たぶんナンジャモの進化前を拾った。   作:あいいろ ののめ

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いけっ!ンジャモ、エレキネットだ!!

 ろくでもない、と言うよりも朝からトーストをくわえたミニスカートの女の子と街角で頭をぶつけるなんて古典的な出逢いもないアカデミーのなにげない朝。

 けれど今日はいつもと違って、俺は教室でクラスメイトに囲まれていた。

 

「なにこれ!ポケモン!?」

 

「ちっちゃーい!」

 

「ジャーモジャモジャモッ!」

 

「カワイイーー!!」

 

 正確に言えば俺が、ではなく俺の机の上で仁王立ちして高笑いらしき声を上げているンジャモが囲まれていた。その人気はこの通りで、俺は言葉らしき言葉を喋れないコイツの代わりに質問攻めに遭っていた。

 

「この子、どこで捕まえたの!?」

 

「いや……捕まえたって言うか、落ちてたって言うか……」

 

「えー!じゃあまだゲットしてないの!?」

 

「ンジャモォッ!?」

 

 人混みの中から飛んできたモンスターボールがンジャモの頭についたコイルに命中し、金属質な音と彼女の悲鳴が教室に響く。さすがに止めてやってくれ、ンジャモはモンスターボールの倍くらいしか大きさが無いんだぞ……?

 しかしそれを声にしてもこの賑やかさの中では伝わるはずもなく、怒って地団駄を踏むンジャモに追撃のハイパーボールが飛んできてまた彼女の悲鳴が上がった。

 

「なーんだ、もう誰かが捕まえてるみたい。」

 

「ンジャァア~~!!」

 

「おーおー、大変だったなンジャモ……」

 

 純粋な子どもはときに残酷だ。

 さっきまで偉そうにふんぞり返っていたンジャモが涙目になって駆け寄ってきては俺の手のひらを防壁代わりに隠れる可哀想な姿を見ると、さすがの俺でも同情の心情が湧いてくる。

 

「ンジャモって言うの? かなり懐いてるよね、いいなぁ〜」

 

「懐いてるのかなぁ、コレ。」

 

 コイツの周りに居る奴らが軒並み敵対してると言うか、半分は自業自得のような……

 

「何してる!さっさと席付けー!!」

 

「わ!先生だー!!」

 

 そんな考えごとをしてた時に先生が現れると野次馬たちはでんこうせっかの速度で散り散りになって授業が始まる。だが案の定、俺の頭の上に立っていたンジャモについて先生に問いただされた。

 

「それは何だ?」

 

「えっと……」

 

「まぁいいや、あまりにうるさかったりしたら君ごと廊下に放り出すから。」

 

「ジャモ!!」

 

「よしじゃあ始めるぞー」

 

 ンジャモが自分で返事をしたような雰囲気になったが、コイツが言葉を理解してるのかさえ怪しいのを訂正する間もなく先生が授業を始めてしまったので慌てて教科書を開く。

 

 

 

 おいこらやめろ消しゴムを蹴ろうとするな、ペンも奪わないで……―――

 

 

 

――――――

 

 

 

「バトルしよう!!」

 

 そんな放課後の言い掛かりと共に机の上でお昼寝していたンジャモがクラスメイトに誘拐された。

 流石にンジャモがポケモンバトルに巻き込まれるのは冗談にならないと立ち上がった俺が誘拐犯を追いかけようとしたその瞬間、教室を出ようとした誘拐犯は教室に向かって走ってきた誰かと正面衝突をしてしまった。

 

「ンジャーーーッ!!?」

 

 教室の空を飛ぶンジャモの綺麗な放物線を見て俺は偶然別の用途で用意していたモンスターボールを真上に投げ、声をあげた。

 

「バチュル、いとをはく!」

 

 天井に張りついたバチュルが飛ばした糸がンジャモの小さな身体に巻き付き、ンジャモはミノムッチのように天井からぶら下がる。

 糸でぐるぐる巻きになって涙目でこちらを見上げてくるンジャモの今にもおいおい泣きそうな姿に、今日は帰ったら少しくらいこの子を甘やかしてあげようかと庇護欲のような何かを覚え……

 

「大変だよっ!不良とスター団がこんど決闘!!するんだって!!!」

 

……決闘?

 

「ンジャモ?」

 

 スター団っていうのもあんまりよく分かってないけど決闘って、何だそれ。

 ポケモンバトル……の意味じゃ無さそうだけど、とにかくろくでもない予感ばかりする言葉の雰囲気だった。

 

 

 




 嘘でしょ、4万文字も書いたのに1話もストックが増えていない……?

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