さち・ざ・ろっく!   作:フリーダム斎藤

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初めまして。フリーダム斎藤さんです。音楽知識0のアニメ勢とかいう世界一この作品の二次創作に向いていない人間が雑に書いてます。ご了承。


1.酒カスベーシストとのなれそめ。

「..........あの、そろそろ離してくれません?」

 

「ん~?」

 

辺りが赤く染まる夕方。俺…西村圭はとある女性に抱き着かれ離れられないでいる。その女性というのが、まあ中々に酷い。

 

 

「はぁ..........今日はどんぐらい飲んだんすか?」

 

「え~っとね!今日はおにころ4パック!」

 

「はい没収入ります」

 

そう。彼女は所謂「酒カス」というやつなのだ。理由なんてもんは知らない。というか第一、そんな仲が良いとかいうわけでもないのだ。知り合ったのほんとに3ヶ月前ぐらいだし。

 

そう、あの日が地獄の始まりだった............

 

 

 

 

 

 

「なあなあ、あいつ、上手くやれば抱けそうじゃね?」

 

「あー。まあ胸はあんまだけど顔は良いし、なんか酔ってるし簡単にヤれそうw」

 

下世話な話が耳を通り過ぎる。状況から察するに、欲を発散したいチャラい男が女性をターゲットに散々言っている、ということだろうか。

 

決してそういった事が悪いなどとは思わない。…が、流石にそんなノリでヤられる女性が不憫でしかたない。元より女性にそういう態度を取る男が気に入らなかった。これは、そんな気まぐれで起きた事件だった。

 

 

「おっ!なーにやってんだお前。こんなとこで酒飲んでるのかよ?」

 

「ん~~?」

 

知り合いのふりをして彼女に近づく。彼女にとっては何が何だかわからないだろうが、まあこれもあのクソ野郎から守るためだ。守ってとか言われてないからそこ突かれると終わるけど。

 

「ん~~、誰?まあいっか!!少年~、ちょっと来て~」

 

そう言って手招きする女性。こっちもこっちでなんだかわからないが、まあ別にいいかと、彼女に近づく。その時だった。

 

「…うっぷ、ご、ごめん少年。」

 

「............は?」

 

「&E%%%FYD&BCUBVD%*'!!!」

 

 

 

..........俺は生まれて初めて女性に吐瀉物をかけられるというあり得ない経験をしてしまった。

 

 

 

 

「いやあ、ごめんごめん!昨日飲みすぎちゃってさ~。」

 

「飲みすぎとかいう理由で許されるとか思ってんすか??」

 

一通り吐いてスッキリしたのか、元気そうにそう言う彼女。正直腹立たしいので一発ぶん殴ろうかとすら思ったが流石にやめた。俺偉い。

 

「いや~、お詫びと言ってはなんだけどさ、ウチ来る?」

 

「いえ。帰るので結構です。」

 

「え~?私みたいな美少女が誘ってるのに~?」

 

「1秒でも早く洗い流したいので」

 

あながち間違ってはいない。今も吐瀉物が体にまとわりついて気持ち悪くて仕方がない。それがなかったとしても、知らない女性についていくとか最近の小学生でもしないぞ。

 

「つれないな~。まあ、私が迷惑かけたからどうこう言えないんだけどね!ははは!」

 

「迷惑かけてる自覚はあるんすね」

 

思わず嫌味みたいな言葉が口から出る。さすがに初対面の人にそれは失礼............いや吐瀉物かける方が失礼か。うん。

 

「あ!ちょっと待って少年!」

 

さっさと帰ろうと引き返した時、引き留めるように彼女は声をかける。何だ?他になんかあったっけか?

 

「............君さ、ギターやってるでしょ。それも、一人で。」

 

「..........っ!?」

 

思わず声が詰まる。そんな俺を尻目に彼女はどんどん話を進めて行く。

 

「友達もいるし比較的コミュ力もある。なのにバンドは頑なに組まないでネットで活動してるでしょ。名前は..........『ヒールギター』だっけ?」

 

「............なんで、わかったんすか?」

 

そう。彼女が言っていることは全て合っていた。ギターのくだりはギリギリ可能性があるが、活動名まで当てられれば運で当てたなどと言えなくなる。

 

「ん~~..........勘!私の勘はよく当たるんだ~。」

 

「は?」

 

この人は何を言っているんだ?勘?そんなので自分の事を当てられて納得いくわけもなく、俺は彼女に問いただす事にした。

 

「..........なんで、勘なんかで............」

 

「にへへ、どうしよっかな~?ヒールギターさんがこんな近くに住んでるなんてネットに出たら、もしかしたら家凸とかされちゃうかもな~?」

 

「ウグッ............」

 

ヒールギターのチャンネルは、今では4万人ほどと自分で言うのもあれだがそこそこ有名ではある。もし個人情報............というほどの情報でもないが、目撃情報から特定とかもあり得るし。多分考えすぎだけど。

 

「............というか、何ですか。脅し......というわけなら、僕に何を求めるんです?」

 

金か?それとも奴隷になれとか?またはチャンネルを寄越せという可能性も............??

 

別に特に物にこだわりもないが、何を求めるのか気になってしまった。初対面の人にこの人は何を求めるんだ、ほんとに............

 

「じゃあ.........私とここで路上ライブしよー!」

 

「............は???」

 

 

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

「あーあー。金沢八景の皆さーん!今からライブやりまーす!なんと初対面の少年と!」

 

「.........何言ってんだ、こいつ............」

 

俺を脅して求めるのが路上ライブとか、こんな人間他にいるだろうか?脅されてる俺が言うのもあれだが、もっと他にあるのでは???

 

ぶっちゃければ、あの脅しも俺に向けて吐いたことでチャラにできるのは既にわかっている。だが、俺は一つ思ってしまったんだ。

 

___こいつを音でわからせてやりたい。

 

元々俺の自己満で近づいておいてこんな事考えるとか性格悪いのはわかっている。だが、訳もわからないままヒールギターの事を知られて、それで脅されていた現状が気に食わない。

 

「というか、何でこんな事に機材貸してくれる人がいるんすかねぇ............」

 

路上ライブをしようにも俺も彼女も楽器すら持っていない状況だった。のだが、彼女が電話をかければあら不思議。いつの間にか必要な機材が全て揃っていた。しかも何ならドラムの音源も一緒に来た。フシギダナー。

 

そこでふと気が付く。この人が持っているのはベースだった。............なのに何でヒールギターの事知ってるんだ?

 

「んー?あ、君に言ってなかったね。私、ベースやってるんだ~。この子は命より大事なスーパーウルトラ酒呑童子EX!昨日居酒屋に置きっぱでした~!」

 

「一言で矛盾するのやめてもらえませんかね。」

 

早くも俺は気づいてしまった。この人の言動に意味を求めてはいけない。というか大体、こんなふざけた人がまともに音楽をできるのか?

 

「.........生半可な気持ちでやってるんすか、音楽。」

 

「ふぇ?どうしたの、君__」

 

「いや、いいです。早く始めましょう。」

 

急かすように彼女にそう言った俺は、彼女より前に出て演奏の準備を始める。

 

............ムカつく。

 

俺はこんなに必死になって音楽を、ギターを鳴らしている。それこそ、自分の命を削る覚悟でだ。なのにコイツはヘラヘラして、自分の大切なベースを居酒屋に置いてきた?馬鹿にするのも大概にしろ。

 

俺はずっと視聴者を.........アンチ共を見返すために何度も何度も何度も掻き鳴らしてきた。そんなふざけた女に相手してやるか。

 

___俺の音で、潰す。

 

 

負に満ちた想いを音に乗せて、俺は音色を奏で始める。

 

 

 

 

「.........ねぇ、あんまり上手くなくない?」

 

「わかる。なんというか、ギターの人が振り回してバラバラになってる感じだよねー。」

 

「............ありがとう、ございました。」

 

曲が終わり、俺達は一礼する。

 

.........俺は、この長い時間で彼女を超える事ができなかった。

 

違った。あんな勢い任せな音じゃ、ただ振り回すだけだ。そんなの、俺の望んだ潰し方じゃない。俺は、ただ自分勝手に演奏していただけだった。

 

「あー.........ま、まあ、気にすんな少年!」

 

「.........うるせぇよ.........」

 

慰めるようにそう声をかける彼女に、俺は行き場のない怒りをぶつける。

 

「俺は.......こんなふざけた女にもまともに魅せられないのかよ.......?ちげぇ!俺は、こんな、もっと出来る............俺は............」

 

こんな女より、俺が足を引っ張った事実に腹が立って仕方がない。今までの俺の努力が全部無駄になったような気がして。俺は恐怖を怒りに変えて彼女にぶつける。

 

「............俺は、なんで、アンタに八つ当たりしてんだよ.........」

 

彼女は何も悪くない。俺が、俺だけが悪いのだ。なのに、身体は、口は止まってくれない。本能が止める事を許してくれない。ここで止まれば、俺は認めるしかない。俺の実力を、俺の愚かさを.........

 

「.........少年。君はさ、何と戦ってるの?」

 

「.......なに、言って.........」

 

否定する言葉が詰まる。何と戦ってる?俺は、誰かと争ってるわけでもな..................

 

「.........っ!?」

 

彼女の言葉を聞いて、俺は思考を巡らせる。今までの動画での演奏、加えて今回の彼女とのセッション。そして、敵.........

 

「別に私に敵意むき出しなのは良いけど、音でもわかるよ~?」

 

「.........それは、すんません.........」

 

「私から言えるのは一つだけ。…敵を見誤るなよ?」

 

目にハイライトがない、本気の声で彼女はそう俺に言葉を紡ぐ。『敵を見誤るな』か.........

 

ずっと俺はアンチ共を、彼女を敵にして一方的な音を押し付けていただけだった。そんな敵意に満ちた音楽で、誰かの心を動かす事なんて出来るわけがなかったんだ。

 

「............もう一回、合わせてもらえませんか?」

 

「.......うん。私で良ければ、いくらでも付き合うよ~。」

 

そんな緩い雰囲気で承諾する彼女。なんだか、さっきまでこんな人に憤怒していたのか馬鹿らしくなってくる。

 

「貴女のおかげで僕は気づけた。だからお礼として............」

 

 

___最高の音を聞かせてあげます

 

 

 

 

「~~~~~~!!」

 

「っ!!」

 

さっきまでとは一転。彼の演奏は激しさを増した。

 

楽曲はかなり昔のボーカロイド曲。基本のBPMは低いはずなのに彼の細かなアレンジで速さを感じさせるような、そんな音に変わっている。

 

「............やっぱり、あの頃の君だ。」

 

10年前。彼女はとある少年のギター動画を見つけた。それは7歳の子供とは思えない程の実力で、何よりも、彼自身が心から楽しんでいる、そんな音だった。

 

(.........あれから、君は路線を変えた。いつの間にか楽しむことを忘れて、ただ恨みだけを込めてギターを弾いてたよね。)

 

天才と称された彼は瞬く間にチャンネル登録者も伸びていたが、それ以降彼の腕前が世間に評価されることはなかった。彼の腕は成長することなく、いつしか年相応の実力と言われてしまう程になってしまった。

 

(アンチを見返すために意地になって弾いて、ただ動画を出してるだけだった。でも、今の君は違う。今の一瞬で、君はすごく変わったよ。)

 

彼の奏でる音はとても暴力的で、なのにとても綺麗で。近くを通りかかる人々は足の動きを止め、彼らの演奏に耳を傾け始める。

 

(私にはわかる。今この瞬間、一番輝いてるのは___)

 

最前線にいる彼は、誰よりも輝いていた。

 

 

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

「.........ありがとうございました!!」

 

パチパチと拍手の音が鳴り響く。どうやら無事に終わってくれたようだ。

 

「少年、良かったよ~?この短時間で何か掴めた?」

 

「あ、それはどうも。さっきの貴女の言葉でちょっと、色々考えることが出来まして............ほんとに、ありがとうございました。」

 

さっきまで強く当たってたのに急にこんな感謝して情緒どうなってんだって思われてそうだが、まあもう二度と会う事ないでしょう。キニシナイキニシナイ。

 

「ふーん............あ、そうだ!君の名前教えてよ。恩返しって事でさ♪」

 

「あー.........西村圭です。えっと.........」

 

「あそっか、私も自己紹介してなかった!廣井きくり。ベースとお酒をこよなく愛す28歳だよ~!」

 

「きくりさん、今日はほんとにありがと.........え?28歳?」

 

正直もっと若いと思ってたんだが.........いやだって、めっちゃ若く見えるし。ぶっちゃけ酒がなけりゃ大学生にも見えなくはないぞ???

 

「28歳で~す。けーくんは?」

 

「けーくん!?」

 

名前教えてから即名前呼びする彼女.........きくりさんのバグった距離感の縮め方に困惑しながらも、俺は彼女に自分の年齢を明かす。.........今更だけど、めちゃくちゃ年上の人に”彼女”って言うの失礼なのでは??よし。今からこの人の事をきくり姉さんと呼ぼう。

 

「そっか~、花の高校1年生かぁ。うんうん。これから頑張るんだぞ、けーくん!」

 

「.........そっすね。貴女のおかげで僕は前に進めた。今までのヒールギターとは違うところを見せれるよう頑張ります!ありがとうございました、きくり姉さん!」

 

頭を下げてきくり姉さんに感謝を述べた後、俺はいち早く自分のギターを磨くために駆け足で帰路につく。今までは自分の事なんて誰も知らないと思っていたけれど、今日の路上ライブでの反応やきくり姉さんの言葉で、俺は何か大切なものに気づけた気がする。

 

「.........もっと近づくからな、『ギターヒーロー』!」

 

一方的なライバル意識を持っている彼女の名前を呼んで、俺は決意を固める。いずれ彼女と肩を並べ演奏している自分を夢見て、俺はまたギターをかき鳴らした。

 

......これから地獄の介護生活が始まるとも知らずに。




ハーメルン全くわからんのですがこれであってるんですかね。ブルーロックの見過ぎでこれはラブコメ......??って思う展開になってるのは許して。本当に趣味の範囲なので月一更新すら怪しいですが評価次第で更新早まるかも。

ハーレムか否か

  • きくり姉さんだけがいい
  • ハーレム作りたいよね
  • きくり姉さん+結束バンド
  • きくり姉さん+星歌さん
  • その他(コメント)
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