クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件   作:スイーツ阿修羅

14 / 103
十一発目「苦い○○キスの味」

 

 新崎(にいざき)さんと浅尾(あさお)さんは、俺が気絶していた間にあった事を話してくれた。

 

 俺は、岡野(おかの)にやられて死の間際を彷徨ったが、この二人に助けられたという話。

 ボス部屋は消滅して、外にいた俺達は、ダンジョンの中に取り残されてしまった。という話。

 眠気と寒さから、三人で添い寝をする事になった話。

 

 俺はそれを聞いて、色々な感情を抱いたけれど、

 そのほとんどが、重い後悔だった。

 

 

「………俺は選択を、間違えたのかな………??」

 

 俺は、後悔をした。

 クラスメイトは消えてしまい、俺達は洞窟の中に取り残された。

 今は生きているものの、こんな場所で、これから生きていける保証はないのだ。

 

(お腹も空いた、喉も乾いた、まだ身体が痛む……)

 

 こんな所に、レストランや自動販売機があるはずもなく、このまま俺達は、近いうちに飢え死ぬだろう。

 

「ごめん、せっかく二人を助けたのに、これじゃぁもう……」

 

 二人のどちらかを見捨ててでも、現世に帰る選択をしておけば良かったのかも知れない。

 いや、違うな…もっと前だ。

 俺が始めから、【自慰(マスター〇ーション)】スキルを使っていれば、誰も死なずに済んだのだ。

 

「ごめん……ごめんっ……俺のせいだ……俺が始めからスキルを使っていれば………」

 

 俺が後悔にさいなまれて、地面を見つめながら二人に謝罪をした。

 

 

 

「………ばっかじゃないの、悲劇のヒーロー気取りのつもり?」

 

 すると、新崎(にいざき)さんがやってきて、俺は胸倉を掴まれた。

 そうして、グイッと引き寄せられて顔を上げると、新崎(にいざき)さんと目が合った。

 

(近っ!?)

 

「あなたはボスを倒した!クラスの皆を助けた!私達の命を助けたのよ!?ほら、私の心臓!まだ動いてる!私達がまだ生きてるのは、行宗くんのおかげなんだよ!」

 

 新崎(にいざき)さんは、俺の腕を掴んだ。

 そして俺の手のひらを、自身の胸の真ん中へと強く当てた。

 

 流石に、胸に触れただけで、心臓の鼓動なんて分からないけれど。

 その想いは強く伝わってくる。

 新崎(にいざき)さんがこんなに叫ぶのなんて、初めて見た気がする。

 隠すことなく本心をぶつけてくれているのだ。

 俺は、新崎(にいざき)さんの気迫に圧倒されて、息を飲んだ。

 

「だから、私達は生きなきゃダメなの。行宗(ゆきむね)君が助けてくれた命だから!無駄になんて出来ないからっ………!ありがとう……本当にありがとうっ………す…………かっこいいよ……」

 

 新崎(にいざき)さんは、俺の手を両手でギュッと握りしめながら、泣きそうな目で俺を見つめる。

 感謝をされた。助けてくれてありがとう、と。だから生きなきゃ駄目だ。と。

 ああ、新崎(にいざき)さんはなんて優しい人なのだろう。

 その通りだ、まだ誰も死んでいないのだ。

 クラスメイトは消えてしまったけど、死体を見たわけじゃない。

 まだ俺の選択は、間違っていたとは言えないのだ。

 とりあえずこの三人で、生き延びよう。

 そうすれば俺の選択は、間違いでなかった事になるから。 

 諦めたらそこで試合終了って言葉もあるじゃないか。

 俺は二人を助ける選択をしたのだ、だからその選択に最後まで責任をもたなければいけない。二人を死なせる訳にはいかないのだ。

 よし、大丈夫だ。俺はまだ前を向ける。

 

「俺の方こそ、ありがとう……。

 ……助けてくれてありがとう。新崎(にいざき)さん、浅尾(あさお)さん…」

 

 俺は、岡野大吾(おかのだいご)から俺を逃し、回復してくれた二人へと、感謝の言葉を重ねた。

 互いに助けて助けられた。これからもそうやって、絶対に生き延びるのだ。

 

 

 

「……うん。私もね、凄く感謝してるよ。生き返らせてくれてありがとう、行宗(ゆきむね)君!」

 

 今度は浅尾(あさお)さんが優しい笑顔で感謝の言葉をくれた。

 笑顔で感謝されると、無茶苦茶明るい気持ちになれる。

 嬉しい、嬉しいな……

 こんな絶望的状況だけど、俺は今、幸せを感じている。

 浅尾(あさお)さんも新崎(にいざき)さんも、すごく優しい人だ。

 話していると、心がポカポカと暖められる。

 

「ありがとう……。絶対に三人で生き延びて、クラス皆であの教室に帰ろう。俺は、二人を生き返らせる選択をしたんだから!」

 

 俺は自分自身を鼓舞するように、これからの目標を口にした。

 

「もちろん!」

「うん!」

 

 新崎(にいざき)さんと浅尾(あさお)さんも力強く頷いた。

 掛け声というものは便利である。

 どんな窮地(きゅうち)に追い込まれても、自然と大丈夫な気がしてくるのだ。

 前を向きなおして、一歩を踏み出す勇気が湧いてくる。

 

 クラスの女子二人とハーレムしながら、過酷なダンジョンで生き延びるサバイバル。

 天国か地獄か分かりゃしないが、俺の中にあった後悔は、少し和らいでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さーてっ、お腹減ってるっしょ。朝ごはんにしよ!」

 

 浅尾(あさお)さんが両手をパチンと叩いて、提案をした。

 そして、傍にあったバックの中に手を突っ込んで、ガサガサと何かを取り出した。

 朝ごはんなんて、持っているのだろうか?

 

「じゃーん!解毒ポーション!!」

「えぇ……」

 

 俺は思わずため息を漏らした。

 

「なによそのため息。コレしかないから仕方ないじゃん。ほら飲んで!」

 

 浅尾(あさお)さんは、俺の手に解毒ポーションを手渡した。

 この味、苦手なんだよなー。

 濃厚な苦味の不協和音(ディスコード)というべきか、

 まあ、仕方ない。喉が渇いているのだ。背に腹はかえられない。

 

 ごく、ごく、ごく、

 

 俺は解毒ポーションを、ゴクゴクと飲み込んでいく。

 紫色の液体が俺の食堂を通り、胃の中へと入っていく。

 不味い……

 俺は思わず顔を顰めてしまう。

 苦いっ、苦すぎる………!!

 だがしかし、悔しいが効果は本物だ。

 飲み始めた途端に、空腹感は満たされていき、喉の渇きも潤っていく。

 

「あ、そうだ。半分くらいは残しておいてね。」

 

 浅尾(あさお)さんの言葉に、俺は慌てて飲むのをやめた。

 そして、既に腹一杯であった事に気づく。

 解毒ポーションで空腹を満たせる理屈はわからないが、このポーションを現代で売れば、かなりの額になるだろう。

 

「じゃあ、次は直穂(なおほ)ちゃんね。」

 

 浅尾(あさお)さんは、そう言いながら、俺に右手を差し出してくる。

 俺は何も考える事なく、浅尾(あさお)さんが差し出した右手に、半分残った解毒ポーションを手渡した。

 

「ほら、直穂(なおほ)ちゃん、好きなだけ飲んでいーよっ。」

「えっ?」

「ほら、お腹空いてるでしょ?昨日も、行宗くんの回復を必死に頑張ってたし」

「ん……んまあ…お腹は空いてるけどさっ……」

 

(え??)

 

 新崎(にいざき)さんは浅尾(あさお)さんの手から、俺が口をつけたポーションの瓶を受け取った。

 

(え??まさか!!飲むんですか新崎(にいざき)さん?俺の飲みかけを!)

 

「え……いいんですか?間接キスじゃ……」

 

 あっ!!しまった、つい口に出してしまった。

 新崎(にいざき)さんは、ビクッと身体を硬直させ、ギョッとした顔で俺を見る。

 マズイ、これで気づかれてしまったか。

 何も言わなければ、そのまま間接キスをしてくれていたのに!!

 くそっ、言わなきゃよかった!

 

 

「だってさー、新崎(にいざき)さんはどう思う??別に間接(・・)キスくらい、気にしないよねー?」

「あ……あたりまえでしょっ、バカバカしいっ」

 

 二人がそんな会話をする。

(え?気にしないの!?)

 

 新崎(にいざき)さんは、ポーションの瓶の口に唇をあてがい、勢いよく瓶を傾けて、ゴク…ゴク…ゴク…と、解毒ポーションを飲み込んでいく。

 嘘だろ!?気にならないのか!?

 マジで間接キスじゃないか!?

 間接キスとは、すなはち二人の唇が間接的に触れ合う事象である!!

 新崎(にいざき)さんが口をつけた瓶には、俺の唾液がついている。

 つまり今、新崎さんは俺の唾液も一緒に、飲み込んでくれているという事。

 つまりコレって、実質ディープキスなんじゃないか!?

 いや、新崎(にいざき)さんの喉の動きエロ過ぎだろ!?

 

 気が付くと、俺の息子は背筋を伸ばして立ち上がっていた。

 まずい。流石にコレ(・・)を、二人に気づかれる訳にはいかない。

 くそっ、収まれ!収まれ!!

 そう思う程、パンパンに膨れ上がってしまう。

 

「どう?直穂(なおほ)ちゃん。美味しかった?」

 

 浅尾(あさお)さんは、ニコニコとした笑顔で新崎(にいざき)さんに味を訪ねた。

 

「苦いわよ…すっごく…もうお腹一杯……」

 

 新崎(にいざき)さんは小声で呟き、少し残った解毒ポーションを、浅尾さんに差し出した。

 

「ん、ありがと」

 

 浅尾(あさお)さんは、新崎(にいざき)さんから瓶を受け取ると、残った分を一気にゴクリと飲み干した。

 

「ぷはぁ…。うへぇ、マズ…」

 

 浅尾(あさお)さんは、おっさんみたいな溜息をついて、空の瓶を地面に置いた。

 浅尾(あさお)さんは、男っぽいというか、サバサバした女性だ。でも可愛いのだ。だからクラスの男子にモテる。

 根が優しくて、明るいから、自然に過ごしているだけで、男子を魅了してしまうのだ。

 

 まあ新崎(にいざき)さんも、性格の良さでは負けてないけど。

 うんホントに、俺なんかじゃ勿体ない女性だよな……

 この三人の中で、俺だけがパッとしていない。

 

 

 

「さて、これで私達は、同じ釜の飯を食べた仲間って訳だけど、私達の食料は底をつきました。何か食べ物を探さないといけません。」

 

 浅尾(あさお)さんが、そう言った。

 

「とりあえず動きましょ。洞窟の出口を見つけるにしても、動かない事には始まらないわ。」

 

 新崎(にいざき)さんがそう言って、腰を起こして立ち上がった。

 

「よいしょっと」

 

 次に、浅尾さんも立ち上がる。

 さて、最後に俺が立ち上がる時が来た。

 しかし、ここでトラブルが発生する。

 俺はこのままでは立ち上がれない。

 なぜなら股間にテントが張っているからだ。

 このまま立ち上がれば、俺の下半身が興奮している事がバレてしまう。

 

「どうしたの?行こうよ。」

 

 新崎(にいざき)さんが、俺を見下ろしながら不思議そうな顔をする。

 ごめんなさい、俺も出来る事なら立ちたいんだ。でも立てないんだ。

 息子の方は、元気に立ち上がっているけれど、それを知られる訳にはいかないのだ。

 くそっ、どうしよう……

 俺がしゃがんだままでいると、新崎(にいざき)さんが俺の前で座りこみ、優しく右手を差し伸べてくる。

 

「ほら、握って。」

 

 くそぉ、こんなの立つしかないじゃないか!

 俺は恐る恐る、新崎(にいざい)さんの右手に右手を重ねた。

 その手はひんやりと冷たかった。

 俺は、もうどうにでもなれ!と思い、正々堂々と立ち上がることにした。

 

 ここでもし恥ずかしがるしぐさをすれば。気遣いの上手い新崎(にいざき)さんは、俺の下半身に気づいてしまうだろう。

 それだけは駄目だ!

 俺は、胸を張って堂々とした態度をつくり、新崎(にいざき)さんの手に引かれながら、ゆっくりと立ち上がった。 

 新崎(にいざき)さんの手は小さくて、指も細くて綺麗だった。

 

 

行宗(ゆきむね)くんの手、思ったより大きいんだね。」

 

 すると新崎(にいざき)さんが、興味深々に俺の手を見て、俺の指や手のひらを、グリグリと弄りはじめた。

 うそっ!?、くすぐったいっ……それに手つき、エロすぎるだろっ……これ、なんてプレイですか??

 俺の手指をサワサワと撫でまわす新崎(にいざき)さんに、俺は興奮してしまった。

 もし、俺のこの手(・・・・)を、股間(・・)に置き換えたとしたら、同じように新崎(にいざき)さんは興味を持ってくれるだろうか?

 ………

 ……いやマズイ。これ以上の妄想はやめておこう。

 いよいよ下半身が暴走する。起立した息子が見つかってしまう。

 

「じゃあ、いこうか。」

「う、うん」

 

 そんな言葉を交わして、名残り惜しくも、俺は握った右手を離した。

 そして三人で、洞窟の闇の中へと出発した。

 幸運な事に、俺の股間の膨らみは気づかれる事がなかった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。