真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~   作:ジントニック123

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思ったより長くなったので後編は2つに分けます。
次回で終わる予定です。


Edge Runners-後篇①-

 

 

 

 

―――〈過去周回 須摩留潜入3日前 某闇病院〉―――

 

 

 

「―――お前さん、須摩留に潜るつもりだろ」

 

 全身の整備が終わり、サイバーウェアの調子を確認していた時。

 いつもの調子で馴染みのサイバー医師(リパードク)が口にした言葉に、アダムは何も答えなかった。

 単純に守秘義務がある。例え相手が死んでも漏らす事は無いと知っていてもだ。

 

 今回、自分を雇ったのはセベクやアルゴンソフトなどを代表する企業連である。

 主に須摩留の台頭により多大な損失や経営規模の縮小を余儀なくされた者たち。

 それ以外にも強引な手法に反感を持つ国の一部が極秘裏にバックへ付いている。

 

 迂闊に口を滑らせれば、積み上げて来た信用どころか命を失う事になりかねない。

 そして何より、依頼の成否にも関わって来る。

 相手は数十年は先を行くとされる最先端技術都市。

 何処に須摩留の目と耳が潜んでいるか分からない。

 

 こちらの想定を超えた諜報手段が無いとは限らない、いや確実に存在する。

 国内の有力者が様々な形で脅迫を受けているのがその証拠だ。

 依頼者たちは開き直ってダミー情報を幾つも流しているが、焼け石に水だろう。

 それでも、可能な限りリスクは減らすべきだった。

 

「………」

 

 だから、上着を着ながら視線を送るだけで何も言わない、答えない。

 それだけで察してくれたのか、呆れたようにため息をつく姿が見えた。

 リパードクは咥えていた煙草を床へ吐き捨て、踏み躙る。

 

「頭の天辺から爪先までのフルメンテナンス。

 クソ高い重火器への更新、ついでに奥の手の準備……。

 あの“アダム・スマッシャー”ともあろう男がそこまでするんだ。馬鹿でもわかるさ」

 

 だがな、と間を置いて。

 

「断言してやる。今回ばかりはいくらお前でも死ぬ。

 あそこへ()()()に踏み込んで、帰って来た奴は1人もいねぇ。

 知らないはずがないよな」

 

 リパードクが口にするのは分かり切った残酷な事実。

 

 今まで須摩留に送り込まれたスパイの末路はよく知られている。

 何も掴めないか、操り人形になるか、行方知らずになるか。

 いずれにしろ失敗しているのは共通している。

 

 最近は口さがない者が“須摩留(ルドン)送り”などと呼ぶ始末。

 工作員にとっての死地、あるいは屍の積み重なった墓標。

 

 ―――それでもアダム・スマッシャーならば。

 あらゆる死地を踏み越え、打ち砕いて来たこの機械化傭兵(サイバーパンク)ならば。

 研究所へと辿り着き、何かしらの極秘情報を掴む所まで行けるかもしれない。

 

 しかし……()()()()()()()

 

「特にあの征異大将軍……超人“峰津院都”の目は誤魔化せん。

 都市を出る前に見つかって、始末されて終わるだろうよ」

 

 首を掻っ切るようなジェスチャーをしながら苦々しく言う。

 全くもってその通りだった。反論の余地は一切ない。

 須摩留を作り上げた稀代の天才にして超人との相対は死を意味する。

 逃げる事さえ夢のまた夢といった領域の話だ。

 

 つまりこれは成功率及び生還率皆無のミッション。

 好んで引き受ける物好きなど、このサイボーグを除いて存在しなかった。

 おかげで依頼主から繰り返し何度も確認をさせられてしまったほどだ。

 

「……仮に、俺が須摩留に潜るとして。

 まあ十中八九は死ぬだろうさ。実力差は理解してる」

 

 ―――つまり、それは。

 

「だからこそ、やり遂げたならそいつは()()になるって訳だ……違うかドク?」

 

 彼がどう生きるかではなく、どう死ぬかを優先する男だという事。

 単なる腕利きの傭兵(ソロ)で終わるのではない。

 後世に残る伝説を残して早死にする人種(ランナー)だ。

 

「ハッ、高みを目指して派手にくたばれば満足ってか?

 あの鼻たれだったニュービーが言うようになったもんだ。

 ()()()()に聞かせてやりたいね」

 

「……あんたには世話になったよ。今までありがとう」

 

 そう言って、アダムは出口へと足を向ける。

 おそらく、これが今生の別れになるだろう。

 だからリパードクは、()()()()()()()()の背中を見つめながら最後の言葉を投げかけた。

 

 

 

 

「語り継いでやるよ、崖っぷちを走る大馬鹿野郎(エッジランナー)

 どこにでも転がってる、ありきたりな伝説としてな」

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 ・

 

 

 

 

「コール!」

 

 

 ―――【美野里の戦意に応じて3体の仲魔が召喚される!】―――

 

 

『我が主ながら、本当に無茶苦茶するわね』

 

\カカカッ/

鬼女リャナンシーLv23相性:衝撃反射、破魔・神経に強い

 

 

『ミノリ、落ち着いてー』

 

\カカカッ/

妖精ピクシーLv22相性:破魔・呪殺無効、全体的に強い

 

 

『ターゲット確認。排除シマス』

 

\カカカッ/

マシンタロンLv21相性:剣に強い、電撃無効・BS無効

 

 

 鬨の声(ウォークライ)と共に召喚されるのは3体の悪魔。

 黒いドレスにカチューシャを身に着けた、知恵の輪を持つ鬼女。

 赤髪にレオタードのような衣装の、いたずらな笑みを浮かべた妖精。

 4本の足を備える、装甲に青い塗装が施された多脚型マシン。

 

 前衛3体に犬猫と召喚者を合わせた後衛3体。

 計6体による強大な敵に挑む為の最適化された陣形(オーソドックススタイル)

 それはいい、当然の布陣だ。

 

 少女と仲魔のレベル自体は先ほど戦ったメイドに比べれば遥かに低い。

 破損した今のアダムでも鎧袖一触で蹴散らせる程度の力しかない。

 だから、問題はそこではなくて。

 

 


 ANALYZE          ANALYZE              ANALYZE   


 

 

―――【解析完了:敵勢存在消去不能】―――

 

《DAS or DDE》*1敵悪魔全体に対しアナライズを行う。

アナライズ成功時、一部を除いた悪魔を消滅させる。

【対象は意思無きスレイブに非ず―――効果対象外判定】

 

 


 ANALYZE          ANALYZE              ANALYZE   


 

 

 

「スレイブじゃない……通常の悪魔だと!?」

 

 アナライズ結果に認識を改める、脅威度を数段引き上げる。

 

 マシンはともかくとして、リャナンシーとピクシーには明確な意思がある。

 意志剥奪が前提として組み込まれている悪魔支配プログラムではありえない。

 すなわち、廃れてしまった悪魔召喚プログラムかカルトマジックによる使役。

 

 昨今にありふれてしまったカジュアルサマナーなどではない。

 悪魔に命を預け、心を結び、対等な契約者として共に戦う者。

 ―――正真正銘の悪魔召喚士(デビルサマナー)だ。

 

 シド・デイビス、卜部広一朗、ユダ・シング、マヨーネ、フィネガン。

 葛葉四天王にキョウジ、そして()()()()()()

 

 彼らに代表される古参かつ熟練のサマナーの恐ろしさはよく知っている。

 流石にあの域にいるとは考え難いが、警戒して損はない。

 

「まさかこんな所で見かけるとはな」

 

「見物料は体で払え」

 

 そして互いに準備が終わり―――戦いが始まる。

 

 


 Speed Battle          Speed Battle                Speed Battle    


 

―――【両者は自由乱戦(スピードバトル)を選択!】―――

―――【最短最速の決着を同意した!】―――

 


 Speed Battle         Speed Battle                   Speed Battle  


 

 

 

「速攻でぶちのめす!!」

 

 

「コミュニケーション・プレイヤー」*2通称「COMP」

生徒や教師、関係者に貸与される現実拡張ツール。

形状としてはスマートフォンに近い。 

⇒戦闘用アプリが1つインストール済み。

《速攻戦型》*3オートコマンダースキル。

発動ターンは味方全体が敵より先に行動できる。

特別課外活動部として活動中のみ使用が許されるアプリ。

無断使用した場合、始末書20枚は必須。

勿論そんな事は頭から吹っ飛んでいる。

 

 

 【先手を取るのは特別課外活動部リーダー……若槻美野里!】

 

 

 起動するのは敵を解析し、予測を行い、先手を取るアプリ。

 ネルとは異なる、完全な機械技術による先制(オートコマンダースキル)

 彼女の意思を汲み取り、それぞれが最適な行動を最短最速で開始する。

 

 

『戦闘行動ヲ開始』

 

 

《挑発》*4敵の攻撃力2段階上昇・防御力2段階低下。

「マシンと悪魔の融合」により継承したスキルの1つ。

 

 

 砲身から吐き出される煙がアダムへと纏わりつく。

 

―――【アダムの攻撃力が2段階上昇!】―――

―――【アダムの防御力が2段階低下!】―――

 

 

「ここは犬らしく咆えさせて貰おうか!!」

 

 

《雄叫び》*5敵の攻撃・防御力を低下させる。

 

 

 弱体の力を帯びた咆哮が機械化した部分に異常を齎す。

 

―――【アダムの攻撃力が1段階低下!】―――

―――【アダムの防御力が1段階低下!】―――

 

 

『はいコレあげるー』

 

 

「ファストゼリー」*610分間、味方1体の与射撃ダメージ+50%

このアイテムは調合によって作成可能。

須摩留ではその辺の薬局で売っている商品。

値段もお手頃で外の人間が見たら真っ白になる。

 

 

 飲み込みやすい一口サイズのゼリーが美野里の口に放り込まれる。

 

―――【美野里の射撃攻撃力が大きく上昇!】―――

 

 

「風穴開けたるニャア!!!!」

 

 

《魔力ガードキル》*7対象1体の魔力耐性を1T打ち消す。

本来なら存在しないスキルを半神の権能を以て練り上げた。

猫の癖に半神? 気にするな、色々あったのだ。

「神族クラス:アヌンナキ」*8バベル神族の神族クラス。

半神アヌンナキの1人が現代に転生した存在。

覚醒時、望むスキル3つまでを1段階進化させる。

進化したスキルの相性1つに対応した《ガードキル》を得る。

これには相性の制限が書かれていない。

 

 

 本来ならあり得ない、魔力耐性を打ち消す猫爪が振り下ろされる。

 

―――【アダムの魔力相性が打ち消された!】―――

 

 

『詰めるわよ!』

 

《シャッフ》*9魔力相性。

敵1体をCARD状態にする

 

 

 魔力への耐性を失った相手に、札化の呪いが降りかかる。

 

―――【アダムがカードへと変身させられた!】―――

 

 

アダム・スマッシャー
攻撃+1 防御-3
状態異常:CARD*10

 

 

「ッ―――!?」

 

 

 悪魔使いらしい流れるような一瞬の連携。

 瞬く間に防御力を下げられた挙句、身動きの取れないカードへと閉じ込められる。

 大抵の状態異常は仕込んだ酒の力で打ち消せるが、これは無理だ。

 流石に札化までは対応していない。

 

 そしてここまで来れば狙いは分かる。

 最後の1人―――サマナーたる少女へと手番が回る。

 

 

「喰らいなさいロボ勇者の剣―――!!」

 

 

 かざした手の先で空間が歪む。

 一瞬の間をおいて姿を現すのは、銃と呼ぶにはあまりに巨大な鉄塊。

 おそらく亜空間にでも仕舞っていたのだろうが、アダムの使う銃が豆鉄砲にしか見えない。

 

 エンジニア部が作り出したロマン兵器の一つ。

 ゲーム開発部に所属する勇者の少女が有するのと同じ銃。

 予算の7割を注いで作り出した筈のそれを、代用品を駆使して組み上げたもう一振りの光の剣(スーパーノヴァ)

 本来、美野里の細腕では支えきれない重量だが何故か持てている代物。

 

 

「ぶっとべぇええええええええ!!!!!!」

 

 

「レールガン+2」*11電磁誘導によって弾丸を射出するレールガン。

間違っても人に撃っていい物ではない。

・『電痕』の状態変化を与えるスキルの付与確率+60%

・『EMカノン』の威力+50%、装填数+1

・神経高揚+30%

《EMカノン》*12武器依存相性⇒火炎弾装填(火炎相性)

電磁力によって超音速に加速された弾を撃ちこむ特殊スキル。

直線上の敵全員に対して、射撃攻撃力に依存した物理ダメージを与える。

更に、低確率で状態変化(電痕)を付与する。

 

 

 灼熱を帯びた電磁加速弾が音の数倍で紙切れを穿つ。

 そのまま射線上の路面を抉りながら、遥か後方の実験場(グラウンド)へと着弾。

 一拍遅れてやって来た轟音と土煙が美野里の体を打ち据える。

 

「…………やった?」

 

 攻撃後、どっと噴き出してきた汗をぬぐいながら。

 可憐な唇から漏れたのはそんな確認の音。

 一発かまして少しクールダウンしたのか、荒々しさは鳴りを潜めている。

 

 防御力低下からの弱点攻撃。それも自分は射撃能力が増幅された状態。

 如何に格上であろうと、元からダメージを受けた状態なら耐えるのは不可能なはず。

 むしろやり過ぎて跡形も残ってないのではと思考が過り、煙を振り払おうか考えて。

 

 

 

 

 

 

「中々にいい構築だ……これだから悪魔召喚士(デビルサマナー)は厄介だよ」

 

 


【HIT!】【HIT!】【HIT!】 


 

 ―――《猛反撃:ギガスマッシャー》―――

 


【HIT!】【HIT!】【HIT!】【HIT!】 


 

 

 

 僅かに緩んだ意識の隙間を縫うように。

 美野里の腹に数個の巨大な穴が開いた。

 

 

「あっぐ――――っ!!」

 

 

 激痛を通り越した灼熱。

 全身を隅から隅まで蹂躙する着弾の衝撃。

 吹き飛んだ内臓と骨がミキサーにかけられ液状になる感覚。

 血が大量に失われ、堪らず意識が闇へと落ちていく。

 

 

「美野里!!」「倒れんニャアッ!!」『頑張って!!』

 

 

 ―――《食いしばり》―――

 

 

「――――ッアア゛ア゛!!!!」

 

 寸前、耳に届いた声を足掛かりに死にかける体へと活を入れる。

 折れ崩れる膝に力を入れ、レールガンを杖代わりに体を支えた。

 口から零れる血を飲み込んで、腹筋に力を入れながら前方を睨みつける。

 

 ―――抉れた路面、その中心に佇む壊れかけの鉄人形の姿があった。

 

 

《自己修復機能》*13このスキルは使用者がDEAD状態でも使用できる。

使用者のCURSE以外のBSを解除し、HPを少量回復する。

 

 

 先ほどよりも更に破損し、装甲の殆どが吹き飛んだ剥き出しの有様(ネイキッドスタイル)

 それでも大気を通じて感じられる闘志に衰えは微塵も無い。

 右腕に装着された機関銃は硝煙を漂わせながら未だにこちらへ向けられている。

 

 

「じゃあ……こっちの番だ」

 

 掠れた機械音声が、決着の始まりを告げた。

 

 

                                             

 

\PLAYER TURN/

【ターン が 切り替わる !】

 

                                             

 

 

「もう一度嘲笑え反地球……!!」

 

 

―――《龍の眼光(サンデヴィスタン)》―――

―――《アンティクトン》―――

 

 

 超加速による接近、そして赤き隻眼が一層輝きを増す。

 砕け散る義眼と引き換えに再び放たれる究極の万能攻撃。

 劣化とはいえ2回り以上格上の相手によるもの。

 ネルのように耐えられる道理などありはしない。

 

『万能攻撃ヲ感知シマシ―――』

 

『駄目ね、落ちるわ!』

 

―――【リャナンシーとタロンが倒れた!】―――

 

「ンンンニャァアアアアアアアア!!!!!!」

 

「これは、きついなぁ……っ!!」

 

 ―――《食いしばり》―――

―――【ブラッディとシャノワールは歯を食いしばった!】―――

 

『負けないで美野里!!』

 

 ―――《友愛の加護》―――

―――【ピクシーは美野里を庇って倒れた!】―――

 

 ―――残り3つ。

 

「次だ」

 

―――《スピードローダー:破魔矢》*14―――

 

 間髪入れずに投げ込まれる万能の力を宿した弓矢。

 アンティクトンと比べれば雀の涙程度の威力。

 しかし、死にかけの相手を終わらせるには十分過ぎる物。

 

 

「やらせるものかぁっ!!」

 

「クッソやっぱ万能は反則ニャア!!」

 

 ―――《カバー》―――

 ―――《逆恨み》*15―――

―――【ブラッディは美野里を庇って倒れた!】―――

―――【シャノワールはスキルの発動に失敗して倒れた!】―――

 

 ―――残り1つ。

 

「これで終わらせる」

 

 

「物反鏡」1ターンの間、物理型攻撃を反射する。

「鎮怪符」*16魔法攻撃反射。マカラカーンと同効果。

《クイック・ロードⅢ》*17手番を消費せず銃器や銃弾を交換する。

【ランクⅢ】

⇒銃器による攻撃後、その銃をしまい別の武器を構えてもよい。

⇒《猛反撃》の発動後に使用。

⇒「ギガスマッシャー」⇒「オーガハンド」

「オーガハンド」*18無視相性の拳武器。

アダム・スマッシャーが用意した文字通り“奥の手”。

今回の依頼の為、大枚はたいて入手した。

 

 

 右腕の機関銃が変形し、肘まで覆う手甲のような姿となる。

 近接専用の装備にしてアダム・スマッシャーの5番目の武器。

 あらゆる耐性に引っ掛からない、無視相性の弾丸と同種の奥の手。

 

 もはや壁となる仲間はいない。

 物理と魔法に対して反射状態という保険まで掛かっている。

 希望があるとすれば避ける事だが、このサイボーグは敵を逃さない。

 

 繰り出される右ストレート(チェックメイト)―――10秒(1T)に及ぶ戦いはここに幕を下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「終わるのはあんたよ」

 

 

 

 

 

 

 美野里は杖代わりにしていたレールガン……その銃身を思い切り蹴飛ばす。

 

 固定する腕を支点にクルリと1回転する光の剣。

 迫り来るアダムの右腕が()()()()()()()()()()()()()()

 終焉(おわり)を跳ね除けて―――そのまま銃口をがら空きとなった胸に押し付けた。

 

 

《カウンターストライク》*19回避の代わりに使用する。

攻撃を完全に回避し、反撃として1回射撃攻撃を行う。

⇒《百発百中》の効果に対しても回避判定が可能と裁定。

《クイック・ロードⅢ》*20手番を消費せず銃器や銃弾を交換する。

⇒「万能弾」装填

《狂騒の■■》物理貫通を得る。物理属性で与えるダメージが20%増加。

命中率とクリティカル率が40%増加。

彼女に秘められた高位悪魔の力、その片鱗の発露。

計測されたデータはCOMPを通して「バベル」へと送信済み。

 

 

 ゴツン、と重量のある金属同士がぶつかる音が無人の広場に響く。

 起死回生の1手、回避不能の零距離射撃。

 ここに王手(チェックメイト)がひっくり返される。

 

「―――運が悪かったな」

 

「あっそ」

 

 一瞬の停滞の後、歴戦の機械化傭兵(サイバーパンク)は愚痴のように呟いて―――少女は引き金を引いた。

 

 

 

《EMカノン》武器依存相性⇒万能相性。

電磁力によって超音速に加速された弾を撃ちこむ特殊スキル。

直線上の敵全員に対して、射撃攻撃力に依存した物理ダメージを与える。

更に、低確率で状態変化(電痕)を付与する。

 

 

 

 そして。

 

 

 

 

 


 

 

             


 

 

 

 

「情報共有されていれば……負けていた」

 

 

 

「スプリガンベスト」*21技反射相性を持つ胴体防具。

貫通()銃撃(ガン)及び突撃・剣技・技などの特技類を反射する。

 

 

 

 

 跳ね返された電磁加速弾を受け、美野里は広場の反対側まで吹き飛び動かなくなった。

 

 

 “運が悪い”―――それは「禁凝符」をここまでの戦いで使い切っていた事。*22

 おかげで相手が大技を使ってくれるのを祈る羽目になった。

 そして美野里にこちらの相性耐性が伝わっていなかった事。

 

 仮に万能相性であろうとそれが(スキル)であれば反射する事を知っていれば。

 彼女が切り札に拘らず通常攻撃(GUN)を選んでいれば。

 ネル同様、結果は正反対だっただろう。

 

 

「……さっきのスカジャンメイドもそうだが、キレてばかりだと男に逃げられると思うぞ」

 

 

 心からの忠告が2人の耳に届かなかったのは、きっと幸運であった。

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 

 ・

 

 

 

 


Emergency           Emergency               
 


 

―――【残弾数警告:20%を下回りました】―――

 

―――【使用可能武装:機関銃(ギガスマッシャー)変形手甲(オーガハンド)】―――

 

―――【損害報告:左腕欠損、装甲大破、駆動部に異常】―――

 

―――【消費アイテム:残り1セット】―――

 

 


Emergency           Emergency                  Emergency  


 

 

「………ハァ」

 

 言う事を聞かなくなってきた足を引きずりながら、止まらない警告の嵐にため息をつく。

 

 万全とは程遠い、現在進行形で悲鳴を上げ続けるボディ。

 機関銃と手甲という半分以下となった武装。

 残り僅かな弾薬と幾つかのアイテム類。

 

 それが自分に残されたカードである。

 勝負所で手札事故を起こした気分だ。

 

 ここからどうにかなると言えるほど、アダムは楽観的な男ではない。

 流石は魔都須摩留か。何もかもが異次元の、余所者にとっての死地。

 

 やれる事はやった。結果を見届けられる可能性はほぼ潰えたが。

 覚悟は決めていた。高みを目指して走り続けた終わりが此処だ。

 

 警告を全てシャットアウトしてから―――ふと、空を見上げる。

 増設された第3の義眼が映し出したのは、雲一つない天に浮かぶ満月。

 夜闇を裂いて自分たちを優しく照らす、宙の先で輝く幻想。 

 

 ―――結局見つける事の出来なかった、夢の果て。

 

 

「……これは、いよいよか」

 

 

 センチな気分になっているのを自嘲する。

 死神がすぐ傍まで迫っている証拠に他ならない。

 センサーなど頼らなくても分かった―――()()()()()()()()

 

 ぐるりと周りを見渡した。

 姿を確認出来るのは4名。

 

 ―――ピンク色の髪をポニーテールにした、色違いの瞳(オッドアイ)を持つ重装備の少女。

 ―――捩れた4本角が生えた、漆黒の冠のような天輪(ヘイロー)持つ銀髪の少女。

 ―――巨大な電磁加速銃(レールガン)を背負う、人形のように整い過ぎた容姿の少女

 ―――セミロングの銀髪に獣耳を持つ、青十字のヘアピンとマフラーを身に着けた少女。

 

 それ以外にも間違いなく複数人が()()()()位置に潜んでいる。

 死にかけの相手だろうと欠片の油断も無く確殺する為の包囲陣。

 万全の状態でも抜け出すのは困難を極めるだろう絵図。

 

 後ろに相当厄介な指揮官がいるのは明白だ。

 元より逃走不可能、選択肢は一つしかない。

 

 

「いいぜ、戦ってやるよ―――最後の大暴れだ!!」

 

 

―――《龍の眼光(サンデヴィスタン)》―――

 

 

 

 加速装置起動―――生涯最後になるだろう疾走を開始。

 

 この日の事件は学園都市須摩留建設以来最大の襲撃として記録されると同時に。

 魔労ワークより機械化傭兵(サイバーパンク)、“アダム・スマッシャー”のMIA判定が発表されるのだった。

 

 

 

 

*1
※覚醒篇改変

*2
※200X

*3
※DSJ

*4
※真Ⅲ

*5
※真Ⅳ

*6
※IMAGINE

*7
※200X ルールの穴を突いたマンチ行為

*8
※200X ルールの穴を突いたマンチ行為

*9
※デビルサマナー

*10
※デビルサマナー

行動不能になり、物理に強くなるが火炎に弱くなる(300%)

*11
※IMAGINE

*12
※IMAGINE

*13
※200X

*14
※真1 敵1グループにメギドの効果

*15
※ライドウ 

約80%の確率で、受けたダメージの50%分を敵に与える。

万能または弱点による攻撃、弱点硬直中/封印/石化/魅了/混乱/睡眠中、死亡した時は効果を発揮しない。

*16
※デビルサマナー

*17
※200X

*18
※P2罪

*19
※200X

*20
※200X

*21
※デビルサマナー

*22
※デビルサマナー

物理攻撃反射。テトラカーンと同効果。

デビルサマナーのテトラ・マカラは万能も反射する。




次回もなるべく早めに書きます。
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