真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~   作:ジントニック123

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本スレでも丁度登場した女との過去話です。


Fragment⑥

 

 

 

「Fragment:ホンコンガー大地に立つ」

 

 

 

 

――― 過去周回〈200x/xx/xx 香港某所〉―――

 

 

 

 

 

 ―――駆ける。

 

 駆ける、疾走する、疾駆する。

 通常空間から切り離され、迷宮と化したこのマンション唯一の出口へと向かって必死に。

 何処まで行っても先の見えない、外観からは考えられないほど入り組んだ長大な廊下を。

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「おい八瀬、もっと安全運転は出来ないのか!?」

 

「これでもメチャクチャ気ぃ使ってるんだが!!」

 

 

 耳元に届く大音量のクレームに、刀に乗る男―――宗吾もまた声を大きくして応えた。

 視線を常に前へ向け、襲い掛かって来る()()()()()()を避け、飛び越え、突き抜けながら。

 それをひたすら繰り返す。愛剣の制御を少しでもしくじれば大事故(クラッシュ)は免れない。

 

「くっ……仕方ない……もっと強く持て!

 この姿勢だとまだ振りにくいんだ……っ!!」

 

「さっきと言ってること真逆だなアルコさんよぉっ!」

 

 言われるがままに宗吾は両手に力を込めた。

 具体的に言うと、抱き抱えた相手の臀部を。

 

 指が沈み容易く変形するほど大きく柔らかな感触が伝わってくる。

 くびれた腰回り(ウエスト)を持たないのは動きの阻害を防ぐため。

 個人的嗜好だけでなく合理の面で最良と判断したが故の選択だ。

 

 相手もまた、網タイツに包まれた両足を宗吾の腰へと一層強く絡めた。

 更に空いた右手で首を抱きしめ、たわわな双丘を顔に押し付ける。

 やや変則的であるが、いわゆる“だいしゅきホールド”の姿勢だ。

 しかも実用性皆無のビキニ姿であることも相まって、後ろから見ればほぼ全裸である。

 

「あっヤバい今度は前が見えねー!

 ちょっと離れろ、事故る事故る!!」

 

「見るのではなく感じろぉっ!!

 それでも駄目なら気合いで乗り越えるんだ!!」

 

「お前実はちょっとヤケになってんだろこの馬鹿!?」

 

 もっとも、どちらも睦事という雰囲気は皆無であったが。

 抱き抱えられた相手―――秋山凜子もまた必死である。

 宗吾が愛剣の操縦に専念する一方で、彼女は左腕の仕込み刀を振るい続けているのだから。

 

 

 

『さきほどはおたのしみでしたねぇえええええ!!!』

 

 

『お前のことが好きだったんだよ!』

 

 

『いいよ! 来いよ!』

 

 

『私をお前の●●●にしてくれぇええええっ!!!!』

 

 

 

\カカカッ/

傀儡マネキンスタッフLv15備考:《傀儡(製作)》*1によって作られた人形

 

 

 感情の籠らない絶叫を上げながら2人を追跡して来るマネキンの群れ。

 仮初の魂を宿らせ、主の意のままに駆動する操り人形たち。

 適当に書かれた落書きのような顔が接近する度に斬り捨て、払い続ける。

 

 余裕や見てくれ、そんなものを気にする余裕は一切無い。

 取り付かれれば最後、数に押されて圧し潰される未来しか待ってはいないだろう。

 

 

 一体何故このような事態になってしまったのか?

 

 ―――時間はしばし遡る。

 

 

 

 

 

 ・

 

 

 

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 ・

 

 

 

 

 三業会と香港総勢力の激突……通称“香港血戦”よりしばしの時が流れた。

 

 この戦争が残した爪痕は深く、そして広い。

 壮絶な戦いの余波で建物や道路は崩壊し、水道や電気といったインフラの数々までが壊滅。

 街の半分以上が人の住むには適さぬ、廃墟と呼んでも差し支えの無い姿となっていた。

 

 これが世界有数の商業都市、百万ドルの夜景と謳われた街だと誰が信じようか。

 表向きには大規模テロと災害が重なった悲劇とされているが、それにしても度が過ぎている。

 

 天によって齎された罰。

 欲深きものが集う地に裁きが下った。

 三つ目の破壊神が何もかもを滅ぼそうとした。

 

 そんな鼻で笑えるような―――一部は真実―――妄言を信じそうになるほど悲惨な光景。

 

 それでも。

 

「左棟、資材足りないよ! 何やってんの!?」

 

「クレーンが故障しましたぁっ!!」

 

「足を踏ん張って担いで持ってこんか、バカ従業員がぁ!」

 

 行政の弛まぬ努力もあって、復興はかなりのハイペースで行われていた。

 荒れた道を行く作業員の誰もが忙しなく、そして懸命に働き続けている。

 住民の多くは知っているのだ。この程度で香港は死なない、倒れないと。

 香港は英国による統治、そして日本の占領をも乗り越えて来たのだから。

 

 故に人々が諦めない限り、都市が以前の姿を取り戻すのはそう遠い未来ではないはずだ。

 

 無論、何もかも事が上手く運ぶ訳ではない。

 表はともかく、裏はそう簡単にはいかない。

 

 例えば―――疲弊した猿山大将の背中を刺し、下克上や襲撃を繰り返すチンピラ。

 例えば―――混乱に乗じて猫の額ほどしかない縄張りを広げようとするギャング。

 例えば―――物理的な意味で空白地となった土地を巡って小競り合いを行う秘密結社。

 例えば―――より手広く香港の情勢に食い込める好機と判断し暗躍する企業。

 例えば―――一切の空気を読まずに己が欲望のままに動く大馬鹿。

 

 その他にも中国本土を含めた諸外国による干渉など、かつて以上の混沌とした情勢。

 割れたステンドグラス、覚醒者たちのサラダボウルとも称される勢力図。

 裏社会がある程度安定するには、先の見通せぬほどの時間を要した。

 

「………ここか」

 

 だから、宗吾がその地に足を踏み入れたのも無関係ではない。

 

 香港の端にある海に面した集落。

 戦いの中心となった香港島より離れた場所であった為に被害の少ない場所。

 その中でも無事なマンションにそれなりの人間が出入りしているのを見る。

 全員が男で、誰もが大なり小なり色欲を帯びた顔を浮かべていた。

 

「まーだ日も高ぇってのにお盛んな……ってひょっとして文化の違いかこれ?」

 

 若干の呆れ交じりにそんな言葉が口から零れた。

 宗吾がここに来た理由は仕事だ。

 具体的には、雇い主(香鈴)の縄張りで勝手に風俗の斡旋をしている馬鹿を叩きに来たのだ。

 

 日本とは異なり、香港において管理売春や斡旋は違法とされている。

 だがその一方で、個人での風俗は合法だ。

 つまり―――表向きは個人営業として扱い、背後にいる組織が利益(アガリ)を得ている訳だ。

 

 国が変われど性産業の裏側は早々変わりはしない。

 縄張りの主にみかじめ料を払わないどころか挨拶も無しなど舐めているにも程がある。

 街娼(立ちんぼ)程度であればまだしも、このような真似は到底許される筈がない。

 何より放置していれば面子が立たなくなる。

 

『ああ、言っておきますけど単なるケチな女衒ではありません。

 どうやら対策室も動く程度にはキナ臭い裏があるようでして。

 だから万全を期して貴方に行って貰いたいのです……無理は禁物ですよ』

 

 同時に、寝台の上で服を着ながらそんな事を言っていたのを思い出す。

 こちらに見せびらかすように白ニーソを履いていたので、そちらの方が印象が強かった

 最近では護衛も兼ねて傍に付いている事の多い自分を向かわせたのだ。

 そう判断するほど不確定要素が潜んでいると見ていいだろう。

 

「―――くはっ!」

 

 宗吾の口元に思わず喜色が浮かぶ。強い相手は歓迎だった。

 ここ最近は香鈴を狙ったチンピラの襲撃ばかりで手ごたえのある相手は殆どいなかったのだ。

 腕を磨き強くなれる機会があるなら積極的に行くのみである。

 

 無論、単身である以上無理はしない。

 叩けるなら容赦なく叩くが、ひとまず撤退を念頭において行動した方がいい。

 いざとなれば援軍を呼んで囲む事も視野に入れねば。

 

 そう考えながら。

 ()()()()()()()に最長の5時間コースの金を払って。

 写真も見ず適当に指名した嬢の部屋へと足を運び。

 軽く気絶させてからマンション内を探索しようと扉を開けると―――。

 

 

 

「どうも~! AV女優志望のアルコでーす! お客さ……!?!?」

 

 

「…………何やってんの凜子????」

 

 

 色々考えていたのが全部吹っ飛んだ。

 

 こちらを出迎えたのはよく知った相手だった。

 元封剣士にして現在は対策室に務める警察官。

 この香港で最も古い付き合いの腐れ縁の相手。

 

 関係者曰く、意外とポンコツな所のある女―――秋山凜子。

 それが、きわどいデザインのビキニに身を包んで目の前に立っていた。

 

 正直な話、彼女はその辺のモデルが裸足で逃げ出すスタイルの持ち主である。

 凛とした美貌も相まって、誰もが目を離せなくなるのは間違いない。

 宗吾でさえ何も知らない相手であったのなら、刺すような視線を送っていただろう。

 特に胸と、網タイツを履いた両足に。

 

 だが今は興奮よりも困惑と疑問が頭を埋め尽くしていた。

 そしてそれは凛子も同じである。

 

 すなわち“なんでこいつがここにいる?”と。

 

 部屋の空気が固まり、時の止まったかのようにフリーズする2人。

 目線を合わせたまま動かない。疑問に支配されひたすら無言で時間が過ぎていく。

 1秒、10秒、20秒、30秒……。

 

 やがてパタン、と背後で扉の閉まる音がした―――それを切っ掛けに再起動を果たす。

 

 

「な、なんでお前がこんな所にいる!? 剣しか興味のない筈の変態が!!

 しかも、よりにもよって私を指名するとかどういうつもりだ!?

 ま、まさかまさかひょっとして……っ!?」

 

「仕事だよ仕事! たぶんそっちと同じ!!

 あとお前だって分かって選んでねーよ馬鹿!!

 潜り込むには丁度良から適当に決めただけで……っ」

 

 頭が動けば推察も出来る。

 凛子がこのような場所にいる理由など自分と同じで仕事―――潜入任務でしかありえない。

 対策室が動いているとも聞いていたので、まず間違いはないはずだ。

 

 ―――ならば。

 

「……おい、手ぇ組むか?

 そっちの狙いは分からんが、たぶん反目する事は無いだろ。

 最悪この店潰せれば他はどうでもいい」

 

 状況から考えれば、敵対するような理由もない。

 ならばと、宗吾はいつものノリで流れるように共闘を申し込む。

 

「……潜り込むには丁度良かった?

 適当? 手を組むか? それを言うのか……今?」

 

「―――――え」

 

 問題は相手が冷静さを失っていた事だ。

 ついでに宗吾もタイミングが悪かった。

 

 

「そうか、首を出せ」

 

 

《隠し武器》*2必要「体」が2までの武器か、「インプラント」した武器を準備する。

このターン、こうして準備した武器による攻撃は回避できない。

「超音波振動剣」*3刃先を高速振動させることで切れ味を増す、埋め込み式の剣。

 

 

 言うや否や、凛子の左腕―――精巧な生体義腕―――から高速振動する刃が飛び出した。

 半ば錯乱気味でこそあるが一切の淀みなく宗吾の首を穿つ軌道。

 何もしなければ1秒後には首無し死体が転がる事となる。

 

「うぉおおおおおおおおおっ!!!!」

 

 

《無刀取り》*4素手で相手の刀剣を奪い取る柳生新陰流奥義。

大成功時、相手の刀剣をそのまま叩き折ることが出来る。

判定に成功時、相手の武器を奪い、失敗すれば離す。

どちらにしても敵の刀剣による攻撃を止める。

 

 

 咄嗟に宗吾が行ったのは真剣白刃取り(無刀取り)

 迫る最新科学の刃を両手で挟み込み、万力を込めてギリギリの所で抑え込む。

 少しでも気を抜けば押し込まれる他ない。

 

「一度殺して記憶から消滅させなければ……っ!!」

 

「んな! 都合よく! いくかぁあっ!!

 落ち着け冷静になれここ敵地だぞ!?」

 

「私は冷静だ、冷静に潜入し情報を探り事情を知った奴の記憶を消そうとしてるだけだ!!

 さあ大人しく脳ミソ(ハードディスク)置いていけ……!!」

 

「全然冷静じゃない……!!」

 

 

 その後、凛子が落ち着くまでこの無駄な拮抗は続くのであった。

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

【―――10分後―――】

 

 

「んなっ!? よりにもよって最長コースだと!!?

 ~~~~~~っ仕方ない。

 八瀬、事情は後で話す。ここで私と()()!」

 

「はっ? なんで!!?」

 

「適当に済ませるだけでいい。

 1回で終わって力尽きて寝た事にするんだ」

 

「その設定だとあまりにも情けなくない俺???」

 

「いいからさっさとしろ。

 私も訓練は受けているし、実際に何度も経験した身だ。

 ――――天井のシミを数えている間に終わる」

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

【―――1時間後―――】

 

 

「チッ、やっぱ耐性訓練してるだけあってイマイチ手応えが……」

 

「あ、ンン……な、なんで私が、こんなに……あふぅんっ! 」

 

「いや待てよ、姐さんから教わったアレを応用すれば―――」

 

「なっ、お前何を……っ!?」

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

【―――3時間後―――】

 

 

「――――ッ! カ―――、ァ……!!」

 

「おい、盛り上げる演技にしてもやり過ぎだ。

 呼吸くらい……ちゃんとしろっ!!」

 

「ゴハッ―――ゴホッ、ゴボッ!

 ま、まひぇ、これは……えんぎひゃらくて!?」

 

「んー……もっとやれって事か、分かった」

 

「や、やめっ、やめてくれぇえっ!!」

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

【―――4時間半後―――】

 

 

「お……ぉ……ぁ、は……っ」

 

「……あの~、もしもーし。

 もう演技しなくていいですよ凛子さん?」

 

「ぉ、おお…………ふぅあっ……」

 

「……………………………やっべ、やり過ぎた」

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

「―――このマンションで無許可風俗をやっているのは元協会の人間だ。

 追放されて香港を離れていたが、最近戻って来たらしい」

 

 この数時間が無かったかのように、凛子は自身の持つ情報を語り始める。

 なお、着替えはここに無いのか、ビキニ姿のままかつ背を向けたままだ。

 それが怒りか羞恥心によるものか、少なくとも表情を伺う事は出来ない。

 

「協会っていうと……“香港風水師協会”?」

 

 色々と微妙な空気を引き締めながら宗吾は問いを投げかけた。

 ちなみにその頬には見事な紅葉がある。

 流石に避ける気にはなれなかったのだ。

 

「追放処分って何やったんだよそいつ。

 あそこ追い出されるとか普通じゃないだろ絶対」

 

 “香港風水師協会”はその名の通り風水師たちによる組織だ。

 風水都市としての顔も持つ香港の霊的守護を担う者たち―――と言えば聞こえはいいが、その実態は独立志向の強い風水師個人を繋ぐ連絡網に近いとされる。

 一応は会長を筆頭にある程度の纏まりはあるが、結束や規律は然程強いとは言えない。

 

 だから、よほどの事が無い限り追放処分などあり得ないと言えた。

 後の時代で流行る追放もののように役立たずを切り捨てる等もしないのだから。

 

「分からない、具体的な追放理由までは掴めなかった。

 ダメ元で情報提供を要求したがなしのつぶてだ。

 ただ、上や他の風水師と相当揉めたのは間違いない」

 

 誰も彼もが名前を聞いただけで顔を顰めていた。

 情報担当からの報告を凛子をしっかりと覚えている。

 口に出すのも憚られるような事でもやらかしたのだろうか。

 

「んで―――恨み骨髄()()()()()()風水師が復讐企ててデカイ事件起こすってか?

 なるほど、だからまずは内偵して証拠固めと。

 問答無用でぶっ飛ばせなくて大変だな公僕さんも」

 

「宮仕えなどそういうものだろう……面倒な所は同意するが」

 

 現在の魔都香港のバランスは極めて不安定だ。

 いつ崩れてもおかしくないジェンガ、パンパンに詰まった水風船と言ってもいい。

 もう一度大規模な戦争でも起ころうものなら、今度こそ跡形もなく吹き飛ぶかもしれない。

 

 なら、これはその火種になりかねない案件だ。

 秩序側としては何としてでも防がねばならず。

 混沌側としても自分の足元を消すような真似は御免被る。

 

 凛子が振り返って少し赤みの差した顔を宗吾へと向けた。

 そこに浮かぶのは使命を果たさんとする覚悟の色。

 互いに頷く―――共闘の意思確認はそれで十分だった。

 

「一応聞くがお前以外に潜入してるのは?」

 

「風水師の縄張りに踏み込むのは半端な者には任せられない。

 だから、切り抜けられる力があると判断された私がまず単独で入った。

 ……面接の時、咄嗟にAV女優志望と言ったのはミスだったが」

 

 お前アドリブ効かないもんな、という言葉を宗吾は飲み込んだ。

 最初と同じ状況になるのは勘弁だったので。

 

「分かってる範囲の敵戦力」

 

「お前も見た通り、スタッフという名の()()だけだった。

 風水師本人とは接触出来なかったが……レベル20前後(腕利き)なのは間違いない」

 

 地の利は向こうにあれど速攻戦を仕掛ければ無視出来る差だ。

 単独ではともかく、2人がかりならば成功の目はある。

 

「斬っていい証拠」

 

「性行為で生産されたMAGが微量にだが吸収されている。

 ……最初にやれと言ったのは何もしていないと怪しまれる可能性があったからだ」

 

 その言葉に納得する。

 変な薬でも盛られて正常な判断力を失っているのではないかと少し疑っていた。

 

「今から行けるか?」

 

「お前が来なければ今日の終わりにでも仕掛けていたさ。

 ―――居場所は最上階で間違いない」

 

 同時に立ち上がる。

 決めたなら突き進むのみ。

 互いの力を合わせれば、最悪でも離脱は出来るはず。

 

 そのまま一切の音を立てずに扉を開いて―――。

 

 

 

『延長いかがっすかオキャクサマァアアアアア!!!!』

 

 

 

《八陣図》*5三国時代の名軍師・諸葛孔明の用いた風水的迷路。

不気味な石の迷路を作り出し通行を阻害する。

八陣図の風水構造を見破らない限り、通り抜ける事は出来ない。

 

 

 

 広がっていたのは狭い廊下ではなく、無限に思えるほど拡張された空間と迫り来る人形の群れ。

 遅れながら察する、自分たちが初手で最悪の目を引いた事を。

 監視には常に気を付けていたが、どうやら相手の方が上手だったらしい。

 

 判断は一瞬。

 

「掴まれ凛子ぉっ!!」

 

「―――ッ!」

 

 即時に愛剣を召喚。そのまま地面に落として、凛子を抱きかかえながら()()()()()()()()()()

 “太刀乗り”と呼ばれる、剣に宿った悪魔の力を部分的に開放し疑似的な乗り物として扱う技術。

 学生時代に馬鹿をやった馬鹿を追い掛け回す為に覚えたものであった。

 

()()()()!?」

 

「指示する、飛ばせ!!」

 

 ―――決死の逃走劇が幕を開けた。

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

「次の曲がり角を右、まっすぐ進んでそのまま壁をぶち抜いて進め!」

 

「無茶苦茶すぎる!!?」

 

 何枚ものガラスと壁をぶち抜き。

 プレイ中の男女を幾度も飛び越え。

 振動する大人の玩具による槍衾を避けきる。

 接近して来るマネキンスタッフも悉くが振動剣の錆となっていた。

 

 最適なルートを把握出来る凛子の眼。

 太刀乗りによる高速機動と鍛えられた操縦技術。

 何か一つでも要素が欠けていたら上手く行かなかっただろう。

 その幸運を噛みしめる暇もなく、やがて正面に光差す扉が見えて来る。

 

「出口だ、このまま突っ切れ!!」

 

「ぉおおおおおお!!!!」

 

『『『またのご利用おまちしておりまぁああああっす!!!!!!』』』

 

 そして、全方位から迫るマネキンを振り切って。

 2人は《八陣図》の出口へと突っ込んだ。

 

「ッァ――――!」

 

 勢いのままゴロゴロと整地が不十分な道路の上を転がる。

 一般人ならアスファルトに肉が削られて大惨事だが、どちらも覚醒者だ。

 この程度では傷1つとして付きはしない。

 

 荒い呼吸を整えながら、即座に飛び出した場所に向き直って構える。

 追撃の気配はなく、異界化して辺りを飲み込もうとする様子も無かった。

 襲撃者がいたというのに、マンションは不気味なほど変わりない。

 

「……余裕のつもりだろうか?」

 

「それか、中の連中人質にしてるから大丈夫と思ってる可能性」

 

 外は日もすっかり傾き、昼間よりも人通りは多くなっていた。

 当然だが、マンションから文字通り転がり出て来た2人にジロジロと視線が集まる。

 特に凛子は恰好が格好だ。下卑た視線の数々が突き刺さっている。

 

 傍から見れば風俗嬢と客が何かトラブルを起こしたようにしか見えない。

 ある意味で間違いないのだが、今は訂正や誤魔化すような余裕はなかった。

 凛子は義腕に仕込んだ通信機で応援を呼び、宗吾は警戒を続けて刀を構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして―――――()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

 

 

「……?」

 

「………??」

 

「―――――!?!?」

 

 

 宗吾も、凛子も、通行人たちも。

 何の前触れもなく発生したあまりの光景に言葉を失っていた。

 理解出来ないものを前にすると頭が真っ白になる―――まさにその通りである。

 

 ギチギチと音を立てて変形し、近所の建物を崩しながら姿を現すのは不格好な巨人だ。

 四角い箱に長い手足を付けただけの、小学校低学年並みの工作だろうか。

 特徴と言えば胴体部分に巨大なディスプレイが搭載されている所だ。

 

「おはこんばんちわぁあああああああああ!

 ハロォオオオニィイイハオォオオオグゥウウウデェンタァアアアクッッ!!

 突然ですが見よ! この偉大なる造形!! 見よ! この素晴らしき威容!!!!」

 

 馬鹿でかい男の声が頭上から降り注ぐ。

 発生源はマンションもとい巨大ロボット(?)の頭部分。

 マネキンと同じような落書き顔の口元に固定されたスピーカーだ。

 

 この声の主こそが、追放された風水師であると理屈でなく直感で2人は分かった。

 それと、香港ではたまによく見かける類の大馬鹿(人種)である事も。

 

「これぞ長年の準備と全財産を投入して成った我が夢の果て!!

 男の浪漫(ロマン)と男の楽園(パラダイス)を合わせた究極の幻想(ラストファンタズム)!!!!

 その名も機動娼館ホンコンガァアアアアアアアアアア!!!!!!」

 

 

\カカカッ/

傀儡機動娼館ホンコンガーLv40

 

 

 男の話をしよう。

 その男は香港では珍しくもない、ありふれた風水師の1人だった。

 

 変わった所と言えばロボットと風俗をこよなく愛するという点だろうか。

 気に入った玩具メーカーには感想文や意見書を送り、素晴らしい嬢には高評価レビューを書く。

 その程度の、ぶっ飛んだ人間が多い香港においてはマトモなタイプと思われていた。

 

 だがある日、同好の士とブンドドをしている時にふと考えてしまったのだ。

 

 ―――ロボットと風俗を合体させればいいんじゃないか?

 ―――好きなものと好きなものを合わせれば最高じゃないか?

 ―――よし作ろう、そうしよう。

 

 異次元の発想であった。

 実際、協会の人間に言ったら頭の病院を紹介された。 

 試しに行きつけの店を器に見立てて四神を降ろそうとしたら、組織の全員に追いかけ回された。

 友人たちが手助けしてくれなければ山奥の診療所にでも監禁されていたかもしれない。

 

 そうして故郷を離れ、聖地である日本でアニメ鑑賞とアルバイトの日々。

 それでも男は諦めることなく研鑽を続け。

 理論を構築しては破棄するのを繰り返し。

 設計図に血反吐をぶちまけながら筆を走らせ。

 混乱期である香港へこっそりと戻り準備を整えて。

 今日この日、この時……初めて動かす事に成功したのだ。

 

「魅せてやろう、次世代の風俗というものの性能を!!

 真の飛び込み営業とはこれ也!! 店が走ってやって来る!!

 足が飾りだなんて認めませぇええええん!!!!!」

 

 ブゥン、と音がしてディスプレイが点灯した。

 鮮明な画面に映るのは、服を脱ぎ捨て生まれたままの姿を晒す女。

 黒海苔どころかモザイクも一切ない無修正だ。

 

『え、AV女優志望のアルコだ。この通り体には自信がある。

 スターダムを駆け上がるために、まずはこの店で働かせて欲しい!!』

 

 画面には堂々と“鮮烈AVデビュー! 期待の超大型新人アルコちゃん!!”のテロップがあった。

 

 つまり宗吾の隣にいる女だ。

 再び周りの視線が集まった。

 宗吾は恐くて見れなかった。

 

「紹介しましょうデカチチ魅惑のアルコちゃぁあああん!!

 ホンコンガー起動のラストピィイイイイスッ!! メスブタを超えたメスブタァッ!!!!

 そのドス〇ベパゥワァアアは香港イチィイイイイイ!!!!

 監督のみんな是非とも採用してあげてくださあああああいっ!!!!!」

 

 この発言と宣伝に悪気はない。

 ホンコンガーを動かす為のマグネタイト、その最後の充填を行ったのが凛子である。

 そのお礼に、夢を叶える力添えをしようと善意で動いたのだ。

 ちなみに、マネキンたちが襲い掛かって来たのは起動前の安全確保とまだ微妙に時間が残っていたからだったりする。

 

「よぉおおおしっそれじゃ温まってきたところでぇえええ!!

 ホンコンガー、行っきまぁあああああすっ!!!!!」

 

 いつの間にか展開されていたカタパルトによって勢いよく射出されるホンコンガー。

 飛んで行った方向からして、目的地はおそらく香港島だろう。

 つまり、AV女優志望と宣う凛子の姿が肖像権無視で大衆の目に晒されるという事であり―――。

 

 

「―――――――――ヨシ、殺すゾあイつ」

 

「……うっす」

 

 

 

 

 

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 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 香港という地は狭いようで広く、そしてどこもかしこも発展しているという訳では無い。

 富む者がいれば貧しい者もいるように、昔から変わらない場所も存在する。

 例えば、この農村地帯もそういったものの一つだ。

 

 付近では開発も進んでいるが、その恩恵をいまだに受け切れていない小規模農家の集まり。

 貧しくとも力を合わせ、昨日と同じ今日、今日と同じ明日を穏やかに過ごす住人たち。 

 そんな彼らが日々の仕事を終えて夕食の準備をしている時だった。

 

 ガシャン、ガシャンと遠くから響いて来る大きな音。

 鐘の音にしては不快に過ぎる、金属同士が擦れて軋む様な音だ。

 その音量は段々と上がり続け、何かが村に近づいて来ている事を如実に伝えていた。

 

 大型トラックが来ているのかと思ったが、あまりに似つかないし排気音の類も聞こえない。

 では何が? そう皆が疑問を浮かべて家を飛び出してみると――――。

 

 

 

 

「貴方の! ムラムラに! 機動娼館ホンコンガー!!

 み・ん・な・の欲の友ぉおおおおおおおおおっ!!!

 キミの母になってくれるかもしれない女神!アルコちゃんのデビュー作!!

 是非とも予約してねぇえええええ!!!!」

 

 目にしたのは、早口で叫びながら道路を駆け抜けていく巨人の姿だった。

 

 その光景に、ある者は頬を抓った。

 その光景に、ある者は首を傾げた。

 その光景に、ある者は隣にいた嫁の尻を揉んで殴られた。

 

 しかし何も変わりはしない。

 共に伝わってくる振動と大音、そして足形に凹んだ地面が紛れもない現実だと証明している。

 あまりの出来事に、その後姿が見えなくなるまで住民たちが動く事は無かった。

 ついでに声が早口過ぎて、全て聞き取れた住民も皆無であった。

 

 後に、この付近では“アルコー”なる女神を求め暴走する巨人伝説が語り継がれる事となるが、それはまた関係のない話である。

 

 

「うぉおおうおおうおうおう!!

 ふぅおおおおおおおおおおおおおお!?!?」

 

 一方、現在進行形で伝説を作っている風水師は極めて上機嫌だった。

 流れるように過ぎ去っていく景色を特等席(コックピット)で眺めるという夢にまで見た状況。

 言葉にならないほどの感動であり、興奮のあまり脳内麻薬が常時垂れ流しとなっている。

 

 もちろん、運転免許を持っているので事故にはしっかり気を付けていた。

 人影や建物があれば大きく迂回するか跳躍して回避。

 万が一踏みつけても重傷程度で済むように、《軽功》を応用した重量軽減の常時実施。

 

 内部に関してはそれ以上で、防音・衝撃吸収・平衡維持機能のフル稼働によって誰もホンコンガーが動いている事にさえ気づかない。

 風水師は風俗通いのベテランでもあるので、そういった点にも人一倍気を遣っていた。

 プレイ中に邪魔されるのはとても嫌な事であると知っているのだ。

 ちなみに時間の方も弄っているので、お楽しみが終わるのは早くとも2時間はかかるだろう。

 

「待ってろ香港狂い咲きぃいいいいい!!

 駆けろ! 翔べ! 征けェエエエエエホンコンガァアアアアアアアア!!

 明日のスターはお前とアルコちゃんだぁあああああああ!!!!」

 

 

《マルカジャ》*6戦闘時における行動順を決める移動力を上昇させる。

 

 

 主の熱き意志を受け更なる加速を果たすホンコンガー。

 このままのペースで直進を続ければ、香港島への到着は数十分後になるか。

 衆目に晒される事で起きるだろう混乱と騒動及び名誉棄損は一切考えられていない。

 

 その勢いのまま眼前に広がる川を一息に飛び越えようと大きく跳躍して―――。

 

 

 

 

「貴様に明日があると思うのか?」

 

 

 

 

                                               

 

【Synthese】

 

                                               

 

 

《ファントムトレイサー》*7敵1体に斬属性の物理攻撃で特大ダメージ。

追加で敵の強化効果を打ち消す。

ジンテーゼと呼ばれる合体技に分類されるスキル。

《霊活符》*8武器、または所持者に貼る。

その武器や拳を霊的な武器に変え威力を上昇させる。

物理的な攻撃を半減、無効、反射する悪魔であっても傷つけることが出来る。

⇒《準物理貫通》として扱う。

 

 

 

 上空から飛んで来た紫光の一閃によって撃ち落された。

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 合体技、合体スキル、あるいは合体魔法。

 

 ほぼ全てが組織、流派、一族における門外不出の秘奥とされている技術である。

 存在はともかく、門外漢にどうやって使うかまで知るのは殆どいないと言ってもいい。

 適当にやっていたら偶々出来た、などというパターンも稀に聞くが、極めて希少な例である。 

 

 だから―――宗吾たちが合体技(ジンテーゼ)を使えるのは偶然の産物だった。

 

 宗吾、凜子……そしてレイン。

 何度も敵対し、いがみ合いながら共闘してきた腐れ縁3人組。

 その面子で繰り出した技の幾つかが偶然“嵌まった”結果、意図せずに成立した組み合わせ。

 

 しかし、本来は敵対する立場にある彼らだ。

 吹聴する気も、積極的に研究する気も無かった。

 仮にこの情報が広まれば更なる面倒事を引き起こすのが目に見えていたのも大きい。

 よって、これを使った回数は両手の指で足りる程度でしかなかった。

 

 

「まさかこんな所で使うとは思わなかったんだが……っ!?」

 

「文句あるのか?」

 

「めっそうもない」

 

 ドスの利いた声に宗吾は何も言えなくなる。

 普段であれば軽口の一つでも叩くのだが、状況が状況だ。

 この怒りの矛先が自身にも向けられるのは勘弁して欲しかった。

 

 ―――気を取り直して、正面を見据える。

 

 河川敷で大の字になり転がっているホンコンガー。

 太刀乗りと《搬運功》による空間転移。

 この2つを併用しながら追いつき、上空からの奇襲に成功した結果だ。

 

 その姿は無残なものだった。

 遠目からでは分かりにくいが全身各所に大きな罅が入り、胴体のディスプレイも砕けている。

 おそらく基礎や骨格と言える部分も大きく歪んでしまっているだろう。

 

 前提からして、ある意味当然の事だった。

 どれだけ違法改造を施したと言っても、元は中古の―――しかも日本のそれと比べてはるかに安普請―――マンションである。

 物理的・風水的に強度を上げるにしても限度はあり、正真正銘の大悪魔と比べれば耐久性に劣るのは間違いない。

 少なくとも以前戦った怪物―――イマージュ・スラッシャーたちに比べれば遥かに劣る相手だ。

 むしろ合体技を受けてなお原形を保っているのは奇跡と言っていい。

 

「な、ななな何故だアルコちゃん……っ!?

 何か不満な事でもあったと言うのか!?!?

 ……ッ!? すまない、客とやっているシーンを流すのはプライバシーの問題で駄目なんだ」

 

「何で急に常識的な発言が飛び出すんだよ???」

 

 宗吾は呆れを通り越して感心さえしていた。

 なお、凜子はもはや能面のように無表情だ。

 

「邪魔したくなるのも納得した……だが私は諦めないぞぉおおおおっ!

 先駆者(パイオニア)は何時だって孤独かつ排斥されがち!!」

 

 

「シーンBGM:翔べ! ガンダム」*9サン〇イズにも喧嘩を売るので真似してはいけない。

《自己修復機能》*10《このスキルは使用者がDEAD状態でも使用できる。

CURSE以外のBSを解除し、HPを「レベル+体力値」だけ回復する。

 

 

 咆哮、そして流れ始めるBGMと共にホンコンガーがゆっくりと起き上がっていく。

 同時に罅割れた部分が補修され、歪んた鉄筋はみるみる元の形へと復元する。

 あと数秒もしない内に完全復活を果たし、再び走り出すのは想像に難くない。

 

 

「それでも!! 守りたい夢があるんだぁああああああああ!!!!」

 

 

《無限の挑発》*11敵全体の防御力が大きくダウン、または攻撃力が大きくアップする。

香港AV業界を震撼させる女優アルコ、彼女の伝説はここから始まる!!

 

 

 そして最後にディスプレイが修復され、再び凜子のフルヌードが演出過多で映し出された。

 

 

 

 

「八瀬、()()で終わらせる」

 

「レインいねーけどやれるのか?」

 

「やる――――ヤツヲコロス」

 

 

 

 

 額に数え切れないほどの青筋を浮かべた被害者からの死刑宣告。

 同時に転移し、一瞬でホンコンガーの懐へと肉薄する。

 これが対人戦であれば大きな隙になるが、この巨体だ。

 乗り手自体が本職でない事も相まって対応はまず不可能。

 

 呼吸を合わせ、意識を繋ぎ、魂を重ねて英雄像(ヴィジョン)を映し出す。

 

 眼前の巨人へと繰り出すのは本来は3人で行う技。

 かつて成功させた時は“全き闇の炎”(スレイクサースト)を打倒した絶招。

 単独では成し得ない超火力の一撃に他ならない。

 

 足りない枠は煮えたぎる怒りと恥辱で補った。

 かつてより研鑽を積んだ今なら出来ぬ道理はなし。

 それ故―――ここに必殺は成る。

 

 

                                               

 

【Synthese】

 

                                               

 

 

 

 

 

《断岩無双烈空斬》*12敵1体に斬属性の物理攻撃で超特大ダメージ。

さらに敵を倒した場合、プレスアイコンが増加する。

本来は3人で行う合体技であるが、極めた者ならその限りではない。

 

 

 

「―――――ひょえ?」

 

 

 

 そんな間抜けな声を出して。

 綺麗に操縦席(コックピット)だけを吹っ飛ばされた風水師の意識は暗転した。

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

「あの、これ本気で言ってますか???」

 

「残念ながら本当にあった事なんだよなぁ……。

 ちなみに今回やらかした馬鹿は9割9分殺しで留置所送りにされてた」

 

「その程度で済ますとか実は女神じゃありません彼女!? ………ゴホン。

 ええ、お疲れ様でした八瀬さん。

 これで馬鹿な真似をするのは……暫く出ないでしょう」

 

「断言出来ねーのが香港の怖い所だよなぁ」

 

「流石に今回のようなトンチキはそうそう無いと思いますよ。

 それと聞きたいのですが、秋山さんとベッドを共にした件について詳しく」

 

「………プライベートなんで勘弁してくれ姐さん」

 

「雇い主としてではなく術の師匠としての質問です。

 拒否権はありません……詳しくは私の部屋でね♪」

 

 

 後日、同好の士という名の変態たちが新たなる騒動を引き起こすのだが。

 この時の彼らが知る由は無かった。

 それと凛子はやり過ぎで減俸処分が下るのだった。

 

 

 

 

*1
※誕生篇 人形に仮初の魂を宿らせ使役する術

*2
※200X

*3
※200X

*4
※誕生篇

*5
※覚醒篇追加データ

*6
※覚醒篇

*7
※メタファー

*8
※誕生篇

*9
※200X

*10
※200X

*11
※SH1

*12
※メタファー




次回はR18の方でカットした部分+αを投稿するかもしれません。
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