改造人間短編集   作:ボンコッツ

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ギルス×レ〇プ!NOVEL大戦MEGAS〇X!

 

【日本某所 KSJ研究所】

 

 

「絶対にゆ゛る゛さ゛ん゛ッ!!!」

 

「最初の1行でこの短編を終わらせないでくれ」

 

(((深夜テンションで仮面ライダー名乗ってたら仮面ライダーが乗り込んできた……!?)))

 

 

 

もう初手からして出オチ感満載だが、KSJ研究所のドアをライダーキックでブチ破って乗り込んできた『変身済みでバリバリ戦闘体勢のギルス』。

 

その後ろからやれやれって感じでついてきた保護者もとい阿部が、今日のKSJ研究所唯一のお客さんであった。

 

大騒ぎのせいでその後のお客さんが途切れただけじゃないかって?そうかもしれない。

 

なんにせよ、過激派特撮俺達がキレる前に改名しようと相談中であった三人には寝耳に水の出来事であった。

 

 

「仮面ライダー名乗ってやってる事がアレでアレでアレなので1アウト!

 メシア穏健派相手とはいえ強姦・拉致・洗脳とかやってる時点で2アウト!

 組織人として虚偽報告や事後報告のスレスレライン突いてるところで3アウトじゃぁー!!!」

 

「どうしよう俺達子供に正論で説教されてる」

 

 

ふーっ!ふーっ!と今にも3人そろって首チョンパしにきそうなギルス。

 

とはいえギリッギリ理性がそれを抑えているのか、まずは『会話』からスタートした。

 

……ちなみに、結界・警報装置その他は阿部がさっくりハッキング、凸った直後に主を守るために出てきた式神達も、流石にLV99相手では分が悪かった。

 

麻痺・睡眠等でさっくりと拘束され、現在ギルスとKSJが向き合っている。

 

寧ろKSJの3名の方が『あ、これは最初は話し合いからだな』と判断出来て冷静なぐらいだ。

 

 

「まず1ぉつ!貴方たちはいまでもガイア連合所属の人間です!!

 当然ガイア連合のリソースを使って活動してますし、責任の所在はガイア連合にあります!

 ここまでド外道な事をやってメシア穏健派にケンカ売るならガイア連合抜けてからやれ!!

 万が一バレたらガイア連合VSメシア穏健派の盛大な最終戦争が始まるわ!!」

 

「い、いや、でもガイア連合の技術と資源無しでここまでのことは……」

 

「じゃあ諦めろ。ガイア連合のスネ齧らないと復讐できないぐらい弱いアンタたちが悪い。

 恨みがある相手を狙うんなら百歩譲って理解しなくもないが、八つ当たりに巻き込むな。

 坊主憎けりゃ袈裟まで憎いで最終戦争の種を撒くんじゃない!

 真面目に世界の為に頑張ってる人間がバカみたいじゃないか!」

 

 

うがーっ!とキレながらも手を出すんじゃなく、まずは自分が乗り込んできた理由を語る。

 

出張扱いかつ黒札を保有したままということは、少なくともカズフサは今もガイア連合の一員だ。

 

復讐のために黒札の権利まで返上してメシアぶん殴る!とかなら、おそらくギルスはここまでキレない。

 

自分のやっていることが同胞に迷惑をかけると認識したうえでやってるからこそ、迷惑をかけられる側が乗り込んできた、それだけなのだ。

 

バレなきゃいい、と取れなくもないが、実際今回バレて乗り込まれているのでそれも通らない。

 

なにより、ショタオジにバレない根拠が『ショタオジは黒札に甘いし疑わないから』とショタオジの精神性由来なのがマズかった。

 

逆に言えば、がっつり疑うつもりで来てる超人クラスの相手なら探り当てるのは不可能じゃないのだ。

 

今回の場合、占星術ではショタオジ以上である阿部が情報面で協力してギルスを凸らせたのである。

 

 

「その2ぃ!メシア教穏健派潰すためにジェネリックメシア教過激派になってるので潰します」

 

「すごいシンプルかつ心が痛いッ!?」

 

「やってることが海外からの報告で過激派がやってる事と大差ないんだもん!?

 そりゃ潰しに来るよ!最低でも止めるよ!つーか止められたくないならこっそりやるなよ!

 

 黒札もっとたくさん抱き込んで根回しして権力でゴリ押せよ!」

 

「仮面ライダーが権力でゴリ押せとか言い出した!?え、つまり俺たちがそれやってたら乗り込んでこないの!?」

 

「いえ、その時は僕はプラチナカードを返上して単身『仮面ライダー』として貴方がたを潰しに来ますが……」

 

「ですよね!?」

 

 

ここら辺は英雄メンタルすぎるハルカと一般人メンタルなままのカズフサたちのアンジャッシュポイントかもしれない。

 

復讐&八つ当たりにしても組織の庇護を抜けるのが怖いから同胞を欺いてもこっそりやろうとするカズフサ達と、

 

自分の身とかぶん投げてでも正しいことをやろうとしつつなるべく周囲を巻き込まないようにするハルカ。

 

 

……そして、実はメシア教は過激派も穏健派もあんまり好きじゃない、という点はハルカも同じ。

 

ここまでならやり方さえもーちょっと考えれば、ハルカを何とか説得できる目もあった。

 

第二のメシア教過激派がガイア連合から生まれるという最悪の可能性を感じさせない程度に、メシア教穏健派への妨害・暗躍を行うなら、それは組織抗争の範疇だ。

 

 

「そして最後の1つ……お前たちは仮面ライダーを名乗った」

 

 

が、そのワンチャンスが最後の1つで消し飛んだ。

 

ここまではあくまで、霊山同盟支部の支部長、鷹村ハルカとしての公的な理由だ。

 

だが、最後の1つはある意味この3人と同じ感情論……仮面ライダーギルスとしての言葉である。

 

 

「女性を拉致して?監禁して?洗脳して?オカルトアイテムの材料に使って?仮面ライダー?」

 

「……まあ、確かに東〇とか石〇プロには許可取ってないけど、ガイア連合は特撮系にも出資してるし……」

 

「カズフサ、コイツ『本物』と遭遇済み」

 

「それ反則じゃない!?」

 

 

ある意味一番文句つけづらい所が文句つけにきた形である。

 

何はともあれ、KSJの三人の前でギルスのMAGが荒れ狂い……。

 

 

「さあ、お前の罪を数……「スイッチオフ、と」……」

 

「ん、んん?」

 

 

襲い掛かろうとしてきたギルスがぴたりと止まり、ばたんと前に倒れこむ。

 

しゅんしゅんしゅん、という効果音と共にギルスの体が縮んでいき、一枚の御札になった。

 

 

「『鷹村ハルカ』の人格を再現した札を、MAGで作ったギルスの体に埋め込んだニセモノさ。

 本物との差異は1%未満、戦闘力は劣るが、言動や思考はほぼ本物だ。

 いきなり本人呼んだら収集がつかなくなるからな、コイツで試した」

 

「そ、そういうことだったのか……」

 

ふう、とカズフサが息を吐く。本気で戦えば『打てる手』はいくつも思い浮かぶし、ギルスを返り討ちにするのも不可能ではないだろう。

 

しかし、プラチナカードの支部長の失踪となれば相応に調査が入るし、ショタオジにも黙ってやっているこの計画が表ざたになりかねない。

 

メシア穏健派にバレれば間違いなく大ごとを超えた大ごとになるし、偽ギルスが語っていたガイア連合VSメシア穏健派という最悪のシナリオも十分にありうるだろう。

 

 

「まあ要するに、計画がガバいから警告ついでに俺が釘刺しに来たわけだ」

 

「が、ガバいって……くそみそニキの占い&予知持ちがピンポイントに俺達を狙う、なんてまずないんじゃないか?」

 

「お前ら今もガイア連合所属なんだぞ?

 ショタオジだって霊視ニキたちと会議するときは市販品持ち込めない。

 結界内でも盗撮されかけたんだ、それからは作ったモノしか会議中の御茶うけに出ない。

 ガイア連合の黒札がコソコソやってたら、多神連合あたりは探りに来る」

 

「あっ……!?」

 

 

そう、これが一番やっかいというか、ガイア連合は世界中から頼られすり寄られる立場なのだが、すり寄ってくる連中もがっつりこちらを内偵してくるのだ。

 

ショタオジですら結界ではじくのを諦めて盗撮・盗聴の元になりそうなモノを排除するという方向で動いた以上、カズフサたちの対策でも安全とは言えない。

 

そして、ガイア連合の黒札が裏でメシア穏健派を潰すための計画を練っていると、仮に多神連合が知ったとしよう。

 

間違いなく多神連合はカズフサたちをフルに悪用しにくる。ガイア連合とメシア穏健派を共食いさせてまとめてオイシイところをいただくチャンスだからだ。

 

 

「メシア穏健派への復讐心で脇が甘い、やるならもっと闇に潜るか、逆に大々的にやれってことだ」

 

「す、すまない、返す言葉も無い……って待ってくれ、くそみそニキも特撮俺達だろ!?止めないのか、俺達のやってる事!?」

 

「俺だってあちこちの霊能一族に俺の種蒔いてコネ広げて、将来的に穏健派の『数』に対抗しようとしてるんだ。対穏健派の暗躍って意味じゃお前らと同じ思想だよ。

 

 まあ、仮面ライダーレイプって名前に関しちゃできればやめてほしいが……」

 

「あ、今日の会議でメシアンスレイヤーに改名が決まって……」

 

「ならヨシ!」

 

(((いいんだ……)))

 

 

とりあえず仮面ライダーレイプと言う名前は改名し、この先の活動方針についても相談しよう、と思ったKSJの三名。

 

阿部は懐に札をしまい、最後に少しだけ言い残して去っていった。

 

 

「ハルカがプラチナカードに推薦されたのは、ガイア連合内での鉄砲玉って意味合いもある。

 アホやった黒札や金札を、同じ黒札は殴れないだろ?『同胞』なんだからよ。

 

 だがアイツは違う。相手が悪なら自分の母親のクビをハネることもできる。

 俺の育て上げた『内部粛清にも使える正義の味方』、それがハルカの役割の1つだ」

 

「……小学生を身内用の鉄砲玉にしたのか……!?」

 

「ああ。 まあつまり、外道をやるならこういう風にやれって事だ。

 大手を振って『必要だから』とショタオジや幹部を説得、周知。

 最終的にオレが自分で責任(ケツ)をもってやると宣言して今に至る」

 

 

自己嫌悪でMAGが歪むほど、自分がやっている事に『自覚』があるカズフサが小さく呻く。

 

 

「今のお前らは、万が一外にバレて最悪のパターンを辿ってもなんの責任も取れない。

 それも世界を救うとかそんな大義でもなく、根底にあるのは八つ当たり。

 

 やるならもっと『上手く』やれ。あるいは失敗しても周りを巻き込まないよう退路を断て」

 

 

『お前らがイイ男でいたいんならな』と言葉を結び、阿部の研究所電撃訪問は幕を閉じた。

 

 

 

三日後、それはそれとして阿部の元へ結界とドアの修繕費の請求がきたので、阿部はガチャ用の貯金を切り崩してソレを払ったのであった。

 

 


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