「やっと昼休憩だな。飯食おうぜ。」
本日は、初授業ということもあり次からの授業の説明や先生の紹介などで授業は消化されていき、今は4時間目の授業が終了し、昼休みの時間だ。
「晴人も冬月も今日はお弁当?」
「おう。お弁当くらいなら作れるからな。学食で買うと金かかるし自分で作れるなら作っちまった方が楽で金もかからないしな。」
「そうね。自分で作れるなら自分で作った方が,スキルアップにもなるしね。」
「まあそもそも仮想世界で食事摂ること自体が必要ないっちゃ無いんだけどな。朝一配給される栄養さえ取っておけば問題ないわけだしよ」
「そんな事ないわよ。体の栄養は足りていてもそれじゃあ心への栄養が足りないわ。食事を摂るだけで人の心に余裕が生まれて、全てのパフォーマンスが、食事を取らなかった人より増すんだから。」
「そうだね。だからこそ学校は昼休憩を設けているんだし、学食まで用意しているんだろう。勿論過去の学校の再現という側面もあるだろうけどね。」
仮想世界はあくまで仮想世界なので、仮想世界で食事を摂り腹が膨れたからと言って、現実世界でお腹が膨れ、栄養が補給されるわけではない。
仮想世界で長時間過ごせばお腹は減るが、一度ログアウトして現実に戻り再度ログインすればお腹の減りも無くなっている。
逆に現実世界でお腹が減っている時は、仮想世界でもお腹が減っているし、なんなら現実世界で怪我をしていれば、仮想世界でも怪我を負っているように感じる。
かと言って仮想世界で負った傷は現実にはフィードバックされないのかと言うとそうでも無く、幻痛と言う形で仮想世界で怪我を負った場所と同じ箇所が痛むようになる。とは言っても1時間もすれば痛みは治るのだが。
「それにしてもやっぱ修斗の飯は美味そうだな。俺のとは大違いだわ。」
「ありがとう。得意分野だからね。どれか一ついる?」
「修斗の分が無くなるだろ。俺のまあそこそこ美味い弁当で我慢しておくよ。」
「我慢って、春人のもかなり美味しい方じゃない。贅沢言わないの。」
俺たちの料理スキルは多分学校の中でもかなり高い方に位置する。冬月も俺や春人には劣るけど、それでも十分美味しい方だ。
この世界では、美味しいご飯を食べたければ外食に頼らなければいけない事が多い中で、自分達で美味しいご飯を作れるのはかなりありがたいことだ。
その後も晴人と冬月と話をしながら食事をしていった。この世界で食事を摂ることは栄養的には意味がない、だけどこの時間には意味がある。それを学校もわかっているからこそ、食事を推奨しているんだろう。きっと将来思い出して笑い話になるのはこの何気ない時間なのだから。