真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~   作:ジントニック123

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Fragment③

 

 

 

 

 


 

 

DD CHANNEL:【集え】剣術系スキル検証 意見交換スレ 6【剣士たち!】

 

 

 

345:名無しさん@LV上げ中

 どら○モ~ン、新しい必殺剣が欲しいよ~! 

 

346:名無しさん@LV上げ中

 どら○モンではなくドラ○もん

 

347:名無しさん@LV上げ中

 ド○エもんじゃないの? 

 

348:名無しさん@LV上げ中

 どうやらここも世界毎に違うらしい

 ちなみにこっちは○ラエモン

 全部カタカナだった

 

349:名無しさん@LV上げ中

 地元民としては複雑……って先生の出身地も違うパターンあるか

 

350:名無しさん@LV上げ中

 話がズレたけど新しい必殺剣が欲しいです、はい

 

351:名無しさん@LV上げ中

 修行しろ

 

352:名無しさん@LV上げ中

 稽古

 

353:名無しさん@LV上げ中

 鍛錬

 

354:名無しさん@LV上げ中

 トレーニング

 

355:名無しさん@LV上げ中

 今ある手札を必殺に昇華する

 

356:名無しさん@LV上げ中

 怒らないで下さいね、そんなもの教える訳ないじゃないですか

 

357:名無しさん@LV上げ中

 クソボケが―――っ

 

358:名無しさん@LV上げ中

 なめるなっメスブタァッ

 

359:名無しさん@LV上げ中

 ククク.ひどい言われようだな まぁ事実だからしょうがないけど

 

360:名無しさん@LV上げ中

 真面目な話、ゲームじゃないんだからそう簡単に行かないよね

 まともな方法じゃまずたどり着けない

 

361:名無しさん@LV上げ中

 飛び抜けた才能の持ち主か執念極まった輩でもないとな

 剣術に限らず歴史ある武術の流派にはそういった秘伝があるもんだが

 伝わってるだけで使えるかどうかは別

 

362:名無しさん@LV上げ中

 1から10まで理論は教わりました

 ……出来るかボケぇっ(実体験

 

363:名無しさん@LV上げ中

 人間辞めた程度では不可能なのもあると聞きます

 以前死合った方が愚痴っていました! 

 

364:名無しさん@LV上げ中

 秘剣魔剣の類なんてそんなもんだろ

 難しすぎて失伝だってザラだ

 

365:名無しさん@LV上げ中

 この世界の雲耀もそうだったって聞くな

 

366:名無しさん@LV上げ中

 一般剣士ニキは普通に使ってるけど、そんな簡単じゃねーぞあれ

 

367:名無しさん@LV上げ中

 前スレで聞いたら心で振るとか言ってたけどどゆこと? 

 

368:名無しさん@LV上げ中

 その後で身体でも振れるとかあって意味不明w

 

369:名無しさん@LV上げ中

 あ~……そういう事ね

 

370:名無しさん@LV上げ中

 理解した(理解したとは言ってない

 

371:名無しさん@LV上げ中

 分からなくも無いが……まあその通りね

 

372:名無しさん@LV上げ中

 つまりどういう事だってばよ? 

 

373:名無しさん@LV上げ中

 鍛錬しろ

 

374:名無しさん@LV上げ中

 鍛錬

 

375:名無しさん@LV上げ中

 鍛える

 

376:名無しさん@LV上げ中

 倒れるまで剣振って寝て起きて倒れるまで剣振って

 

377:名無しさん@LV上げ中

 いつの間にか出来るようになる*1

 これ別に雲耀に限った話じゃないけどさ

 

378:名無しさん@LV上げ中

 なるほどわからん

 

379:名無しさん@LV上げ中

 分からないなら修行だよ

 

380:名無しさん@LV上げ中

 ありふれた技だろうと極めれば必殺に届くのです*2

 

381:名無しさん@LV上げ中

 巻藁が大量発生しそうなのでタイミングもちょうど良い

 

382:名無しさん@LV上げ中

 巻藁(ヤクザ)の事ですね分かります

 

383:名無しさん@LV上げ中

 え、あの噂マジだったの? 

 冗談だよね??? 

 

384:名無しさん@LV上げ中

 反社が国軍とは終わったな日本

 

385:名無しさん@LV上げ中

 クーデーター確実ですわ

 仕事人スタイル止めて動かなきゃならんかも

 

386:名無しさん@LV上げ中

 はーつっかえ! 

 日本の政治家には失望しました

 

387:名無しさん@LV上げ中

 むずかしくかんがえるな

 ぜんぶぶっころせばいいんだ

 

388:名無しさん@LV上げ中

 思考停止やめい

 

 

 

 


 

 

 

「どうなるのかね実際。

 良いヤクザなんて映画の中だけだろ」

 

「社会的に何とかするって佐々木さんは言ってたかな。

 まー間違いなく大騒動になるだろうけど」

 

「ヤクザ絡みの大戦争とか香港時代思い出すなぁ……。

 色々と準備し解かねーと」

 

「ならウチのパシリも使ってよ。

 退院したけどレベル下がってリハビリ必須だしさ」

 

「言い方酷いな千束ちゃんも。

 ならついでに新技の練習にも付き合ってもらうか」

 

「死なない程度に扱き使ってねー」

 

 

 同刻、とある金髪の銃使いが派手にくしゃみをするのであった。

 

 

 

 

 

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「Fragment:かつての日々、これからの日々」

 

 

 

 

―――〈現行周回 都内某所・須摩留組借屋〉―――

 

 

 

 カタカタとキーボードをたたく音がしていた。

 それに合わせてPCに接続された眼鏡型デバイスの電源ランプが点滅を繰り返す。

 何らかの作業が行われている証だ。

 普段ならセキュリティの関係で機能停止しているが、今はその様子も無い。

 

(ま、当然の話か)

 

 持ち主である美野里が見つめる先には、鼻歌を歌いながらロックを解除する少女の姿がある。

 如何に学園都市のスパコンであろうと、彼女にとっては単なる高性能な玩具でしかなかった。

 

 

「にはは、楽勝ですねこんなの! 

 後はたったの5()()()くらい? 

 あのクルーシュチャ方程式(目が疲れるパズル)に比べれば全然ですね~」

 

 

\カカカッ/

ハッカー黒崎コユキLv45

 

 

 自分とクルミが悪戦苦闘しても駄目だった鍵が恐ろしい速度で開かれていた。

 

 それを成すのはピンク髪に小柄な体躯の少女―――黒崎コユキ。

 美野里がずっと探し求めていた人物。

 手間のかかる後輩であると同時に派閥の運営人員(セミナー)の1人。

 “開く者(パンドラ)”―――欲望の匣(デザイアディスク)を開いた乙女の力を持つ者。

 

 例えどれだけ厳重な封印であろうとも関係ない。

 それが電子的なものある限り、彼女は息を吸うように解いてしまうのだ。

 分かっていた事だが、改めて見るとその凄まじさに寒気が走る。

 

 まさしく文明社会の申し子にして禁断の存在。

 とある凄腕DBの庇護下に無ければ色んな意味で安心出来ないのは間違いなかった。

 

「総数3億越えのロックもあんたにかかっちゃハリボテか。

 ―――これでその倫理観がまともなら言う事無いのに」

 

「いやー私のアイデンティティみたいなものですし? 

 それに最後は制裁されてたんだからいいじゃないですかアダダダイタイイタイ!!」

 

「そもそもお約束になるまで繰り返すな問題児。

 何度あんたを締め上げたさせられたと思ってんの? 

 10や20じゃ絶対利かないわよ」

 

 とりあえず脳天締め(アイアンクロー)を浴びせる。頭蓋からミシミシと軋む音がするが構わない。

 一見すれば過剰だが、悪魔人間で頑丈な事を考慮するとこれでも軽めなのだ。

 少なくともマシンで撥ねたり踏みつけてジャンプするよりはマシなお仕置だろう。

 

 知り合って以降、呆れるほど繰り返したやり取りだ。

 力加減を謝る事はまず無い。

 そして―――このやり取りがまた出来るとは、正直思っていなかった。

 

「……今更だけどさ。あんたもノアさんも、他の皆も生きてくれてて良かった。

 本当の本当に、心の底からそう思ってる」

 

「にはは、私も同感ですけどしんみりした口調でお仕置続行は止めてぇっ! 

 音が! 音がミキミキって変わったから!!」

 

 お仕置から解放されると同時に荒い息を吐きながらコユキは崩れ落ちた。

 レベルはかなり上がっても、やはり耐久力はそれほどでもないらしい。

 

 ちなみにこの借家には2人以外誰もいない。

 それぞれ所用があって外しているところだ。

 ……前科を考えれば、仮にいたとしても誰も止めはしないだろうが。

 

「うう、ミノリ先輩のおにー! きちくー! 尻型安産体型! 

 自分だってかなりやからしてた癖にー!」

 

「うっ……それを言われると痛いわね」

 

 美野里は少し目を逸らしながら自分の頬に触れた。

 先日、お互いの関係者と共に話し合った際に派手に殴られた場所だ。

 既に傷も痕も無いがあの痛みと言葉は忘れられない。

 

『……気持ちは理解しますが、何も言わずには駄目でしょう。

 これは貴女の後輩とイオリの分です』

 

 巻き込む訳にはいかない、責任は自分で一人で全て背負う。

 そう考えて動いた果ての自業自得な結末。

 せめて残される者に何か伝えるべきだった―――今更過ぎる後悔である。

 

「―――ねえコユキ。あの時は聞かなかったけど、あんたは私に何か思う所は無いの? 

 普段から偉そうに説教しておいて、1人で何馬鹿な事やってたんだって」

 

 

 

 

 

 

 

 

「??? いえ色々と納得だなーって。

 だってキレた時のミノリ先輩なら何してもおかしくないですもん。

 周知の事実ですよ、ひょっとして自覚無かったんです?」

 

「おいこらそこに直れこのスカタン」

 

 

 

 拳を振り上げた時点で、問題児(コユキ)は家具の影に隠れるように逃げていた。

 

 

「だってだって、例えばトレインジャックの時とか! 

 鉄道科(ハイランダー)の制止振り切って廃棄予定の列車で突っ込みましたよね!? 

 掟破りの須摩留スペシャルラインから複線ドリフトまでやからして!!」

 

 コユキが言っているのはかつて須摩留で起きた事件。

 都市内を走る輸送列車が制圧(ジャック)された時の話だ。

 詳細は不明だが偽装した貴重品を運んでいたらしく、それを犯罪集団に狙われたのだ。

 紆余曲折の末に犯人は全員捕縛したものの、しばらく一部区間が使い物とならなくなった。

 

 ―――原因は美野里が無理矢理行った運転による被害の影響である。

 

「あれは犯人共が私を光輪無しとか散々煽った挙句、後輩の子たちまで虚仮にしたから。

 あんな舐めた連中逃したら駄目でしょ」

 

「じゃあエレクトリック・マーケット*3でロケランぶっ放したのは?」

 

「リミッター外れたサイバーウェア装着した馬鹿が狂人(サイバーサイコ)化して仕方なく。

 ……イオリが怪我したあたりでぶっつんしちゃったけど」

 

「“J会”*4の連中が須摩留市立高校(ゲヘナ)*5にちょっかいかけた時は?」

 

「あいつらが使役してた悪魔ごと施設を爆破したけど、あの辺じゃ日常茶飯事だし別にいいかなって。

 一応風紀委員の仕事増やしてキレさせたのは悪かったと思ってる」

 

「……聖アンドレア学園(トリニティ)*6管理下の名泉から生徒会役員(ティーパーティ)の承認抜きに聖水汲みに行った件」

 

「妙な呪い喰らった子の解呪するのにどうしても必要な触媒だったから……。

 あの連中どんなに交渉しても無駄で頭に来て、結局に力技になったのよね」

 

 口を開くたびにコユキの表情がどんどん微妙なものとなる。

 この場に他の知り合いたちがいれば同じような顔になっていただろう。

 

「――――ほらぁあっ! そういう所ー!! 

 ぶっちゃけミノリ先輩も人の事とやかく言えませんって絶対! 

 最後には何とか解決するから特に騒がれなかっただけで!!」

 

「自分から犯罪行為したのは最後だけだからいいでしょ! 

 あんたみたいに日常茶飯事じゃないっての!!」

 

 ちなみに、工科大学を襲撃したのが美野里だと聞いた時、天の絆学園(ミレニアム)の先輩であるノアの顔が思い切り引き攣っていた。

 可能性として考えていても、心の底ではそこまでやると思っていなかったのかもしれない。

 

「いやデモニカのついでにタイムマシン・レジスターまで盗むのは派手過ぎですって~。

 アレの開発費用見ましたけど洒落になりませんもん。

 むしろよく盗めましたね。いくら何でも警備ザル過ぎかなって」

 

「……今思うと、あれは出来過ぎな気もするわね。

 何で射殺されなかったか不思議なくらい。

 ひょっとして生徒会長が仕込んでたのかも。

 ―――私を使い捨てにして本命の作戦を通す為とか」

 

 状況の混乱にブラッディの攪乱もあっただろう。

 それでも多勢に無勢かつあまり詳しくない施設への襲撃。

 一介の学生では成功する可能性などかなり低かったはずだ。

 当時は特に疑問に思わなかったが、よくよく考えるとおかしな点が幾つもある。

 

 それを生徒会長―――あらゆる分野に精通したあの超人が仕込んでいたのなら。

 自分の暴走さえ計算に入れてワザと警備を緩める、などという事も朝飯前だろう。

 実際、自分が無謀極まりない単騎特攻をした事で周辺悪魔たちが引き寄せられ、アバドンゲートへの突入が相当スムーズに済んだと聞く。

 

 もしそうだとしたら内心複雑極まりないが……文句は言えない、言う事も出来ない。

 

 その選択を選んだのは若槻美野里という少女自身だ。

 誰に強制された訳でも無く、己で考えて行った事だ。

 そもそも遥か過去で学園都市と運命を共にしている。

 

 だから―――生き残った者として。過去を引き摺りながら前に進むしかないのだ。

 

「ま、これで後はシャノワールとブラッディが見つかれば万々歳なんだけど。

 …………本当にどこ行ったんだか」

 

「あのワンニャンコンビ、いっつもミノリ先輩と一緒でしたもんねー。

 案外ひょっこり顔出すかもしれませんよ。

 私たちもそうでしたし」

 

 

 この数十分後、コユキは全ての機能のロック解除を果たす事となる。

 なお集積データの中には美野里の知らないコユキのやらかし(横領した資金でギャンブル)まで存在したので、帰って来た面子と共に追加のお仕置が下されたがそれはまた別の話である。

 

 

 

 

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「Fragment:前奏曲あるいは狂騒曲」

 

 

 

 

―――〈現行周回 都内某レルム〉―――

 

 

 

 

 “花鳥風月”と呼ばれる組織が存在する。

 

 混乱期の隙を突き、現ガイア勢力の総本山となった悪魔系暴力団“八部連合阿修羅会”。

 そこに最近加わった神降ろしの古興宗教団体だ。

 

 秘神を中心に崇める宗教とあるが、その実態はいわゆる因習村案件。

 適性の有る依り代―――主に高レベルの少女―――を用いた秘神の悪魔人間合体を行う外道集団である。

 

 誕生の切っ掛けは全国各地で発生した魔丞誕生に秘神の復活。

 それに対し何故か一部有志のDB達が叩き潰し始めた事で、秘神を祀っていたカルト組織や秘神自体が危機感を抱いたのが始まりだ。

 そうした経緯で彼らは徒党を組み、DBを始めとする敵対者への対抗手段としてレベルの高い人間と憑依合体を行う事で戦力を確保する方法に出た。

 

 本来は脆弱にしかならない筈の悪手は、インフレする現環境と依り代の厳選。

 そして優れた腕を持つ合体師の存在により優れた妙手と化した。

 ―――少なくとも依り代となった人間以外には。

 

 今ではそうやって得た戦力を中心核に、魔丞の生き残りを含めて秘神や各地のヤタガラスが維持していた封印を掘り返し回収を行っているのが現状だ。

 では、依り代を集めるのはもう止めたのか? 

 そう問われると答えは否である。

 

 何せ戦力は幾らあってもいいのだ。

 使えるものは使うし、いざとなればMAG電池など他の使い方も十分にある。

 

 

 

 ―――だからこそ。

 

 

 

「死ぃんでぇっ! くれやがりませぇっ!! 

このド級の変態、ド変態どもがぁっ!!!!」

 

 

 

《フィジカルエンハンスⅡ》*7剣・ガン(物理)相性の習得済みスキルを指定する。

「属性攻撃」に対応する相性へと変更。

発動済み⇒突撃相性へと変更。

《クエイク》*8物理属性(相性)⇒突撃相性へ変更済み。

攻撃対象とした敵と隣接する敵にもダメージ。浮遊する敵には無効。

大地を揺るがす()()()()()()

愛する人をどこまでも探し続ける思いの証。

⇒現段階ではマップ内(1区画)まで劣化中。

⇒運命と再会した時、その力は限界を超えるだろう。

《虐殺者》*9全体およびランダム攻撃スキルで与えるダメージが10%増加する。

「馬は蹄の音を立て」*10

牛馬の蹄を持つ悪魔、またはそれに騎乗した悪魔の特徴。

突撃相性・属性のスキル使用時、威力が50%上昇する。

 

 

 大地より伝わる破壊振動が愚か者たちを文字通り粉砕した。

 

 

「そんな、シャド――――」

 

 断末魔の声さえ残す事を許さない超長距離範囲攻撃。

 近くにいた者も逃げようとした者も等しく同じ運命を辿る。

 最終的に原型を留めていたのはほんの一握りと言った程度。

 

 こうして彼らの目的は果たされる事無く終わりを迎えた。

 

 そして―――このように返り討ちに遭うのは特段珍しい話でもない。

 

 むしろ、環境に追いつく為に高レベルの人間を求めるならそうなる可能性の方が高いほどだ。

 なのでこうした役目を回されるのは質の低い、使い捨てにしても構わない者たち。

 食いしばれた者が居ない事からもそれが伺える。

 

 もっとも襲われる側からすれば実に面倒な話であったが。

 

「まったく……いくら私が可憐な美少女だからってこれは無いでしょう。

 そもそも私の全ては先輩専用なのに。

 ―――いや、それだけ魅力が増したと考えるなら先輩も十分悩殺できるという事でつまり再会合体ゴールインは確定という事なのでは!!?」

 

 何やら妄想交じりの呟きと共に、ターゲットとなった人物が巻き上がる土煙の中より姿を現す。

 

 白を基調としたドレスのような衣装。

 一度巻いて垂らした服と同じ色のサイドポニー。

 獣の耳と額部分から延びる一本の角、紫水晶(アメジスト)のような瞳。

 

 そして一度見れば誰もが忘れられない、恐ろしく整った容姿。

 

 ―――仮に。

 ここに漫画好きと呼ばれるDBとその関係者が居れば驚愕するだろう。

 すぐさま戦闘態勢へ移るかもしれない。

 

 何故なら彼女の姿はかつて倒した強敵と瓜二つであったからだ。

 楼極島と呼ばれる人工島を永遠の監獄へと変えていた純潔好きの悪魔。

 世界の裏で暗躍する邪神の化身にして人間を嬲り弄び嘲笑う文字通りの畜生。

 

 ノアの箱舟にて新世界へ向かう事を拒絶されし傲慢なる幻獣―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ヒヒン! 脳内ピンクが私の力を勝手に使うなぁっ!!

 穢れ切ったアバズレが刺し殺すぞぉっ!!』

 

「生憎と処女で穢れてなんてないですよハイ論破っ!! 

 そもそも私に挿して良いのは先輩だけです!!!!」

 

『万歩譲っても何で24時間そればっかり考えられる色欲塗れぇっ!? 

 ゴミのような情報を私の意識にまで垂れ流すな!!!!』

 

 

 

 

\カカカッ/

チャネラー*11九条ななみLv54

 

\カカカッ/

聖獣ユニコーン(変身中)Lv66

 

 

 

 

 ……それが、もの凄い形相で一人芝居をしていた。

 正確に言うのであれば変身者と契約した悪魔の口喧嘩だ。

 もし片方の声しか聞こえない状況であれば黄色い救急車が呼ばれる案件だろう。

 

「勝手に私のユニコーンちゃん*12に憑りついた悪霊ポジの癖になんて暴言……! 

 悪魔に人権があったら訴訟してる所ですよ主に名誉棄損で」

 

『こっちは精神的苦痛による逆訴訟で勝つ自信がある。

 気付けば普段からお前の言う先輩が頭に浮かぶようになってしまいましたので。

 ……悪魔を逆汚染するとかマジで何なんですかお前?』

 

「まさか―――貴女も間女とは。

 くっ、先輩の魅力を布教した私のミスか……っ!! 

 この泥棒牛め!! モーモー鳴いて雌牛プレイするつもりですね卑しい!!?」

 

『異次元に思考を飛ばすな、色んな意味で違うし卑しいのはお前!! 

 第一私のどこが牛だ実は違うもの見えてるんですか眼科、いや脳外科にでも行ってこい!』

 

「馬鹿ですねぇ、だってユニコーンって偶蹄目でしょ。

 つまり馬じゃなくて牛とかの仲間なんですよ。

 ヒヒンじゃなくてモーって鳴くべきで―――――」

 

 

 そこまで言うと少女は変身中の自分の姿を見た。

 正確には―――まっ平らな平原の広がる部分を。

 

 

 

「―――メス牛のくせしてどうしてペチャパイのままだオラぁっ! 

 巨乳でご奉仕するイメトレが無駄になるじゃないですか!!?」

 

 

 

『キレ方理不尽過ぎでしょう!? 

 そもそも必要ないだろこの永遠のロリ体型!!』

 

「未来は未定、先の事なんて誰にも分らないもん……っ!」

 

 

 

 

 傍から見るとコントになっている主従(?)である。

 普通なら契約破棄どころか殺し合いになるものだが、少なくともその兆候は見られない。

 ひとえに契約者の才能が破格なのか、別の要因があるのか、あるいはその両方か。

 

 とにかく少女―――ななみは周囲に敵の気配がない事を確認してから変身を解除する。

 一瞬の光の後に現れるのは先程とは正反対の黒を基調としたドレスを纏った姿。

 容姿はやや幼くなったが絶世の美少女である事は変わらず……胸も同じだった。

 

 その事実にため息をつくと同時に、聞こえて来るのは複数の重い足音。

 おそらくこのレルムの警備担当だろう。

 戦闘音を聞きつけてすぐさま駆けつけて来たのだ。

 

「あー、せっかくの休みだったのに最悪。

 今日は1日中先輩の童貞臭辿れそうだったのに。

 あとちょっとで場所が掴めそう」

 

『最初に言い出した時はとうとう狂ったと思いましたよ。

 お前の嗅覚はどういう仕組みしてるんですか……?』

 

「これは嗅覚じゃなくて第七感(セックスセンス)です」

 

『アッハイ』

 

 その表情にはひどく面倒そうな色が浮かんでいた。

 間違いなく事情聴取で時間を取られるからだ。

 被害者とはいえ、レルム内で戦闘を行ったのだから数十分で済むはずもない。

 

 それはななみからすれば最優先事項を邪魔されるに等しい事だった。

 なにせ、愛しの先輩を探す時間は金より貴重なのだから。

 それでも今後を考えれば無視して逃げるという訳にはいかない。

 

 苛立ち混じりに、ななみは足元に転がる者たちを睨みつける。

 

 

 

 

「―――何なんですかね、この“シャドウガーデン”って奴ら」

 

『ド級の阿呆、ド阿呆とか?』

 

「諦め悪そうですねー」

 

 

 ブーメラン、という言葉をユニコーンは飲み込むのであった。

 

 

 


 

 

 

 

 

「要するに―――狂人(シャドウ)を勝手に信奉する奴らの集まりよ」

 

「冗談上手いな……え、いや本気で言ってる???」

 

『下手なジョークプログラムでもマシな回答を出力するかと』

 

 

 

\カカカッ/

デビルシフターサロメLv64

 

\カカカッ/

強化人間ダイLv50

 

\カカカッ/

マシンカルラLv57

 

 

 

 信じられない、と言った口調で1人と1体が視線を動かす。

 

 先にいるのは蘇生され専用の留置所へと連れて行かれる犯罪者の姿。

 ここ最近のヤクザ退治の仕事で追っている者たちの一部。

 通称“シャドウガーデン”―――花鳥風月の手足として動く下部組織。

 

 そしてサロメの所属する“ブラックフェンド”が追う狂人シャドウの部下たちだ。

 

 レルムでのレイド以降も度々姿を現し、あらゆる勢力に襲撃を仕掛ける怪人物。

 彼女と共に活動する中でダイも何度か刃を交えている。

 その関係で現在は何故か阿修羅会の傘下にいる事も知ってはいた。

 

 だが、言ってはなんだがあのような男に部下がいるとは思いもしなかった。

 どう考えても人を従えられるタイプではない。

 まともな精神をしていれば近づきたくもない。

 

「私も信じたくないんだけどさ……。

 あいつの意味不明な行動で結果として助けられた連中が主みたい。

 ……新興宗教の教祖みたいにサイコな奴の言葉を信じちゃったのかな?」

 

 ダイとカルラはまだ知らないし話せていない事だが。

 シャドウはブラックフェンド―――エデンの一員である。

 つまりはサロメの仲間という事だ。

 

 実際には誰も仲間と認めていない上、隙があれば殺そうとしているが一応はそうだ。

 

 阿修羅会に潜入したのも勝手に動いた事であり、何の指示も下されていない。

 スパイのように情報を一方的に流して来ているが、信憑性が薄いのが大半だ。

 同僚たちの中には始末されてくれないかと本気で祈っている者も居るほどだ。

 

 ―――そんな男に部下と来た。

 

 まず頭の心配をされ医者を手配されるレベルである。

 報告した時は実際洗脳か病気を疑われてしまった。

 

「十中八九都合のいい肉盾として使ってきそう。

 あいつの事だから現地人(カカシ)扱いで顔も名前も全く覚えてないと思うわ」

 

「下手すりゃ部下って事自体認識してないかもな。

 ……女の子1人に返り討ちにされるくらいの練度なのが救いか」

 

『バディなら危ないかもしれませんがね。

 とにかく今はそういった者たちが居るという事だけ把握しましょう。

 ―――阿修羅会の動向からして、近い内に動くかと』

 

 

 最近裏で流れているとんでもない情報。

 阿修羅会を―――ヤクザを国軍として認めるという狂気の法改正案。

 対セプテントリオンに備えた限定的なものだが……有り得てはいけない事だ。

 反社会勢力が公権力を持つなど悪夢でしかない。

 

 しがらみを嫌い民衆に紛れるスタイルを好む大勢のDB達。

 新世塾を中心とした公権力内に潜む一部の政治家(ガン)

 これまでに2度あった怪獣の襲来と悪化し続ける治安。

 

 あらゆる要素が合わさり最悪な事態になろうとしている。

 これはそもそもが一介の漂流者でしかないダイではどうしようもない。

 なのでそちらは回避に動く者たちに任せるしかない。

 

 結局の所―――出来るのは戦う事だけなのだから。

 

「とりあえずオレらは議会の日に備えておくけど。

 ……そっちはどう動くんだ? 

 答えられないなら言わなくてもいいぞ」

 

「……阿修羅会と裏で動いてる新世塾の連中は叩くって聞いてる。

 まあ私は下っ端だし状況に合わせて動くかな。

 たぶん勝手に動いても文句言われないと思う」

 

『では此度も共闘出来ることを祈っていますよレディ』

 

 

 ダイは思う―――大した事にならずに終わってくれる事を。

 

 カルラは計算する―――想定されるあらゆる事態を。

 

 サロメは願う―――いつか、彼らに本当の事を話せる事を。

 

 

 運命の行く先は神さえも知らぬ所にあった。

 

 

 

 

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「Fragment:獣は静かに牙を研ぐ」

 

 

 

 

―――〈現行周回 某非合法レルム〉―――

 

 

 そこは朽ち果てた神社だった。

 荒れ果てた境内とボロボロの本殿。

 参拝客など来るはずもない、寂れて忘れ去られた神域。

 

 ヤクザの影響が強い非合法レルムだ。

 本来であれば浮浪者のたまり場となっているのは予想に難くない。

 しかし、現実として―――そこに人の気配は殆どない。

 

 場所を知っていても誰も足を運ばない。

 無意識に別の方向へ向かい避けてしまう。

 別に人払いや認識阻害の結界が貼られている訳でもないのにだ。

 

 ―――()()()()()()()()()()()()だと誰が知ろうか。

 

 まさしく天然の敵避け(エストマ)

 獣の縄張りに足を踏み入れられるのは勇気ある者か底無しの愚か者のみ。

 だからこそ―――。

 

 

「へへへ、分かっていますとも()()()()()()()()()

 アタシらのような三下に仕事をくださったんでさぁ。

 精一杯やらせていただきますとも」

 

 

 月光の下、色の剥げ落ちた鳥居にもたれるこの男は果たしてどちらなのか。

 

 卑屈な笑みを浮かべた、チンピラとしか言えない風体。

 滲み出る雰囲気はまさしく小物のそれ。

 現に、専用の携帯電話で連絡をする声音は全力で媚を売っている物。

 

 まさに吹けば飛ぶような存在。

 このレルムどころか国中探せばありふれている筋者だろう。

 そんな者がこの空間で平然としているという事実を、誰も知る事が出来ない。

 

「あのシャドウとお友達共はしっかり見張ってますよ。

 繋がってるだろう連中はちと追えませんが……異変があればすぐにでも

 ええ、それじゃあまた後日」

 

 報告を終えると男は立ち上がった。

 卑屈な笑みを浮かべたまま、いつの間にか持っていた杖を使って。

 

 そのまま向かうのは境内の外れだ。

 やがて耳に音楽が入り込んで来る。

 おそらくスマホで再生されたもの。

 

 ここ最近は活動停止中のアイドルグループの曲。

 確か《Wandering Dream Chaser》だったはずだ。

 

「へへへ……すっかり覚えちまったなぁ」

 

 男はアイドルというもの自体に興味は無い。

 しかし普段から聞いていれば嫌でも覚えるというものだ。

 なにせ、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ゆっくり歩いて、抉れた地面を踏みしめながら。

 丁度曲が終わったあたりで男は口を開いた。

 

 

「それで、どうでやしたか? 

 アタシの知る限り、連中の中じゃレベルは一番高めでしたが」

 

 

 

 

 

 

 

 

「つまらん―――児戯(ぬるげぃ)にすらならんだわ」

 

 

 

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 それなりに長身である筈の男が見上げなければならない巨体。

 赤褐色の肌に盛り上がる筋肉と幾重もの傷痕。

 風にたなびく白髪の下には膨大な熱量を宿した瞳がある。

 

 生半可な存在では呼吸すら不可能になる威圧感。

 それを浴びてなお、男は笑みのまま足元を見る。

 何も残ってはいない。肉片どころか血痕さえも。

 

 つまり、跡形も無く蒸発したのだろうと理解する。

 

 男の言う連中―――シャドウガーデンで最も高レベルの女だった。

 暴走の兆候があり、()()()()()()捕縛してここへ連れて来たのだが……。

 どうやらサンドバッグにすらならなかったらしい。

 

 ―――だが、それにしても。

 

「にしちゃあやけに力入ってやしませんか? 

 いつもなら一部くらいは残ってますでしょう。

 ひょっとして……()()でも言いやがったんですかね、あの女?」

 

「…………」

 

 巨躯の人物は視線だけを寄越す。

 それだけで十分過ぎる程分かった。

 

 どうやら“Straylight”の―――それも黒髪の少女を貶したらしい。

 

 以前、落ち目のアイドルなどと宣った輩は1秒後に消し飛んだ。

 そうでなくとも曲を聞く邪魔をしただけで激怒するのだ。

 地雷を踏んでしまった生贄(サンドバッグ)については記憶から消去し本題を切り出す。

 

 

「―――そろそろ祭りの時期との事です。

 大将の方も秘神狩り狩り(どさまわり)は飽きたでしょう。

 いっちょ都会で派手に暴れましょうや」

 

「別に()()()()()との殴り合いはいつも楽しいのだがな。

 まあいい、お前もやりたい事があるのだろう。

 オレのお守りではなく好きに動いていろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、我が鍛えし“凄拳”―――どこまで通用するか楽しみだ」

 

 

 

 天に拳を掲げ、獣のように歯を剥いて嗤う。

 

 戦後最大規模の同時多発国内戦事変。

 後に“混沌の奇禍事変”と呼ばれるその日。

 

 ―――東京に1匹の魔獣が放たれる事が確定した。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
※誕生篇 「特技の鍛錬」すでに習得している格闘の特技から2つ選んで、MPではなく同量のHPを消費して使用できるようになる。どちらを消費するか使用時に選んでもよい

*2
※ 200X《特定スキルの強化》

*3
200X 須摩留新市街ビジネス街にある地区。非合法な商品も売られている。

*4
※200X 須摩留旧市街で力を付けつつある暴力団。須摩留の歓楽街はJ会が牛耳っている。

*5
※200X 須摩留の旧市街に存在する在来の高校。

*6
※200X 私立の寄宿制ミッション校。周辺府県の名家の女生徒だけを預かる名門

*7
※200X

*8
※RONDE

*9
※D2

*10
※IMAGINE

*11
※真ⅢTRPGにおいてチャネラーは悪魔変身者として扱われる

*12
アマラ深界において白饅頭っぽいブローカーから購入。なおその際に守護霊であったアクアンズを売り払った





・Tips

【エレクトリック・マーケット】(200X 異形科学出典)
新市街のビジネスタウンに存在する区画。
市民に配布されたコミュニケーション・プレイヤー(略称COMP)を通して
AR(強化現実)による情報提供を受けることが出来る。
COMP用のARメガネを使用する人が多いため、メガネ・ストリートとも言われる。
専用のゲームセンターやアミューズメント・パークが軒を連ねる他、ハイテクグッズを専門に扱う商店やゲームショップ、パソコン量販店などが多数並び、北陸の秋葉原と呼ばれる事もある。
エレクトリック・マーケットは裏通りに存在し、非合法な商品も売られている。

【須摩留市立高校】(200X 異形科学出典)
須摩留の旧市街に存在する在来の高校で、須摩留周辺の一般的な学生たちが通学する。
作中世界では“ゲヘナ”と呼ばれる三大学園の1つ。不良生徒が多い。

【聖アンドレア学園高校】(200X 異形科学出典)
明治時代に須摩留の山中に築かれた私立の寄宿制ミッション校。
周辺府県の名家の女生徒だけを預かる名門女子高で、男子禁制の花園としか知られていない。
作中世界では“トリニティ”と呼ばれる三大学園の1つ。お嬢様学校。

【天の絆学園高校】(200X 異形科学出典)
中高一貫の大型私立校。
新市街にある複数の学校を統合したもので日本各地からスカウトした異能の才能を育成し、一流の技術者やクリエーターに育てる事を目的としている。
須摩留における超能力開発の拠点であり、異能の才能が多数在籍する。
作中世界では“ミレニアム”と呼ばれる三大学園の1つ。事実上、須摩留の中心部。

◎登場人物紹介

・チンピラのような男
《花鳥風月》傘下のヤクザ。
卑屈な態度の小物、どこにでもいるチンピラのようにしか見えない。
現在はシャドウとその部下の監視役をしているが、どう考えても使い捨ての駒。
ただそれはそれとして別の目的があるらしい。

・巌の如き巨躯を持つ人物
ヤクザであるらしいが正体不明。
秘神を狩るDBたちと戦っていたらしく、カーナッキとも交戦経験がある。
―――“凄拳”を持つ魔獣。


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