彼女はなにを願いましたか?   作:風遊

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あなたはなにを願いましたか?

 たくさんの世界がわたしの目の前に広がっています。

 生まれたばかりの世界。もうすぐ終わる世界。終わることのない世界。はじまることのない世界。

 確率の数だけ世界は生まれます。可能性の数だけ世界は生まれます。星の数よりももっともっとたくさんの世界が、この瞬間にもいくつもいくつも、生まれつづけています。

 確率の数だけ世界は終わります。可能性の数だけ世界は終わります。星の数よりももっともっとたくさんの世界が、この瞬間にもいくつもいくつも、終わりつづけています。

 生まれては消え。消えては生まれ。そのあいだは数秒にも満たないこともあれば、数億年、数十億年と続くこともあります。でも、終わらないことはありません。はじまったものは、終わってしまうものだから。

 人の数だけ世界は生まれ。人の数だけ世界は終わり。

 すべての世界が幸せです。同じくらいに、すべての世界が不幸せです。そのふたつのあいだに違いなんてなくて、すべてはそれを見る人が、違うだけのことだから。

 わたしはそのどこにもいません。私はなにも見ていません。

 わたしはそのどこにでもいます。私はすべてを見ています。

 ここからはすべてが見えません。すべてが幸福にも見えないし、すべてが不幸せにも見えません。ここからはすべてが見えます。すべてが幸せにも、すべてが不幸せにも見えます。

 でも、宇宙がたとえどのようにはじまったとしても。

 誰かの頭の中で、五分前にできたばかりだとしても。

 誰かが見ている、夢であっても。

 わたしは心だから。

 宇宙でただひとつ、優しい願いから、人の感情から生まれた、心を持った法則だから。

 わたしの心は、みんなとつながっているから。

 だからどうか、今この瞬間、新しく生まれたいくつもの世界で。

 それが終わるまでの一瞬のあいだ、それが終わるまでの長い長いあいだ、そこにいる人たちが、幸せなものを見れますようにと、そう願ってもいいですか。

 

 

 

 

 いつだって、ここには、雨がふっている。

 ひそやかな、それでもたしかな雨が。

 ひとつひとつ、ぽつりぽつりと、音をかなでながら。

 やがて、おおきな流れとなるために。

 いずれ、すべてとなるために。

 いつか、だれかに、世界とよばれるために。

 もし、あなたが、ひとりの人間であっても。

 もし、あなたが、神様とよばれるものであっても。

 あなたが、その雨にぬれるのならば。

 あなたが、それでも笑えてしまうのならば。

 私は、あなたのための傘がほしい。

 私が、どれほど雨にうたれることになったとしても。

 私の傘を、あなたにさしだすことができたなら。

 それだけ。

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