超昂大戦SS 届け、最後のバレンタインチョコ! ~魔女と女神と戦士の愛を込めて~   作:環 藍河

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第2章 豊穣の魔女、秘薬を求めて西の大地へ

「私…ひとりで空回りして…

でも…みんなの気持ちが…見えなくて…

だから…何のために頑張るか…

わからなくなっちゃった…」

 

「うう…みんな我の話など一笑に付すばかり…。

クリスマスや大晦日には、異教の神仏は調子良く崇めるくせに…。

我など、お御籤だけ書いておればよいのじゃ…!」

 

虚ろな瞳、ぽかんと開いた口元。

放心状態のルビーは、わけもなくこぼれる涙を拭おうともせず、ただ天を仰ぎ…。

ノノノは膝を抱えて部屋の隅でうずくまる。

「…そんな…!」

「ルビーさあん! ノノノちゃあん!」

 

この日、コマンダーが引き連れた幻魔・クレイドの精神攻撃を受け、エスカ・ルビーとビートアミュレット・ノノノは喪失感に囚われていた。

 

「わ…わたしの、せいで…!」

肩を震わせるリーマ。

「狙われたのは、わたしなんです…。それを、ルビーさんとノノノちゃんがかばって…!」

 

「大丈夫だぞ! 群れの仲間をかばうのは当たり前なんだからな!」

「リーマちゃん…元気を出すのです…!」

「ダイビートの医療は最先端です! だから、リーマちゃんはみんなを信じて、心を強く持つのです! ふんす!」

由雅・イーイー・クルル…旧ジークフリート派の仲間たちが、しょげるリーマを支える。

 

 

…しかし、その希望に暗雲が立ち込める。

 

「…ダメ。これは…ただの無気力じゃない…。」

幻ノ川双葉と三ツ葉が、祝福器・魂の天秤でアカリたちの沈んだ心の均衡を戻そうと試みるが…。

「私たちの天秤は、辛い思いや不幸に沈む心を軽くすることはできます。でも、お二人のはそうじゃない…。」

「アカリさんも、のののちゃんも、人を大切に思う気持ちを封じられてるんだよ! だから、自分が頑張る意味を見いだせなくなってるの!」

「この心は…私たちの天秤では治せない…!」

 

いつだって、みんなを護るために、自分のすべてを賭けて戦う。…そんなアカリにとって、封じられてしまった心は、まさに戦う原動力であった。

 

「…それなら…!」

双葉と三ツ葉の見立てに、医務室のセラフィールが思い当たり、愛と縁を司る神騎を招集する。

 

「…あかん。アカリはんも、のののちゃんも、ワイが撃ち抜いたみたいになっとる…!」

「そうね…。ディスリンで縁を切られた人間に出る症状と、ほとんど同じ…。」

神騎リゲルは、アカリが保管する神武・ディスリンを回収し、2人を観察する。

 

「じゃあ、ラブリンさんで射抜けば…?!」

「それは違います。ラブリンもディスリンも、あくまで人が元から結わえる縁を、繋いだり切ったりするだけですから。

今のお二人は…恋心、親愛や友情、家族愛…そういった他の人との縁を、全て喪っています。

だから…私の矢は効きません…。

セラフィール様…お役に立てず、申し訳ございません…!」

「そんな…!」

 

……

「…奴らの実験は…明日がフェーズ2だろうな。何をするつもりかは解らないが…!」

司令室でトキサダとユーノが、敵の出方を推し量る。

「ええ。そして本番が明後日…みんなの大切な日を台無しにされたら、市民の動揺は計り知れないわ…。」

「そして幻魔は、大きな接幻力を得る、か…!」

 

コマンダーの口ぶりからは、狙いは超昂戦士に留まらないだろう。

今日の成果をもとに、一般市民にターゲットを拡げるなら、その心理的効果が最大になるのは明後日、バレンタインデー…!

 

「現状で、対抗策は無し。市民の避難と、戦士に回避を注意喚起するぐらいか…!」

 

……

その頃、リーマは自分の身代わりとなったルビーとノノノへの自責の念を振り切ろうと、自問自答していた。

(…諦めない…! だって、アカリさんは…!)

リーマとアカリ、2人だけの秘密。

その解禁日は、間もなくだったのに…!

 

(私にできる…2人を助ける方法…!)

リーマは決意し、トキサダのもとへ。

……

医務室では、セラフィールとユユエルが苦渋の決断をさやかに迫っていた。

「このまま抑うつが続くと…お二人の体と心が保たないんです…。」

「さやかちゃん…アカリちゃんとのののちゃんの記憶操作を、お願いしたいの…。」

「…やりたく、ないなあ…。」

 

ぷしゅうううっ。

「待ってくださいっ!

わたし、特効薬に思い当たりがありますっ!

材料採取に2日ください!」

割って入るリーマが、決心と覚悟を込めて3人を説得する。

「…えっ?」「特効薬? 2日?」

「はい! トキサダお兄さんの許可は取りました! 説明はお兄さんから聞いてください!」

 

「…わかった。何とか2日、保たせてみせる。」

その迫力に気圧された3人の答えを聞くやいなや。

「ありがとうございます!」

 

NAU開発の無人輸送機・ノストロモ2は、夕陽に向かって飛び立つ。

秘薬を求めて飛び乗ったリーマの手には、パスポートが握られていた。

 

 




筆者です。第2話、お届けいたします。
なるべく毎日投稿、を目指しておりますが、予定通りなら明日の第3話まではめどが立っています。土日の第4話・第5話は…少し難産かも、です。
原作の3年目バレンタインイベントも間近で楽しみですが、当SSがささやかな賑やかしになりましたら幸いです。ではまた第3話にて。
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