ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お待たせいたしました。
極悪ホモチャートの答え合わせ回です。

※今回はショッキングな描写が盛りだくさんです。
耐性のない人、苦手な人はブラウザバックか、あとがきだけ見ることをオススメします。

久々にこんなに沢山文字書いた(8000文字超え)



幕間の物語6
小鳥遊ホシノだった頃


 

何時にも増して砂嵐の酷い最悪の日の事。

私は自ら旧アビドス校の地下深くの部屋に監禁される事になった。

全ては過去の負債を後輩達に残さない為、コレらはあの子達に負担させるべき物じゃないから。

それに私が居なくても、シャーレの先生が居るから────。

 

そんな思いでノコノコと話に乗った結果、交渉した大人(黒服)に裏切られまんまと騙された挙句、後輩達を危険に晒してしまった。

 

 

「(私は馬鹿だ、大人なんて信用ならないと分かってて甘言に乗るなんて……)」

 

 

私には到底、ユメ先輩の代わりなんて務まらない。

選択を間違えた後悔と、不甲斐ない自分への怒り、そしてどうする事も出来ない無力感でどうにかなりそうだった。

そんな時だった、薄暗い空間に外から光が差したのは。

 

勢いよく部屋のドアが吹き飛ぶ。

固く閉ざされていた扉から覗いてたのは、他でもない先生と後輩達。

戦闘があったのだろう、目立った怪我は無さそうだが汚れている。

 

 

「おかえり、ホシノ(先輩)!!」

「うへ……ただいま、みんな」

 

 

拘束具から解放される際に事の顛末を聞いた。

未だに借金は残っているが、過払い分が無くなり以前のような絶望的な状況では無くなったらしい。

法外な利子で学費が消える事はない、ちゃんと返済できるレベルの借金になったと。

それを聞いた時は理想の展開すぎて、想像と現実のギャップが大きすぎて生返事になってたと思う。

 

外に出るとそれ程長くいた訳でもないのに自然光が眩しく感じた。

そこで漸く私は戻ってきたんだと実感した。

 

 

「もう先輩1人で解決しようとしないでよ!!」

「私達だって頼りになるんですよ〜」

「今度また1人で解決しようとしたら何かしら罰を受けてもらわないと」

「ん、ホシノ先輩は書記に降格」

 

 

叱咤の言葉さえ今は心地良い。

こうして話していると、1度手放した幸せが戻ってきた気がして涙が出そうになる。

それに……先生。

 

 

「先生もありがとうね、私達の事を助けてくれて」

【先生だからね、当たり前だよ!】

 

 

最初は「ダメな大人がやって来たな」程度の認識だった。

アイツ(黒服)と同じ外の世界の住民と聞いたから、悟られないように気を張り詰めてた。

でも、そうする必要はもうない。

 

皆を悲しませたくないし、先生の事は信用出来る。

先生を加えた今なら言える、みんなと一緒なら何だって乗り越えられるって。

 

だから、この幸せだけは手離さないように。

どんな事があっても、死んでも守るって決めた。

 

 

──そんな思いはすぐにゴミ屑と化すと知らずに。

 

 

再び先生に感謝を述べようとしたところに、一陣の風が吹きすさび口を止められた。

大量の砂塵が舞い散り、とても目が開けていられない状態になる。

 

これ程に大きい砂嵐が起こる予兆なんて全くなかったのに……。

まるで誰かが()()()()発生させたような。

しかしそれも一瞬の事で砂嵐が止み瞼を開くと、

 

目前の方向に()()()が居た。

 

 


 

 

「コッチが当たりだったか、ジャミング(砂嵐)が役立ったな」

【貴方は誰かな?】

「私の名はネメシス、黒服の同類と言えば分かるだろう」

【黒服の!?】

 

 

その姿を端的に表すなら、軍服を着た骸骨。

ガタイは大きく格好も相まって、姿を見るだけで威圧感が伝わってくる。

しかし問題はそこではない。

ホシノの脳が「アイツだけはヤバい!」と最大の警鐘を鳴らしていた。

 

相対するだけで分かる程の圧。

昔にアビドスの資料で見たビナーも中々に威圧感があったが、骨の方はもっと異常だった(気持ち悪い)

今までにない、純粋かつ圧倒的な力のオーラを感じる。

可能なら逃げ出したいという、タンクに有るまじき考えが頭に浮かぶ程には強大だった。

 

だが、ここで逃げる訳には行かなかった。

明らかに自分たちに用がある風だし、コイツ(ネメシス)が此処を出ていく保証がない。

 

少し疲弊していても、先生が居る状態で対処するのが1番ベストだと考えた。

 

それが皆にも伝わったのか、全員が厳戒態勢だ。

ホシノも盾を展開して1歩前へ出る。

その様子を見たネメシスは肩を竦めた。

 

 

「待て、私は争う気が無い。話の条件次第だがな?」

【条件?】

「ちょっ、先生は後ろに引っ込んでて!アイツは本当にヤバいから!!」

「簡単な話だ、私と協力して()()を滅して欲しい」

 

 

協力とは何なのか。

言葉遊びも大概にして欲しいとホシノは思った。

話し合いのつもりなら隣のそいつ(ビナー)は何のつもりなのか。

ネメシスから放たれる敵意と殺意も減る気配がない。

 

これは脅しだ、自分の操り人形にする為の糸を括り付けようとしているだけ。

全員の怪訝な顔を浮かべるも気にする様子はなく、ネメシスは意味不明な内容を語り続けた。

 

 

「色彩は天災だ。意思疎通が出来ない故に善悪の認識がなく、ただそこにある《神秘》を求めて徘徊する滅亡の概念」

 

「ソイツが今この箱庭に近付いてきている。遠くない未来、キヴォトスは色彩の到来で確実に終わりを告げる対策など存在しない、概念そのものにどう対抗すると?だがそちらには《シッテムの箱》がある。」

 

「連邦生徒会長の遺産、直接お目にかかる事は今まで無かったが中々どうして──失礼、色彩を滅したい私と滅びを回避したい先生達。お互い手を組むメリットがあるのではないか?」

 

 

ホシノには正直コイツが何を言ってるのか全く理解できなかった。

それでも《色彩》とかいう存在に対する憎悪だけは本物だと断言出来た。

その名が出る度に殺意が深まってれば誰だって気づく。

 

そして話のスケールがデカ過ぎる。

アビドスの事だけでも手一杯なのにキヴォトス全体の話なんて想像出来るはずがない。

断ってしまいたいが、コイツの一存で大ダメージを受ける可能性がある以上、下手な動きは出来ない。

 

 

【答えはNOだよ。仮に滅びが本当だとしても、生徒が背負う責任は無いから】

「甘い、甘すぎる。その認識ではこの先で死ぬぞ?」

【構わないよ、生徒を守るためならね。何より素人でも勘づくような敵意を漂わせてたら信頼出来ないよ】

「ソレに関しては私の方ではどうしようもないのだがな……」

 

 

先生が断ってくれて、心の中で安堵の息を吐く。

だがネメシスは引き下がる気がないらしく、先生に対してまくし立ててきた。

 

 

「魂の磨り減り具合を見れば分かる。()()()()()()()?貴様も抗うために繰り返したのだろう?」

【……貴方が何を言ってるのか分からないよ】

「隠しているのか、自覚がないのか……何しろ残念だ。」

 

 

繰り返しという言葉が少し気になったがすぐに頭の片隅に追いやる。

とにかく、交渉は決裂したのだ。

今は目の前のビナーとネメシスを何とかしなければならない。

 

今から起こる戦いは死闘必須だ、固唾を飲んで火蓋が切られるのを待ち構える。

敵意が更に増加したのが感じ取れる、もう生物が出していい殺気では無い。

 

骨が片腕を上げて───

 

 

「では死ね」

「先生、私の後ろに!!」

 

 

振り下ろす前にホシノは全員の前に出る。

先生は何も指示しなかったが、自分の判断だけで動いた。

それは辛うじてビナーの挙動に気がついただけで殆ど運だった。

 

チカリとビナーの口が光ったかと思うと構えた盾に凄まじい衝撃が襲う。

それがレーザーによるものだと気づいたのはすぐ後の事。

必死に踏ん張っていると今度は熱が伝わり始めて煙が上がり始める。

ミシミシと、ジュウジュウと、盾が悲鳴を上げてるのが分かる。

 

 

痛くて熱いけど、自分が耐えなければ皆が死ぬ。

そんな事あってはいけないと、ホシノは歯を食いしばって無限に感じる痛みに耐え忍んだ。

全ては大切なものを守るために。

 

 

熱──っ゛!!

「耐えたか、やはり頑丈だな」

 

 

ホシノにとっては永遠に感じられた数秒が経過して衝撃が止んだ。

とてつもない熱量を受けすぎたせいで盾全体が赤くなっており、煙も上がっていた。

盾を掴んでいた手も、熱さでやられて燻っている気がする。

 

後になって痛みが襲ったが、自分の心配は後だ。

ホシノは朦朧としてる意識の中、縋るように後ろへ呼びかけた。

 

 

「うっ、あぁ……全員生きてる!?」

【な、何とかね……】

「ん、死ぬかと思った」

 

 

全員五体満足のようだ。

せっかく取り戻した大切なものを、これ以上手放してなるものか。

自分を鼓舞して眼前の敵を睨みつける。

 

そこには骨の姿がなかった。

いや、消えたと誤認しただけである。

骨──ネメシスはホシノの死角へと潜り込んでいた。

 

 

「ぐあ……ッ!?」

【ホシノ!!】

「動くな」

 

 

呆気にとられていたホシノの首を掴み持ち上げるネメシス。

その骨の体からは想像できない怪力で、ホシノは首を締めあげられた。

酸素と血の巡りが悪くなり意識が飛びそうになるが、ギリギリの塩梅で調整されてるのか中々落ちない。

 

ホシノも腕を掴んで抵抗しようとするが、全く力が入らない。

何かに力を吸い取られているような感覚だった。

答えはネメシスがホシノのヘイローに経路(パス)を繋げたからだが、分かるはずもない。

 

 

「動けばこの子を殺す」

「(苦、しい……)」

【……要件は何?】

 

 

人質作戦だ。

ホシノが力を振り絞って後ろを向くと、シロコ達が不安な表情で見つめている。

自分が捕まったばっかりに、アビドスは窮地に立たされたのだ。。

 

しかし、先生も要求されてるだけでは終わらない。

ビナーの射線にネメシスを挟むようにジリジリと移動していた。

これならあのレーザーは放てない、あの威力がすぐに放てる訳もない。

そんな楽観的な考えは次の言葉で切り捨てられた。

 

 

「私からの要件は1つ──貴様らの死だ」

「(コイツ自分ごと!?)」

 

 

アレだけの威力のレーザーがすぐ放たれる筈がないと思い込んでいた先生たちは驚愕する。

ネメシスの反則、神秘の譲渡はビナーへと経路(パス)を繋ぐ事で達成されていた。

たらふく神秘を供給してもらったビナーは照射の準備を開始した。

 

 

止めろォォォォッ!!

 

 

ホシノの叫び声も虚しくビナーの起動音にかき消される。

ビナーの口が再び極光に染まり───

ネメシスごと巻き込む形でレーザーが照射された。

 

更に1回だけでは飽き足らず、ダメ押しのレーザー2回目が照射される。

奇跡が起ころうとも、それを塗りつぶす徹底的な殺意を持って完全に殺しに掛かっていた。

時間にして十数秒後、アビドス砂漠はガラスの大地へと変貌を遂げていた。

 

最も被害の大きい中心地、そこには力無く横たわる()()()が4つ、そしてその傍で震える一際大きい塊。

その傍らにはタブレットのようなものが。

そして──

 

 

「な、んで……?」

「巻き込み対策程度は用意してるに決まっているだろう」

 

 

無傷のホシノとネメシスが居た。

擬似的な多次元バリアにより、彼らは無傷で先生達に致命傷を与えたのだ。

無事だからと自分ごと即死級の攻撃を行う辺り、ネメシスはとっくにイカれていた。

 

当のホシノだが、思考が真っ白に染まっていた。

本能は現実を否定していたが、自分の冷静な部分が理解していたせいで混乱していた。

 

だって、あんまりではないか。

アレだけ守ると意気込んでいたものが一瞬で塵芥と化したのだから。

 

そして、漸く本能が現実を認めた頃。

微動する黒い塊、それが()()()()()()()()だと気づいたホシノは──

 

 

「う、そ……」

「嘘では無い、アビドスの1、2年生は死んだ。が、先生はまだ息があるな。さすがシッテムの箱、益々欲しいな」

「うぅ……お、げぇ……

 

 

耐えきれずに吐いた。

後輩達の死に加え、更に自分だけが生き残ってしまった事が重くのしかかる。

直視できない現実に殴られたホシノの頭は全て拒絶していた。

だが首を掴むネメシスがそれを許さない。目を逸らそうとするホシノにソレらを見せつける。

 

 

「な、んで……どうしてこんな事を……?」

「私の誘いを蹴った時点で既に死は確定していた。ホルスを覚醒させる為の礎にな」

 

 

依然首を締め付けられ、頭が正常に回らなくなっているホシノ。

そんな彼女に容赦なくネメシスは言葉を浴びせた。

 

借金を返済したところで何も変わらない。

学区の復興が絶望的だし、ホシノは今年で卒業する。

砂漠被害は名も無き神の残穢だから解決はほぼ不可能だ。

今までホシノ達のしていた事は沈む船の水を掬って捨てていただけだ。

それで本当に自分達が楽園に到達できると思っていたのか。

 

ホシノ達のやりたかった事、したことの全否定。

そんなものやってみなければ分からないのだが、今のホシノにまともな思考力はなかった。

 

 

あ、あぁ────」

 

 

数々の悪意。

それでホシノの心を壊すのは十分だった。

ホシノの()()()()()()()()()()()()()()()()()

ホシノが反転した証拠だ。

それを見てネメシスの骨の頬が喜色に歪む。

 

全て彼の計画通り。

残酷な行為も自らが崇高の領域に立ち、色彩を滅する(復讐する)ため。

ビナーからは神秘を、ホシノからは恐怖を経路を介して抽出する。

 

 

「少々手間が掛かったが、これにて計画は遂行される。感謝するぞ先生。君が紡いだ絆が私の役にたったぞ。」

勝ったなガハハ、風呂入ってくる!!

 

 

ネメシスにとっては最上級の褒め言葉。

被害を受けた者にとってはこれ以上ない侮辱の言葉だが、返事をする人物は存在しない。

 

だが、このままネメシスの思惑通りに事が進むことは無かった。

性格は違えど彼は本質的にはホモ(ガバマスター)と一緒なのだから。

 

ネメシスの過失、それは──ホシノの憎悪。

度重なるストレスで擦り切れた精神が、再び燃え上がりホシノを奮い立たせる。

要は調子に乗ってホシノを追い詰めすぎたのだ。

 

ネメシス自身、生徒の精神構造の変化によるデメリットについて知っていたが、たかが生徒だと見積もりを甘くしていたツケがココに来て発動した。

 

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁあッ!!!」

「コイツ、腕を──ッ!?」

ンアーッ♂!?

 

 

ヘイローが色を取り戻した。

その瞬間、首を掴んでいた腕をへし折りホシノは先生の元へ向かう。

息は弱々しいがしている。

しかし──とても再起可能な容態ではなかった。

 

 

「私が繋いだ経路(パス)を利用して復活したと……いや、これはもっと上の領域の……ッ!!」

う そ や ん

 

 

経路を繋いだ事で間接的にホシノはビナーとも繋がった事になる。

それは即ち、ホシノも神秘の供給を受けられるのと同義。

ネメシスに吸われた恐怖を奪い返すどころか、ビナーから供給される神秘までも吸収し力をつけた。

その結果、擬似的にだが神秘と恐怖が同時に表へ現れる。

 

 

「まさか自力で《崇高》の領域に至ったというのか!!?」

「………。」

一番の上振れだったのに。はぁ〜、う〇こですう〇こ。

 

 

ホシノにネメシスの言葉は入らない。

今彼女の中に渦巻くのは深い悲しみと怒りだけ。

やがて彼女は先生を後ろへ横たわらせて、ネメシスを見やる。

 

 

「私がどれだけこの計画につぎ込んだと思っている!?」

「遺言はそれでいい?」

「〜〜〜ッ!!」

仕方ないから次の世界線に移りますか。編纂するのも楽じゃないぜ。

 

 

先程とは力関係が逆転し、もはや2人は違う世界を生きていた。

近づく《死》がネメシスを後退りさせる。

しかし、《暁のホルス》相手に逃げ場は存在しない。

 

片や残存する全ての神秘をビナーにつぎ込み。

片や散歩でもするように軽い足取りで獲物を狙う。

 

再び極光が辺りを照らしだす。

決着は一瞬で着いた。

 

 


 

 

「はぁ……はぁ……うぅッ」

 

 

1人の少女が大人を背負い、砂漠を横断している。

小鳥遊ホシノ、他ならぬ其の人だ。

彼女は砂を紅く染めながら、先生を引きづる様に担ぎ移動していた。

 

 

「(まだ息がある……まだ助けられる……!!)」

 

 

《シッテムの箱》の保護か、先生の息は絶えていない。

しかし、それも時間の問題だろう。

早く手当しなければ確実に死ぬ、そしてそれは彼女も同じ事だった。

 

 

「(血で前がよく見えない、それに頭も割れそう……)」

 

 

ネメシスとの戦闘は圧勝であった。

レーザーをものともせずSGで上半身を吹き飛ばした。

ビナーも破壊済み、無傷での勝利を飾る。

 

しかし彼女は今にも死んでしまいそうな程に、血を流していた。

理由は《崇高》へ至った代償。

 

ヘイローは魂の器だ。

最適な手続きをしなかったが故に、彼女の魂は傷ついてしまった。

膨大な量の神秘をもつホシノの器は規格外のサイズだったが所詮は有限。

ホモの様に垂れ流しにでもしない限り、器は壊れてしまう。

 

 

「先生は、先生だけは……ッ!!」

 

 

無意識の内に《崇高》を手放した彼女は、ただの重症生徒だ。

それでも彼女は歩みを停めない。

もう殆どが自分の手をすり抜けてしまったが、彼だけは助けなければと。

 

 

「あぅッ……」

 

 

そんな思いも儚く、ホシノは砂の上に倒れた。

もう自分が立っているのか倒れているのかさえも曖昧だ。

 

 

「(あれ、空って、こんなに赤かったっけ?)」

 

 

視界いっぱいに赤が広がっている。

体に力が入らない。

ホシノの体は今にも力尽きようとしていた。

 

 

「(ごめんなさい、ユメ先輩。私もすぐソッチに行くよ)」

「(ごめんなさい、みんな。守ってあげられなくて)」

「(ごめんなさい、先生。私達の夢を応援してくれたばっかりに)」

 

「(あぁ、なんでこんなに……そうか、楽になりたかったのか私は……)」

「(死んだら楽になる……。)」

 

 

指1本だって動かす力のないホシノは倒れ、そのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その存在は知っていた。

キヴォトス最高の神秘を持つ暁のホルスを。

 

その存在は息を潜めていた。

自身の()()が散りゆく様を見ながら。

 

その存在は歓喜していた。

いま、自身が求めていたものが全て揃っている事に。

 

 

だから───その存在はそこへ姿を現した。

 

 

「(……?)」

 

 

ビナーのレーザーとは違う。

それよりも神秘的な光がホシノを照らした。

 

 

「《色彩》が、ついに太陽の神(ホルス)と接触した──」

「《色彩》を導いた事が、苦しみなのか死なのか分からぬ──だが、これで最後」

「《忘れられた神々》をこの世から追放できるようになった……この世界に終焉を呼び寄せられるのだ」

「ようやく彼らは我々と同じ運命を辿る」

「名が無いために呼ばれず、存在しない《名も無き神》のように、お前達も同じ結末へと向かうだろう」

「ネメシスというイレギュラーはあったが、色彩を引き寄せられたのは僥倖だった」

 

「(なんだコイツら……)」

 

 

眩しいと思ったら、なんかワラワラと現れた。

白装束に仮面をつけた不審者全開のソイツらは複数人居る。

聞いてもないのにソイツら、無名の司祭達はまだ喋る。

 

 

「司祭は神を崇めるがゆえ、《崇高》を所有できる」

「ここに新たな崇高を迎え──手に入れるのだ」

「この世を夜明けへと導く太陽の神──暁のホルスよ!!」

 

 

気がつけばホシノの体には、力が戻っていた。

半端に残っていた神秘が色彩によって反転させられ、恐怖の側面を持つホシノ(ホルス)が五体満足で現れたのだ。

突然の事態に頭が追いつかず、体を動かしてみるホシノ(テラー)。

 

 

「これからお前は《色彩》によって顕現した己の《恐怖》で、この世界を塗りつぶしていくだろう」

「それまで──死も、安息も許されぬ」

「色彩の嚮導者となり、あらゆる存在を無に帰すまで」

 

 

「全ての時空の《忘れられた神々》が消滅するまで──」

 

 

そして色彩はそのまま、嚮導者へ変貌させるべく。

──先生へと近づき、飲み込んだ。

 

 

「待て待て、何故そうなる──!!」

「《色彩》がただの神秘も恐怖も、《崇高》すらも持たぬただの人間を選ぶと!?」

「話が違うぞ《色彩》──!!」

 

 

何やら慌てている無名の司祭達。

意識もない先生に何故、色彩が接触し嚮導者に迎えたかは計り知れない。

 

それでも確かにホシノには聞こえた。

《色彩》の声……意思が。

 

 

【生徒を消滅させる必要は無い】

【ただ1人、ネメシスと同一存在の者だけを滅せ】

【全てをなし得たその暁には──】

【先生を復活させる事を約束しよう】

 

 

本来、意志を持たぬ色彩の意志が頭に染み込む。

答えなど、とっくに決まっていた。

眼前にいっぱい居る白い奴らに銃口を向ける。

 

 

「な、なんの真似だ──!!」

 

先生も後輩も失って、もうホシノには失うものは無い。

だったら、誰かを蹴落としたとしても──

 

 

「(例えネメシス以外を殺す事になったとしても私は止まらない……!!)」

 

 

先生だけでも助かるなら喜んでこの手を血で染めよう。

いきなり現れたコイツらは使えるかもしれない。

狂気的な笑みを貼り付け、彼女は囁いた。

 

 

「今ここでもう1回死ぬのと、私の言う事を聞くの、どっちが良い?」

 





雑なあらすじ

ネメシス「僕と契約して《色彩》をぶっ殺そうよ!!」
先生「断る」
ネメシス「じゃあ殺すね?」

デデドン(絶望)

ホシノ「お前(ネメシス)を殺す」
ネメシス「ファッ!?ウーン……」巻き添えビナー

色彩「僕と契約して先生を復活させる為に頑張って!」
ホシノ(テラー)「おかのした」
無名の司祭「奢るな───!!」
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