見えざる帝国を築きたくて   作:山吹乙女

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 お疲れ様です
 何故か妙に見ていただけていると思っていましたが、ランキングに載っていたんですね!喜ばしい限りです!!!
 前回の残りの続きでしたので今回はちょっと短めです




全知全能③

 爆発音と火の手が人伝に伝わり王都に住む住人は大混乱となっていた。そして混乱する住民を誘導するにも、避難させるにも、収拾させるには人員が必要となり、非番の魔剣士学園の生徒であっても駆り出されることとなる

 

「レイ様、騎士団から出動要請が来ております」

 

「うん、わかった。すぐ出よう」

 

 それは元々が没落貴族の生まれであり、新たな剣術を開拓したクロスフローリー家であっても例外ではない

 最近雇われたばかりのクロスフローリー家のメイドが、長男であるレイに出動要請の知らせを伝える

 

「それじゃ、剣の稽古は今日はこれまでだな…また帰ったら一緒にやろう()()()()()()

 

「分かりました。兄さんも気をつけて」

 

 ユーハバッハは優しく、街に出るレイに手を振った

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 可視化されるまでに高められた魔力が迸る。その膨大な魔力が乗った剣を大きく振り下ろす黒い外套を身につけた男性シャドウは、その剣を金髪の美女ハッシュヴァルトが力を逃がすように盾で受け流す

 そしてハッシュヴァルトは右手に握られた両刃の剣を使うそぶりだけを見せ、フェイントを入れながらシールドバッシュでダメージを与えるべく左腕を前へと突き出す

 動きを見切ったシャドウが二歩、三歩とステップで後退する。この似た攻防を二人は三合ほど繰り返していた

 

 原因は、奥義である広範囲を爆発させる「アイ・アム・アトミック」を使った後で消耗しているシャドウと、現在は燃費のいい静血装(ブルート・ヴェーネ)しか使っていないハッシュヴァルト、勝負を急ぐ必要のあるシャドウと耐久すればいいハッシュヴァルトの構図にあった。特にハッシュヴァルト側は、情報を得るために気を失わせる程度に損耗させたらよいといった思惑があるので、派手に攻める必要がないことも拍車がかかっていた

 

「返事を待たず、いきなり斬りかかるなんて酷いとは思いませんか?」

 

「大事な仲間が害されたのだ、当然の報いだろう」

 

 そして四合目の斬り合いに向かうかといったところで、シャドウの足下に居たアルファが音に気が付き起きあがろうと身を悶えさせる

 

「ぐっ…」

 

「安静にしていろ、直に終わる」

 

「彼女に…攻撃、しては…能力で…」

 

 それだけ伝えるとアルファはまた「ガクリ」と気を失ってしまった

 

「ふむ、時間をかけるのはよろしくありませんか…それなら_」

 

 瞬間シャドウの視界からハッシュヴァルトが消え、一瞬にしてシャドウの利き手とは別の方向に現れ、シャドウはシールドバッシュにより吹き飛ばされた、飛廉脚である

 

「どこの誰かはわかりませんが、貴方には眠ってもらいます」

 

「誰が…眠るって?」

 

 後方に突撃した瓦礫に埋もれ、ケホケホと口に入った砂利と土を吐き出す。そしてハッシュヴァルトが一度見せた飛廉脚を真似るかのようにして、シャドウは足の裏辺りを魔力で身体強化させ一気に力を解放すると、飛廉脚と同じように高速でハッシュヴァルトに近づき右腕のスライムソードを叩き込む

 その攻撃に反応できたハッシュヴァルトであるが威力そのものを相殺することはできず、靴から「ジジジ」と音を出しながら盾を構えた状態でアルファ達から離される

 

 そして衝撃に耐えるように身を縮こませていたハッシュヴァルトが一瞬シャドウから視界を離した瞬間、追い打ちをかけるようにハッシュヴァルトの背中にシャドウが回り込み、スライムソードの一太刀を叩き込んだ

 

 シャドウからして手応えは十分に感じられ、確実に致命傷を与えたと確信したが、逆にハッシュヴァルトに下からの斬り上げを喰らってしまい、魔力により硬化されたスライムボディスーツを貫通し、魔力で強化された肉体にも傷が入る

 

「カハッ…」

 

「しまった…使()()()()()()()()

 

 痛みのあまり反射的に片膝を曲げ、姿勢が崩れたところにハッシュヴァルトが追い討ちで回し蹴りを繰り出すもガードに成功したシャドウは後ろへと後退する

 切られた傷そのものは瞬時に治すことのできるシャドウであるが、失った血と体力は消耗した体から考えるとあまりにも痛手であった

 

「ッ…確かに切りつけたはずだが」

 

()()ですか…」

 

 シャドウの声に応えるように背中をチラッと見せたハッシュヴァルトだが、切りつけられた部分の真っ白な星十字騎士団の隊服は確かに切れてはいるが、その下の陶器のような白い肌は傷一つ付いていなかった

 

「私の『聖文字(シュリフト)"B"』の能力は『世界調和(ザ・バランス)』。私の一定の範囲内で起こる『不幸』を『幸福』なものに分け与えることができます。その能力を使い、貴方の攻撃を『不幸』と捉え攻撃を受けなかったこの盾を『幸福』としてダメージを肩代わりさせ、反撃しました。残念ですが貴方では勝てませんよ」

 

 シャドウは内心、「ハハッ、何だよその能力…」と毒づくも逆に冷静となった頭で、『シュリフト』、『ザ・バランス』、という聞いたことのある単語を反芻する。すると自然と昔の友人が口にしたモノを思い出してきた。

 

[影野くんはもし異能力バトルの世界に行った時、どういう能力が欲しい?………私か?…そうだな、BLEACHのハッシュヴァルトの能力にある『ザ・バランス』かな。あの能力は終始破られることがなかったけど、今に思うと攻略法はないわけじゃなさそうで_________]

 

「勝てるかどうかは、やってみないとわからないモノだぞ?」

 

「なるほど、では今度こそ眠ってもらいます…」

 

 またしても一瞬姿がブレるようにして消えたハッシュヴァルトだが、早いことがわかっているなら対応は可能だと同じように加速するシャドウ。互いの立ち位置の中心で()()()()()()()()互いが剣を振るう

 

「ッ!…」

 

「ほら、勝てないわけではないと言っただろう?」

 

 シャドウは肩から斜めに大きく斬られているものの、見開かれたハッシュヴァルトの瞳には自身の右腕が肩にかけて薄くではあるが斬撃が入っている光景を目の当たりにしていた

 ハッシュヴァルトからするとかすり傷程度とも捉えることが出来るが、問題は()()()()()()()()()()()ことにあった。

 

「タネは簡単、お前の能力はダメージを肩代わりすることだが、ダメージの大小は関係ないし、要は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 シャドウはあの斬り合う一瞬でハッシュヴァルトの攻撃に合わせて自分も斬られ、全くの同時に触手のように伸ばした槍状のスライムボディスーツを盾に攻撃し、左手に出した剣で突きの攻撃をハッシュヴァルトに繰り出した。『幸福』なモノがなければ『不幸』を分け与えられない、そして『不幸』には大小は存在しない、その能力の隙を突かれた

 左手の剣は瞬時に出したことで狙った位置とはズレてしまったがそれでもハッシュヴァルトは聖文字(シュリフト)の能力が発現してから初めてのダメージであった

 

「あの一瞬でこの動き…なるほど、彼女達が言っていたシャドウとは貴方のことでしたか…」

 

「手こずっておるようだな、ハッシュヴァルトよ」

 

 どこか納得をしたハッシュヴァルトの背後の暗がりから突如として男の声が聞こえてくる

 

「はい、戦闘を仕掛けられましたので威力偵察をしておりましたが、相手が先日お伝えしたシャドウガーデンのボスだと分かりました。しかし聖文字を使えば対応可能であるかと」

 

「そうか、ならば放置で構わないな」

 

「はい陛下」

 

「待て、お前は何者だ」

 

 ハッシュヴァルトは冷たくシャドウを睨むが、数刻の後、闇に溶け込む男が口を開く

 

「我らは見えざる帝国、我らは影に潜む者、我らは…全てを奪う者だ___時間だ…時期にこの混乱は収まり騎士団が調査に当たる、戻るぞ」

 

「承知しました、陛下」

 

 ハッシュヴァルトは声のする暗がりに、まるで溶け込むかのように消えて無くなると辺りは先ほどの戦闘が嘘だったかのように夜の静かさを取り戻した

 

「お前は…本当にユーハバッハなのか?」

 

 少年の独白は黒い夜に消えていった。

 

 

 

 




 お疲れ様でした
 Q.どうしてハッシュヴァルトは能力をシャドウ様に喋ったの?
 A.ハッシュヴァルトも少なからず慢心していたし、対応力を測るという名目で一度使用感を経験しておきたかった…まぁぶっちゃけ能力説明した方がオシャレだから

 最初の聖文字がハッシュヴァルトって何かのバグですかね?最初から事象系の能力とかヤバすぎませんかね?誰が書いてるんですか!…はい、私でした。ちなみにこのハッシュヴァルトは身代わりの盾(フロイントシルト)は持っていませんので、戦闘に持っていた盾はただ恐ろしく頑丈な盾ってことになりますね
 ちなみにザ・バランスの独自解釈ですので原作BLEACHと違っていたとしても許してね

 しかしこの作品シャドウ様が主人公してますね、若ユーハバッハくん悪役ムーブがすごいからですかね?でもこれは彼の素なんですよね…
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