こんな感じで蝸牛以下のペースで行くと思います。よしなに。
ーーー俺を使ってみないか?ーーー
転生神であるリンエは、目の前にいる魂だけになった青年を信じられない物を見る目で見つめていた。
ーーー今日、丁度路頭に迷うことになったんだ。君さえ良ければだが、俺で良ければ使ってほしいーーー
かつて彼女に転生させられた者達の中には、転生される事を拒絶したりするものもいたが、死んだことを渋々でも信じてもらい、転生させてきた。
だがそれは、死んでしまったからこそ信じられる話であって、生きてる者からすれば重度の妄想癖を疑われ、ともすれば病院に連れていかれかねない話だ。
ーーーいきなりこんなこと言われても困るとは思うけど、俺にとってはある意味チャンスなんだ。もう親にも、周りにも迷惑かけたくないんだ。だから頼むーーー
そんな浮世離れした話を、酷く酔っていたとはいえ聞いてくれただけでなくそれを信じて、更に協力すると、自分を転生させて構わないと言った。 そしてその提案を、リンエは受け入れてしまった。いつもの自分であれば決して呑まないその提案を。
それから彼を一度帰宅させて、リンエは上司や先輩に彼を自身の使者として起用することの説明、転生させるにあたっての諸々の手続きを行った。話しを聞いた上司達はそれはもう驚いていた。まさか彼女が独断で無関係の人間を起用するとは思わなかったのだ。介入するにしても、自分達に事前に相談位はするだろうと。それ程リンエは普段の仕事を堅実にこなしていたのだ。
勿論彼女だってなんの考えも無しに起用する真似はしない。天界に戻ってすぐに青年がこの案件に起用するに値するかいつも以上に調査したのだ。結果は上々、寧ろこちらからお願いしたくなる程の適正を秘めているほどだった。あまりに都合が良いので調べてみたが、実に二度もの転生を受けていたので、恐らくそれが原因ではないかと憶測を立てた。残念ながら転生の経緯までは自分の権限では調べられなかった。
手続きを終え、青年の周囲への対応を施し、彼の魂を呼び寄せ採用することにした事、それに伴い死亡扱いとなる為家族や周囲への対応を行なった事、対応への不満の有無の確認をを行ない、次にお約束の特典を決めて貰った。
彼が求めた特典は同じゲーム会社の二つのゲームに関する物。これらは出来る限り詰め込みつつ、お互いが反発しない様に調整して与えた。具体的には転生してから確認して貰う。それがリンエの所属部署の決まりだ。最後に名前を決めてもらい、準備は整った。
ーーー下手に捻ると可笑しな名前になりそうだし、ここは一つ特典の元ネタの職に肖るさーーー
安直だと自笑する彼だが、きっと彼はその名に恥じない活躍をしてくれるとリンエは信じている。絶望していた自分に、チャンスと希望をくれた彼ならばーーー
「我が遣い、ベクター(運ぶ者)よ。貴方の旅路に幸多かれ」
名前は特典元の主人公の職に因んで。ベゼスダいいよね