』
そこにはハイパーゼットンとウルトラマンゼットが熾烈な戦闘を繰り広げている動画が流されていて、ひとりはリモコンのボタンを押してテレビを消した。
時計に目を向け、かなり時間が押しているのに気が付き、慌てて玄関で靴を履く。そして扉に手を掛けてから、一息ついて振り返った。
心配げな表情を浮かべる母親。
不思議そうに首を傾げている妹と父親。
最後に、可愛らしく鳴いている犬。
家族を見つめて、ひとりは息を吸って────、
「──いってきます」
それだけを告げて、踵を返した。
ぽかんと口を開けて間の抜けた表情をする家族を置いて、ひとりが向かったのは下北沢から少し離れた場所。鬱蒼と茂った森のような公園。自然豊かな公園の中心辺りで、ひとりはメンバーと合流した。
そこにはハルキの姿もあった。
「今日でお別れなんですね……」
郁代がハルキの姿を見て、ふとそう呟いた。
今日はウルトラマンゼットとナツカワ・ハルキの別れの日である。二人は粋な計らいで結束バンドのライブを見ることもでき、それから数日はメンバーで下北沢を紹介したりなど、様々な楽しい思い出を作ることができた。
いずれは来ると分かっていた別れでも、いざその時が来るとなれば、悲しく込み上げて来るものがあった。
「はい、俺たちにはまだ、助けなきゃいけない人たちがいますから」
そう言って、ハルキは笑った。
ウルトラマンゼットとナツカワ・ハルキにはまだまだ手を差し伸べなければならない人々がいる。ずっとこの世界に居座る訳にはいかない。今も誰かが、助けを求めている──ウルトラマンゼットとナツカワ・ハルキの助けを。
「皆さん、ライブに最高でした。本当に、ありがとうございました!」
ハルキは感謝を告げて深々と頭を下げた。
それを見ていた虹夏も「こちらこそありがとうございました!」と声色を上げて頭を下げる。合わせて郁代、リョウ、ひとりも頭を下げた。
「あっ、あの、また、会えますか……?」
顔を上げたひとりが、ふとそんなことを口にする。それはひとりだけでなく結束バンド全員が思っていることだった。しかしあまりにも無謀なワガママ。
ウルトラマンゼットは、あらゆる宇宙を跨いで人々に救いの手を差し伸べている。宇宙は一つではなく、無限に存在している。それ故に、彼らがまたこの世界に来れるかどうか、ハッキリとは分からない。
だがハルキは、爽やかに笑みを浮かべて──、
「もちろん! 落ち着いたら、また遊びに来ます」
「ほ、本当ですか?」
「はい! あっ、その時は俺にもギター教えてくださいよ!」
「……っ! はい!」
「よろしくお願いしますひとり師匠!」
ハルキの言葉に、元気良く返事をしたひとりは、そのまま「えへへ」と笑いを漏らしながら
「良かったわね、ひとりちゃん!」
「──はいっ」
笑顔を浮かべたハルキは、ウルトラマンゼットのハイパーキーを起動させ、光り輝いて生まれたヒーローズゲートの中に駆け込んでいく。その瞬間、眩い輝きと共に光が屹立──ウルトラマンゼットが片腕を天に掲げて現れた。
「ゼットさ〜ん!」
「やっぱり大きいですね!」
興奮気味に手を振る郁代と虹夏。おー、と声を漏らしてゼットをみあげるひとりとリョウ。
ゼットはひとりたちを見下ろして、ゆっくりと頷く。そしてひとりに向けて差し出すように手を突き出すと、黄金に輝く光の玉が伸びて行った。
ひとりがそれを受け取ると、光は形を作り、ゼットに貸していたギターとなって姿を見せた。
「ゼットさん……」
ウルトラマンゼットはひとりたちに向け、右手の親指を立ててサムズアップ。それを見た彼女たちは思わず笑みを浮かべ、同じように親指を立ててゼットに見せる──その瞬間、ウルトラマンゼットの表情が、どこか笑っているように見えた。
ウルトラマンゼットはピシッと背筋を伸ばして姿勢を正す。そして軽く頭を下げてから、ゆっくりと空を見上げると────、
蒼が延々と続く遍く空に、ウルトラマンゼットは飛び立つ。空高く飛び上がったウルトラマンゼットが、その蒼き空に戦いを終わらせた〝Z〟の文字を刻み、宇宙の光彼方へと消えて行った。
見上げた空。結束バンドは、大きく手を振っている。その中で「さよならー」と「ばいばーい」と、まるで友達に返すような言葉で、驚くほどに心地の良い笑顔で、ウルトラマンゼットを見送っていた。
「あーあ、なんか、あっという間だったね」
ウルトラマンゼットを見送った先──未だ破壊の痕が残っている下北沢を歩きながら、そう虹夏が呟く。一ヶ月とはいえ、あっという間の出来事。ウルトラマンゼットの来訪、ひとりとの一体化、ナツカワ・ハルキの捜索、様々な思い出が重なり、短くも濃厚な一ヶ月はもはや昨日のことのようだった。
『怪獣と巨人の戦いは、この下北沢に大きな爪痕を残しました』
通り掛かった電気屋のテレビ。その画面にはニュースが流れていて、大きくウルトラマンゼットの姿が写し出されている。ニュースキャスターは淡々と言葉を吐き続け、ひとりはそのテレビの前で足を止めた。
『失ったものは多くありました。怪獣を倒した巨人に、不満を漏らすものも少なくはありません』
最後、告げられる言葉を聞く前に、ひとりは虹夏に「ぼっちゃん」と名前を呼ばれた。
「どうしたのー?」
「あっ、いえ、いま行きます」
ひとりはそう答えてから、テレビを見つめる。そして顔を上げて空を見上げた──ウルトラマンゼットの飛び去った蒼い空の果てで、二つの
笑みを浮かべ、ひとりは歩み出した。
『ですが、子供たちはこの街を救ってくれた巨人に対し、憧れを込めてこう呼んでいます────』
吹き抜けた風は、草原に似た爽やかさだった。
残された仄かな光も瞬く間に消えて行って──最後に、ニュースキャスターは笑みを浮かべながら口を開いた。
────『ウルトラマン』と。
テレビに雄々しく写し出されたウルトラマンゼットの姿。ひとりはたった一言だけ「ありがとうございました」と、心の中で呟いてから、虹夏たちの横に並んだ。
また、会えますよね。ゼットさん。
────ううん、ウルトラマンZ。
◆◆◆◆
空へと超高速で飛び上がり、一気に宇宙まで舞い上がる。漆黒に染まる宇宙の中で、ウルトラマンゼットはゆっくりと振り返り、酷く輝く地球をぼんやりと眺めた。
「良い人たちでしたね、ゼットさん」
『ああ、本当にウルトラ凄い方たちだった』
感嘆の声を漏らした瞬間、遥か遠くで光が瞬き、聞き慣れた声が聞こえた。
『──やっと見つけたぞゼット!』
閃光と共に、蒼いマントを翻したウルトラマンが姿を見せる。二本のスラッガーを頭部に備え、鋭く勇猛な眼差しを見せるウルトラマン。かつて様々な世界を救ってきた、若き最強のウルトラ戦士にして、ウルトラマンゼットの師匠──ウルトラマンゼロが、どこか呆れた様子でゼットを見つめた。
『師匠! 俺が心配で来てくれたんでございますか!?』
『──はあ!? バカ違えよ! ったく、いままでどこにいたんだよお前』
『あはは、それは、まあ、色々ありまして……』
『なに笑ってんだ』
ゼロが、頭を掻くゼットの肩を軽く叩く。するとゼットはふと思い出したかのように『師匠!』と声を大きくして呼んだ。
『俺、ハイパーゼットンを相手に勝ったんですよ!』
『ああ、そうかそうか、良かったな』
適当に流して、ゼロは『ん?』と首を傾げた。
『…………って待て、お前いまなんて言った?』
『だから、ハイパーゼットンに勝てたんですよ!』
『…………はあ!?』
腕を組んでいたゼロが、暫し沈黙してから再度ゼットの言葉を思い返し、声を荒げた。狼狽えたかのように『おま、うそだろ……』と口元に手を当て、ゼットに視線を向けながら、その奥のハルキを見つめた。
『おいハルキ、今の話──マジか?』
ハルキは苦笑しながら頬を掻いて頷いた。
「マジです。勝っちゃいました」
それを聞いたゼロは腕を組んで『は、はーん、なるほどな』と、なにか納得したように頷いた。
『ま、まあ、俺の弟子を名乗るぐらいなら、それぐらいはできてもらわねえとな』
『師匠! ハイパーゼットンに勝てたということは、もう俺はゼロ師匠を超えたって言っても良いんじゃないでしょうか!?』
『バカ野郎。俺を超えようなんざ二万年早えよ。そら、おかしなこと言ってねえで…………』
そこまで吐いたゼロが言葉を止める。ふと気が付いた視線がハルキの持っているゼットライザーに向けられる。そして指を差しながら『おいハルキ、それ、どうした?』と震える声で問い掛けた。
「これ、バロッサ星人との戦いで壊れちゃったんすよ。今回の戦いで更に無理させちゃって……」
『ハルキ! それは師匠に言わない約束だろ!』
「あ」
ゼットが慌ててハルキの言葉を遮ったが、もう遅い。ゆっくりとゼロの方へと視線を向ける。ゼロはゼットの肩に手を置いて『おい』と、声色を低くした。
『あ、これはウルトラヤバイ』
察した。瞬間、ゼロが声を荒げた。
『──あれだけ壊すなって言ったよなぁ!?』
ウルトラマンゼロの怒号が轟く。刹那、ゼットは逡巡の判断で飛び退いた。
『──に、逃げるぞハルキっ!』
「お、押忍!」
慌ててゼロの手からゼットは振り返って飛び立つ。『待てゼット!』と叫ぶ師匠から逃げようとした瞬間、赤黒い稲妻が疾走ってゼットの手にベリアロクが戻って来た。
『面白そうなヤツだな、斬ってやる』
『話がややこしくなるだろ! ここは一旦逃げるのが先だ!!』
ウルトラマンゼロの怒号が響く。直ぐさま逃走の判断をして逃げるゼットの後をゼロが追いかける。光の尾を引く一つの流星が、目の前の流星の後を追った。
────それは地球で、流れ星のように煌めいた。
人々は、その流れ星に願い事を囁いたとか、囁かなかったとか。まあ、どちらもいいでしょう。
これにて『ぼっち・ざ・ぜっと!』は完結です。
まずはここまで読んでいただいた皆様に多大なる感謝を。ありがとうございました。
約一ヶ月という短い間ではありましたが、この作品を終わらせることができて安堵しています。『ぼっち・ざ・ぜっと!』は、元々『日本語が下手なゼット君』と『コミュ症のぼっちゃん』という性格が真反対の二人が出会ったら面白いんじゃないかという安易な思いから書き始めました。
ですが、書いてみると自分でも楽しくなり、高評価もいただいて大変満足しています。本当にありがとうございました。
最後ですので、評価や感想があれば是非。ここの後書きの文字を押していただければ飛びます。
今後の更新、新作の情報などは変な呟きと共に私のツイッターアカウント@hokattya258でお知らせしていますので、ご興味があれば。
皆様、本当にありがとうございました。
また会う日まで、それではさようなら。
最後にここだけの話。やる気があったら『喜多ちゃんのラブコメ』を書こうと努力してます。