真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~   作:ジントニック123

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Demon Blade -前篇-

 

 

 

 東京都渋谷区恵比寿。

 

 複合商業施設「恵比寿ガーデンプレイス」を中心にモダンな建物が並ぶ、都内でも屈指の人気を誇る街だ。

 高級店だけでなくリーズナブルな値段の飲食店も混在するこの場所は、昼夜問わず人の姿で賑わっている。

 ある意味でこの日本という国の活力、あるいは光と呼ぶべき物を可視化出来る土地と言えるかもしれない。

 

 ―――しかしそれも半年以上前の話。

 

 GP上昇に伴う大小合わせた悪魔事件の連続発生。

 善悪問わず己が利益と目的、あるいは欲望の為に暗躍する勢力の数々。

 世界に終わりを齎す7つの災厄たるセプテントリオンの襲撃。

 崩壊世界より流れ着いた道徳観念の薄い一部漂流者の存在。

 

 他にも様々な要素が重なりに重なった結果、日本という国の治安は悪化の一途を辿っている。

 特に地方などは高GPにより出現した悪魔の事もあって目も当てられない有様だ。

 当然、その影響はこの恵比寿にも如実に見て取れた。

 

 例えば、警棒どころか重装備で巡回する警察官。

 例えば、死角が消える程増設された監視カメラ。

 例えば、防犯シャッター設置に踏み切った店舗。

 

 かつてとは異なる、ある種の重苦しい空気へと支配された街並み。

 行き交う人々の表情にも笑顔の中にどこか堅いものが混じっている。

 本心から楽しめている人間は極少数……否、それ以下か。

 とはいえ、大多数が仕方ない事だと納得し受け入れているのも確かだ。

 

 いつか慣れる、いつか元に戻る、いつか何とかなる。

 

 ()()()()()()()()()()()()()と、大抵の人間はそう信じて止まないのだから。

 

 

 

 ―――この街の裏側に、直視出来ないほど悍ましい闇が広がっているとも知らずに。

 

 

 

 

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―――〈現行周回 200x/xx/xx 恵比寿影異界・新世塾基地〉―――

 

 

 そこは見渡す限りに広がる砂丘だった。

 砂に埋もれた駅の残骸らしきものが、かつて存在した文明の名残を思わせる程度の光景。

 仮に何も知らない人間に対し、此処が都内であると言っても信じては貰えないだろう。

 

 恵比寿に重なるようにして存在する見えざる領域―――影異界。

 かつて存在した世界の残骸、または偶然残った欠片。

 土地自体に信仰が焼け付きパワースポットと化した事で生まれた箱庭の成れの果て。

 

 本来なら全て失われたはずの静寂だけが広がる空間。

 だが―――そこにあり得ざる物が在った。

 

 一言で言ってしまえば“鋼の城”だろうか。

 ただひたすらに合理性と実用性だけを突き詰めた無骨な外観(デザイン)

 温かみを一切廃し、凍るような冷たさを隙間なく積み上げた石と鉄の建造物。

 

 知識ある者なら現代防衛学に基づいて建てられた軍事基地であると分かるだろう。

 その証明と言わんばかりに、内部の訓練場では完全武装の兵士たちが自動小銃を構え射撃訓練を行い、巨大な格納庫の中では対悪魔用人型兵器が所狭しと並んで整備を受けていた。

 

 まさしく秘密基地と呼ぶべきもの。

 憲法法律その他諸々を無視するとしても、これが自衛隊の精鋭ならさぞ頼もしい。

 護国の戦士、名も無き勇敢な防人。税金泥棒、不要な軍隊。

 そんな呼ばれ方で一部の民衆から尊敬と批判を集めるかもしれない。

 

 ―――だが違う、実態はまるで異なる。

 

 動きや装備自体は自衛隊の物であるが、彼らは正規の部隊ではない。

 本来所属する部隊の認識番号も使えない、存在しないはずの兵士だ。

 

 名を『新世塾』―――無原罪の世界を嘯く巨大秘密結社。

 政財界と自衛隊の一部を取り込んだ、大義を建前にあらゆる人道を踏み躙る畜生の群れ。

 国家という肉体を蝕むガン細胞、あるいは寄生虫である。

 この基地はそんな者たちの拠点の1つ。国に隠れ戦力確保を行う為の製造・実験場だった。

 

 

「ア゛ァあ゛あああああ゛!!!!!!」

 

 

「思ったより反応の良い“素材”だな、これなら完成品も期待出来そうだ」

 

「正直言うともっと安定した製造法が好ましいんのだけど……。

 ま、無いものねだりしても仕方ないわね。

 上にもっと“素材”の確保を陳情するしかないかしら」

 

 ―――その最奥部。

 厳重な警備に守られた研究エリアにて、白衣に身を包んだ研究者たちがせわしなく実験を繰り返していた。

 

 ある者は端末に幾つものデータを打ち込み。

 ある者は実験の追加指示を行い。

 ある者は泣き叫ぶ“素材”を無理矢理拘束台に乗せて。

 ある者は使い終わった“素材”を腑分けし用途別に加工する。

 

 止まらない悲鳴と響く絶叫をBGMにして、換気し切れず漂う鉄臭さの中で。

 平然と、当たり前のように―――ネガティブな感情を失ったかのように。

 

「ダメだ、やっぱり他の機体に比べて動きが鈍い。

 一応聞くが駆動系に異常は無いんだよな?」

 

「何回も点検しましたよ、全て問題無しです。

 やはり光結晶の“素材”が悪かった可能性が高いかと。

 ……初期ロットとはいえ、不良があったのはこの機体だけですからね」

 

「そう結論付けるのはまだ早い。

 俺たちが気付いていない欠点がどこかにあるのかもしれないんだ。

 徹底的に調べ、原因究明して次に繋げる―――それが科学者って生き物だろ?」

 

 そんな場所の片隅で2人の研究員が真剣な表情を浮かべながら意見を交わしていた。

 目の前にあるリフトに固定されているのは重装備のマシン《光脳改修型X-2》。

 新世塾の主戦力―――対超人制圧用の付くが―――となるべく作られた人型戦車だ。

 

 最新の量産型、その内の1体に生じた謎の不調を探るのが彼らの仕事だった。

 しかし、会話通り上手く行っているとは言い難い。

 なにせ何処をどう調べても問題となる部分が見つからないのだから。

 

 この機体はX-1による試作と試運転を経てから製造された初期ロットのものだ。

 故に初期不良の可能性自体は十分にあるのだが、原因不明は流石に洒落にならない。

 演算装置である光結晶が不良品だというならまだいい。

 

 しかし可能性は低いがそれ以外の、自分たちの気付いていない問題であれば大事である。

 仮に他の機体にも同じ欠点があれば、そこを突かれ無原罪の世界という理想郷への落とし穴となるかもしれない。

 新世塾の一員として、技術者としてそんな事は断じて認められない。

 

「一度魔盾の装甲を外して動かしてみるか。

 最低限の、それこそ骨格部(フレーム)部分だけなら何か変わるかもしれん」

 

「では人を呼んできますね、あと整備用クレーンの準備も」

 

「なるはやで頼む。そろそろ飯の時間だからな」

 

「どうせここで食べるんだから関係ないでしょうに……」

 

 義務と使命感。科学者としての矜持を胸に彼らは今日も研究を重ねる。

 大義を建前に。攫ってきた漂流者や超人を解体し制御AIへ作り変えて。

 

 ―――邪魔外道を当たり前として行う者にはいつか必ず報いが訪れる。

 

 だから誰も気付かなかったのだろう。

 周囲の人間がその場から視線を外した瞬間。

 機能停止しているはずの《X-2》の単眼カメラ(モノアイ)が僅かに動いた事を。

 

 

 

 

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―――〈 恵比寿影異界 4時35分00秒 〉―――

 

 

 

 恵比寿影異界の基地《自衛隊防衛研究所》

 その一角より激しい爆音と火柱が生じた。

 

 ヤタガラスを中心とした新世塾基地の襲撃作戦。

 その陽動担当部隊による挨拶代わりの一発である。

 

「緊急警報! 敵襲アリ、敵襲アリ!! 

 直ちに急行せよ!!!!」

 

「X-1とX-2起動準備、歩兵部隊前へ出せ!!」

 

 

 予想外の奇襲。する事は慣れていてもされる事には慣れていない兵士たち。

 しかし訓練の賜物か、動揺と混乱も最小限に迎撃態勢を整える。

 常識的に考えるのであれば新世塾側に敗北は無い。

 

 城攻め3倍の法則と言うように、敵の拠点に攻め入るのは相応の戦力が必要だ。

 今回の場合、防衛側には多数の火力に超人と戦う事を想定した人型戦車まである。

 地の利、数の利がある以上まともに戦えばまず返り討ちに出来るだろう。

 

 だがそれはあくまで常識的かつ万全の状態であるならの話。

 今の状況は残念ながら当てはまらない。

 

 第一に、基地の戦力の多くはミスリル攻略の為《楼極島》へと出払っている。

 彼らの所有する潜水艦と人員(そざい)を奪う作戦行動を利用された形だ。

 まさか狙われている事を承知で囮役になるなど想定さえしていなかった。

 己が常に狩る側だと錯覚した者が足をすくわれるのは当然の事。

 

 そして―――。

 

 

「時間だ―――突入開始」

 

 

「一気に行くぞ!」

 

 

 襲撃側には非常識な敵を幾度も倒してきた凄腕DBたちが揃っていた事だ。

 

 

 襲撃開始より5分後。

 各チームがそれぞれの担当場所にて接敵及び交戦を開始。

 外道無法の終わりが始まる。

 

 

 

 

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 新世塾基地内部。

 物資搬入を想定し広く造られた通路では銃声と怒声が響いていた。

 

「敵の数は!?」

 

「悪魔含めて10体以上確認……物理反射持ちも混じっています!」

 

「JOKER兵とX-1の残りを前に出すんだ、絶対に近づけるんじゃない!!」

 

 

\カカカッ/

HUMAN天誅軍・暁Lv52相性:神聖無効、暗黒・精神・神経耐性

 

\カカカッ/

マシンX-1 光脳改修型Lv55相性:全体的に強い、神聖・暗黒・神経・精神無効、電撃弱点

 

\カカカッ/

JOKER兵ファブニールLv53相性:全体的に強い、打撃、戦技弱点

 

 

 ずらりと並んで展開するのは新世塾側の戦力。

 

 天誅軍と仮称された幾人もの兵士たち。

 光結晶……人間の中枢神経系を素材とする演算装置を搭載された非人道兵器(X-1)

 そして人間にシャドウを被せる事で作り上げた量産型マレビトことJOKER兵。

 

 これまでに多くの漂流者と超人、そしてミスリルの一部を叩き伏せた暴力。

 並の相手であれば鎧袖一触に出来る圧倒的戦力の証明。

 

「夢でも見てるのかオレ達は……っ!!?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()、彼らにとってまさしく悪夢そのもの。

 質の悪い冗談、白昼夢としか言えない光景であった。

 しかし、何度目を擦ろうともこの現実は覆らない。

 

 床に転がっているのは死体と残骸の山。

 斬られて、撃たれて、悪魔の爪や刃に砕かれた味方だったモノたち。

 中には正式量産型であるX-2の姿まである。

 

「おのれ、何なのだ貴様らは―――」

 

「通りすがりの剣士だ、覚えて逝け」

 

 

 思わず吐いた悪態交じりの罵声に対し、返らない筈の答えが来た。

 発生源は()()―――周囲の味方全員が一斉にそちらへ武器を向ける。

 視認して狙いを定める暇など無い。

 半ば反射の領域で各々が銃弾、斬撃、息吹(ブレス)を勘任せに叩き込む。

 

 

 

「《金翅鳥王剣(デスカウンター)》」

 

 

金翅鳥が天翔けた。

 

 

金翅鳥王剣(デスカウンター)*1物理型攻撃に対し50%の確率で発動。

3倍の威力で通常攻撃を行う。

⇒段階1:クリティカルが発生する。

⇒段階2:いまだその領域に至らず。

《双手》*2通常攻撃が、小威力+通常の2回攻撃になる。

面倒を見た教え子から学んだ(パクった)技。

《■■》*3格闘回避、防御、反撃の成功率を上昇させる。

本来は■■■に分類されるスキル。

抜刀術の奥義に通ずるものがある為、例外的に使用が可能。

《気合い》*4一度だけ自分の物理攻撃力を2.5倍に強化。

「闘牛刀(相気の杖)」*5攻撃力:245 命中:75 回数:2-4

追加効果:PANIC 能力補正:力+4 運+2

二つに折れたマタドールの魔剣。その片方を打ち直した物。

《大業物Ⅲ》」*6格闘武器の威力と命中に+15する。

ランクⅢ:装備中CURSE状態となる。(真1)

CURSE状態である限りクリティカル時の威力を3倍へと変更する。

「カポーテピアス」*7銃反射、破魔・呪殺無効

命中・回避率を大きく上昇(龍の反応)

 

 

 まず最初にX-1が()()()()()()

 魔盾による強固な装甲をものともしない、翼を広げたかのような8つの閃光によって。 

 同時に下手人は()()()()()()()()を利用して床へと一瞬で着地。

 射線から外れた安全地帯へ―――敵からすれば対応不能の殺し間へと移動していた。

 

 故に、新世塾側には最早どうする事も出来ない。

 続けてJOKER兵が同じ運命を辿り、兵士たちは距離を取る前に首から上を喪失。

 最後に残った指揮官が一矢報いようと自爆する前に縦に分かれた人体模型と化す。

 

 ―――わずか5秒にも満たない早業であった。

 

「……まだ太刀筋が甘いか。こんなG4擬きの急所(スキ)が斬れんとは。

 あと一介のファンとしちゃリアルでやるなと切に言いたい。

 いやあれはあれで嫌いじゃないけど」

 

 周囲の敵を一掃し静かになった通路にそんなぼやき声が響いた。

 血振るいをして刀を鞘へと納めた剣士―――宗吾のものだ。

 無論、敵地である以上警戒は怠っていないので柄は手を掛けたままであるが。

 

「あのさぁ。銃弾潜り抜けてながら壁から天井走る大道芸やって言うのがそれ? 

 突っ込むならもうちょっと普通に突っ込めないの」

 

 後方で牽制射撃を行っていた美野里から呆れの混じった声が届く。

 宗吾が振り返ればちょうど仲魔と共に遮蔽物に使っていた機材を乗り越えた所だった。

 現在出しているのはハゲネ、ガキ、グルルの3体。

 いずれも大した消耗は見られない。

 

 同時に()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()口を開く。

 

「狙いバラして圧力下げながら、上下に()()()()のは結構有効的だぞ。

 軽巧の心得がある奴なら力込めて踏める足掛かりがあれば重力の縛り無視して―――」

 

「悪いけどカンフーの達人じゃないから説明されても分かんない。

 絶っっ対真似できないから!」

 

「いやそんな複雑なモンじゃないって。

 まず瞬発のタイミングと重心移動、筋骨の連動と血流のリズムを覚えりゃすぐにでも」

 

「まず複雑って言葉を辞書で引きなさい馬鹿」

 

 符術による分身で見かけ上の数を誤魔化すのは分かる。

 仲魔がいるとはいえこちらが寡兵なのは事実。

 なら少しでも多く見せようとハッタリをかますのはおかしくもなんともない。

 

 実際美野里もその案には乗ったのだ。

 サイコメトリーを駆使し敵の情報も探りながら攻撃を行っているが、なるべくなら有利な状態で仕掛けたい。分身を先行させれば奇襲にも余裕を持って対応出来るし、相手のペースを乱せるのもこれまでの経験でよく知っている。

 

 しかし、だからといって。前衛型DBでもそうやらない曲芸突撃は勘弁して欲しかった。

 ついでに変態染みて来た剣技を当然のように繰り出すのも。

 

「今のところ殺し間に引きずり込まれる前に叩けてる。*8

 だけど向こうも本腰入れる頃だろうからそろそろきつくなってくるかも。

 一応ハゲネに持たせた切り札もあるけど……クソみたいな鉄砲玉作戦は止めなさいよ」

 

「流石に侵入者ぶち殺しゾーンに無策で入る訳無ないから。

 大人しく紳士的に暴れてるって」

 

 大人しく紳士的に暴れる、という矛盾に満ちたパワーワードが飛び出した。

 美野里が笑いながら額に青筋を立てて1歩踏み出し―――。

 

 

 

 『侵入者wo発keんしまsiたぁっ!!!!』

 

 

 

\カカカッ/

サイボーグX-3・ソルジャーLv68相性:全体的に強い、神聖・暗黒・神経・精神無効

 

 

 大気を震わす轟音と共に、壁をぶち抜いて新たなる人型戦車が現れた。

 巨大な槍と銃器を持った、量産型とは明らかに異なる動きの特殊機体。

 

「こいつは―――っ!?」

 

「さっき通信で言ってた機体!!」

 

 名をX-3―――新世塾の特化戦力。

 超人の中でも上澄みを想定して設計された存在。

 その中でもシュバルツバース調査隊のデータを用いたデモニカ複製体(デッドコピー)である。

 

 

―――《ムラマサコピー》―――

―――《準物理貫通》―――

―――《封魔追加》―――

 

 

 死者の尊厳を踏み躙って作られた殺戮人形が狙うのは悪魔使いたる少女。

 距離的にも戦力的にも、一番痛い部分を再現された戦闘経験が狙い穿つ。

 カバーには誰も間に合わない、必殺の一槍が背後から心臓を抉り―――。

 

 

 

 

 

 「―――舐めんな鉄屑野郎」

 

 

 

《カウンターストライク》*9回避の代わりに使用する。

攻撃を完全に回避し、反撃として1回射撃攻撃を行う。

反撃必中、確定クリティカルを失う代わりに回数制限を撤廃。

最近千束の動きを見て自分なりにアレンジしつつ覚えた。

《クイックロードⅡ》*10即座に銃弾の装填、弾倉交換が出来る。

ランクⅡ:銃器を装備していなくても即座に銃器を準備できる。

必要ならば装備している武器を地面に落としてもよい。

最近たきなと一緒に金髪の銃使いから盗んで覚えた。

「MP5マシンガン」*11敵単体に3~6回攻撃。

「劣化ウラン弾」*12全ての悪魔に対して猛毒付与効果を与える銃弾。

これは毒無効耐性にとっても付与判定を与える。

《八塩折之酒》*13自分よりもレベルが高い相手に対し状態異常付与率が上昇する。

 

 

 

 跳躍、回避―――そして宙返りからの発砲(トリガー)

 迫り来る死を文字通り飛び越えて。

 逆転した視界の中で友人(千束)の技を再現した反撃射撃が繰り出される。

 

 狙いは装甲が薄いであろう関節部。

 ガキの《グリード》によって《準物理貫通》はコピー済みだ。

 耐性程度ならば問題無く突き破れる。

 結果、強度の低い部分を貫いた猛毒の弾丸は着弾部から演算装置(中枢神経)たちまちを犯していく。

 

『入ったな毒がよぉおおおお!!!!』

 

 

―――《ヤクシャの凶爪》―――

―――《毒追撃》―――

 

 

 そこを狙い振り下ろされた凶鳥の爪が深い損傷を刻むが……止まらない。

 格上かつ特殊機体である故にこの程度では倒せない。

 このままでは態勢を立て直し、大技を繰り出して来る可能性が高だろう。

 

 そして―――この場の全員がそんな事を許すはずも無かった。

 

「―――――」

 

 まず美野里が手を伸ばす。

 銃を持たない手を、視界の中で敵に重なるように。

 眼前の敵を屠る方法……()()()()()()()()()()()()()()()

 

『魔人が溢れるまでどこをほっつき歩いてたんですか。

 貴女を慕っていた後輩も、心配してたイオリも放置して』

 

 幻聴が耳朶を打つ。リフレインするのは数時間前に聞いたばかりの過去の顛末。 

 驚愕、悲しみ、絶望……そして怒り。

 精神の中で破滅的なまでに連鎖する感情の大爆発。

 今にも脳が沸騰しかねないほどに高まる思いの丈。

 

 それら全てを腹の底に飲み込んで―――()()()()()()()()()()

 

 

 ―――それはESP系超能力における極地。

 ―――それはペルソナ使いの亜種、あるいは似て非なる異能。

 ―――それは学園都市須摩留においても僅かな例しか確認されなかった稀少技能。

 

 これまで何度か朧げな幻像として出ていたそれは。

 過去と言う最後のピースが追い付いた事で完成に至った。

 

 

「―――出てこい」

 

 

 可憐な唇から、血を吐くように絞り出した声で呼ぶ。

 何もない空間を握り締めて。

 自然と思い浮かんだその名を。

 

 

 「エイト・マハーヴィディヤーズ!」

 

 

 

《エクトプラズム》*14PCと同じ能力を持つ別のキャラを作る。

回復はMPを消費すればいくらでも可能。

戦闘が終了すると消えてしまうが、MPを消費すれば維持も可能。

霊動に分類される自己のエーテル体に形を与え、物質化する能力。

術者の意思により操作されるエーテル・プラズマのフィールドとも。

 

 

 

 名前を呼ぶと共に美野里の背後に形を結んだのは青い肌に3つの目。そして左右合わせて10本の腕を持った美女の姿。

 悪魔と呼ぶには希薄で、ペルソナと呼ぶには違和感がある人型の幻像(ヴィジョン)

 

 須摩留の頂点であった生徒会長曰く、自らの魂のイメージを現実に出力する力。

 Stand by me(傍に立つ)という意味でそのヴィジョンはこう名付けられた。

 

 

「……“スタンド”、まさかあたしが使えるようになるなんてね」

 

 

 これまで朧げな姿で顕現させていたスタンド―――“E・M(エイトマハーヴィディヤーズ)”に苦笑しつつ。

 美野里はX-3へと躊躇いなく突撃した。

 本来銃使いである彼女の距離ではない……が、今は違う。

 床を激しく踏みつけながら、勢いよく背後の幻像(ヴィジョン)が10の拳を振りかぶって―――。

 

 

 

 『オラオラオラオラオラオラ!!!!!』

 

 

《狂乱の■■》物理貫通を得る。物理属性で与えるダメージが20%増加。

命中率とクリティカル率が40%増加。

美野里に目覚めた新たな力の1つ。詳細は不明。

《反乱の舞踏》味方全体を会心状態にする。

敵単体に4回、物理属性の打撃型ダメージを与える。

美野里に目覚めた新たな力の1つ。詳細は不明。

《会心》*15クリティカル率上昇。

サイコメトラーが習得する。

彼ら彼女らは意外にも格闘面でも強くなる。

 

 

 連打(ラッシュ)連打(ラッシュ)連打(ラッシュ)―――怒涛の連打(ラッシュ)

 

 全ての想いが圧縮されたかのような鉄拳の雨。

 輝く広大な知識を持つ者(マハーヴィディヤー)の名には似つかわしくない暴力の嵐。

 特化戦力であるはずの英雄模型(デッドコピー)はあっという間に拉げて変形しスクラップ寸前のボロ屑と化す。

 

 

『戦闘Zっこ、う可NOう……!!』

 

 

 ―――それでもまだ倒れない。

 

 歪んだ機体(ボディ)を計算に入れた上で姿勢制御を行い2本足で立つ。

 再現データとはいえシュバルツバースを駆け抜けた者たちなのだ。

 各所から火花を散らしながらも、動ける限りは槍を構えようとする。

 

 

 

「出来りゃ本物のあんたと戦いたかったよ」

 

『御免!』

 

 

 ―――2つの影が飛び出した。

 

 

 

―――《冥界波》―――

×

―――《冥界波》―――

 

【 多重攻撃発動! 】

 

 

《羯磨冥界陣》*16敵全体に斬撃相性攻撃。

物理攻撃力、魔法攻撃力を半減させる。

冥界波を重ねる事で放つ多重(合体)攻撃。

 

 

 宗吾とハゲネが、英雄と剣士が同じ技を同じタイミングで繰り出す。

 それによって引き起こされるのは合体攻撃。

 冥界の門を開き敵を葬る技が昇華された()()()

 

 

 英雄を冥府へ送るべく(カルマ)の意を冠した合わせ技を受け、X-3は断末魔さえ残さず消し飛んだ。

 

 

 

 

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 その後も幾らかの戦闘を経つつ作戦は順調に進んでいた。

 陽動、襲撃、そして救助。

 参加した者たちはそれぞれの役割を的確に果たし、確実に敵を屠っていく。

 

 そして作戦終盤。

 ”漫画好き”一行が最深部へ辿り着き司令官たる“菅原バスク”対峙した同時刻。

 

 

「…………は、あ? 何よこれ……っ!?」

 

 その光景を見た美野里が言葉を失った。

 背後に控える仲魔も、隣で目を鋭くした宗吾も同じだ。

 

 敵を倒し通路を抜けた先の区画にあったのは一面に広がるどす黒い赤。

 

 天井も、壁も、床も同じ色に染まっている。

 絵の具が何なのかは臭いだけで嫌と言うほど分かってしまう。

 その元になったモノも……執拗なほどバラバラにされた人間が辺り一面に散らばっていた。

 

 

「―――非戦闘員だ、たぶんここの研究者。

 んで全員斬り殺されてる」

 

 冷えた思考の中、宗吾は状況を分析する。

 血に染まって分かりにくいが、犠牲者は全員白衣を着ている事からおそらく研究者。

 いずれの死体も断面が綺麗過ぎる故、斬り殺されたのだと一目で分かった。

 

 問題は―――誰がやったのか。

 

 それぞれが受け持った担当エリアを考えれば他のDB達による線は薄い。

 仕事である事も含め、ここまで非効率に……()()()()()()()()()()()()をする理由も無いだろう。

 新世塾側で内ゲバがあった可能性もあるが、そちらは更に低い。

 

 であれば。

 

「まさか―――第3勢力?」

 

「らしいな……来るぞ」

 

 言葉と同時に宗吾が抜刀。

 同時に全員が戦闘態勢に入る。

 

 今いる区画の奥、暗がりの中に“何か”がいる。

 

 聞こえるのは鉄が軋み肉を踏みつける異音。

 感じるのは全てを刻む様な凄絶なる殺意。

 作戦開始以降最大となる本能の警鐘が彼らを襲う。

 

 宗吾は笑って、美野里は目を細める。

 やがて遥か前方、血飛沫でまだらとなった照明の下にソレは姿を見せた。

 

「…………あれってX-2?」

 

 外見だけで言えば、これまで倒してきたX-2と同じものだった。

 強いて言うなら飛び道具の類が一切装着されていない事。

 腰部に接続された一振りの刀 (ムラサメコピー)が存在するだけか。

 

 ―――だが違う。

 外側は同じでも中は別物だ。

 周囲の空間が歪んで見えるほどに熱量の有る殺意。

 そんなものは決してマシンに放てるはずがない。

 そして殺意を向けられるという事は敵対する存在である証。

 

(こいつ――――)

 

 美野里が思考する前に相手が動く。

 腰を下ろし片足を前へ出す。

 身体を捻りつつ半身だけを前に向けるように、手は剣の柄を握り締める。

 

 その姿……構えに覚えがあった。

 いつも宗吾が鍛錬で行っているものだ。

 初めて出会った時に見せたものと同じ。

 

 厳密に言えば記憶にあるものとは細部が異なる。

 美野里は詳しくないが流派とやらの違いだろう。

 だが方向性(コンセプト)はそう変わらないはずだ。

 

 すなわち、間合いに入った者を先んじて斬る迎撃態勢(カウンター)

 しかし距離は優に数十メートルは離れている。

 あんな場所で構える意味があるとは思えない。

 

 魔法系の攻撃なら防げないのは宗吾で何度か実践済みだ。

 何の意図があるのか美野里には読めず――――。

 

「――――マジかよ」

 

 何を意味するのか理解した宗吾が冷や汗と共に驚愕の声を発した。

 

 

 

《無想の型》*17瞳を閉じて気の流れで敵の行動を読み解く構え。

あらゆる光の状態によるペナルティを無効。

判定に成功すれば敵を切った直後も構え状態を維持出来る。

相手の回避と防御に威力分のペナルティ。

抜刀術における奥義とされる技。

《縮地Ⅲ》*18このターン、攻撃の対象を「1体」に変更する。

その攻撃の対象は回避判定に-[ランク×10]%の修正を受ける。

後列にいても攻撃が可能になり、後列に対する攻撃も可能になる。

ランクⅢ:「前列」を「1列」に変更できる。

《ムラマサコピー》*19敵単体に物理ダメージ。

3ターンの間ペルソナを使用できない

《封魔追加》*20通常攻撃・物理系スキル使用時、中確率で対象をCLOSEにする。

《剣神の武威》*21物理貫通を得る。自ターン開始時、次の連動効果が発動。

「味方全体を会心状態にする」

自身が生存中、味方全体は次の効果を発揮。

「自身が会心状態のとき、物理命中率が15%増加。

クリティカル時に与えるダメージが20%増加」

 

 

 ―――()()()()()()()()()()

 

 棒立ちの案山子5体目掛けて、神速を超えた居合が炸裂した。

 

 

 

 

―――新世塾基地・第2研究区画―――

 

 

 

\カカカッ/

剣士X-2・フツヌシLv86相性:全体的に強い、神聖・暗黒・神経・精神無効

 

 

機巧剣神フツヌシ VS 八瀬宗吾&若槻美野里

 

―――死 闘 開 始 ! ―――

 

 

 

 

 

 

 

*1
※真ⅢTRPG&タ■タ■コ■ボ

*2
※デビサバ2

*3
※誕生篇

*4
※真Ⅲ

*5
※真Ⅱ

*6
※200X

*7
※真Ⅳ

*8
※広い通路にまで引きずり込んで囲んで叩く必殺の罠

*9
※200X改変

*10
※200X

*11
※真1

*12
※偽典・世紀末サバイバルガイド

*13
※SH2

*14
※基本システム

*15
※200X

*16
※NINE

*17
※誕生篇

*18
※200X

*19
※P2

*20
※デビサバ

*21
※D2





・Tips

「金翅鳥王剣」
これまで積み重ねて来た経験を元にデスカウンターを改良・発展させたもの。
特に漫画好きとの模擬戦とマタドールとの死闘の影響が大きい。
いまだ完成はしていないらしい。
名前の元ネタは一刀流の開祖こと伊東一刀斎が師である鐘巻自斎から伝授された奥義の1つ。
様々な流派を学んだ宗吾であるが基本は一刀流の系譜であるので験を担いで名付けた。


「エイト・マハーヴィディヤーズ」
美野里が発現させたESP系超能力の極地。
これまで朧げな姿であったが、過去の顛末を知った事で完全覚醒を果たした。
手札として選んでいないスキル及び、“素では使えない”能力も含めて8つ使用可能。
最大で3体まで召喚可能な美野里の4体目の仲魔と言えるかもしれない。
名前の由来はシンガポールのメタル・バンド「RUDRA」のアルバム。





ジョジョが作中で存在しないのをいい事に勝手に出しちゃいました(

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