クラス転移した俺のスキルが【マスター◯ーション】だった件   作:スイーツ阿修羅

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四十七発目「大雪海の底で」

 

 パチパチ、パチンと、

 静かな土のなかで、(まき)が割れる音がする。

 長い一日が終わり、

 俺たち4人は火を囲みながら、一成(かずなり)さんから貰ったご飯を食べていた。

 

「あったかいね……」

「うん、あったかい……」

 

 直穂(なおほ)は俺のほうへ身を寄せ、白い息を吐く。

 

 日が沈んでしばらく経ち。

 誠也(せいや)さんが土魔発で作った地下室の中で、

 俺たちは焚き火を囲んでいた。

 

「しかし流石だぜ、行宗(ゆきむね)直穂(なおほ)っ!

 まさか一日で19匹も集まるなんてな!

 希望が見えてきた。父さんも浅尾(あさお)さんも助けられる!」

 

 ご飯を口にかき込んだあとで、フィリアは元気いっぱい叫んだ。

 俺たちは今日、日が暮れるまで、必死に薬剤を集めた。

 部屋の隅には、今日殺して捕まえたモンスター達の死体の欠片が、山積みになっている。

 

「……私への感謝はないのか? フィリア……」

 

「あ、そうだなっ! もちろん誠也(せいや)も! ありがとう!」

 

「ああ、ありがとう」

 

 誠也(せいや)さんがボソリと呟いて、フィリアは慌てたように付け加えた。

 二人とも顔が真っ赤だ。

 

「なあフィリア。集めなきゃいけないモンスターは、あと幾つだ?」

 

 俺はフィリアに尋ねた。

 

「あと7体だ」

 

「7体!?」

 

 俺は耳を疑った。

 

「今日は19匹集めたんだよな? もう楽勝じゃないか?」

 

「まあ数字だけ見れば楽勝だがな……。しかし残りの7体は、どれも厄介なモンスターばかりだ」

 

 フィリアはグビグビとお湯を飲むと、モンスター図鑑を拾って開いて、俺に見せてきた。

 

「一番問題なのはコイツだ。 背高ノッポのデカい奴、

 今朝、出くわしただろう?」

 

 フィリアの開いた図鑑のページには、

 【エルヴァルード】というモンスターが乗っていた。

 身長30メートルほどの、キリンのようなモンスター。

 俺たちが今朝、転移魔法陣でマグダーラ山脈上層に上がり、その直後に見かけたヤツだ。

 

「コイツはどんなモンスターなんだ?」

 

「とにかく戦闘において強い。

 野生勘もするどくて隙の少ないヤツだ。

 コイツの血は、強力な解毒作用があってな。浅尾(あさお)さんの治療に役立ちそうなんだが……」

 

 フィリアは言葉を切って、また図鑑のページをめくった。

 

「そしてもう一体。危険なモンスターがいる。 コイツだ」

 

 次に開いたページには、

 【サルファ・メルファ】というモンスターが載っていた。

 それは巨大な甲殻類、サソリのようなモンスターだ。

 手のハサミが四本、しっぽが四本。  

 毒の針が4本あった。

 

直穂(なおほ)行宗(ゆきむね)の賢者と天使の力があれば、倒せない相手じゃないんだが、

 問題はしっぽの猛毒だ。

 今日手に入れた薬剤とオレの腕があれば、一度だけ使える解毒剤はつくれるんだが……

 二回、二か所以上を刺されたら、どんな医者でもお手上げだ。

 確実に死ぬ」

 

 フィリアの真剣な表情に、俺は背筋を凍らせた。

 二回刺されたら死ぬ。

 スズメバチみたいなものだろうか?

 

「とにかく、この2体が超危険だ。

 集めた貴重な薬材で、解毒薬やポーションも作って挑みたいけど、時間がかかるんだよな。

 明日もコイツらは後回しだ。 簡単なモンスターから狩っていく」

 

 なるほど。

 残り7体と聞いた俺は、順調すぎると浮かれたが、 

 そうでもないらしい。

 

 

 

 

「それに……まだ父さんの治療に必要な、"キルギリス"も見つかってない……」

 

 フィリアは低い声でぼそりと呟いた。

 

 "キルギリス"

 フィリアが今日一日中、一生懸命探していたモンスターである。

 フィリアの父親――小桑原啓介(こくわばらけいすけ)さんの病

 【避魔(ひま)病】の治療に、必須(・・)のモンスターである。

 

「見つからないってことはつまり、隠れるのがうまいモンスターなのか?」

 

 誠也(せいや)さんが尋ねた。

 

「いや、そういう訳じゃない……

 動きが鈍くて戦闘能力もなくて、単純に生存能力が低いから、

 周囲のモンスターの格好の獲物になり、個体数が少ないんだ……」

 

「なるほどな……

 なぁフィリア、一つだけ確認してもいいか?

 あと何日までここにいれる?

 浅尾(あさお)さんのタイムリミットまで、あと5日間。

 もしその時までに、必要なモンスターが集め切れていなかったら、

 どうする?」

 

 誠也(せいや)さんは遠慮がちに、フィリアに尋ねた。

 俺たちは5日後までに、浅尾(あさお)さんの元へ帰らなければいけない。

 もしも必要な薬が、時間内に集まりきらなかったら。

 その時は……

 

「そうだな……

 まさか2日目の朝、モンスターを半分以上集められるなんて思ってなかったからな。

 ペースは順調なんだが……

 浅尾(あさお)さんの延命期間は理論値だ。もう少し短くなる可能性もある。

 明後日(あさって)の日没までには、俺たちは山を降りる」

 

「2日後か、同意見だ」

 

 誠也(せいや)さんが頷いた。

 

 そんな時、コツンと、俺の肩に、丸い何かがぶつかった。

 隣を見れば、目を瞑って脱力した直穂(なおほ)が、俺に寄りかかっていた。

 

「んぁ……ごめん行宗(ゆきむね)。ご飯食べたら眠くって……安心して、みんなの話はちゃんと、聞いてるからぁ……」

 

 直穂(なおほ)はぐったりした猫声で、もごもごと口を動かした。

 

 俺は彼女を労るように、頭にそっと手を乗せた。

 

直穂(なおほ)……お疲れ、ありがとな。

 自慰行為なんて、女の子として凄く恥ずかしいだろうに、

 今日も頑張って戦ってくれて、ありがとう」

 

「んぇ? あ、ありがとう。褒められちゃった。

 確かに恥ずかしいけどね。幸せだよ。行宗(ゆきむね)と一緒だから……」

 

「俺もだ。俺も幸せだ……」

 

 眠気でクラクラと倒れそうな直穂(なおほ)を、両腕で支える。

 直穂(なおほ)は、寝言なのか判断がつかないふやけ声を漏らした。

 

「もう寝るか。仲良し夫婦は、二人でお幸せにしてくれ。

 オレはむさ苦しいオッサンと寝るから」

 

 フィリアがニヤニヤと、茶化(ちゃか)すように俺たちを見る。

 

「誰がむさ苦しいオッサンだ。フィリアが嫌なら、私は寝袋の外で寝るぞ?」

 

 誠也(せいや)さんが眉間の(しわ)を寄せながらそう言った。

 

「ダメだ! 風邪ひくだろうが。こういう雪山では、お互いの身体を密着させて(だん)をとるんだよ」

 

「そうか、なら仕方ないな」

 

「そうだ! 

 誠也(せいや)の大きくて暖かいから、布団にちょうど良いんだよ」

 

「それを言うならフィリアの身体も、毛皮があってぬいぐるみみたいで可愛いだろう」

 

「は、はぁ!?  ぬいぐるみ!? 可愛い!? オレをばっかにしてんのか!?」

 

「あぁそうだ。フィリアは可愛いんだ。一緒に寝ると落ち着くんだ」

 

「そうかよ! じゃあオレも言ってやるよ。誠也(せいや)はカッコいいんだよ!

 優しくて男らしくて、抱きしめられると心が落ち着くんだっ!」

 

 ……………

 

 はぁ、はぁ、ぜぇ、ぜぇ。

 

 二人の言葉が途切れた。

 誠也(せいや)さんとフィリアが荒い息を立てて、互いの目をフイと逸らす。

 こんなセリフ、もう告白同然だと思うのだが……

  二人とも顔を耳まで赤く染めて、恥じらっていた。

 

 しばしの沈黙、緊張の瞬間。

 

 俺は瞬き一つせず、固唾を飲んで見守った。

 先に口を開いたのは、フィリアだった。

 

「もう、寝ようぜ、明日も忙しいんだ」

 

「……そうだな。 いっしょに寝よう」

 

「ああ」

 

 フィリアは俺たちの方を振り返ると、焚き火の火を弱めた。

 

行宗(ゆきむね)直穂(なおほ)、おやすみ」

 

 赤面したままのフィリアは、はにかんだ顔で俺たちに笑いかけた。

 

「おやすみ、フィリア」

 

 薄暗い部屋で、

 むにゃむにゃと寝ぼけた直穂(なおほ)と一緒に、寝袋に入った俺は……

 疲労感と幸福感のなかで、目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごぉぉぉお!!

 

 遠くから、騒がしい音が響いてくる。

 

 ドゴゴゴゴゴ……

 

 なんだ? 何が起こっている。

 

 

 ドゴゴゴゴゴゴゴォ!!!

 

 地面がガタガタと揺れていた。

 炎揺らめく地下室。

 俺は思わず飛び起きた。

 

「な、直穂(なおほ)っ!? なんだこの音はっ!? 無事かっ!?」

 

 慌てて身体を起こし、あたりを見渡すと。

 そこには何気ない日常があった。

 フィリアと誠也(せいや)さんと直穂(なおほ)が、3人で焚火を囲んでいて。

 手作業をしながら、ギョッと驚いた顔で俺を見ていた。

 

「ブッ!! あははははっ!」

 

 直後、

 われんばかりの大爆笑が、地下室の中にこだました。

 

「おはよ、ぷふっ、行宗(ゆきむね)っ。 

 うははっ! だいじょーぶだよ。落ち着いて。

 この凄い音は、上の吹雪(ふぶき)の音だからっ!」

 

「ったく行宗(ゆきむね)。 ぷくく…… なんて慌てっぷりだよっ!」

 

 直穂(なおほ)とフィリアの笑い声が重なる。

 

吹雪(ふぶき)?」

 

 俺は聞き返した。

 確かにこのゴォォォという音は、外から絶え間なく聞こえてきていた。

 外は吹雪(ふぶき)なのか?

 

「かなり激しい雪嵐(ゆきあらし)だ。 しばらく外に出れないだろう」

 

 誠也(せいや)さんが、石を持った両手でゴリゴリと薬草を擦り潰しながら、答えてくれた。

 

「それは、薬を作ってるんですか?」

 

「ああ。行宗(ゆきむね)くんも手伝ってくれ。

 【サルファ・メルファ】討伐用の解毒薬だ」

 

「なるほど……」

 

 俺は寝袋から出て、直穂(なおほ)の隣に腰を下ろした。

 

「おはよう直穂(なおほ)

 

「おはよ、行宗(ゆきむね)

 

 直穂(なおほ)はあぐらをかきながら、硬い木の棒をナイフで削っていた。

 

「俺にも手伝えることはあるか?」

 

「勿論あるけど。お腹すいてないの? まずは何か食べなよ」

 

「確かにそうだな」

 

 俺は、一成(かずなり)さんから貰った袋の中から、パンとジャムを取り出した。

 柑橘系のジャムを、丸いパンに塗りながら、三人に尋ねてみる。

 

「凄い轟音だな…… 今日はここから出られないって事か?」

 

「うん。

 外に出たら強すぎる暴風で、身体が空へと舞いあがって……

 腕と足がバラバラに千切れちゃうらしいよ?」

 

 直穂(なおほ)が真顔でそう言った。

 

「冗談だろ!? 怖っ」

 

「うんっ冗談だよ。ぷふふっ!」

 

 俺をからかって、ふきだした直穂(なおほ)の顔に、俺のデコピンを喰らわせてやろうかと思ったが、

 くそ可愛かったのでやめた。

 

「身体が吹き飛ぶっていうのは本当らしいよ。 視界も最悪だし。おとなしく嵐が過ぎるのを待つしかないって」

 

 直穂(なおほ)が説明を付け加えた。

 

「しかしマズくないか? この吹雪はいつ止むんだ?

 浅尾(あさお)さんのタイムリミットまで、時間に余裕はないっていうのに……」

 

 吹雪が収まるまでこの地下室で、何もせず時が過ぎるのを待てというのか?

 

「俺が賢者になれば、たぶん嵐のなかでも動けるはずだ……」

 

 そうだ、俺の賢者は、"生命の気配"が見えるんだ。

 視界の悪い吹雪の中でも、俺の賢者なら、モンスターを集められるはずだ。

 

「だめだ、危険すぎる。

 この嵐のなかで、たった十分間で何ができる?」

 

 誠也(せいや)さんに冷静に否定されてしまった。

 

「気持ちはわかるが行宗(ゆきむね)。今は待つしかねぇよ。

 ゆっくり薬やポーションの調合する時間ができたから、むしろ幸運と思おうぜ。

 大丈夫、いつかきっと嵐はやむ。

 今は、いまできる事をするしかない」

 

 フィリアは、ニヤリと笑って、そう言った。

 だがその声は、少し震えていた。

 

 フィリアだって不安なんだろう。

 

 父さんの病気を治すために必要な、"キルギリスの骨"が見つからず、下山のタイムリミットが迫るなかで、この大吹雪だ。

 不安にならない訳がない。

 

「そうだな。嵐はきっとやむ。

 俺たちは絶対にみんなで、ハッピーエンドを迎えるんだ!」

 

 俺は、力強く拳を握った。

 すごく不安で、災難ばかりだけど……

 不安で怖い時だからこそ、

 そばで励ましてくれる仲間の存在が温かかった。

 

「そうだ。せっかく時間があるのだ。

 行宗(ゆきむね)くん。あとで私が、剣の振り方を教えてやろう」

 

誠也(せいや)さん…… ありがとうございます。お願いします」

 

 

 

 外の吹雪は、ごうごうと(とどろ)き、

 焚き火がぱちぱちと鳴る。

 

 地下室の中は、かまくらのようなものだ。

 なかなか暖かい。

 

 俺と直穂(なおほ)は、この世界にきて初めて、ゆるやかな時間を過ごしていた。

 今までずっと、ゆっくり腰を下ろせる状況じゃなかったからな。

 クラス転移してから、今までずっと、歩き続けていた気がする。

 

 4人で作業する。

 ときに静かで、ときに賑やかな時間。

 とても心地よくて、安心していた。

 

 フィリアの薬の調合を手伝い、誠也(せいや)さんに剣術を教えてもらう……

 時間はあっという間に過ぎていく。

 

 

「出来たぞ! これが対【サルファ・メルファ】解毒剤だ。

 飲むだけで解毒してくれる劇薬(げきやく)だ。

 ただし忠告だ。飲んでいいのは人生で一度だけだからな? 

 二度目以降は、命を落とす猛毒(もうどく)になる」

 

 まじかよフィリアさん。さらっと怖い事をいう。

 

「あとはポーションを作ってから、浅尾(あさお)さんの治療薬の調合のために、ある程度は薬剤を加工しておきたい」

 

 

 フィリアの作業が終わる頃には、吹雪の轟音が止んできて、

 急にシーンと、外が静かになった。

 

 嵐が止んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは酷いな……」

 

 地上に出た俺達は、その場で四人で立ちすくんだ。

 誠也(せいや)さんが炎魔法で、地下室を覆っていた雪を溶かしてくれたまではいいのだが……

 

 地上に出た俺たちは、高雪の壁にぐるりと囲まれていた。

 すごい積雪量だ。

 身長の何倍もあるほど積もっている。

 高さは6メートルほどだろうか?

 

「どうする? 日もだいぶ傾いているが、動くか?」

 

 夕暮れ前の寒空を見上げながら、誠也(せいや)さんが口を開いた。

 

「もちろんだ。 地下室にいても、もうやることないからな」

 

「同意見だ」

 

 

 俺たちは火魔法で、雪の壁を溶かしながら、地道に地道に進みはじめた。

 

 生き物の気配は感じない。

 炎の魔法で雪を溶かしながら、寒空の下を歩いていく。

 

 ザザザザ……

 

 すると、

 突然、目の前の視界が開けた。

 掘り進めた先に、雪が積もっていない空間があった。

 

「なんだ、ここは?」

 

 厚い雪の大地を、まっすぐ横切る道があった。

 まるでモーゼが、(つえ)で大海を割ったように、

 深い雪の海が、直線上に切り裂かれていた。

 半径10メートル程の一本道である。

 

「なにかのモンスターの通った後か?」

 

 誠也(せいや)さんが呟いた。

 

「あぁそうだ! 

 それにこいつは、おそらくだが、俺たちが探してるモンスター

 【サルファ・メルファ】の通った跡だ!」

 

 フィリアは、興奮した様子で答えた。

 

 【サルファ・メルファ】

 フィリアがピックアップした、2体の超危険モンスターのうちの一つ。

 猛毒を持っているが、その解毒薬はさきほどまさに完成した。

 

「解毒薬もポーションの準備も万全だ! まだ遠くへは行ってないはず。

 もうあまり時間もないからな。

 全員腹をくくれ! 戦闘準備だ!」

 

「おうっ!」

 

 フィリアのかけ声に、みんなが呼応した。

 雪を切り裂く一本道を、俺たちはまっすぐ走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

 【サルファ・メルファ】の背中を見つけるまで、そう時間はかからなかった。

 切り開かれた道の先に、ギシギシと甲殻の鎧を軋まながら、雪を掘り進める【サルファ・メルファ】の姿があった。

 

「見つけた!

 まずは行宗(ゆきむね)直穂(なおほ)! 賢者と天使になってくれ!」

 

「「了解!」」

 

 フィリアの声に、二人で返事をする。

 もう慣れたものだ。

 

 俺たちは手を繋いでいた。

 

 足を止め、互いに体を向かい合い、見つめ合う。

 直穂(なおほ)の顔は、少し引き攣っていて、

 両手はプルプルと震えていた。

 

 これから、二回刺されたら確実に死ぬモンスターと戦うのだ。

 俺だってめちゃくちゃ怖い。怖くない訳がないんだ。

 

「寒すぎて、手が(こご)えるな」

 

「そうだね。こんな時は」

 

「キスしようぜ」

 

「うん」

 

 互いに抱きしめ合い、背中に手を回して、舌同士を絡め合う。

 興奮が高まって、体温が跳ね上がる。

 直穂(なおほ)の口の中はあったかい。

 ぽかぽかと温まって、あつくて火傷しそうだ。

 

 ゆっくりと、舌を離した。

 決意を持った目で見つめ合う。

 もう、手の震えはおさまっていた。

 

和奈(かずな)が待ってる。頑張るよ。行宗(ゆきむね)!」

 

 直穂(なおほ)が不敵に、屈託なく笑う。

 

「ああ! 変態カップルの力、見せてやろうぜ」

 

「そうだね。外でするなんてね。 とんだ変態がいたもんだっ」

 

 直穂(なおほ)は頬を染めて、天使のように、はにかんだ。

 

「頑張ろうぜ」

 

「うんっ!」

 

 俺たちはパンと両手でハイタッチをした。

 そしてそれぞれ距離をとり、雪の壁の中へ穴を堀り、

 別々の場所で、仲良くズボンに手を入れた。

 

 

 

 

 

 




【あとがき】

・久しぶりです! 三週間ぶりです。
 更新が大変遅れて、申し訳ありません!
 執筆スランプで手こずっておりました。
 これからも頑張ります!

・執筆のイメージのために、
 YouTubeで、「吹雪と焚き火のリラックスbgm」を聞いてみましたが、 
 コレ、よく眠れます。


 
 
【挿絵表示】


 メインキャラ集合イラスト、ラフ。

 左から、
 フィリア、誠也(せいや)新崎直穂(にいざきなおほ)万波行宗(まんなみゆきむね)浅尾和奈(あさおかずな)、リリィ、ユリィ。

 ハロウィンイメージ予定のため、直穂(なおほ)行宗(ゆきむね)が仮装してます。
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