真・女神転生オタクくんサマナー外伝~エピソードオブドリフターズ~ 作:ジントニック123
「ねぇ巧。それボクの焼小籠包なんだけど」
「いいだろ別に。こっちは肉体労働で腹減ってんだ」
日も暮れて夜に包まれたシャッターだらけの中華街。
老朽化した街灯と中華料理の自販機だけを光源とする食事席。
そこで二人の男―――大沢と雨柳がバチバチと視線を交わしていた。
理由は大した事ではない。
皿に残された最後の焼小籠包の取り合いである。
共に箸で掴んだまま競り合って放す様子はなかった。
「あのさ、一応ボクの方が、偉いん……だけどねぇっ!」
「プラオベート、だろ……ダチとのサシ飲みだから、関係ないっ!」
ギリギリと音を立てて競り合いが続く。
彼らに半分にして分け合うといった考えはない。
早い者勝ち、先に食べなかった方が悪いという士官学校時代からのルールであった。
「いいかいよく聞いてくれ。
ボクはね、今日この時間を作る為に3日分の書類仕事を頑張って片付けて来たんだよ。
だから、ちょっとは、遠慮って言葉を、覚えて欲しいかなーって……!!」
「奇遇だなぁ。
俺も、この間どこかの誰かさんの、無茶な命令をこなしてきたばっかでよ。
少しは、ねぎらいってモンを、して欲しいもんだ……!!」
しまいには机の下で蹴りの応酬が始まる。
どちらも部下には見せられない姿である。
「というか前はビール奢ってあげたじゃん、譲ってよ」
「その更に前は肉まん奢ってやったろ、俺に寄越せよ」
いい年をした大人二人の醜い争い。
ハッキリ言って、みっともないにも程がある光景だった。
「―――あ、そういえば面倒見てるリリィに手を出したんだって?
やっちゃったねーとうとう」
「ぐふぉっ!?!?」
予期せぬ方向からの
当然その隙を見逃す大沢ではない。箸が高速で回転し焼小籠包を強奪。
不意を突かれた雨柳が文句を言うより早く大沢の口へと納まっていた。
勝ち誇る大沢と項垂れる雨柳。
あまりにも虚しい決着である。
「んぐ、それで、あの色好みと同じになった気分はどうだい?」
「ホラ吹きこんだのはあいつか……やる訳ねぇだろ。
伸び悩んでる所があったから一緒に訓練つけてただけだ。
そもそもそんな真似したら部下から袋にされるんだが?」
渋い顔を浮かべながら雨柳は安物のビール瓶に口を付けた。
事実、彼は誓って少女たちに不埒な真似をした事は無い。
むしろ
―――ちなみに主な相手は大沢に報告した元トップエースの教官である。
「まあそうだよね。本当に君がパパ活おじさんになってたら腹抱えて笑う自信あるよ。
なんなら今からでもやってみるかい?
地下シェルターでも買い取って身近な人間とぬくぬく引き籠り生活とか」
「馬鹿言うな。逃げて子供に守られてるなんて死んでも御免だ。
何が悲しくて30過ぎのオッサンがそんな真似するんだか……」
「そういう可能性があるから―――“ボクら”は病人扱いなんだろうさ」
同じように安ビールで口を潤した大沢が皮肉気に笑う。
空になった瓶を後ろのゴミ箱に放り投げ、椅子の背もたれに寄りかかった。
それは一種の切り替えであり―――この飲み会における本題に入る合図だった。
「新造予定の方舟だけど、どう考えても数が足りないのは知ってるよね。
だから少しでも多く乗せる為に議会で
「……具体的には?」
大沢は指を三本立てた。
「一つ、方舟内の個人スペースの撤去。
全員が四六時中共有スペースで過ごす事を前提にする。
ご飯食べるのも風呂入るのも寝るのもいつも一緒って訳」
「そりゃ寂しくなくなるな」
「二つ、食料は効率面だけを考えて完全栄養食のみとする。
前世紀の、宇宙開発初期にあったチューブ食みたいなやつだね
もちろん味は最悪を超えた最悪」
「ダイエットが随分はかどりそうだ」
「そして三つ……覚醒者は冷凍保存ないし石化して必要な時に“解凍”し運用する。
完全に備品扱いで船の端に詰め込まれるんだってさ。笑えるよね?」
「笑い過ぎで涙が出るぜ」
方舟―――ヒュージに追い詰められる人類が立てた世界脱出計画の要。
だがその新天地へ旅立つ為の希望は、感情を克服した“まともな人類”の使用を前提としていた。
仮に覚醒者たちが普通に乗れば、一月と持たずに精神に異常をきたすのは目に見えている。
清過ぎる水に魚が住めないのと同じだ。
少しでも多くの命を救うための合理性は、時として一部の少数派に牙を剥く。
今回
「で、正式決定は?」
「今はまだ押さえつけてるけど時間の問題かな。
このままだと間違いなく通るよ」
雨柳は一度目を閉じ、静かに息を吐いた。
「―――
もちろん個人的感情は除いてだが」
拒否感も不快感も消えはしないし誤魔化せない。
だが同時に、これが現状における最適解である事も理解している。
護るべき一般人を、覚醒した子供たちを少しでも多く逃がす為には仕方がない。
文句があるのなら代替案を出す必要があり、残念ながらそれを捻り出す頭も権利も、戦う事くらいしか能のない雨柳には無いのだ。
そう、だから問題は―――。
「どうせ一番強く言ってるのはG.E.H.E.N.A.の息がかかった連中だろ」
当然、方舟に乗り込むだろう阿呆どもの事だった。
「ご名答。いやぁ、ここ最近どんどん手段選ばなくなってくよねあいつら。
他のお偉いさん方もボクらの病気がうつったんじゃないかって皮肉飛ばしてたし」
「名誉棄損で訴えたら勝てないか?」
雨柳の言葉は掛け値なしに本音であった。
元より非道上等、倫理は遥か遠くに置いて来たと言わんばかりの集団だった。
だがここ数年はその活動内容が悪い方向へとエスカレートし続けている。
雨柳もつい先日、徹底的に改造された機兵から襲撃を受けたばかりであった。
如何に人類が追い詰められているとはいえ、その所業に眉を顰める者は少なくない。
そんな集団が無防備に保存されている
答えな口にするまでもない。
例え逃避行中であろうとも、未来の為と嘯いて実験を続けるのは目に見えている。
「―――最悪、俺だけでもやるぞ」
「非常に残念だけど今やったら影響デカ過ぎかな。
方舟計画にも見直しが入るかもね」
そして、
確かに病人寸前の狂気に落ちかけてはいるが、いまだ人類側へ貢献している部分も多い。
更には
考え無しに皆殺しにしようものなら、むしろ自らの首を絞める事に繋がるだろう。
―――その狂気を加速させている原因が眼前の親友だと、雨柳は夢にも思っていない。
「なら、どうすればいい。
言えよ一光、あるんだろ考えが。
俺は、俺たちはどうすればもっとマシな希望を作れる?」
「簡単だよ―――船が無いなら専用の“病院船”を用意すればいいのさ」
魔人は己のどす黒い真意を隠したまま、本物の希望を嘯いた。
「今の人類に余分なリソースなんて存在しない。
建造中の方舟だってなんとか資材を捻り出してるくらいだ。
そこを逆手に取って、物資回収任務の名目で素体になる揚陸艦を片っ端からかき集めるんだ」
神奈川という地に追い詰められるまで、人類は幾つもの拠点や装備を放棄せざるを得なかった。
そしてその中には大破し行動不能となった揚陸艦―――方舟のベースも含まれている。
それを再利用し、覚醒者専用の方舟として使えばいいのだと大沢は告げた。
「…………そいつは完璧だ。
不可能ってとこに目をつぶればな」
「うん、自分で言っといてなんだけど自殺と変わりないよね。
要するにヒュージだらけの場所から壊れた船引っ張って来いなんてさ」
―――無論、机上の空論であるが。絵に描いた餅と言っても良い。
当然だが大破した揚陸艦は全てヒュージの勢力下に存在している。
小形の物資ならともかく、そんな巨大な代物を運ぶのは不可能だ。
最低限の修理を施して走行させるにしても隠密行動など出来ない。
予知能力など無くても袋叩きにあって全滅する未来しか見えない。
仮に成功したとしても、その成果はまともな人間を生かす為に持っていかれるだろう。
つまるところ徒労に終わる可能性が非常に高かった。
「けど巧、君たちがこの無理難題をやり遂げてくれたなら―――」
それでも。
大沢は忌々しくて憎たらしい掛け替えのない親友が話に乗る事を確信して話を続ける。
結果としてどれだけ雨柳の身近な人間が死ぬか、その喪失に苦しむかを想像しながら。
喜悦と興奮で思わず歪みそうになる口元を手で覆い隠して。
「ボクが、絶対にこの案を通してみせる。
命に代えても、尻で椅子を磨くのが趣味の馬鹿共に横取りなんてさせない。
……乗るかいこの無謀?」
―――返答など、語るまでもなかった。
後日、リリィからも希望者を集って実行された物資回収作戦は一応の成功を見た。
幾人もの死傷者を出しながらも放棄されていた揚陸艦を数隻回収。
大沢の粘り強い交渉と工作によって覚醒者用の“病院船”案は見事可決された。
だが、この作戦において雨柳の同期及び部下が複数人死亡。
更にはその遺体をG.E.H.E.N.A.が奪取し実験に使用するという事件が発生。
後に雨柳が研究所を襲撃し、皆殺しへと走る原因の一つとなるのであった。
・
・
・
「……………………あ」
微睡からの覚醒。
かつての夢から現実へと大沢の意識が引き戻される。
まず認識したのは落下する浮遊感と貫かれた腹部の激痛。
次に甲高くなり続ける
そして最後に、遥か上空からこちらを見下ろしている雨柳の姿。
(そうか……ボクは………)
最後の最後、己の思考を完全に読み切られた上で必殺を叩き込まれた。
何故こんな事になってしまったのか。
完全に勝っていた
―――慢心。
―――過信。
―――傲慢。
―――油断。
要因として挙げられるのは複数ある。
雨柳や666部隊が限界を超えて立ち向かってきたのも当然ある。
だが、究極的には経験の差という言葉に尽きるだろう。
雨柳巧という男は幾つもの死地と絶望を乗り越えここまで来た。
苦痛と辛酸を幾度と舐めさせられ、その都度立ち上がって来た。
仲間たちの期待を背負って、思いを託されて今まで歩んで来た。
そんな彼にとって、僅かな勝機を掴むなどいつもの事なのだ。
奇跡の連続を前提条件とするような地獄に挑み続けていたのだ。
そんな戦いばかりを幾百幾千と繰り返してきたのだ。
そして、その積み重ねが鋭い刃となって大沢を貫いた。
であれば。
この状況はある意味自業自得と言えるかもしれない。
雨柳を苦しめるべく、そういう状況に放り込んで来たのは他でもない大沢自身なのだから。
そのツケを今、身をもって支払っているのだ。
「――――――――」
ぼんやりと、大沢は左手を伸ばした。
罅割れたメインモニターに映る親友。
無限に離れていく雨柳へと触れるように。
「―――――――――――」
当然ながら無意味だ。
黄金の
ただ虚しく空を掻くだけに終わる。
「―――――――――――、ああ」
心底残念そうな声が漏れた。
それは人生の集大成とも言える時間が終わろうとしているからか。
親友との逢瀬をもう少し長く味わいたかったからなのか。
どの道、残された時間はそう長くない。
重力に引かれる機兵はもう少しで大地へと叩きつけられる。
雨柳を原因とする事象である以上、不死の力も発揮されない。
己の我欲によって世界を滅ぼした怪物へと容赦なく終止符が打たれる。
その、刹那。
知らない声が響いた。
発生源は左手の機械腕、その手甲部分。
機兵の動力源にして絶大な力を与えていた
「―――――――――あ?」
直後、膨大なエネルギーが壊れかけの機兵に流れ込む。
機関部が息を吹き返し、寸断されていた回路は新たに繋ぎ合わされる。
砕かれた装甲は原子レベルから再構築されて新たなる形を取り始めた。
焼き切られ消失したはずの情報存在が別の何かへと塗り替わっていく。
荒唐無稽にも程がある光景。
まるで三流喜劇のようなご都合主義。
逆転の始まりというには異質過ぎる展開。
だがそれを可能とするのが
かつてはナポレオンが所有しヒトラーが探し求めたとされる神器。
手にした者が世界を手にすると謳われた伝説の至宝。
長らく尖閣諸島の地下深くで相応しき者を待ち続けた王冠。
そして―――彼の這い寄る混沌を呼び出す触媒に他ならなかった。
この周回の大沢は知らぬ事だが。
彼はこの無限螺旋の中で何度もこの翡翠を手にした事がある。
ある時はダークサマナーを束ねる組織の王として。
ある時は護国の為に身を捧げた防人の一人として。
ある時は秩序に支配された世界への反逆者として。
その度に彼は無貌の邪神との繋がりを深める事となった。
とある剣鬼がいた香港で、本来扱えぬはずの
同一視される
今起きているのもそれに近い現象だった。
六天魔王としての相から破壊神の相へと移り変わろうとしている。
力に溺れた愚者を新たなる化身として取り込む為。
紡いで来た物語の集大成をこれからも利用する為。
全ては森羅万象を嘲う邪神の掌の上である。
「―――――――、――――――――………ぁ」
流れ込むエネルギーと共に大沢の魂もまた汚染されていく。
彼を構築する総てが変質し別の存在へと塗り替わっていく。
脆弱な人間では抗いようのない普遍的無意識レベルからの干渉。
小さなバケツに地球全ての海水をぶち込むかの如き行いである。
変わる、変えられる、変わってしまう。
変わる。
変わる。
変わる。
変わる。
変わる。
変わる。変わる。変わる。変わる。変わる。変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる。変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる変わる―――――!
輝きを増す
『――――――!!?』
驚愕、あるいは困惑の気配が闇の翡翠から漏れ出た。
当然だ、ありえない事が起きている。
地面に落ちたリンゴが木に戻るような事態が起きている。
「使える道具だから使ってやってたのに、何様のつもりだよ塵の分際で。
ボクを都合よくどうこう出来るとでも思っていたのかい」
金属が拉げて砕ける音がした。
機械腕から闇の翡翠を力づくでもぎ取った音だ。
そのまま大沢は右手で万力を込める。
ビキッ!
途端に滑らかな宝石の表面へと無数の亀裂が入り始めた。
いかなる手段を以てしても傷一つ付かなかった事実がここに過去の物となる。
「ああ反省したとも最初から間違ってた……ボクは巧とは違うんだ。
やるならボク一人でやらなきゃ駄目だったんだ」
誰かに語り掛けるようでいて、それは独り言だった。
死の縁にまで追い詰められて辿り着いた真理だった。
塵の鏖殺を望み、雨柳を徹底的に蹂躙し尽くして殺すならば。
利用こそすれど頼るような真似をするべきではなかったのだ。
塵掃除ならまだしも親友との逢瀬に挟まるのは相応しくない。
「こんな土壇場で気が付くなんて、随分回り道をしちゃったな」
悟りを開いたかのように微笑んでから―――口元が裂けたかのように嗤う。
もはや自分を利用しようとしていた
やるべきなのはただ一つ。
闇の覚醒を果たした魔人は、己の胸の裡に宿る不変の想いを吐き出す。
そして、悲鳴のような破砕音を響かせながら
今世界における最大の特異点にして形を持った事象の穴。
人の手に余るソレを、ただの人間が粉砕するという異常事態。
理屈も道理も通らない
状況は依然として最悪のままだ。
膨大なエネルギーは影も形もなく消失。
新生しかけていた機兵は再び壊れかけの鉄塊へと逆戻り。
このままでは墜落死の未来は免れない。
―――だから。
「よっと」
非常用に備え付けてあった緊急医療セット。
そこの一番奥にしまわれていた
一時的に超人化する代わりに最後は燃え尽きるあの世への片道切符。
雨柳も使った劇薬の効果で死にかけている肉体を無理矢理賦活する。
「そうそう……うん、ご苦労様。
よく働いてくれたね、君のおかげで巧のいい顔が見れたよ」
続けて操縦席の近くに接続されていた金属製の箱を取り外す。
大きさとしては人間の頭より少々大きいといった所だろうか。
外装部分のランプが激しく点滅して、数秒とせずに沈黙する。
「それじゃあサヨウナラ」
そして大沢は金属製の箱―――“転移装置”を文字通り投げ飛ばした。
勢いよく転がった装置は雨柳に空けられた風穴から外に落ちて不法投棄が完了する。
端末を操作し転移装置の維持に使っていたエネルギーをスラスターへと再分配。
落下死までの時間を少しでも多く稼ぐ。
――――ここまでが人の成せる限界。
逆転の目など無い。
むしろ自ら潰した。
正真正銘一人きり。
ではこれは無駄な足掻きでしかないのか……否。
生きているなら戦いは続いている。
限界があるというなら超えるだけ。
「さぁ、クライマックスと行こうよ」
大沢は右手で剣指を結び胸へと当てた。
何故そんな事をするのか、自分でも理由は分からない。
「――――ッ!!!!!!!」
そのまま―――一息に胸を貫く。
皮を破る。
肉を切る
骨を砕く。
奥へ、奥へ奥へ奥へと胸の奥へと手を潜らせる。
激痛を無視し、やがて目当ての物を掴み取って。
「ぉ、おおおおおおおおお!!!!!!」
鼓動を続ける心臓を引き抜いた。
血に塗れたそれは、どこか金属の光沢を持った
「変われぇえええええええええ!!!!!!」
ただ一言、自らの意思による変容を叫ぶ。
次の瞬間、全てを飲み込む真紅の
・
・
・
| 「シーンBGM:Beyond the Bounds」 | 限界を超えろ。境界を超えろ。 誰も見た事のない領域へと踏み込め。 |
| 「シーン属性:精神世界」*2 | 特異点破壊の影響により世界が一時的に歪んでいる。 物質よりも精神が上位と化した戦場。 |
その真紅の輝きは神奈川にいる全ての存在が目撃した。
「何よ、何なのよアレ……!?」
「雨柳隊長……っ」
生き残った少年少女たちはその燃え上がらんばかりの魔力光に恐怖した。
「これは、外れ値とかそんなレベルじゃないな……!」
囮役として孤軍奮闘する永遠の漂流者は理解不能の光景に顔を引き攣らせた。
「まさか、こんな世界であれほどの者が生まれるとは」
視界に存在する全てのヒュージを斬り伏せた剣魔はその強さに感嘆した。
「……やっぱり終わっちゃくれなかったか」
そして―――親友たる悪魔召喚士は呆れたように苦笑した。
見つめる先、真紅の輝きの中からやがて人型のシルエットが浮かび上がってくる。
―――其れは機兵と比べて遥かに小型の躯体。
―――其れは大天魔の誘惑を跳ね除けし覚者。
―――其れは染まらない黒を基調とした機人。
機械と半ば融合し、鋼の装甲を身に纏った者。
この世界でただ一人だけに許された
大沢一光という存在の総決算にして
| 魔人 | 大沢一光 | Lv140*3 | 相性:全体的に強い、破魔・呪殺 精神・神経・魔力無効 |
| 悪魔召喚士 | 雨柳巧 | Lv140*4 | 相性:全体的に強い、破魔・呪殺 精神・神経・魔力無効 |
次回決着予定です。