さち・ざ・ろっく!   作:フリーダム斎藤

2 / 3
月一投稿すらできねーかもしれないと思ったが、誰も見ないわと察したのでこれからも亀投稿です。

ちなみにきくり姉さんの家族関係捏造してます


2.酒カスの介護の始まり

あれから3ヶ月。この3ヶ月の間に、俺の環境は良くも悪くも変わる事となった。

 

まずはヒールギターとしての活動だ。とはいえ特別チャンネル登録者が増えたわけでも、有名人に紹介されたわけでもないが.........

 

以前から大量に来ていたアンチコメントが少なくなっていき、段々と応援してくれるような声も増えてきた。今までの動画とかなり雰囲気が変わったこともあり多少困惑してる視聴者がいるものの、今のところは順調に進んでいる。

 

しかし問題はここからである。そう、悪くもの部分が本当に悪いのだ............

 

回想が長くなってしまって申し訳ないのだが、そこはご了承って事でお願いしたい。

 

俺ときくり姉さんとの関係が段々とおかしくなったのは、遡ること2ヶ月前.........

 

 

 

 

 

「.........うぅ.........だ、誰か............」

 

「うえぇ!?ひ、人が倒れて............って、きくり姉さん!?」

 

変なやつに絡まれカツアゲされヘトヘトになっている帰り道、見知った顔の人がベースを背負って倒れてた。.........文字に起こすとヤバいな???

 

「え、えーっと.........だ、大丈夫っすか?きくり姉さん。」

 

「あっ、けーく、ん.........ごめん、お腹が.........」

 

なるほど。空腹であったか。そりゃまあ失礼だが、この人がまともに働いてる様子が考えられない。その割に酒は大量に飲んでるし、そのせいで金が無いのだろう。

 

「あ~.........えっと.........今から帰って飯作るとこなんすけど、来ます?」

 

.........俺は何を言っているんだろうか?先ほどまで本当に散々な目に合っていたからか、半ばヤケクソになっていたのもあるのだろうか、普通考えないようなことすら口に出てしまう。というか前会った時に「知らない人の家に行くわけない」とか言ってたやん。そんなホイホイついてくるわけ.........

 

「んん.........行くぅ~~.........」

 

ダメだった。この人はこの人で空腹により限界を迎えていた。互いの了承を得てしまった今、流石に断れるような雰囲気ではなかった.........

 

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

「いやぁ~!食べた食べた!廣井きくり、完全ふっか~つ!」

 

「お気に召したようで良かったですわ。」

 

結局我が家に招待してサクっと料理を作り、それをきくり姉さんに振舞う。一人暮らし生活は割と長めだったため、料理はそれなりに出来る方だ。そもそも中学生の頃から親は仕事で忙しかったため、自分で料理を作ることも多々あったのだが。

 

「しかし、けーくんって料理できたんだね!私はできないから羨ましいなぁ~」

 

「どーもっす。とはいえそんな本格的なもんも作れないですけどね。」

 

「でも、男の子でそんな料理作れるだけ有利でしょ!けーくん、良い夫さんになるよ~。」

 

「.........ど、どうも?」

 

ぶっちゃけ誰かと交際するなどは考えていない。そもそも俺にそんな価値ないし、何より相手可哀想だしな............

 

「あっ、けーくん!どうせなら今日、ここで泊っても良い?」

 

「............はぁ!?!?」

 

いやいやいや、確かに家上げるとかいう既にヤバい事はしてるけど、流石に泊まりは駄目じゃない!?!?犯罪臭がすごいよ!?!?

 

「あっ、さては疑ってんな~?大丈夫大丈夫、明日には帰るから!」

 

「そこじゃないんすけどね!?!?」

 

とにかく、流石に泊まりは駄目だ。というかこの人の警戒心はどうなってんだ。もっと自分の身を大切にしてやれ............いやそういえば酒飲みすぎてる時点で身の安全もクソもないわ。

 

「はぁ............とにかく!流石に泊まりは............」

 

「............けーくん、お願い............?」

 

上目遣いでそう頼み込んでくるきくり姉さん。普通の28歳がやっても痛いだけなのだが、顔は良いこの人がやるとその破壊力はとんでもない。

 

............本当はキッパリ断るべきなのだろうが、この前きくり姉さんに割と人として終わってるような事を言ってしまったのでその罪悪感が俺を纏う。

 

「............明日には帰ってくださいね。」

 

「やったぁ!ありがと、けーくんっ!」

 

「うおぁ!?ちょ、離れてくださいきくり姉さん!」

 

喜びながらこっちに飛び込んでくるきくり姉さん。この人、羞恥心とかないのか????

 

その後もこの人の堕落しきったところを目撃したりと色々あったが、特に何事もなくその日は終わりを迎えた。

 

ちなみに言っておこう。ほんとに何もなかった。マジで。だって怖いもん。

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

「............来ちゃった♡」

 

「帰ってください」

 

あれからきくり姉さんはかなりの頻度で家にやってくるようになった。初めは週1.2回だったのが、今ではもう2日に1回のペースだ。ここまで高頻度で来られると、段々とこの人に対する敬意だとか、そんなものがなくなってくる。

 

「というか、流石に来すぎでは?そんなに高頻度で来るほど金困ってるんすか?」

 

「いやぁ、私のバンド、売れてるんだけどねぇ~?ライブハウスの機材とかぶっ壊して、あっという間にお金なくなっちゃった!あはは~!」

 

「反面教師のプロフェッショナルだ............」

 

下手に返そうとすると騒ぎだして周りの目が怖いという事を以前に知ることになった悲しい事件があったんで、いつも結局折れて部屋にあげてしまうのだ。反省してます。

 

「けーくん!今日の夜ご飯なにー?」

 

「今日は餃子っすけど............いや、何でもう当然のように分ける前提になってるんでしょうね?」

 

「あはは!気にしない気にしない!」

 

結局部屋に上げたのはいいものの、さも当然かのように夜飯を分けてもらえると思ってるきくり姉さんに怒りを通り越して呆れすら出てくる。いやもう、何でなんだろうな??

 

「っぷはー!!やっぱお酒は美味しいな~~!!」

 

「未成年の部屋に転がり込んで酒飲んでる28歳ってマジすか?」

 

おかしくね??俺が間違ってんのかな??

 

.........いや、最初に上げたのが大いに間違いだ。よいしょされて調子に乗った俺、恨むぞ............!!

 

とはいえ腹が減ったのもまた事実なので、きくり姉さんが来る前から既に焼き始めていた餃子達を皿に盛る。自分で言うのもなんだが、実に美味そうだ。

 

「ほら、きくり姉さん。出来ましたよ。」

 

「おっ!!さっすがけーくん!ありがと~~!!だいすき~~!」

 

「はいはいセクハラしてないでさっさと食べてください。」

 

バクバクと美味しそうに食べる姿を見て少し揺らいだが、それでもだいぶヤバい事をされてるのに変わりはない。いや凄い美味しそうに食べるから嬉しいんだけどさ。

 

「美味しい!!やっぱけーくんのご飯ってお酒に合う~~!」

 

「............はぁ。今日、これ含めてどれぐらい飲んでるんすか?」

 

「今日はおにころ8パック~~!!」

 

大変だ。この人もう俺が夜飯作ること前提で酒に金使ってやがる。

 

「......きくり姉さん。ちょっと聞いてもらえませんか?」

 

「ん~?どうしたの?」

 

いい加減にキレた俺はそろそろ本格的にきくり姉さんに出て行ってもらうために説教を覚悟する。

 

「あのですね、あくまで僕はこの前倒れてたから家に上げただけで............」

 

「ん~~?いいじゃんいいじゃん、私倒れそうになってたんだよ~?それとも、けーくんは、いや?」

 

「ぐ............」

 

涙目の上目遣い。この完璧な組み合わせに勝てる男は果たして存在するのだろうか............?

 

「............せ、せめて、酒は控えましょ............?」

 

完  全  敗  北

 

対戦ありがとうございました。俺には勝てなかったよ、みんな。

 

「というか、何でそんな酒飲んでるんすか?好きなら、もっと貯めて良い酒買えばいいのに............」

 

「ん~?ああ、私ね、幸せスパイラルキメてるんだ~!」

 

「し、幸せスパイラル......?」

 

何だその怪しいマルチ勧誘にでもありそうなフレーズ、なんて言えるわけもないのだが。それでも何を言っているのかわからずに言葉に詰まっていると、きくり姉さんは話を続ける。

 

「将来の不安とか、色々考えちゃうと苦しくなるでしょ?だからそうならないようにお酒でドーピングするんだ~!これが幸せスパイラルなのだー!」

 

「ダメな大人の典型例だ............」

 

というかそれ依存症のそれじゃないの???とか思っていたが、ふと気づく。この人が普段酔っぱらっているのは、色々な悩みを隠すためなのか............?

 

「......きくり姉さん、減酒しません?」

 

「え?」

 

なんだか居た堪れなくなった俺は、せめて少しでもと減酒を進める。もっともただでやらせるわけにもいかないので、条件付きで。

 

「もし減酒出来たら.........その時は家に来て、飯食うなり泊まるなりして良いですよ............って、得ないかな…?」

 

この交渉にはどっちに転んでも俺に利点がある。減酒をすればもちろん俺の心配も晴れるし、しないならもう家に上げなくても済む。そう。これは俺に得しかない選択肢なのだ!!!

 

さあ選べきくり姉さんよ!!減酒出来ない貴方にとっては俺の家を捨てるしかない!!

 

「ん~~.........それじゃ、減酒頑張ってみようかなぁ」

 

「まあやっぱりそう............え??」

 

何と言ったこの人......??減酒する??え???

 

「い、今なんて............??」

 

「え?減酒頑張ろうかなぁって。そしたらけーくんちでご飯食べれるでしょ?」

 

「それに何の得があるんすかねぇ............」

 

想像と違った返答に少し困惑している俺。そもそもの話、自分の飯にそんなに価値があるとは思えない。だからこそこんな条件を提示していたんだ。

 

きくり姉さんを家に上げる必要がなくなる。それが目的でこんな事を言っていたんだが............

 

「え、えーっと.........良いんすか?減酒、させるんですよ???」

 

「うん。でも、その代わりけーくんのご飯食べれるんでしょ?」

 

「いやそう言いましたけど!!!」

 

ダメだ。この人の中ではもう決まっているようだ。となれば今この人の意志を変えるのは難しいだろう。

 

「.........なんでそんな、馬鹿みたいな話、乗っかっちゃうんですかねぇ.........」

 

ふと零した言葉に、きくり姉さんがピクリと反応する。

 

............もしかして、あまり良くない事に触れたか......?

 

「.........す、すみま「私さ。ずっと、一人なんだ。」............え?」

 

俺の声を遮って、そう語りだす。その顔はどこか遠くを見ていて、目に光などなかった。

 

「こんなんだから親にも見放されて、金もないから事故物件に住んでて。一緒にバンドやってくれる仲間はいるけど、部屋に帰るといつも一人。そんな時間がさ、不安でたまらないんだ。」

 

「きくり姉さん............」

 

「一人になると、色々考えるんだ。将来の事、過去にあった事。何より、誰もいない部屋でいる事が、寂しかったんだ......」

 

......気持ちは、わかる。一人でいれば得体の知れない恐怖に襲われる事も、ふと孤独だと意識してしまう事も。特に不安が積もりに積もってお酒に逃げているきくり姉さんにとっては、辛いという事も。

 

何を言われても上手く説得して、そしてこの関係を終わらせる予定だった。......そう。そういう予定だったんだ。

 

「......きくり姉さん............」

 

改めて、自分がいかに扱いやすいかがわかる。こんなチョロい人間、他にいるかどうかも怪しい。

 

「週3回。僕が許せるのはそれだけです。わかりましたね?」

 

「......けーくん......!!!」

 

「ありがと~~!!けーくん、だいすき~~~!!」

 

「だぁぁぁ!!だからくっつかないでくださいって!!」

 

喜びの表現方法、抱き着くしかないのかこの人!?!?

 

......何はともあれ、正式に週3回家に通わせるとかいう訳の分からない関係が完成してしまった。

 

「......はぁ...しょうがないですね............」

 

不思議と嫌な感じはしなかった。それは俺自身、一人で寂しかったからなのか、或いは............

 

............いや、考えるのはやめよう。そう思った俺は立ち上がり、二人分の食器を片付ける。

 

「あれ?けーくん何か上機嫌?」

 

「さあ、気のせいじゃないですか?」

 

少し口元を緩ませて、笑いながら。

 

 

 

♪♪♪♪♪♪♪♪♪

 

 

 

「............って、良い話で終われば良かったんですがね!!」

 

結局のところ、きくり姉さんの通うペースは段々と増えて行き、最終的に週5とかいう平日全部来れるぐらいのペースになってしまった。どうしてこうなった............

 

「けーくん、連絡先交換しない?」

 

「へ?良いですけど、何でまた急に............」

 

「いいからいいから!ほれ!お姉さんのロインだぞ~!!」

 

そう言いながらQRコードの映ったスマホを見せつけるきくり姉さん。何が何だかわからんが、特に断る必要性もないのでサッと読み取り友達登録を済ませる。

 

「はい、これで出来たと思いますよ。」

 

「やったー!!これで行く時連絡するね!!」

 

...ああ、なるほど。これはそういう時用の連絡手段だったのか。普通に忘れていた。ロインする友達いねーし。

 

「.........悲しくなってきた。お手洗い行ってきます。」

 

「あれ?行ってらっしゃーい!!」

 

元気そうに送るきくり姉さんを横目に、俺はトイレに向かう。扉を開けていざ入ろうとした時、少し様子が変なきくり姉さんがチラリと見える。

 

「......やった。けーくんの連絡先......えへへ~......」

 

「......なんなんだ?あの人。」

 

よくわからないまま、結局その日は何事もなく終わりを迎えた。

 

 

ちなみに何事もないとは言ったが、あの後普通に泣いてきた。




2話にかけて回想やるのここだけだろ。

ハーレムか否か

  • きくり姉さんだけがいい
  • ハーレム作りたいよね
  • きくり姉さん+結束バンド
  • きくり姉さん+星歌さん
  • その他(コメント)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。