ハゲそうなんすよねー
元々戦略を立てるのがうまくない人間なので苦労します
「俺はグレゴリー、一応小隊長をやってる。こいつは部下のマルカスっつーアホだ」
「ちょいちょいちょいちょい。人の事名指しでアホっつーのはねーんじゃねーですかい?」
「本当の事だからな」
「言っていいことと悪いことがあんだろーがよ!!」
起きるなり漫才を披露されて、ボクはまた思わず笑ってしまった。
「…話を戻すぞ。俺たちはレユニオン・ムーヴメントという感染者のための組織に属している。……まぁ、最近じゃ感染者のためってよりも、非感染者に対して残虐行為を行う能無しどもになった気がするが」
「隊長。それ、あんまでっかい声で言わんといてくださいよ。マジで」
「ふん、だったらチェルノボーグの暴動はなんだって言うんだ?感染者のためと宣いながら、その実非感染者に対して余計に恐怖を植え付けただけじゃねぇか。何が救済だ」
急に怒気を強めたグレゴリーさんに、思わず身体が固くなってしまう。そんなボクを見て、ちょっと困ったような顔をする。
「あー、わりぃな。怖がらせるつもりはなかったんだ」
「見た目がこえーから何言っても無駄っすけどねー」
「黙っとけ。…で、だ。リゲル、お前が感染者だってことは、寝てる間の検査でわかってる。一応、俺の部下として迎え入れてやることはできるが、どうする?」
…きっと、ボクは幸せものなんだろう。
こうやって、記憶のない厄介者にわざわざ手を差し伸べてくれた、この人たちは。
粗暴で、口が荒いけど、きっと根は優しいんだろうな。そう、思わずにはいられなかった。
「…お願い、します…!」
「よっしゃ!歓迎するぜぇ!!」
「んじゃどうします?歓迎会でもしますかい?缶詰くらいしかねぇですけど」
「今日ぐらい良いだろ、どうせこんなご時世だ。いつ死ぬか分からねぇ未来を夢見るくらいなら、今日たらふく喰って明日を凌ぎゃいいんだよ」
〈…今日を生きて、明日を凌ごう、オ…〉
(…また、か)
なんだか、思い出さなきゃいけないことがあったのに。
☆☆☆☆☆
「さて、早速なんだがな。俺たちゃ斥候だ」
「…斥候?」
「ああ。レユニオンは次に暴動を起こす都市を龍門に定めた。龍門は感染者を徹底的に差別する都市として名高い。スラムにゃ、大量の感染者が怯えながら暮らしてるらしいからな。作戦日時までに都市の地形把握、あとは感染者の勧誘ってとこか」
(…この、3人で??)
「リゲル、おめぇさん、今3人でやるのか?って思っただろ」
なんてことだ。マルカスは読心術でも持っているのだろうか。そんなことをリゲルが考えていると、
「…俺が言うのも何なんだがな。隊長はこう見えても結構実力が高いんだぜ。だから安心しとけ、なんかあったら隊長に全部押し付けりゃいいんだからよ」
「おーい聞こえてんぞアホのマルカス。俺とマルカスは別行動だ。リゲル、お前は体表に源石の結晶が浮き出てねぇから、そのまま正面ゲートから入れ。上手くいきゃそのまま中にいける」
「…が、頑張ります!」
「中に入ったら合流するぞ、地図を渡しておく。大まかな位置しか記載されてねぇが、目印になる施設なんかも粗方印をつけてあるから、なるだけそれを目安に行動しろ」
「は、はい」
◆
龍門入場ゲートに来たリゲルだったが、なにやら騒がしい。
「おい、感染者が暴動を起こしたらしいぞ!!」
「ま、マジか!急いで中に入るぞ!!」
どうやら、入場を拒否された感染者が暴徒化したらしく、重厚そうな装備を身に纏った部隊が走り去っていくのがみえる。
(…もしかしたら)
今なら。直接入れるかもしれない。そう思ったリゲルは歩みを早くした。
結果だけ言えば、無事に龍門の中には入れた。が、もらった地図も限定的な場所しか書かれておらず、現状迷っていた。
(……どう、しよう)
特に時間は決めてないとはいえ、あまり遅くなっても困る。そう思ったリゲルは、人に聞くしかないと思い、踵を返そうとした。
その瞬間、後ろからドサッ。という音が聞こえた。
振り向けば、女性のループスが荷物を落とした音だった。
その姿に、リゲルは違和感を覚えた。
なぜか、目を思いっきり見開きながら、こちらの顔を凝視している。どうしたのか聞こうと口を拓こうとした矢先に、その女性が口を開いた。
「……オハ、イオ……!!?」
女性のループス……、一体何サスなんだ…?