クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件 作:スイーツ阿修羅
「そういえばリリィさん、気になってたんだが。
あの"残念デザインの龍"を斬ったのって、一体どうやったんだ?
リリィさんって実は凄腕の剣士だったりするのか?
俺も攻撃してみたんだが、文字通り、歯が立たなかったんだが……」
俺は、リリィさんに気になっていた質問をぶつけた。
俺のレベルは68。賢者状態でなくても、そこそこ強いほうだと思う。
だが、そんな俺が小刀を振って、かすり傷しか与えられなかったドラゴンを。
男装したリリィさんは、一刀両断にしてみせたのだ。
「……実は、この剣技は、行宗さんのお陰なんですよ」
「え? 俺?」
予想外の返答に、俺は首を傾げた。
「はい。……前にもお話しましたが、わたしは【特殊スキル】が使えないんです。突出した魔法の才能がなくて……
でも、前に会ったとき、賢者になった行宗さんが白く光る剣で戦っているのを見て、思ったんです。
剣なら、わたしでも振れるかもしれない、って。
そして公国に帰ったあとで、剣を教わり始めたんです。案外わたしには剣の才能はあったみたいで、この4ヶ月で、結構強くなれたんですよ
……今ここで、行宗さん達とまた出会って、わたしの剣で
こんな嬉しいことって、ないですよ……」
リリィさんは、噛みしめるように言った。
「そっか。それは良かった……」
まるで妹の成長を喜ぶような気分だった。
俺は一人っ子だけど。もし妹がいたならば、こんなに可愛く映るのだろうかと思いながら。
「ほんと、カッコ良かった! 私、惚れちゃいそうだったよー。声もめっちゃイケボだったし」
浅尾和奈の冗談めかした調子のセリフ。
思わず顔を見てしまう。
「あれ? そういえば、声を変えるのって、どうやってやってたの?
リリィさんは【特殊スキル】は使えないってことは、あのイケボは【応用スキル】の一種だったの?
それとも、変装したスパイがよくやるような、変声技術みたいなもの?」
「あれは【応用スキル】ですよ。
【
リリィさんの声のトーンが、ジェットコースターのように落ちていった。
和奈と仲良く、「おおっ」と感嘆の声が漏れた。
「つまり、ヘリウムガスと逆の原理ってことだよな……ヘリウムガスは、肺のなかの空気の密度が小さくなるから、声が高くなるけど。逆に空気の密度を上げて、声を低くしているのか」
中学時代に、物理で音の波の勉強をした覚えはあるが、一体どんな仕組みだったかまでは、忘れてしまった。
「空気の密度が高いと、音の伝わる速度が遅くなるんだよね。でも人の身体の構造は変わらないから、定常波の波長は変わらずに、周波数が低くなるみたいなカンジ、じゃなかったっけ……?」
和奈も、首を傾げているようだった。定常波? ナニソレ? そんなの勉強したっけ?
「でも、それって、口のなかで風魔法を発動してるってことだよね? 危なくない? ……私は手のひらからしか発動できないけどさ……
口のなかで、もし力加減をミスったら……」
「はい。口のなかで爆発しますね」
「うげぇっ……」
リリィさんの一言で、和奈は口を押さえて吐き出しそうになっていた。
俺も、想像してしまって頬がこわばった。
「怖いよっ! 無理無理っ! ていうかそもそも、手のひら以外から魔法を出す感覚が、分からないんだけどっ」
「……慣れれば結構楽ですよ。まぁ、わたしの場合は、魔法の威力が凄く低いので、もし失敗しても回復魔法で治せる口内出血程度で済むでしょうけど」
「へぇ……リリィさんってやっぱり、凄く器用だよね。
私にはとてもじゃないけど、リリィちゃんが魔法の才能がないとは思えないよ……」
「そうですか。そう見えるなら、嬉しいです。頑張ってきた甲斐があります……」
リリィさんは、嬉しいとは言いながら、少しさびしそうに眉を緩めた。
「たぶん、ユリィのお陰なんでしょうね。ユリィは魔法の天才ですから、わたしも姉として…… 負けてはいられないなって、思っていたんですけどね……」
そう言って、リリィさんは弱く笑った。
★★★
それから俺達は、お互いのことを話しあった。
最初は魔法の話とか、剣技の話とか、少し食べ物の話とか。
そして次第に、話題は、互いの近況へと映っていった。
「なるほど、マナ騎士団、剣聖四位、ギルアですか……」
俺の大まかな事情説明が終わると、リリィさんは開口一番、目を細めながら反芻した。
「……五代英雄伝における記述と、そっくりですね。
1700年前に実在していたマナ騎士団も、腕利きの剣士10人が、「剣聖」の称号を名乗っていた。
……新崎直穂さんや、ひょっとするとユリィも、マナ騎士団を名乗る亡霊に誘拐されている可能性がある…… そういう話ですね……
それで、ガロン王国の王都に行けばマナ騎士団の尻尾が掴めるという話は、一体どこから……」
「えぇっと……」
リリィさんの鋭い追求に、言葉を詰まらせてしまった。
ガロン王国の首都に向かう理由、それは、捕まっているクラスメイトを助けるため。
そして、獣族独立自治区で待つクラスメイトを、首輪支配から開放し、
獣族とガロン王国の戦争を、食い止めるために……
……それが、この旅の本来の目的、なのだが。
「その……それは……」
やはり、本当のことを話すべきか?
俺が、リリィさんを旅に誘った理由は……寂しそうだったからだ。
最愛の妹のユリィが、行方不明になって、
どこか上の空で生気の抜けたリリィさんが、心配になって。
しばらくの話し相手にでも、なれたらいいなって、思ったんだ。
……誓っても、俺達とガロン王国とのいざこざに、巻き込みたい訳じゃないんだ。
「ねぇ……行宗」
視線を彷徨わせていると、和奈の手のひらが、俺の背中をトンと叩いた。
「一人で抱え込みすぎ。悪い癖だよ。そんなにリリィちゃんが信用できないの?」
「いや、そうじゃなくて」
「困ったときはお互い様でしょ? 話だけでも聞いてもらおうよ。三人寄れば文殊の知恵っていうじゃん?
……リリィちゃんすごく頭が良いから、何かいい方法を思いついてくれるかもっ。
本気でクラスメイトと獣族の皆を助けたいなら、私は相談すべきだと思う」
和奈に、真剣な顔でそう言われて。
俺は、はぁっと息をついた。
「そうだな……ごめん。自分勝手だった。
……リリィさんを巻き込みたくなかった、んだけどな……、話だけでも聞いてくれるか?」
リリィさんに視線をあわせる。彼女はむっと真剣な顔になって、碧い瞳がキラリと反射した。
「はい、わたしで良ければ、なんなりと」
★★★
俺は、全てを打ち明けることにした。
マナ騎士団のコスプレで、獣族を襲撃した10人ほどの集団の正体が、クラスメイトだったこと。
クラスメイトの首には、位置情報を発信する首輪が付けられていること。
ガロン王国に、数人が人質に取られて、脅されていること。
「居場所を監視する首輪って……! それ、図書館の本で読んだことありますっ!」
リリィさんは、興味津々に目を輝かせていた。
「……失礼。不謹慎でしたね。……ふむ、事情は把握しました。
ぜひ、わたしも手伝わせてください」
コホンと咳払いをして、それでも興味が隠せない様子のリリィさんだ。
「よしっ、決まりだねっ! やったっ!」
次の瞬間、和奈が大きなガッツポーズで飛び上がった。
「おいおい、良いのか? そんな簡単に承諾して……危険な旅になると思うが……」
「構いません。こういう表現は不適切かもしれませんが、なんだか楽しそうだから良いんです」
「ねー。親友同士で一緒に旅行するのに、理由なんていらないもんねー」
「あはは、はいっ! そういうことです!」
和奈とリリィさんは、意気投合して、コロコロと笑いだした。
俺は、苦笑いのまま、ノリに置いていかれていた。
ほんとうに、これから、どうなるのやら……
「うふふっ……久しぶりにお二人に会えて、沈んでいた心が、ふわふわと軽くなった気がしますっ」
リリィさんは、明るい笑顔で、瞳に涙を滲ませていた。
それを見て、俺はドキリとしたのだ。
リリィさんが、こんな笑顔で笑うのは、俺の記憶には残っていない。
微笑んだ顔は見たことがあるけど、こんなに豪快に笑ったことは、あっただろうか?
(なんだろう……?)
俺には、頭のどこかで、何か引っかかりを覚えていた。
どう表現すれば良いのか? 乾いたような、笑顔……?
……なにか、リリィさんの、笑顔には。
やんわりと胸が締め付けられていくような、若干の息苦しさがある気がした。
元気そうに見えるけど、ユリィが行方不明になってから、色々気が張っているんだろうな。
何とかして、また見つけてあげたいけれど。
ピー、ピー、ポーォ……
そんな時。大きな音が、客船ないに木霊した。
蒸気が突き抜けるよう音。船の汽笛の音だった。
『……おまたせ致しました。まもなく、アキバハラ公国極東港、アキバハラ公国極東港です……
下船のお客様は、手荷物のお忘れのないよう、甲板出口前に整列してお待ち下さい』
続けて聞こえてきたのは、男の渋い船内アナウンスだった。
「アキバハラ公国!? って、リリィさんの住んでる国だよね! この船も通るの!?」
「とは言っても、ここは公国のいちばん東端ですけどね……
この辺りは、川を挟んで、ガロン王国とアキバハラ公国の国境になっているんですよ。
ほら、私達がヴァルファルキア大洞窟から転移して来たときの、ユリィが川遊びをした川の近くです」
「え? ってことはさ。獣族独立自治区もここから近いんじゃないの?」
和奈は、訝しんだ目で、俺の方を見てきた。
「獣族独立自治区って、かなり広いからな。
アルム村からの距離は、西に向かってこの港まで来るより、南下してギラギース地区に向かったほうが、近かったんだ」
「なんだぁ、そういうことね。納得。
っていうか、ちょっと景色を見に行こうよ。せっかくだからっ!」
和奈は俺の手を引きながら、甲板に出るように催促してきた。
「そうですね。この狭苦しいトイレに篭り続けるのも寂しいですから、風に当たりましょうか」
リリィさんは、ゆっくりと腰を上げると、ポケットから赤色のシュシュと2つ取り出して。
長く透き通った金髪を、ツインテールにまとめ始めた。
「おい、男の変装はしなくても良いのか? 姿がバレたら不味いんだろう?」
「……あーーそれは……」
リリィさんは、体を硬直させて、言葉を詰まらせた。
「……わたしの存在は、世の中では全然有名じゃありませんよ。貴族といっても、表舞台に立つような立場ではありませんから……
さっき言ったのは、とっさの方便と言いますか……
別にわたし……
変装する必要があって、変装している訳ではないんです……」
「ん、というと、つまり……」
俺は、意図が理解できなくて、首を傾げた。
リリィさんは、顔を真っ赤にして俯いていた。
「あーもっ、趣味……趣味ですよ趣味っ!
悪いですかっ!
……たまに、自分とは違う存在になりたかったり!
具体的にはイケメンでクール系な男の子になって日常を過ごしてみたかったり思うこと、ありませんか? ありますよねっ!? だから別に、ただの趣味なので……
見知ったお二人の前で男装するのは、よくよく考えれば恥ずかしいと言いますか……
とにかく、わたしはわたしの姿のままで、大丈夫ですから……」
そう言って、消え入りそうな声で、黙ってしまったリリィさん。
「あ、あぁぁ……分かるよ。分かるぜぇ。
俺も、女の子になりたいと思ったことなら、あるよっ!
ほら、女体化音声作品とか、好きだし、よく聴いてたし……」
俺は、慌てて、必死のフォローをした。
異性になってみるという妄想、きっと誰もがしたことがある。
だから
「男装趣味なんて、全然、恥ずかしいことじゃないよ! リリィさんっ!
俺なんて、趣味特技はオナニーだからっ!
特殊スキルまで【
「しぃぃぃっ! 声が大きいですよっ!」
黙っていたリリィさんが、目を真っ赤にして叫んだ。
そして、肩を強めに小突かれた。
「ごめん……」
「あははっ……そうですかっ。行宗さんも、わたしと同じ、同士、だったんですね……」
リリィさんが、小声で嬉しそうに恥ずかしそうにニヤけていた。
良かった。これでリリィさんのメンタルへのダメージは回避できた。
俺とリリィさんの間には、恥ずかしい性癖を共有した者同士の、男友達のような一体感が生まれていた。
しかし、唯一、不安なことが残っている。
この場にいるもう一人、浅尾和奈に、ドン引きされていないかどうか?
大丈夫か?
俺は……盗み見るように、浅尾和奈へと視線を向けた。
しかし俺の不安は、吹き飛ばさせることになる。
悪い方向に。
「えーっ、ほんとにっー! 行宗の女装めっちゃ似合うと思うよっ!
行宗の顔って、可愛い系っぽいから、化粧をしたら化けると思うのッ!」
「えっ」
そこには、目をキラキラと輝かせて、今にもよだれを垂らしそうな見たことない表情の浅尾和奈がいた。
「何が良いかなー、スカートかワンピースか……ハイヒールに……色はやっぱ白? いやライトブルーも捨てがたいよなー ピンクと花系のキュートな感じも……うん。面白そうだわ!」
「面白そう!?」
舌なめずりをしながら、俺の身体を視姦する浅尾和奈。
「……お、俺の身体で遊ぶなよっ……! 無理無理、女装なんて絶対しないからなっ……!
俺が女の子になってみたいのは、あくまでファンタジーの世界で……実際に女装なんてっ……!」
はっ……!
俺は、息を呑んだ。
恐る恐る。和奈の左の、リリィさんの表情を伺った。
「はは、やはりそうですよね。話を合わせてくれていただけですよね……
異性になりたいとか、あくまで願望の域であって、実際に男装しちゃうのは気持ち悪いですよね……
ごめんなさい、変な空気にしてしまって……」
顔を真っ赤にして震えながら、小声の早口で自虐するリリィさんに、俺はしまったと息を詰まらせた。
「い、いやぁ……」
俺はごまかすように頭を掻いた。
どうする!? 下手なフォローが逆にリリィさんの心を傷つけてしまったのか?
いや……違う。違うだろう……! 正直になれよ俺ッ! 万波行宗っ!
女の子になってみたい! 実際になりたい!
TS願望を持ったことは、一度や二度じゃないだろう。
そういう成人漫画を読みながら、あるいは音声を聴きながら、致したことだって何度もある。
「ごめんっ! リリィさん。俺も……恥ずかしかったんだよ……
恥ずかしくて、思わず…… 女装願望を、思わず否定してしまったんだっ……!
俺も、女の子になってみたいと思ったことは、結構ある。
そういう妄想で興奮したことも、何度もあるっ……!
だから、全然、恥ずかしがるようなことじゃないよっ!」
「行宗さん……!」
リリィさんが、熱い眼差しで俺のほうを見上げていた。
くぅっ、恥ずかしい。恥ずかしくて目を逸らしてしまいたくなる。
でも、背けてはいけない。
自分の性癖に堂々とあれと、後ろめたがることはないって。
俺はリリィさんに伝えたいから!
「そっか、じゃあ早速、着替えちゃおうよ! 行宗っ!」
浅尾和奈は、目を爛々と輝かせながら言った。
「おうっ! とことん可愛くしてくれよなっ!」
もう、どうにでもなれ。
俺は、顔を真っ赤にしながら、ヤケクソに叫んだ。
正直、ちょっとワクワクしている自分もいて、なんとも言えない気持ちになる。
「あぁ、そうだ。川に落ちて着替えたばっかだから、余ってる着替えが無いんだよね……」
和奈はカバンを漁りながら、どうしたものかと眉を顰めた。
そして俺のほうを見て、自身のシャツの胸元をつまみながら、とんでもないことを言い出すのだった。
「そうだ。私の着てる服と交換すればいいじゃん!」
(か、勘弁してくれ……)
「ほ、ほら和奈っ。外の景色は見なくていいのか? アキハバラ公国の港を、見たいんじゃなかったのか……」
「はっ、そういえばっ、早く行かなきゃ……」
和奈は、ハッと動きを止めてから、慌てたように散らかした荷物をカバンに詰め込んでいた。
良かった。これでひとまず、延命できた。
「安心してください。行宗さん! さきほど変装していた時には言い出せなかったのですが、わたし、服を乾かす魔法が使えるので……和奈さんの濡れた服、簡単に乾かしてみせますからっ!」
とん、っと小さな胸を叩いて。余計なお世話のリリィさんが言った。
「そっか! 決まりだねっ! アキバハラ公国を過ぎた後で、皆で女子旅デートをしようね!」
「おぉー!」
二人の掛け声に、俺はやけになって声を合わせた。
なんだか、案外楽しそうな気がしてきたぞ?
俺の性癖がさらに歪んでしまわないかどうかが、懸念点だな。
船の速度が緩やかになって、港へと入っていく。
甲板に出ると、川の両側に、小さな木造家が立ち並んでいた。
そして、川の左の少し向こうに、象徴的な白色があった。
高く長い壁だ。
高さは、30メートルはあるだろうか?
まるで監獄のような無機質な壁が、川に平行に沿うように、前から後ろへと続いている。
「あの壁の向こう側が、アキバハラ公国の領土です。国土は円形になっていて。首都アキハバラがあるのは、国土の円の中央です」
「凄いな……」
俺は、圧巻の光景に、感動していた。
地図や文字で知るのと、実際に本物を見るのは、インパクトが桁違いである。
アキバハラ公国は、ガロン王国の西にある。
国土はガロン王国と比べて6分の1ほどであり。フェロー地区や、ギラギース地区と比べると、一回り大きい。
そして、獣族独立自治区と、同じくらいの面積だったはずだ。
全方位を壁で囲んだ。領土拡張に興味を示さない国。
世界で最初の大ダンジョンーー魔法の大ダンジョンの跡地に首都を構えており。
ダンジョン内に匹敵するほど、魔素濃度が高い地質。
識字率や基礎魔法習得率が高く。学問と高度魔法技術を有する、エリート大国であるという。
「壁しか見えないのが、残念だけどね」
和奈は、ちょっと背伸びをして言った。
たしかに、無機質な白い壁の向こうは、どうなっているのか?
壁しか見えない状況だから、どうしても、気になってしまう。
「ちょっと寄り道してと、言いたいところですが、
今は、人の移動が激しい時期ですから、入国許可証を取るのは、早くて数日はかかると思いますね」
リリィさんが、そんなことを口にした。
入国許可証……
アキバハラ公国は、入国に厳しい国であった。
国の出入り口には、もれなく入国を管理する関所が配置されているという。
……あれ?
なんだろう、何か……
何かが……
「……なんだろう! あれ!」
和奈が、甲板の乗船口を指さした。
言われたほうへ目をやると、何やら、騒がしい声がする。
「なんだろう……?」
目を凝らして、耳を済ませた。
乗客が乗り込んでくるなか、誰か、特段うるさい奴がいる。
「号外。号外! 大事件だよっ!」
やがて、その声ははっきりと届いた。
大量の紙が、配られて。
わらわらと人が集まっている。
新聞紙だ。
一体、何が……
「号外! 号外ッ!
いにしえの伝説、マナ騎士団が、現代に蘇りやがったぞぉ。事件だ事件だ! 気になるやつは買った買った! 一部50ガロンか700円だよっ! そら寄った寄ったぁ」
その声を耳にした瞬間。
俺の頭は、混乱と衝撃で真っ白になった。
【あとがき】
なんとか4月中にもう一話書けたー!
大学忙しいけど、更新頑張ります!
100話!!
ここまで読んでくださって、マジでありがとうございます!
これからも、楽しんでいただけると、嬉しいです!!