腐敗の幼女神、ケイティナ   作:黒プー

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操り腐敗の魔術

幼女神が開祖した腐敗魔術の一つ。
特別な杖を使わなければ発動できない。

杖を触媒に腐敗を呼び出し、相手に感染させ、意のままに操る。
追加入力でさらに広範囲に撒き散らす。

腐敗の幼女神は、自らの腐敗の原因を知るために探り、外なる神と出会った。
しかし自らに宿る腐敗は、外なる神でさえ制御不能であったのだ。


第2話

 ×月△日

 

 色々ありすぎたので日記に手をつけてなかったが、ようやく書くことができる。

 というわけでここまであったことを大まかに書いていこう。

 

 まず姉様と兄様がどっか行った。

 多分聖樹を作るための作業始めたんだろうけど、それにしたって末の妹に何も言わずにどっか行くなんて。めっちゃ悲しい。でも私に言ったところで足引っ張るだけだし…まあいいのかな。

 私にできることはないし、仕方ないから帰ってくるのを待つことにする。帰ってくるのかわからんけど。

 ちなみに私は今王都に住んでる。一応神様ですのでね。

 

 次にラニ様が私の元にやってきた。

 とは言ってもみんなの想像するあのラニ様じゃなくて、人形になる前のラニ様。

 ゲーム本編だと黒焦げっぽくなってて何が何だかわからんあの体のラニ様ね。

 一瞬私も相手が誰だかわからんかったけど、名乗ってもらってやっとわかった。しっかしこっちのラニ様は血が繋がってるからかレナラ様と似てるね。大人っぽい美人って感じでこっちはこっちであり。前世の私ならこの顔見た瞬間同人誌描こうと思ったことだろう。

 

 んで、なんで私のところに来たのか聞いたら、私の腐敗に目をつけたんだって。

 なんでも陰謀の夜で使いたいらしい。

 まー多分私がわんこを操ってるところを見たんだろうね。確かに私のこれを使えるのであれば味方の裏切りも防げるし、内通者作ったりもできるからね。

 でもぶっちゃけ人間相手に使おうもんなら洗脳以前の問題だと思うんだよね。だって見た目明らかにヤバくなるから。溶けるもん、腐敗だし。

 そのことをラニ様に伝えたら、なら人間用に調整すりゃええやんって言われた。

 ぶっちゃけ私もそれ試したことあったんだけど、魔術とかと違ってすごい調整難しくて諦めちゃったんだよね。

 ラニ様にもその話してみたら、自信満々に「時間さえあればできるぜ」って言った。さすが天才魔女のレナラに目をつけられる才女ですねぇ。

 そんなこんなで断る理由も無くなったので、私はカーリア城館に運ばれることになった。

 とはいえ学院と王家はクッソ仲悪いので攫われたって感じでね。

 

 んで、俺(魔術)ができたってわけ。

 あっという間に完成しちゃった。さすがラニ様、私にできないことをあっという間に。

 これでお役御免かあとしみじみ思っていると、声に出しちゃってたのかラニ様に「逃げられると思うなよ?」って圧かけられちゃった。怖いこの子。

 まあでもここでの生活もそれなりに楽しいしいいかなー。

 でも兄様姉様いたらもっといいんだけどな。

 

 

 ♢

 初めて彼女と会った時の第1印象は、理性的な少女だった。

 突然魔術で現れた私に驚きもせず、まるで友人が来た時のように迎え入れ、私の話を聞いてくれた。

 私の考えた計画に驚きもせず、彼女を利用しようとしていることに対しても全く気にしていなかった。

 それどころかこちらを見透かしているような目で私をみていた。

 私はそれが、とても恐ろしかった。だから何かされる前に、彼女を攫った。

 

 そうしたら、私の彼女の印象は180度変わってしまった。

 彼女をカーリア城館に迎え入れると、彼女は興奮したように私に言ったのだ。

 

「私、友達の家に来るの初めて!」

 

 …思わず固まってしまったよ。知らない場所に攫われてきたというのに、そう言ったのだ。

 その後もいろんな場所を案内したが、彼女は怯えもせずにずっと笑顔だった。

 いい笑顔だったよ。思わずこちらも笑顔になってしまうほどにね。

 

 彼女の手伝いもあって、魔術自体はすぐに完成した。

 完成し、実験も成功し、誰にでも学べるものだとわかった時、寂しそうな顔で彼女は言った。

 

「…これで私もお役御免だね〜…」

 

 彼女の悲しそうな顔を見るのは、それが初めてだった。

 優しい彼女のことだ、私の計画の邪魔になる前に離れようと思ったのだろう。

 そのことにむかっとしてしまった私は、私は思わず彼女に詰め寄った。

 

「…ケイティナ、何か勘違いしてないか」

「へ? だってもう私いらないでしょ?」

 

 その彼女の返事にさらにむかっとしてしまった。

 なぜ自分がいらないと思い込む。なぜ自分が邪魔だと思い込む。なぜ簡単なことでさえ欲しがらないんだ。

 だが、その時の私は素直になれるほど大人ではなかったんだ。

 私は彼女に顔を近づけ、こう言ってしまった。

 

「…逃げられると思うな?」

「…ひえっ」

 

 …正直子供っぽく向きになってしまって今でも恥ずかしいし、ケイティナは怯えてしまってしばらく顔を合わせてくれなかったが…

 あの時が、唯一全てを忘れて楽しんでいられた時期だったと思う。

 …またあの時のように共に彼女と過ごしたいとは思うが…

 

 

 

 

 もう、彼女はいないからな。




次回、陰謀の夜。
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