真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~ 作:ジントニック123
その日、戦後日本における最大規模の同時多発
市街のあちこちで、全国で、民衆に紛れていた外道共による暴力と悪魔を使った一斉蜂起。
そしてこれを予期し備えていた者たちとの武力衝突。
“混沌の奇禍事変”、“緑血の議会”、“蛭間総理の大暴挙”、“混沌戦争”、“
後の世において様々な呼ばれ方をするこの内乱ではともかく夥しい血が流れた。
なにせ戦後以降の対人戦闘において、過去最多となる死傷者が出たからである。
対応に回った政府側の人間、フリーの覚醒者、主犯たるヤクザ、そして何も知らない一般人。
犠牲となった者に区別は無く、これを災害と捉えるならばある意味で平等な試練とも言えた。
―――最も、災害は災害でも“人災”であるのは笑い話にさえならないが。
ともかく、誰もが傷付き血を流す歓迎せざる騒ぎなのは間違いない。
同時にこれは、
そもそもの話、現在の日本人は間近に迫る脅威を正しく認識していないのが殆どだ。
上がり続けるGPによる高位悪魔の出現。
暗躍し続ける各勢力や個人による犯罪。
流通および交通制限による弊害の数々。
更には2度に渡るセプテントリオン襲来。
各方面での情報規制もあるが、いずれも対岸の火事として認識している。
それでは駄目だ、最終的に詰んでしまう。
国民全体で危機感を共有しなければ脅威を乗り越える事は不可能だ。
だからこその荒療治。
悪魔という脅威と存在を正しく知るために必要な惨劇。
ヤクザ相手にこれ以上のリソースを取られない為という理由もありこの非情の策は取られる事となる。
―――無論、そう簡単に事は運ばない。
【日本静止作戦】と称されるヤクザ側の計画。
その始動として非合法レルムの住人たちを予め仕込んでいた超電磁結界により虐殺し、得られた大量のMAGと霊的地場を以って強化された秘神を全国各地33か所へ召喚するという蛮行が成されてしまった。
更には21体の魔丞を用いた徳川曼荼羅の反転による都内での自軍の強化と敵勢力の弱体化。
傘下である花鳥風月が呼び込んだ三大妖怪改め三大化骸の進行。
加えて新世塾と魔人煉業の一部による聖華学園への襲撃までもが発生した。
まさしく混沌とした状況。
全国、特に東京全土は片時も気の抜けない鉄火場と化す。
故に―――彼らもまた動き出す。
「予想してたより随分派手なこった―――斬り甲斐があるなぁっ!!」
「言っとくけど
あたしも久しぶりなんだけど!!」
「いやはや退屈しないね……千束とは合流も難しいし、オレもそっちに付き合わせて貰おうか」
「んんん~~っ、ちょっとだけ先輩の
ごめんなさいセイト先輩、貴方のななみはまだ会えません!!」
ある者たちはとある和風喫茶店から飛び出し、近隣の外道を蹴散らしながら戦場へ向かう。
『敵影補足―――オープンコンバット!』
「これは、流石に予想外かも―――!?」
「数もそうだが
他のDBと合流して叩くぞ!! ポンコツはルート検索、サロメは道を切り開いてくれ!!」
ある者たちは囲まれる事を避けつつ、他の集団と合流を図る。
「――――ふぅむ」
「ヘヘヘ、それじゃ一旦別れましょうか大将。
……アタシも行かなきゃならん所がありやすんで」
そしてある者たちは静かに舞台へと降り立った。
ここに―――極道及び新世塾との最終決戦が幕を開ける。
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―――東京都墨田区押上。
日本最大の人口建造物である東京スカイツリーが存在する観光スポットの1つ。
建設にあたって総事業費約650億円という費用が注ぎ込まれた電波塔は、東京の新たなシンボルにして通信インフラ面においても重要な役割を果たす施設である。
よって恵比寿と同様に治安悪化の影響は避けられず人の行き来は少なくなったものの、警備自体はより厳重なものとなっている。
しかし現在―――その周辺には恐ろしい光景が広がっていた。
| 軍勢 | ジャンキーの群れ | Lv72 |
| 軍勢 | ちんぴらの群れ | Lv67 |
| 軍勢 | ガイアーズの群れ | Lv85 |
奇天烈に入り乱れた建造物と道路上で咆え続ける外道狂人の数々。
中には麻薬―――
総数にして数百人を優に超えるヤクザたちが電波塔を占領し周辺を囲うように展開している。
―――抗戦の果てに倒れた警備員と仕事を休めず巻き込まれてしまった従業員の姿もあった。
彼らの目的はただ1つ。
背後にそびえる電波塔、そこに運び込まれた
正確には《愚瓶》と呼ばれるそれは暴力、略奪、凌辱、破壊、激怒、憎悪、熱情。
そういった欲望をかき集める事で作られた負の坩堝にして結晶。
都内に計21個存在し、徳川曼荼羅を反転させる要となっている。
つまりヤクザとっては勝利への生命線。
何としてでも守り通さなければならない物である。
「クソ、邪魔くせぇ……っ!」
「マッパーもエストマも効果がない!
このままじゃ埒が明かねぇぞ!!」
故に情報を受け取ったDB達が集合し攻め続けているが、結果は芳しくない。
敵が強化されているのもそうだが、理由は他にもある。
1つは地形の変貌と状況把握の困難。
現在の電波塔及びその周辺区域は《愚瓶》による大量のMAGないしマガツヒの吸収の影響で、物質世界から精神世界よりに傾いてしまっているのだ。
これにより建物の位置も道路も何もかもが滅茶苦茶となり、既存の地図情報がまるで役に立たない。加えて情報妨害もあるのかマッパーも効果を発揮しないという有様である。
なので手探りで少しづつ経路を開拓するしかなく、それも四方から敵に叩かれる以上なかなか進まない。
そして2つ目が―――。
| 秘神 | 新化カハク | Lv82 |
| 《アクアリータイド》*1 | 敵全体に水撃属性で大ダメージを与える 黄河の神としての力、若き女の生贄を求め洪水を引き起こす権能。 |
| 魔丞 | スペクター | Lv91 |
| 《禍時:適正》*2 | ターン中、味方全体に全スキル適性が上限まで上昇する効果を付与する。 |
大量の生贄を捧げられた事でかつて以上の力を振るえるようになった秘神。
中国神話における河川神の1柱にして英雄に左目を射抜かれた隻眼の白竜カハク。
電波塔に設置された《愚瓶》と同期しそのコトワリを
救い無きボルテクス界において全てと1つになる事で何も失わぬ
それぞれは単体かつ直接戦闘であれば敵わないほどの脅威でもない。
この場所に集ったDB達であれば対処は数を揃えて殴れば十分可能だ。
しかし広範囲での市街地戦、更には目的を考えれば話は異なって来る。
単純に―――範囲攻撃と全体補助が分厚い壁となり本丸へ辿り着けない。
進んでも流され、耐えたとしても配下達の殺し間の中では死を待つのみ。
まさしく難攻不落、多数の手足で隙間なく固められたアリ1匹通さぬ陣地。
文字通りのタワーディフェンスを行うヤクザたちに極めて有利に働く状況。
限定的ながら攻略難度は新世塾基地攻略よりも遥かに高いだろう。
| 「(自称)婚約指輪」*3 | 魔晶杖。先輩から譲り受けた素体をこの形にしたもの。 付加スキル:《属性攻撃(魔法):突撃》 |
| 《カード・チャージ》*4 | カードを消費しスキルに対応した「属性攻撃」を得る。 発動済み⇒万能相性のスキルを指定。 |
| 《フィジカルエンハンスⅡ》*5 | 剣・ガン(物理)相性の習得済みスキルを指定する。 「属性攻撃」に対応する相性へと変更。 |
| 《エミュレート》*6 | 魔晶変化アイテム1つと味方1人を指定する。 対象はその魔晶変化アイテムを装備し、使用することができる。 変身状態でも使えるように無理矢理習得した。 |
| 《クエイク》*7 | 物理属性(相性)⇒万能相性へ変更済み。 攻撃対象とした敵と隣接する敵にもダメージ。浮遊する敵には無効。 大地を揺るがす 愛する人をどこまでも探し続ける思いの証。 ⇒現段階ではマップ内(1区画)まで劣化中。 ⇒運命と再会した時、その力は限界を超えるだろう。 |
| 《虐殺者》*8 | 全体およびランダム攻撃スキルで与えるダメージが10%増加する。 《クエイク》にも効果が適用されるものとする。 |
| 《タルカジャ》*9 | 味方全員の「攻撃力」を上昇。 ⇒4回重ね掛け済み(450%) |
なので――――相手の手が届かない場所から大砲が撃ち込まれた。
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物騒なバックコーラスを背に2台のサイドカー付きバイクが
法定速度を置き去りにする加速と異常なエンジン音は改造済みである事の証。
仮に公道で乗り回せば逮捕からの留置所行きは確定な違法カスタムモデルだ。
「もうちょっとスピード上がりません!?
追いつかれますよこのままだと」
「悪いがこれでもアクセル全開でね。
お気に召さないなら自分で走るのも手だよ」
「先輩が乗るなら真面目に考慮するのに!
その場合騎乗位、いえ逆騎位になって……っ!?
―――――イケル!!!! 」
『イケルかぁっ!!
何をどうやったらその結論に飛ぶんですかこの色ボケぇっ!?』
それでも―――ヤクザ達を振り切る事は叶わない。
どころか、悪魔化した人外の脚力を以ってじりじりと迫りつつある。
その凶手が届くのも時間の問題であった。
――――だからこそ。
| サイコメトラー | 若槻美野里 | Lv63 |
| 剣士 | 八瀬宗吾 | Lv65 |
| ガンスリンガー | Lv57*10 |
| チャネラー | Lv54/66*11 |
運転手―――美野里とタスラム―――が同じタイミングでブレーキを掛けた。
急制動によって焦げ付き異臭を放つタイヤ。
過負荷によって軋み悲鳴を上げるフレーム。
慣性の法則に従い投げ出されそうになる搭乗者達の体。
そしてハンドル操作によって
常人なら大惨事確定な所業の結果―――追って来た軍勢と正面からの相対する形となる。
思わず目を丸くするヤクザ達と、
殺し間へ踏み込んだのを理解した時にはもう遅い。
| 《クイック&デッド》*12 | 敵全体に銃器による攻撃。 ⇒「銀の弾丸」装填中。 ⇒ガン相性から破魔相性へと変更。*13 |
| 「M134ミニガン」*14 | 敵全体を攻撃する機関銃。 ⇒「銀の弾丸」装填中。 行きつけの和風喫茶店の店長から予備の物を借りた。 |
| 「M249ミニミ」*15 | 敵全体を攻撃する軽機関銃。 ⇒「銀の弾丸」装填中。 予め伏せていたDB達が使用。 |
正面左右の銃口から悪魔人間を射抜く銀弾が怒涛の勢いでばら撒かれた。
「ぎゃがはっ!?」
「ぁががあああじゃああああ!?!?」
BGMを怒号から悲鳴へ強制変更する釣瓶打ち。
大量に密集した状況では避けられるはずもなく、ヤクザ達は次々と倒れていく。*16
これはいわゆる釣り野伏と呼ばれる戦術。
囮を使って引き込み伏兵で叩く必殺陣だ。
本来であれば防衛に専念するヤクザが嵌まるはずのない作戦なのだが―――。
「ヘイ! カマーン!! YAKUZAカマーン!!!!
あ、別にそういう意味で誘ってる訳じゃないからあしからず!」
『誰もソッチで興味引かねーよチンチクリン』
笛を吹き鳴らしながら*17超遠距離攻撃を放つ厄介者がいるとなれば話は別。
一方的に攻撃を受けた事で一部が暴走し、ロクな統率も取れないまま感情のままに追いかけてこの様である。
中には逃げる、あるいは一矢報いようと仲間を盾にする者も居るが―――。
「残念ながら……もう俺の間合いだ」
それを許す剣鬼ではない。
無言の意思疎通で美野里が再びエンジンを吹かし、バイクを弾雨の中へ突入させる。
ほぼほぼ人間である故に、飛び交う銀弾が彼らを害する心配は無い。
そして2輪の側部、
「―――ッ!」
| 《カード・チャージ》*18 | カードを消費しスキルに対応した「属性攻撃」を得る。 発動済み⇒万能相性のスキルを指定。 |
| 《フィジカルエンハンスⅡ》*19 | 剣・ガン(物理)相性の習得済みスキルを指定する。 「属性攻撃」に対応する相性へと変更。 |
| 《居合一心》*20 | 敵全体に物理属性の打撃型ダメージを与える。 攻撃成功時、自身をチャージ状態にする。 物理⇒万能相性へと変更。 |
| 《会心ブースタ》*21 | クリティカル率及びクリティカル威力上昇。 フツヌシの武威を取り込み《会心》を昇華させたもの。 |
| 《抜刀の構え》*22 | 間合いに入った相手に対して先に攻撃する。 敵は回避や防御にマイナス修正を受ける。 |
刃圏に
機巧剣神より継いだ居合の絶技。
根幹たる間合いを操る術は完璧に模倣出来なかったものの、その問題は足場自体を動かす事である程度の解決は図れた。
特にこういった多数相手の集団戦においてはうってつけと言える。
―――軍勢が全滅するまで数分と掛からなかった。
・
・
・
「ん~~……マガツヒの流れからして、大体あの辺かな!
ナイトメアシステムの実物見た経験が生きて良かったー!」
『勘で見えない位置にいる
「嬢ちゃん物理の方が強いのか?
ならオレの仲魔にテトラカーン使えるのいるからそっちに切り替えな」
「“力向上の札”かき集めろ。《力のドナム》持ちでもいい。
目の良い奴は補助で
「経路作れる悪魔でルート確保だな。
大体半分くらいは完成してるはずだ」
「こっちに注意向けさせて飛べる足持った連中に空から攻めさせるか。
通信で呼びかけておく」
「ひやはははは!! 死にたくねー悪魔人間は伏せてなぁっ!!」
「さっきの勢いはどうしたんだよ!! かわいいね❤ 死ねっ!!」
「何回目のデスアクメだよ、イきすぎにも限度ある。しかしそのスタミナ誉れ高い」
「おやおや……こんなに(血で)濡らして。怪異“下劣なる雄豚”天晴れ」
「途中からち〇ち〇亭語録になってる件」
「じゃあタフ語録で煽ろうぜ」
数十分後。
スカイツリーより目測で500メートルほど離れた地点。
障害物が多く攻め込まれ難い場所から、宗吾一行を含めたDB達は
単純に敵を削るのに効果的だからだ。
なにせ、ななみの《クエイク》は《メギドラ》を上回る威力を誇る。*23
魔丞や秘神はともかく、強化された構成員程度ではひとたまりもない。
よって方針は魔丞と秘神を中心とした位置に高めた火力をひたすらぶつけ、這い出て来たならば囲んで叩くというもの。
スカイツリーの展望台にでも陣取られていたのならそれも難しかったが、サイズの問題からか地上にいるのは分かっている。
もちろん並行して突入路の確保も行い、一気に片を付ける事も視野に入れている。
援軍のDBも続々と集って来ており、状況は当初から既に逆転したと言っても過言ではない。
おそらく、このまま何事もなければ1時間もしない内に決着が付くだろう。
「で―――上手く行くと思う?
ちなみに私は面倒なのが来る方に賭ける」
「斬らなきゃならん奴がいるって勘が騒いでるから来る方で」
「もう一波乱ありそうだからオレも来る方。
……なんだ、これじゃ賭けにならないか」
補充と回復を終え、散発的に襲来するヤクザたちを撃退しながら。
3人はどこか諦観の混じったため息をついた。
彼らは知っている、上手く行っている時ほど足元を掬われるものだと。
確定していない勝利にぬか喜びした瞬間、潜んでいた毒蛇に噛まれ命を落とすのは珍しくもない。
他のDB達もそうだろう。
誰一人として警戒を怠ってなどいなかった。
この状況からひっくり返されるとすれば。
考えられるのは敵の覚醒かあるいは援軍……もしくは。
「例の連中……
向こう側って話だが……聞こえる行動からして正直それも怪しい」
タスラムが口にしたのは界隈でも悪い意味で話題となった要注意人物の名だ。
前回の《神》相手のレイドバトルにおいて周囲の被害を省みず暴れ続けた黒尽くめ。
以降も訳の分からない主張を繰り返しながら、各勢力への襲撃を続けている狂人。
現在ではヤクザ側に着き、《シャドウガーデン》と呼ばれる独自戦力まで持った痴れ者。
通称シャドウ―――《ブラックフェンド》が追い続けている
被害が出る度に血走った目で追いかける彼らの姿が幾度も目撃されていた。
特にマシン使いの少年とシフターの少女が有名である。
もしそれが来るとすれば……面倒事で済めば御の字だろう。
場を引っ掻き回され勝てる勝負が台無しになれば笑い話にもならない。
「一応聞くけど美野里ちゃんの
「こんな乱戦だと簡単にブレるから役に立たないわよ。
―――そもそも予知しなくても最悪って分かるし」
「敵として殴って来たなら最悪。味方面して来たら超最悪。
無能な味方は敵より厄介とはよく言ったもんだよ」
「伝手がありゃ
ぼやき声は銃声とヤクザの悲鳴に紛れて虚しく消えるのであった。
なお、仮に届いたとしても全力で拒否されていたのは間違いない。
・
・
・
「―――なんだあのザマは。
引き籠っていて消極的過ぎるだろう。
いくらカカシの群れだと言っても情けない」
スカイツリーからやや離れたビル。
そこの屋上から戦場を見下ろす複数の影があった。
一言で言えば全身黒尽くめで固めた集団。
性別は判断しにくいが、浮かぶラインからして女性が大半だろう。
―――その中の1人が傅きながら口を開いた。
「シャドウ様、どうなさいますか?」
「決まっている……俺がやるしかない。
あんな連中じゃあどうやっても無理だ」
気怠げに、傲慢に、それが当然と言わんばかりにシャドウと呼ばれた男が告げる。
己が、己達が対外的にはヤクザ勢力の一員である事も忘れて。
潜入を止め、英雄としての本懐を果たす時が来たと都合よく解釈しながら。
どう見ても正気ではない言葉だ。
理解が大きく欠けている判断だ。
何もかもが見えていない妄想だ。
そして残念ながら。
誰一人としてそれを注意出来る者もいない。
ここにいるのは
破戒の八極道が1人の手によって生み出された失敗作の悪魔人間。
廃棄される寸前に気まぐれで拾われ、命を繋いだ盲目の羊の群れ。
その言葉は神の託宣にも等しく、逆らうなどあってはならない。
例え、自分たちが使い捨ての囮として扱われようとも。
例え、自分たちの名前すら憶えていなかったとしても。
人外となり非道に手を染めた自分たちには、他の道など残されていないのだから。
シャドウがフードを捲り目を見開く。
その曇り切った双眸で見つめるのはただ1点。
手に握られた近未来的な意匠の剣―――武装COMPを振るう。
その切っ先が向けられた場所にいるだろう
| 超人 | シャドウ | Lv75 |
| 軍勢 | シャドウガーデン | Lv60 |
陰の実力者とその
その、刹那。
前へ一歩踏み出した瞬間。
聞いた者全ての不快感を煽るような笑い声が耳朶を打つ。
| 「バックアタック」*24 | 先制攻撃となる。 命中率及びクリティカル率が上昇する。 |
| 「入魂」*25 | 武器に一度だけ使えるボーナスを付与する。 ⇒「相性付与」を選択。 ⇒格闘武器に任意の相性を1つ付与できる。 ⇒100%属性(相性)選択。 |
| 「特技と武器の特性」*26 | スポットルール。 武器の特性(相性、攻撃対象)をスキルにも適応する。 奇襲時限定で可能とする理外の技。 |
| 《奥義一閃》*27 | 敵全体に物理属性で中威力の攻撃を1回行う。即死の追加効果(50%)。 物理属性⇒100%属性へと変更。 |
―――シャドウ以外の頸が宙を舞った。
仮にその太刀筋を宗吾かレイブンと呼ばれるサマナーが見たのであれば。
驚愕のあまり間違いなく目を見開いただろう。
例えるならばスプーンに卵を載せ、落とさず全力疾走するようなもの。
集中1つ切らせば淡く拡散する幻想、ある悪魔的なまでの
「がっ……っ!?」
くぐもった音の発生源はシャドウの喉。
漏れ出た声は自身も頸を半ばまで断たれた衝撃によるもの。
即死耐性が無ければ肉盾と同じ運命を辿っていた事を知覚。
―――その事実を認識する前に肉体がすぐさま行動に移る。
使い慣れた薬物使用による
闇夜を駆ける歩法にて距離を取りながら回復薬で傷を塞ぐ。
剣を構え呼吸を止めて……改めて襲撃者を見た。
「いけやせん、そりゃあいけやせんぜ……ヘ、ヘヘヘ」
そこに居るのは刀を構えた1人の男だ。
沈みかけの太陽に照らされる容貌はともかく醜い。
造形、と言った意味だけではない。
醸し出す雰囲気、口から零れる不快な笑い声、あざ笑うかのような目つき。
あらゆる要素が相まって好印象はまず抱けない。
身を包む衣類も粋がったチンピラが着るようなものだ。
小物、三下、小悪党、卑劣漢。
そんな単語がちらつく―――このご時世では何処にでもいそうな男。
なのに剣腕だけが異常に反比例した矛盾に満ちた何者か。
「―――花鳥風月のヤクザか。
どうやら俺の事を消しに来たようだな。
だが生憎と……思い通りにはならない!」
シャドウの記憶に合致する存在は過去周回を照らし合わせてもいなかった。
覚えていないだけかもしれないが、その風貌からどこの何者なのかは推測が付く。
おそらくは自分の監視役といった所だろう。
意外と警戒されていた事に驚きを感じつつも、シャドウの思考は平静そのものだ。
先の奇襲は確かにしてやられたが
感じられる圧から考えても、自分の方が圧倒的に強い。
多少は腕が立つようだが……所詮は
返って来たのは―――恐ろしく底冷えのする声だった。
シャドウの考えを見抜いた上で放つ、零下にある音。
音と共に―――高密度のマグネタイトが放出される。
「あそこはよぉ……真面目に、本気でやってる連中の晴れ舞台だ。
テメエみたいな
咆哮と共にマグネタイトが実体化―――否、
「だからここで死ねよ、半端野郎。
夢見てる分際で殺し合いの世界に踏み込みやがって」
| 筋者 | 佐藤ケイ | Lv51 |
| マシン | X-1 リペア | Lv63 |
次回もなるべく早めに投稿したいと思います。