腐敗の幼女神、ケイティナ   作:黒プー

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腐敗に塗れた日記:1
腐敗の幼女神、ケイティナが書いた日記。彼女の生活がありありと書かれている。
しかしその温かい生活は、長く続かなかったのだろう。


第1話

○月×日

 

記憶が薄れる前に、日記として書き残しておこうと思う。

私はケイティナ。女神マリカ様と英雄ラダゴン様の子供である。

要するにゲームに全く登場しない繭っ子と、最強のブンブン姉貴を兄弟にもつミニゴッドだ。

まあ兄(?)は優しいし、姉は鍛錬多すぎてあんまり話せないけどもちろん優しい。配下の人もちゃんとお世話してくれるので、何不自由ない暮らしをできていると思う。

とはいえだ。この日記を見ているであろうあせんちゅならわかると思うが。

女神と英雄は同一人物であり、この二人の間に生まれたミケラとマレニアは腐敗と育たない体とかいうとんでもないデバフをもらってしまったわけで。

それすなわち本来ゲームに登場しない私もここに生まれてしまったからにはデバフを喰らってしまうわけなんですね。

はいそうです、私ももちろんデバフ持ち。ちなみに上の兄妹のデバフ両方もらってしまった。

 

要するに私は腐敗を小さな体に抑え込む羽目になっているのだ。

マジで辛い。毎日身体中痛んでまともに動けないんだよ。ペン持つだけで精一杯だし、頑張って歩こうと地面に足つけようものなら身体中に染み渡ってる腐敗のせいで体の重みに耐えきれずに足が溶けるんですよ。

よく生きてるな私。

 

マレニア姉様が経験者だったおかげで、義手とかを使ってなんとか腐敗自体は抑え込めているが、それでも痛みだったり腐敗のせいで体の一部が脆くなったりでまともに動けないせいで、腐敗を制御するための訓練なんかできない。

もはや私にできることは、こうやって辛い記憶を残すことだけだ。つらたん。

でも腐敗を操るってことに関しては進歩がある。例えば腐敗に感染してる人間とか動物を好き勝手に操れたりできるようになったのだ。

どうやら私の腐敗は特殊なようで、感染してる動植物の意識を乗っ取り、私の一部として使えるらしい。

要するにゲーム内に登場してるクソデカワンコとかクソデカカラスとかを意のままに操れるのだ。

これは普通に便利。視界を共有したりもできるからね、私が動けない分、外の世界をこいつらに歩かせて色々見て回ることができるのだ。

しっかし私の腐敗ってなんなんだろうね、腐敗で相手の意識乗っ取って操るとか、もしかして私自身が腐敗で、この体はただ腐敗で操ってるだけーとかないよね。やだよそんなの。

 

…私としては正直、動けるようになって上の二人と一緒にこの体で遊んだりしたいけどね。いくら腐敗わんこで外見れるからって、正直あのビジュアルだとすれ違う人にびっくりされちゃうし、3人で遊ぶ時も私のせいで遊びの幅が狭まっちゃうし。

何より二人に迷惑かけているようで悲しくなってしまう。

 

でも無理に外出たりしたら今度こそ死んじゃうかもしれない。

昔、どうしても3人で遊びたいっていう子供っぽい欲求に負けて、ベッドから無理やり降りたら、体全体が崩れちゃって動けないし喋れないしで本当に地獄だった。正直二度と体験したくないし、今じゃベッドから降りるのすら怖い。

これ以上姉様たちに迷惑をかけるわけにもいかないし、私はここで大人しくしておくのが一番いいんだなと思った。幸いにも過去の記憶はまだ残っているし、腐敗動物たちを使えば三人で一緒に遊ぶことだってできる。まだ耐えられるだろう。

…もっと、姉様たちといっぱい遊びたいな。

 

 

 

「ケイティナ…」

 

私の可愛い妹、ケイティナ。まだ遊び盛りの彼女は、私と兄様と一緒に遊ぶのが大好きだ。だが彼女は私以上に強い腐敗の力を体の中に押さえ込んでいて、体はボロボロで、まともに動くこともできない。

腐敗犬なんかを使って一緒に遊ぶこともあるが、それが楽しいはずもなく、いつも彼女は寂しそうな顔をしていた。

私は心配だった。私以上に幼く、私以上に強い制御できない力を持っている、動けない彼女が。

いつの日かそれが原因で心を壊してしまったりしないか。

私はその確信を得たくはなかった。ずっと元気な、今のままの彼女でいて欲しかった。

だから、彼女が「絶対に見ないでよ!」と言っていた日記を、寝ている間に読んでしまった。

 

「…」

 

思い出したのはあの日のこと。ケイティナがベッドから落ちてしまった時のこと。

私が彼女を呼びに部屋を開けた時、彼女は面影がないほどにボロボロだった。まるで瓶が割れた時のように、手足が折れてしまっていた。

幸い、彼女の体は腐敗が原因なのか、破片が残っていればくっつけてすぐ元に戻せる。

だが心まで治せるわけではない。その日以来、彼女はベッドから降りるのを怖がるようになった。

以前のように私が背負って出かけようと言っても、彼女は、ぎこちない顔で遠慮するようになった。

 

「…っ」

 

私は日記をぎゅっと抱え、目から溢れそうになっていた涙をなんとか堪える。

なぜあの子がこんな目に遭わなければいけないのか。なぜあの子の笑顔を失わなければいけないのか。

だが、そんなことを考えても無意味なんだ。

彼女のために私ができることはただ一つ。あの子の腐敗を完全に封じ込められるような方法を見つけることだ。

 

「…」

 

彼女の日記を本棚に戻しつつ、寝ている妹を起こさないようにそっと部屋を出る。

いつか、旅をしよう。彼女の腐敗を完全に封じ込められるようなものを見つけて見せよう。

 

「…たとえ、あの子と離れるとしても。」

 

それが、あの子の祝福になるのならば。




※タイトルは「おさなめがみ」です。決して「ようじょしん」じゃないです。
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