真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~ 作:ジントニック123
数学者にして哲学者であり計算機科学者。
そして“コンピューターの父”と呼ばれる
蒸気機関による世界の革新を願った夢追い人。
名をチャールズ・バベッジ。
十九世紀のイギリスを代表する天才碩学の一人。
彼の業績や影響は科学界のみに留まらない。
医療では検眼鏡の開発。
交通ではカウキャッチャーの発明。
暗号ではヴィジュネル暗号の解読。
創作―――特にSFジャンルであるスチームパンクには根幹的部分に多大な影響を与えている。
蒸気によって駆動するコンピューター。
水と熱と空気が支える鋼の計算装置。
電子機器の発達により過去の遺物とされた、あり得ざる蒸気文明という概念。
―――そのあり得ざる夢が、あり得ざる
実物として世界に存在するとは一体誰が思おうか。
異形科学によって生み出された装置、あるいは空間そのもの―――通称“異形機関”。
その内の一つ、
無限に連なるドラムと歯車、時折噴き出す謎の蒸気によって構築された超大型演算装置。
内包された専用の四次元空間―――つまり異界―――にその大部分を収める事でサーバー一台分程度の大きさに留めた、最新のスーパーコンピューターでさえ足元にも及ばぬオーバーテクノロジー。
製作者不明、魔界由来の技術が用いられている事しか判明していない異形機関だ。
それを世界各地の
あまつさえ、可能な限りの量産を行ったのが学園都市須摩留だった。
最先端科学を体現する都市の管理や防諜、実験データの管理等々。
世界を救うという目的の為には必要だったのだろう。
技術・コスト面の問題から“バベル”のコピーを作るよりかは効率的と判断したのかもしれない。
結果、都市中に配備された幾つものデッドコピーは各作業の大幅な効率化を実現したが、同時に怪事件頻発の原因にもなり、その都度美野里たちをはじめとする学生チームが対応に当たる羽目となったのだ。
当時の彼女はついぞ気付けなかったが、仮に知ればブチギレる事間違いなしである。
いったいどれほど面倒事が、そして血を流す戦いが起きたか。数えるのも億劫になる程あった。
だが、物は使いようという言葉があるように。
須摩留崩壊時、この異形機関の特性を利用して生き延びようとした者たちがいた。
例えば、地獄と化した都市を生き延びた生徒たち。
例えば、少しでも延命する手段を模索し続けた研究者たち。
例えば、半ば巻き込まれる形で都市と命運を共にする事となった民間人たち。
彼らは各所に設置された避難用シェルターへと逃げる事も出来なかった故に、解析機関の異界内に避難する事で世界の終焉をやり過ごそうと試みたのだ。
通常の異界は地上と紐づいているが、これは装置の内部自体が異界化しているもの。
外枠である機関を宇宙や次元の狭間、あるいは魔界。
とにかく世界崩壊の影響が少ない場所に避難させれば生存の目が出るかもしれないと。
無論、切羽詰まった状況で思いついた不確かな考えであるのは疑いようもない。
加えて必要な物資の準備も意思統一も不十分な集団による、期限不明の籠城戦。
そんなもの短期間で破綻するのは目に見えていた。
今死ぬか、緩やかに死ぬか、内ゲバの果てに死ぬか。
一か八かの賭けにすらなっていない死への片道切符。
それでも、彼らは自分たちの命をその頼りない蜘蛛の糸にベットするしかなかった。
まだ死にたくなかったから。
まだ生きていたかったから。
こんな終わりを認めたくなかったから。
もし仮に、何もかも上手く行っていたのならば。
ある程度の放浪と犠牲の果てにいつかの時代へと流れ着く事もあったかもしれない。
事実として、崩壊する須摩留を生き延びた者たちは他にも複数存在する。
―――彼ら彼女らに不幸があったとすれば。
須摩留の住人を一人として逃がさず殺しきろうとする
仲間の少女がテレポートを行った際に座標がズレて取り込まれてしまった犬と猫がいた事。
その際に開いた“穴”を通って解析機関内部へと敵の侵入を許してしまった事。
皆抗った、生き残る為に。
皆抗った、死なない為に。
皆抗った……それでも駄目だった。
圧倒的な力を前に彼らの希望は簒奪され蹂躙された。
僅かな支配権をもぎ取った2匹が抵抗を続けるがそれで限界。
―――以降、その小さな箱舟は
これは過去から迫る兇刃に抗い、そして新生する物語。
あるいは新たなる伏線、次なる運命へと繋がる前日譚。
どちらにせよ―――血を見る事に変わりはないだろう。
・
・
・
亀裂へと飛び込んだ直後、感じたのは浮遊感。
そして肌に刺さる複数の
「そう来たか……!」
気づけば薄暗い空を
かなりの高度があるようで、重力に引かれて身体はどんどん加速していく。
それだけならまだいい。終端速度の関係上、地上に激突して死ぬほどヤワではない。
精々魔王の一撃を喰らう程度の負傷で済むだろう。
だから問題は殺気の方。
あの引力の対象外であった時点で、宗吾は招かれざる来客である。
そんな輩が土足で踏み込み、しかも身動きの取れない空中にいる。
有り体に言えば―――格好の餌食である。
轟音、そして発光。
地上から幾つもの火線が侵入者目掛けて次々と迫る。
単純な銃撃からあらゆる魔法攻撃まで種々様々。
宗吾が地上に辿り着く前に跡形もなく消し飛ばす気なのが見て取れる。
「―――クハッ!」
どう考えても絶体絶命のピンチに笑い声が漏れる。
逃げ場の無い熱烈な歓迎であり、だからこそ乗り越える甲斐がある。
鬼神楽を抜刀し、宗吾は
無理に回避しようとしたところで徒労に終わるだけ。
だから、最短距離を
頭を大きく振って上下を反転。
天地のひっくり返った視界に映るのは、迫り来る地上と殺意の嵐。
二秒後―――嵐へと突っ込む。
| 《金城湯池》*1 | 技相性。武器で受ける防御技。 受けに使用した武器の威力分ダメージを軽減する。 |
| 《魔法防御Ⅱ》*2 | 魔法攻撃1回に対し、魔晶剣(杖)の威力修正を魔法防御点に加える。 魔晶剣(杖)の属性攻撃に対応する相性の攻撃だった場合、 その相性に「強い」ものとして扱う。 この判定にクリティカルした場合、ダメージと効果を完全に打ち消す。 |
観て、感じて、最高効率を貪るようにして剣を振るう。
身体と衣服によって生じる空気抵抗を利用して水平に回転しつつ、あらゆる方向からの攻撃に対応出来るようにしながら。
己を狙う矢弾の悉く斬り払い、魔法を刻んで雲散霧消させる。
「チッ―――!」
もちろん完璧には防げない。全てを斬り飛ばしきれず幾度も直撃を許す
怒涛の集中砲火を前に、どうしても手数が足りない。
肉を抉り焼いて凍らせ、骨どころか魂まで断たれかねない刃の数々。
―――それでも。
「軽いんだよ!!」
事実を口にする。
己を鼓舞する為のハッタリではない。
あの星毒竜の爪や尾は信じられないほど重かった。
あの英雄の咆哮に込められた熱量とは比べ物にもならない。
この程度を乗り越えられないようなら師に爆笑されてしまう。
呼吸を止める。
意識を加速する。
雑念を消し飛ばす。
先の見えない闇の中を手探りで進むように。
いつ来るか分からない
一秒が何十倍にも凝縮される世界で……その時は訪れた。
「――――!」
攻撃と攻撃の僅かな切れ目。
多数からの集中砲火であるが故に訪れる筈の
抜刀術を以て大気を斬り刻み、強引に攻撃軌道を逸らすと同時に空気抵抗も斬滅。
一気に加速して、嵐を潜り抜け……文字通り地上へと激突した。
「~~~~~いってぇなっ」
舞い散る土埃を払いつつ、宗吾はゆっくりと立ち上がる。
着地の瞬間、転がるようにして衝撃を可能な限り分散したが、それなりのクレーターを作るほどの衝撃。
攻撃が直撃した部分と合わせあちこちから出血しているが、ダメージはそれほどでもない。
少なくとも剣を振るのに支障はない程度。
―――だから、問題はそれ以外。
軽く衣服の下や耳に装着したピアスに触れる。
確かに身に着けている事を確認して息を吐く。
「道理で効く訳だ……防具が殺されたか」
| ◆防具 頭:双鬼冠⇒なし 胴:テトラジャマー⇒なし 足:ローラーブレード⇒なし 手:Aマックスアーム⇒なし アクセサリー:カポーテピアス⇒なし |
この異界の特性なのか、
やけに耐性を無視して突き刺さるので疑問に思っていたが納得する。
敵地のど真ん中だ。そのくらいのギミックがあってもおかしくない。
「ちょっとやばいな。即死喰らったら食いしばるか根性で息吹き返すしかねぇわ」
服を着ているので破魔は無効だがそれ以外は素通しだ。
下手をすれば呪殺の一発で死にかねない。
(ホンジュンの領域みたいなもんか……比較対象が最悪過ぎる)
脳裏を過るのはかつての知り合いであった薬中警察官。
万人を夢の底に沈める万仙陣の主も似たような事が出来た。
あちらは夢の中に沈めた上で薬も善意でぶち込んで来たが。
| 《禁気》*3 | 毒、麻痺、石化、または呪い系の魔法魔力を防ぐ結界。 帝都忍者の使う《バリア》の原型である賦活克毒の魔術。 |
| 《察気》*4 | 悪魔、害意、罠を察知する。気功に分類される索敵術。 |
| 「入魂」*5 | 武器に一度だけ使えるボーナスを付与する。 ⇒「相性付与」を選択。 ⇒格闘武器に任意の相性を1つ付与できる。 ⇒「-」相性選択。 |
ひとまず呪殺対策の結界を張り、ついでに刀身に細工をしながら周囲の気の流れを探る。
軽く空を見上げれば、星々の代わりに浮かぶ無限に連なる歯車たち。
辺りは近未来的な印象を受けるものの、どこも崩れて廃墟と化している街並み。
足元からは時折高温の水蒸気が噴き出して、サウナの様に蒸し暑い。
体感だが80度を軽く超えている気温。
服が肌に張り付くほどのじめじめとした湿度。
控えめに言って―――人が住める環境ではなかった。
覚醒者であっても好んで長居はしたくない。
仮に宗吾が此処の住人なら土地の管理者に文句を言いに行くレベルだ。
故に、
「豁サ縺ォ縺溘¥縺ェ縺?シ 豁サ縺ォ縺溘¥縺ェ縺?シ?シ」
「縺溘☆縺代※縺?▲?」
「縺?o縺ゅ≠縺ゅ≠縺ゅ≠??シ?シ?シ」
| 軍勢 | 残滓の群れ | Lv60 | 相性:??? |
理解出来ない言葉を吐き出しながら包囲するように集まったのは
立体となった人影と呼べばいいか、頭の天辺から爪先まで一様に真っ黒だ。
身長差こそあれど、顔はおろか性別さえも識別不能である。
ただ、いずれも頭頂部に
「
おそらくは須摩留の住人かそれに近い存在……その残骸。
死してなお利用される滅んだ世界の犠牲者たち。
どうやら過去からの因縁が美野里にも降りかかって来たのだろう。
大物と戦って消耗している所を狙った辺り、穏便な手合いである可能性は僅かも無い。
「―――
だから即断した。
| 《先の先》*6 | 判定成功時、そのキャラクターだけが最初に行動する。 知略と意識の速さによって先手をもぎ取る技術。 |
| 《フィジカルエンハンスⅡ》*7 | 剣・ガン(物理)相性の習得済みスキルを指定する。 「属性攻撃」に対応する相性へと変更。 |
| 《居合一心》*8 | 敵全体に物理属性の打撃型ダメージを与える。 攻撃成功時、自身をチャージ状態にする。 物理⇒万能相性へと変更。 |
| 《会心ブースタ》*9 | クリティカル率及びクリティカル威力上昇。 フツヌシの武威を取り込み《会心》を昇華させたもの。 |
目に見える範囲の殲滅に5秒とかからなかった。
数を揃えた上での脅威度でも宗吾には及ばない。
遠距離から釣瓶打ちするならともかく、この距離なら当然の結果だ。
犠牲者たちに思う所はあるが、宗吾に出来るのは斬って終わらせる程度。
そして優先しなければならない事がある以上、迷って剣を鈍らせる訳にはいかない。
生きて事が無事終われば、後で念仏を唱えるくらいは出来る。
「どこだ美野里……っ!?」
索敵範囲を広げながら走り出す。
十中八九戦闘中だろうが、そういった気配は感じられない。
相当距離が離れているのだろうか。
スマホが通じるとも思えないので足で探すしかない。
(《陰淪飛霄》*10で空飛んで―――また集中砲火喰らうだけだな。
小手先の技だけじゃ限界がある)
補助目的で探索に使える術も幾つか修めてはいるが、本職にはどうしても劣る。
どこまで行っても剣士でしかない宗吾では、こういった状況は不得手である。
もちろん、諦める気は毛頭無い。
一度足を止め、《察気》の範囲をさらに広げようと意識を集中し―――。
【バックアップデータより検索……ヒット】
【八瀬宗吾……該当Ver1.4XXX6……記録レベル22】
【レベル判定更新……記録データより検索開始】
【検索……ヒット……世界放浪者観測記録からサルベージ】
【同位体“
【関係個体“
【再検索……ヒット……該当Ver1.4XX1X……実験記録“
【同位体“
【関係個体“
【
ほぼ反射で首を掻っ切られる前に上体を後ろへ逸らし、不意打ちを薄皮一枚で回避。
そのまま後方へ流した運動エネルギーを利用して、仰け反るように返す刃を繰り出す。
刀身には事前に仕込みがしてある。
一度限りだが
大抵の相手は三枚におろされて終わるだろう。
しかし、この距離まで接近を許した相手だ。
反撃だけで沈むと考えるのは楽観的過ぎる。
だから反撃に続けて主導権を奪い攻める
『――――――』
| 《 | 反撃1回を打ち消し、その相手に剣相性のダメージを与える。 この攻撃に対する回避・防御・反撃はできない。 死さえも払い捨てる一刀流の極意。 |
最初の部分で躓かされる。
切り上げようとした刃が抑え込まれた。
正確には鬼神楽の鍔―――最も威力の乗らない部分を鉄鞘の先端で突き込んで動きが止まったのだ。
つまり、今の宗吾は体を仰け反らせたまま止まる無防備な死に体という事で―――。
「ガッ―――!?」
がら空きとなった胴体へ容赦のない袈裟斬りが走る。
何が起きたのか? 何をされたのか?
疑問の答えはすぐ出た―――よく知っている。
反撃殺しの太刀―――払捨刀。
一刀流の開祖が編み出した奥義にして、師匠から文字通り叩き込まれた返し技。
漂流して以降、使う機会も殆ど無かったので手札から外していた剣技だ。
動きを封じた流れからして、おそらくは反撃を誘われていたのだろう。
気づけなかった己の未熟さに、込み上げてくる怒りを飲み込んで強引にバックステップ。
斬られた場所から血が噴き出る……前に筋肉を引き絞って強引に止血。
視線と気迫で牽制しつつ距離を取り、敵と改めて向き直る―――思わず笑った。
「カハッ、なるほど個人情報集めてたならそういう事も出来んのか。
………ヤバ過ぎるだろ須摩留」
| 擬人 | Lv65 | 相性:??? |
服装が違う。髪の長さが違う。得物が違う。
身に纏う雰囲気にもどこかズレがある。
だが―――どう見ても宗吾と瓜二つの容姿。
生き別れの弟とか単なるそっくりさんの可能性もなくはないが、この場では不適切。
考えられるとすれば。
「同キャラ対決ってか……今じゃなきゃ大歓迎なんだけどなー」
ここで宗吾は、いつかの己と刃を交える事となった。
・
・
・
思えば特別課外活動部の一員として幾つもの案件に関わってきた。
例えば、バベッジの解析機関が暴走した事に端を発する“ディオダディの怪”事件。
例えば、須摩留最大の書庫にして叡智の殿堂“アレクサンドリア図書館”での暗闘。
例えば、無限の食料を生産し続ける“ダグザの大釜”を狙う美食研究会のカチコミ。
他にも半端な知識で古式の悪魔召喚に挑戦しようとしたオカルト研究会の後始末やら、TCGにどハマりした連中が引き起こした強制
幾つかは自分たちがやるような仕事ではなかったが、それでもなんとか解決して来た。
呆れる事も、怒る事も、疲れる事も―――笑って終わる事も何度もあった。
歪で、真っ当とは言い難くて。
それでも、仲間たちと過ごしたあの日々は間違いなく青春の一ページで。
―――だからこそ、これはとびっきりの悪夢だった。
『必殺!勝利のポーズ!』
| 《S堅盾の秘法》*12 | 毎ターン《ラク・カジャ》が発動する(裁定)。 自己防衛本能の開発によって習得する能力。 生前の物より性能が強化されている。 |
| 《挑発》*13 | 3ターン敵から狙われやすくなる。 |
『逃しません!』
| 《S制圧する冷気》*14 | 毎ターン《スクンダ》が発動する(裁定)。 念動力の亜種である氷結系の具現化能力。 |
| 《S氷の仮面》*15 | 毎ターン《絶対零度》が発動する。 敵全体のうちランダムに1体にダメージを与え、これを1~4回繰り返す。 生前の物より性能が強化されている。 |
| 《準氷結貫通》*16 | 氷結貫通を得る。無効以上の相手には威力が70%減少する。 異形機関「大冷蔵庫」との接触実験で得た貫通能力が強化されている。 |
| 《ランダマイザ》*17 | 敵全体の能力を1段階低下させる。 本来持っていた《呪縛の祈り》の強化。 |
『覚悟しろ、規則違反者共め!』
| 《S強制神経加速》*18 | 毎ターン《スクカジャ》が発動する(裁定)。 電気コントロールの応用による神経加速能力。 |
| 《至高の魔弾・乱舞》*19 | 敵単体に銃属性大ダメージを与える。 乱舞化により敵全体の中からランダム3回に変更。 所謂“ |
| 《物理・銃撃貫通》*20 | 反射以外の相性を無視してダメージを与えられる。 |
全能力に
魔弾によって額が割れ頭蓋骨に幾つもの亀裂が走る音がした。
衝撃で脳を揺らされた影響で意識が断絶と再起動を繰り返す。
傷口からとめどなく流れ出す血で視界が赤色に染まり始める。
「ッ―――ァアア!」
そして、それらがどうでもよくなるほどの憤怒が倒れる事を拒絶した。
「オイオイオイ! 真っ赤になっちまったなぁサマナー!?」
「大丈夫?
「誰に言ってんのよ……あんたたちも気合い入れろぉっ!!」
心配の声を上げる
事前に飲み直していたマッスルドリンコの
星毒竜との戦いによる疲労はあるが、そんなものは何処かに吹っ飛んでしまった。
「舐めた真似しやがったわね……絶対許すもんか」
気炎を上げる。
天井知らずにそのボルテージが跳ね上がり続けている。
分かりやすいほどに美野里は怒っていた。
いきなりこのような場所へ引きずり込まれた事。
見覚えのある景色に過去の記憶を想起させられた事。
そして何よりも―――。
| 宇沢 レイサ | Lv20⇒60 | 相性:銃・呪殺・魔力・氷結反射、電撃無効 |
| 守月 スズミ | Lv20⇒60 | 相性:精神・破魔・金縛・神経に強い 四属性・念動に強い(70%)、呪殺に弱い |
| 銀鏡 イオリ | Lv20⇒60 | 相性:破魔・呪殺・精神・神経・魔力無効 打撃・斬撃・技・銃撃に強い、衝撃に弱い |
特別課外活動部。
影時間への適正をメインに各校の生徒から選抜された特殊合同チーム。
その中でも美野里と特に親しかった3名。
共に笑って、背中を預け合って、最期を見届けて、何も言わずに別れた彼女たち。
もちろん目の前にいるのは姿形だけが同じ偽物だろう。
強さは勿論のこと、使うスキルの幾つかも自分が知っているのとは別物だ。
以前、宗吾の内界で協力してくれた彼の友人たちのように中身がある訳でもない。
そんな人形を自分に襲わせるという悪趣味。
つまるところ嫌がらせで、あからさまな挑発。
許せる理由など一片たりとてありはしなかった。
「む、おかしいな? ケガレを使って呼び出したイマージュスラッシャーが……。
ファッファッファ。まあいい、こういう事もあるだろう」
実際は魔王城に呼びされれる筈の3体が、縁の強さと解析機関の誤作動による召喚でこの場へ引き込まれたという誰も予想だにしなかったイレギュラーなのだが。
美野里がそれを知る由もない。
この世界の支配者も使える駒が増えたという認識でしかなかった。
「ぶっ殺してやる……皆を弄んだ事を後悔させてやる……っ!!」
怒りに燃えながら思考を回す。
一秒でも早くこんなふざけた茶番を終わらせる為に。
―――疼く額に違和感を抱く事は終ぞなかった。
なるべく早めに続きを書きたいと思います。