クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件 作:スイーツ阿修羅
その後、
人生初の水魔法は、確かに、賢者になるときの感覚に似ていた。
具体的に言うと、オ〇ニーのフィニッシュの飛び出す感覚に似ているのだが……
……これ以上はやめておこう。
何度か練習してみたけど、俺は
まだ、水を出すのに多くの集中力と時間がかかってしまう。
フィリアいわく、こんな俺でも修得速度は速いほうらしい。
そして俺達は、夕ご飯の調達をした。
野草をササッと集めて、小型のモンスターを倒した。
俺と
もちろん【
俺達はみんな、剣の一振りで、モンスター達の息の根を止めた。
今までの戦闘では、苦戦が多かった俺達だが、相手が悪かっただけなのだろう。
俺や
そして日が暮れて。
俺はまったく料理なんてしたことがないし。ましてや今晩は、森の中でのサバイバル料理である。
しかし、任せっきりも申し訳ないなと思った俺は、
「なにか手伝おうか?」
と
しかし、
「ゆっくりしてて。 私が
と、言われて、断られてしまった。
いっぽう
「オレの料理の方が美味いだろう? おとなしく任せとけ」
と断られていた。
ということで結局、俺と
女性陣の方を見ると、土魔法と火魔法で作った土鍋の前で、フィリアさんが
「なあ
「……はい」
楽しそうに会話を弾ませる女子達をぼーっと見ていると、
「あらためて、お礼を言わせてくれ。
私達を助けてくれて、ありがとう。
王国軍に捕まっていたとき、私は…… こんな未来が待っているなんて夢にも思わなかった……」
大人の人に頭を下げられて、感謝を告げられた。
俺の心はふわっと舞い上がるように軽くなり、嬉しい気持ちになった。
「俺も、
そんな感謝を言いながら、ふと
今頃どうしているだろうか? 不安な夜を過ごしていないだろうか?
別れの時には元気な顔で、待っているねと言っていたけど、
「それにしても、なかなかの剣さばきだったぞ。どこかで剣を習ったのか?」
俺の、剣技を褒められた?
俺は今まで、剣道なんて無縁の生活を送ってきたのだが。
「いえ、習ってません。上手いですかね?」
「あぁ。特に横振りのキレがある。オレは少し前まで、王国軍で剣術指南をしていたのだが、お前は鍛えがいがありそうだ」
俺は、心の底から嬉しかった。
こんな風に褒められたのは、何時ぶりだろうか?
俺の人生を振り返ってみても、思い出されるのは、負けたり失敗した記憶ばかりだ。
俺もクラスの陽キャみたいになりたいと思って、必死に元気なフリをして、厳しい部活や学級委員になって、食らいつこうとしたけれど。
やっぱり本物には敵わなくて、ずっと敗北感にさいなまれていた。
そして、頑張ることを諦めて、二次元に逃げ込んだんだ。
中学二年生の頃、
「あの
気づいたら俺の口から、そんな言葉が出ていた。
俺は、久しぶりに頑張りたいと思い立ったのだ。
それは昔みたいに、人から凄いと思われたいみたいな自己中心的な理由ではなくて、
ただ、
「俺は無力です、リリィさんや
「それは当然だ。一人でなんでも出来る人間なんていない、人と人とが助け合う事、それが一番強いんだ。最近はそう思ってる……」
「そうですね。その通りだと思います。 でも……俺は少しでも強くなりたいんです……」
「お前は強くなれる。単純な強さだけではなく、技術的にもな。
時間がある時に鍛えてやる。ただし、妥協はしないからな? 厳しい事も言うかもしれん」
「そうですか! ありがとうございます!」
俺はそう言って、頭を下げた。
もう、大切な人を危険な目に遭わせないために、俺は強くなりたかった。
強くなれるなら、大切な人を守れるなら、俺はどんな辛い修行にだって耐え抜いてみせる。
まあ、なるべく楽な修行がいいけどな、辛いのは嫌だ。
でも、大切な人を失うことの方が、もっとずっと辛いのだから。
という事で、俺に剣術の先生ができた。
そんなやりとりをしている間に、鍋のほうから、美味しそうな匂いと湯気が漂ってきた。
「そうだな、まずは
剣の振りの鋭い所が良い。手だけでなく、股関節を使って上手く振れている」
股関節の連動か、懐かしいな。
中学での野球部時代に、監督に口酸っぱく注意されたな。
「そりゃあ
棒を振るのは得意でしょ? 下の棒の扱いは知らないけどね」
と、下ネタと共に会話に割り込んできたのは、鍋を抱えた
「できたよ、
と言って、熱湯でいっぱいの鍋を、両手で抱えていた。
「すまん俺が持とうか?。重いだろ?」
俺は思わず口をついてそう言った。
「ぜーんぜん平気。ここは異世界だよ。私のレベルもそこそこ高いから、腕力もあるの」
俺と
「へぇ、こりゃあ美味そうだなぁ!」
そしてフィリアが、4人分の土づくりの皿と箸をもって、鍋を囲むように座り込んだ。
「だろ!? さあ頂きますだ! 食べながら話し合おうぜ。「川越え会議」!」
フィリアはそう言って、アツアツの鍋の中に箸を突っ込んだ。
「……だから、空を飛ぶんだ」
フィリアはそう言った。
「正気か?」
と、
「まぁ、
「俺も構わない。 でも、問題なのは発光だ。
夜に明るいものが飛んでいれば、地上から気づかれないか? 流れ星と呼ぶには明るすぎるし」
「それに関しては、一か八かの案がある」
フィリアはそう言って、とんでもない作戦内容を口にした。
「……正気か?」
俺も驚いた。
物理的というか、ごり押しというか。
でも理にかなった解決策だった。
「それで光は抑えられるだろ? 川と関所と街を一気に越えて、人の少ない場所までいくには、この方法が一番早い」
フィリアは、真剣な目つきでそう言った。
「……無茶苦茶な作戦だが、私も賛成だ。だが一つ心配なのは、フィリアお前、高所恐怖症じゃなかったか?」
と、フィリアに尋ねた。
「……っ!! まぁ、そうだな……。
でも怖がっている場合じゃないだろ?
…………できればオレが眠っている間に、かかえて飛んでくれると助かるんだが……」
フィリアは顔をひきつらせて、半分泣きそうな顔で、
「分かったフィリアちゃん。なるべく起こさないように運んでみる」
「ありがとう、
「ふふっ……」
作戦が決まり。
そして、
作戦開始の時刻まで、オレ達四人は仮眠をとるのである。
「なあ
フィリアが少し眉をひそめて、声を上擦らせながら、全員に聞こえる声量で
俺も、
「あぁ、俺は
「うん、一緒に寝よ」
そしてフィリアの方に、チラリと目を向けた。
「やっぱり夜は好きな人と寝たいからね。 だよね? フィリアちゃん?」
「そ、そだな」
フィリアは、さっと視線を泳がせて、小さな声で返事した。
そして、俺と
狭い寝袋の中で、互いの肌を密着させる。
一方フィリアと
寝袋の中は、せま苦しくて、互いの肩や太ももが密着していた。
「狭いな、こりゃ」
「うん、寝返りも出来ないね」
並び合う俺と
「うっ!」
「ふっ!?」
思わず声が漏れる。
暗闇の中でも、
彼女の控えめなおっぱいが、俺の胸へと重なっていた。
俺たちは恥ずかしさと興奮に酔いしれながら、熱のこもったおでこ同士をぶつけ合った。
そして、我慢できなくなり、唾液まみれと舌で絡み合った。
ちゅっ……ちゅっ………じゅるる……
れろ……れろ……
湿った深いキスを交わしたら、二人の口から糸がひいた。
「……ふふ、これは、なかなか寝られそうにないね……」
「そうだな、気を抜いたら襲ってしまいそうだ……」
「そうなれば、私は逃げられないね。狭くて身動きとれないから、抵抗できないよ……」
男性としての本能が逆撫でされて、
理性を失ってしまいそうになる。
でも……
「
だが、
いつか全部が解決して、クラスメイトみんなで、現実世界に帰った日の夜には、
いま我慢してる分とこれから我慢する分、まとめて一夜で受け止めてもらうからな??」
俺の言葉に、
そして、目を瞑り、俺の胸板へと頭を当てる。
「うん……
嬉しそうで、でもちょっと寂しそうに、
「おやすみ
「おやすみ、
と、言葉を交わして、俺たちは天井へと向き直り、
目を閉じた。
「ねぇ、起きてる?」
「……ああ、起きてるよ」
俺も、なかなか眠れなかった。
この世界に来てから、三日目の夜。
考えても考えても、頭の整理がつかなかった。
クラスメイトの事とか
「……中学の頃の話を、してもいいかな?」
「いいよ……」
と俺は答える。
中学生の頃の俺か……
俺が一番辛かった時代だ。
あの頃の俺は、スクールカーストばっかり気にしていた。
みんなに気に入られたくて、部活も学級委員も、全力投球していた。
でも、頑張ったから一番になれる訳でもなく、人気者になれる訳でもなく。
それでも頑張り続けていた時期だった。
「私ね、中学の頃、
「え……?」
救われた、って?
「あの頃の私、学校でも家でも辛かったんだよね。
学校には親友はいなくて、家に帰っても両親に勉強を迫られて、何も楽しい事がなにもなかったの……
ずっと真面目な良い子を演じ続けてて、それで皆からは嫌われなかったけれど、
その
でもね……
「
本当の私は、わがままな女の子で、実はアニメが好きで、そして恋する乙女だった。
私ね、あの時
「え……?」
俺は耳を疑った。
そんな、訳がないだろう。
だって
違う男と、恋人になったじゃないか。
俺は、両思いだと思ってたのに、すごく裏切られた気持ちになって……
ダメ元で、彼氏持ちの
俺は、人間不信になって、
女性恐怖症になったんだ……
「じゃあ、なんでアイツと付き合って……?」
俺は動揺しながら、
「告白されたの。凄く真剣な顔で、私の事が好きって言われて……
私はあの頃、
でも同時に、
大人しくて臆病でつまらない私なんかに、カッコいい
だから私は、
あの人の真剣な告白を、受け入れる事にしたの」
俺は何も言えなかった。
衝撃の事実に、身動き一つとれなかった。
つまり、その告白してきた男で妥協したという事だ。
本当に好きだった俺の事は諦めて。
「あの人と付き合って、私は楽しかった。
話もうまくて気がきいて、
でも
そんな時に、私は、あなたに告白された」
そうだ。
俺は、彼氏がいるにも関わらず、どうしても
俺はダメだと分かっていながら、自分の気持ちだけは伝えようと思ったんだ。
「どうしていいのか分からなかった。
だから私は逃げたんだ。
彼氏と付き合ったままで、
ごめんね……
……ほんとに私は、ひどい女だ……」
泣いているのだろうか。
でも俺は、
俺は2年前の、俺の告白に対する
『嬉しい、凄く嬉しいよ、
そんな言葉で、俺はフラれた。
一言一句思い出せる、俺のトラウマだった言葉。
俺が人間不信、女性恐怖症になったキッカケである。
あの時は、「
今の
あの時の
俺は、嫌われてなんていなかった。
「でも、あの日から
私たちは友達のままではいれなかった。
あのとき、あぁ私は嫌われちゃったんだ、って思ったんだ」
「それは、違う…… あれは俺が、勝手に気まずくなって、
俺は思わず口を挟んだ。
そうかあの時、俺たちは互いに好きで、
でも互いに.、嫌われたと思っていたんだ。
「そうだよね。今なら分かるよ……
ごめんね
真剣に選ぶ勇気がなかったから、
自分が傷つきたくなくて、中途半端な選択であなたを傷つけた……
ごめん……なさい……」
「……ごめん……ごめん
俺は、肩に泣きついた
「嬉しいよ……あの時も、俺の事を、好きでいてくれたんだな。
ずっと、片思いだったと思ってたから、安心したよ。
話してくれてありがとう。
あの時の
俺はそう言って、
「ううっ……
……あのっ、私ねっ、嬉しかったんだよ??
2日くらい前、この世界に来てすぐ、狭い洞窟の中で、
それから
え??
「ブハッ!!」
俺は思わずふき出してしまった。
だって、可笑しすぎるだろう。
真剣顔の
懐かしい。
そんな事もあったな。
俺達がまだこの世界に来てばかり、地獄のボス戦前の、異世界にワクワクして浮かれていた束の間の時間。
俺は
「変態かよ」
「なっ! 私は、っっ……」
「
「な、なんかヤダよ」
「ふふふっ」
「あははっ」
そして俺たちは、笑い合った。
しばらくケラケラと笑いあって、落ち着いたところで、
「……気が抜けたら眠くなってきたわ、今度こそおやすみしようぜ、好きだよ
「うん。私も好きです……おやすみなさい……」
俺たちは、今度こそ目を瞑った。
この時だけは、いろんな不安を、ぜんぶ忘れることができた。
俺たちは、あたたかい安心感の中で、ゆっくりと意識を手放した。