クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件 作:スイーツ阿修羅
ザザ…ザザ…ザザ…と、
生い茂った草をかき分けて、夕日の下を歩いていく。
フィリアさんの、魔法の授業がはじまった。
「じゃあまず聞くぜ? お前らは【スキル】と【魔法】の違いを知っているか?」
そんなフィリアの問いかけに対して、真っ先に口を開いたのは、俺でも
「え?? 魔法とスキルって、同じじゃないのか?」
「まあ、さし示す現象は同じだな。だけど、言葉の意味が違う」
「大昔、1800年前この世界に、はじまりのダンジョンが現れた頃。
突如として出現した「人知を超えた摩訶不思議なエネルギー」に、人々はこう名付けた。
【魔法】ってな。
はじまりのダンジョンは別名。魔法の大ダンジョンと呼ばれている」
フィリアさんの教科書のような説明に、
「そうだったのか??」
「あぁ、つまり【魔法】ってのは、当時の人々には説明できない。意味不明なエネルギーだったんだ」
俺には、話の内容がよく分からなかった。
つまりこの世界には、魔法が無かった時期があるということか?
そんな中で俺は、
とんでもない事を思いついていた。
もしかして……
【もしかして、この世界は、俺達のいた現実世界の先、未来の世界なんじゃないか?】
なんてブッ飛んだ思いつきを、真剣に考えてしまう。
だって、日本語が存在していて、文字までまったく同じなのだ。
それに、決定的な証拠もある。
「白菊ともか」という、この世界を創造した女神様の名前。
それは、俺が現実世界で大好きなVtuber「白菊ともか」と、名前が一致しているのだ。
俺達の世界と、この世界の共通点は多い。
決定的な違いは、魔法があるかないかだが。
フィリアは、この世界に、昔は魔法がなかったというのだ。
この世界が、俺達の世界の未来の姿だとしても、辻褄は合う。
「だが人々は、未知の魔法を研究して、その正体を解明した。
ほとんどの魔法は、四つの【基礎スキル】、【
正体が解明した以上、それはもう、未知な【魔法】ではない。
理論に従う既知のエネルギー、【スキル】と呼ばれるようになったんだ」
「なんだと?? じゃあ現代の正しい呼び方は、【魔法】ではなく【スキル】なのか?」
二人の会話が気になって、俺も深い思考から現実に引き戻された。
「厳密にはそうだけど、実際には、どっちの呼び方も使われてるよな。
それで、話の続きだ。
まずは、魔法の最小単位となる4つの【基礎スキル】。
そして、それらを組み合わせた多種多様なスキルを【応用スキル】という。
しかし知っての通り、
【基礎スキル】の組み合わせでは、再現不可能なスキルも存在するんだ」
フィリアの話に、俺は思わず口を挟んだ。
「【特殊スキル】だよな?」
「そうだ。俺の父さんの【
「【
「あぁ、オレの父さんは一目見ただけで、患者の体内の状態まで全て見えるんだ」
なるほどな、医者にはもってこいのスキルだ。
確か、
俺の隣の席の優しいイケメン。 ボス戦で俺を蹴りつけて、仲直りをした友達だ。
彼は、生きているのだろうか??
「そしてお前らには、【基礎スキル】を四種、すべて覚えてもらう
まずは安全な【
「おう」
俺達は、足を止めてフィリアに注目した。
「そうだな……
「う、うん……」
「いいか? スキルとは、大気中に含まれているダークエネルギーとか魔素って呼ばれる見えない物質を、体内の受容体に取り込んで、
目に見えるエネルギーに変換して、放出するという現象だ」
同じ説明を、どこかで聞いた覚えがあった。
あれはたしか、洞窟のなか。
リリィさんの口から、魔法の仕組みを教えてもらった時だっけ。
「最初はオレが、
フィリアの言葉を受けて、
「そ、そんな事できるのか? 人の体内で魔力操作なんて、ふつう中で暴発してしまうぞ!?」
「オレは医者だからな。患者の体内で魔法を使えないと、やってけねぇよ」
「す、すげぇな医者って……」
フィリアさんがしようとしている事が、どれほど凄いことなのか分からないが。
「じゃあいくぞ……【
フィリアが静かに詠唱をした。
ザザザザ……と、風が木々を揺らしていた。
バシャッ!!
と水音がして、
マジか、できた。
「うわっ!?」
「ふふっ、どうだ
「うん、なんとなく、もう出来そうな気がする」
フィリアに対して、
俺は思わず突っ込んだ。
「いや、これだけで出来るようになったのか?」
「
「そうなのか」
俺も早く経験したいな。
「ねぇフィリアちゃん、次は自分で試してみていいかな?」
「いいぜ、まあ最初は上手くいかねぇと思うけど、オレが教えていけばすぐ出来るようになるさ」
「よしっ! やってみる!」
手のひらを夕日に向けてかざした。
そして、大きく息を吸い。
両足をぐっと踏ん張って、集中するように目を閉じると、
魔法の言葉を言い放つ。
「【
その叫び声に、
「おいフィリア、これはマズイんじゃないか?」
という声が重なる。
ドゴォォォォォォォォ!!!!!
轟音と共に、俺に水飛沫が降り注いだ。
目の前が真っ白になるほどの、巨大な水飛沫!!
オレは一瞬のうちにびしょ濡れになった。
「うわぁぁぁっ!!」
「うえぇぇえっ!!!」
フィリアと
バギバギギギ………
と、夕日の先で、木々が折れる音がする。
ドッバァァァ………
魔法は一瞬で終わった。
空気をふわふわと漂う霧が、夕日にあたられてオレンジ色に輝いていた。
あたりはお風呂場のようにびしょびしょで、大きな木が4、5本倒れていた。
後ろを振り返ると、小さな虹の輪の中で、フィリアと
「この威力は、とんでもないな……」
「
フィリアも、ドン引きという顔で
「すっ、すっごっ!! ねぇ
当の
子供みたいに無邪気に喜んでいた。
あぁ、懐かしいな。
俺は2年前、
クールな
「ああ、すげえな。でもこの威力じゃ、お尻はタダじゃ済まないな」
「え……?」
キョトンとした顔で、真顔のまま動きを止めた。
そして、ギョッと目を開くと、拳をわなわなと震わせながら立ち上がり。
俺の方に歩いてきた。
「さっきのトイレの事は、忘れてって、言ったよね?」
「冗談、冗談ですって……」
「あの倒れた木と、同じ目に合わせてあげようか?」
「し、死んじゃうよぉ……」
「なんてね」
ピュルルッ!!
と音を立てて、
「よしっ、威力も調整もできたっ!」
「天才かよ」
「マジか」
と、フィリアと
どうやら
俺は、何を言おうかと考えて……
「良かったな
ブシャァ!!
言い終わる前に、