ブルーアーカイブRTA 称号「崇高」獲得まで   作:ノートン68

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お待たせ致しました。
おまけ話その1です。

おまけ話とVol.3のプロット組み立て直してたら時間掛かってしまいました。
先におまけ話全てを消化してからVol.3に入る予定です。

今回はセイアとホモが精神世界で駄べる回です。



おまけ話
セイアとホモが駄べるだけ


 

エリドゥでの騒動を終え、1週間の時が過ぎた。

現在ホモ達はゲヘナ校区から数十キロ離れた場所に位置する火山地帯(アビス)に滞在している。

何故こんな場所に居るのかというと、燃料を必要としない『炉』のある場所が欲しかったからだ。

他にも本拠点を構える必要が無くなったホモは各地へと足を運び、仮拠点を着実に増やしていた。

 

ゲヘナを訪れる前は山海経に居たが、あの時は大変だった。

目的は達成出来たが、()()()()()まで着いてきてしまう始末。

問題なのは、彼女とチームⅤの仲だ。

特にリーダーとの関係は悪い。

 

余計な火種を消す為に彼女を処分する事も考えたが、本人があの調子ではホモも白けてしまう。

疲れを感じにくいホモも、この時ばかりは疲労が溜まっていく一方だった。

 

溜まった疲れは寝て癒すに限る。

そうして今日もホモは、いつものように夢を見た。

いつもと変わらないあの光景だ。

 

 

 

 

「お邪魔してるよ。」

「なぜ居る。」

 

目下の問題その2。

全体的に白く小さい彼女、百合園セイアは事ある毎にホモの夢へと現れていた。

 

「他人の夢を渡るのは止めろと忠告したはずだが?」

「冷たいね、以前は持て成してくれたじゃないか。」

「………。」

 

彼女はベアトリーチェが率いるアリウス分校の生徒に襲われ、現在意識不明の重体である。

事の発端が身内のやらかしという事もあり、負い目を感じたホモはこの空間でセイアを持て成した。

 

「こっちも暇で仕方なくてね、例の先生と接触しようにも君には止められてしまうし。」

「もう止めはしない、先生とはこの前会ったからな。」

「ふむ……あった時の印象を聞いても?」

「第一印象は普通の好青年だった、顔は美形の部類に入るかもしれんな。」

 

セイアもただホモの夢に入り浸っていた訳では無い。

予知夢を活用し、先生の活躍や生徒達との関わりを影から見守っていた。

ホモの回答は自分の感じたモノとあまり変わらないものだった。

 

「まだまだ青いのに折れずによくやる。」

「君からすれば誰だってそうだろう、確か100は超えてるんだってね?」

「恐らくだがな、80を超えてからは数えるのをやめた。」

 

セイアはさりげなくホモの情報を引き出そうとしている。

決して利害が絡むからだけではない、純粋な興味もあった。

 

ホモは聞かれれば大抵の事に答える。

かのゲマトリア関係の情報……特にアリウス分校に関わる者の情報は漏らす気配は無かったが。

 

「研究の方も上手くいってるようじゃないか。」

「……あぁ、クリフォトの事か。君のお陰で安心して取り組むことが出来た。」

 

ホモが不確定要素の大きな賭けに出た理由の一つが彼女の予知夢だった。

セイアが思い出すのは予知夢で見た光景。

先生とクリフォトが対面するあの場面だ。

全てを焼き払うあの様は今も脳裏に残っている。

 

「あんな代物をスナック感覚で出されると堪らないよ。」

「警戒するのも分かるが、アレは1度きりの現界だ。」

 

アレがトリニティに放たれればどれだけの被害が出るか……。

ホモの言葉に少し安堵するが、引っかかるのは1度きりという点。

 

「正確にはあの出力を出せる個体はもう現れない。あれは嘘のような奇跡の積み重なりから発生した神聖十文字の特異点だ。」

「なら性能が落ちた機体は顕現可能なわけだ。良いのかい?そんな事私に話して。」

「どうにかできる段階は過ぎてるからな。」

「まぁ、私も邪魔しようだなんて思ってはいないけれども。」

 

当初警戒度がMAXだったセイアとここまで打ち解けた理由、それは彼の言う目的と自分の見た予知夢が合致していたからだ。

遠くない未来にキヴォトス全域の空が赤く染まり、都市は大混乱に陥り

 

───滅亡する。

 

意識不明の重体の直後に見たこの光景はセイアの精神を揺さぶるのに十分であった。

 

そんな時に踏み入ってしまったのが、ホモの精神世界。

脆い時期の彼女は事態を諦観し、弱音を零した。

誰に相談したってキヴォトスが滅びる話を聞かせても荒唐無稽だと切り捨てられるだけ、そう思っていたが……

 

「そう遠くない未来か……分かった、取引の時間といこうか。」

 

疑うどころか直ぐに信じるとは思わなかった。

きっとセイアの顔はシマエナガが豆鉄砲を食らったような顔をしていただろう。

そこで初めてホモの目的を聞く事になる。

滅びの根源『色彩』についても。

 

ホモは色彩を倒し、自らが掲げる崇高を証明したい。

セイアはキヴォトスの滅亡を回避したい。

 

全学園生徒会員達の承諾を取ることは絶望的なため、ホモとセイアだけで回避するための策を用意するのは至難。

そもそもセイアの予知夢を信じる者が少なすぎる。

幸いにもまだ時間に余裕はあるが、迎え撃つしかないのだ。

ただこの2人が用意出来る戦力では到底太刀打ちできない。

 

そんな事で、本来相容れないはずの2人の利害は一致し協力関係を結ぶまでに至った。

親友とまでは行かないが、同盟者と言うに相応しい関係だ。

クリフォトは色彩から()()()()()()()()()()()()()()、エリドゥでの1幕はその為の布石だった。

 

「今はクリフォトを再度顕現させる段階に来ている。」

「次の布石が前に言ってたブログって訳かい?」

「そうだ、仕込みは済んでいる。」

 

ホモが空中に画面を出現させる。

画面はホモが運営しているブログの活動履歴が映っていた。

内容は訪ねた者の相談や質問を聞き、より良い回答へ導くこと。

ミレニアム懸賞を回答した事でその知名度は大きくなった。

盲信するあまり、クリフォトを神とした新興宗教が生まれる程度には。

 

「シスターフッド辺りが黙ってないかもしれないね。」

「どうやらその心配は必要なさそうだぞ。」

 

セイアの言う通りクリフォトを『神を名乗る不届き者』と評する宗教関係者もいる。

そこでホモはトリニティのサーバーから飛んできた1件の質問を表示した。

セイアは質問主に何故か既視感を覚えた。

 

 

P.N:わっぴ〜さん

Q.どうすれば怖がられずに済むのでしょうか。

・シスターをしている者です。

最近部下達とのコミュニケーションが上手くいっていません。

流行りらしい挨拶をしたりと改善しようとしてはいるのですが、中々上手くいかずアドバイスを受けに来た次第です。

どうかご教示ください。

 

A.態度の急変による戸惑い

・恐らくある程度上の立場かつ普段からお固い印象の強い相談者なのだろう。

変化が急すぎると人は戸惑うものだ。

崖から突き落とすのではなく、坂道を転がす様に緩やかに変化しろ。

具体的に助言するとしたら、笑顔の練習が1番効果的だ。

 

 

「これは………。」

「大きく騒いでる過激派は全体の1部分だけだ。」

 

複製(ミメシス)に1番必要なのは人々の感情。

クリフォトの複製(ミメシス)に必要なのは『畏怖』、『畏敬』、そして『信仰』。

人間全てが気持ちを同じにするコンテンツなど存在しない。

だから少量の不純物『憤怒』等が混ざるのは致し方ないと割り切っていた。

エリドゥの時よりも戦力は落ちるだろうが問題ないと踏んだ。

その後、軽く今後の動きを確認するとセイアが口を開いた。

 

「さて、小難しい話をしたら小腹が空いたと思わないかい?」

 

現実世界で思うように行動出来ないセイアの唯一のストレス発散方法、それが食事だった。

彼女が食に関心を示したのはつい最近の事だった。

 

百合園セイアは少食だ。

筋肉量と同様に消化器官の能力も低いため、彼女の食への関心は無頓着なものへと変わり果てていた。

食べる事ができれば良いのだと、何でもかんでもスムージーにして食す暴挙に出るほどだ。

 

しかしここは現実とは違う精神世界。

満腹感を覚えることは無いが味覚はあるし、プラセボ効果なのか少々腹が満たされる感覚もある。

何よりこの世界ではどれだけ食べても体重に影響しないのが良い。

少食ゆえに楽しみを見いだせなかったセイアにとって、精神世界での食事は精神的に良い方向へと誘っていた。

 

「前回は焼き鳥だったが、リクエストはあるか?」

「そうだね、パンケーキを頼もうかな?」

「……洋食、それも茶菓子なんぞ飽くほどに食べたんじゃないのか?」

「原点回帰と言うやつさ。」

 

ホモに頼めば何でも出てきた。

和でも中華でも、セイアが名前しか知らないような食べ物も。

食事はホモの記憶上の物しか出せないと言っていたがどれも1級品の味だった。

 

セイアは食に疎いが、味覚は確かだ。

ならば食べ慣れた洋食関係であれば、どれ程の差を感じるのかという好奇心が湧くのも仕方ない事だった。

 

「まぁ、構わないが。」

 

パチパチと焚き火が音を立てる中、霧が一層と濃くなる。

五里霧中となったのはほんの一瞬で、霧が引くと2人の膝の上に皿に乗った一品が現れた。

 

「では頂くとしようか。」

「待ちたまえ、……一応聞くがこれは一体何だい?」

「パンケーキに決まっているだろう。」

「どう見ても炭じゃないか……!!」

 

皿の上に乗っているのは、黒焦げのお世辞にも料理とは言えない代物だった。

フォークで突き刺す端からボロボロと崩れ落ちていく。

 

「そういえば最近、AL-1Sが作ったパンケーキを食べたな。」

 

ここはホモの精神世界なので印象に残っているものが反映される。

今まで食べた料理が絶品だったのもそのおかげだろう。

逆に明らかな失敗作として出てきた場合は、その限りではない。

 

「心配するな、味はイケるはずだ。」

「『はい、そうですか』と言えるわけないだろう。この親バカめ!!」

「そう言わずに食え、あと親バカではない。」

 

このままでは暗黒物質を口へ押し込まれてしまう。

──明らかな劇物を受け入れてたまるか。

普段からは想像出来ない身のこなしでホモから距離をとるセイア。

 

「こんな所に居られるかっ!私は自分の精神世界に帰らせてもらう!!」

「……『影の精霊(Umbra Genius)』」

「はーなーせー!!────アッ」

 

 

 

 

 

〜少々お待ちください〜

 

 

 

 

 

「三途の川が見えた。いや、そもそも片足を突っ込んだ状態ではあるのだが。」

「すまない、そんなに強烈とは思いもしなかった。」

「思い出させないでくれ、と言うより君はよく食べれるねソレ。」

「自分で出したものは食べる。」

 

ガリガリと音が立つ。

そんなホモをセイアはジト目で見つめる。

まさにチベットスナギツネのような目であった。

 

「他にも何かあるでしょ?お詫び早よ(意訳)」

 

無言の圧に耐えられなかったのか、ホモは渋々口に出した。

 

「お詫びと言っては何だが、なんでも一つだけ質問に答えよう。」

「ッ!!」

 

なんでもと言った。

大人であるホモがその言葉の重みを知らずに発言するはずがない。

途端にセイアは頭を高速回転させ始める。

 

今必要な情報は何だ?

質問は一つだけ、決して間違えることは出来ない。

 

アリウス分校について?

それを牛耳るベアトリーチェについて?

エデン条約で何を企んでいるのかについて?

それとも、ミカが何故裏切ったのかについて?

 

そしてセイアは質問を選んだ。

それは───

 

「君の事を教えてくれ。」

「……アリウス分校について聞かなくて良いのか?」

「今はいいさ、それに情報が無くたって自力で何とかしてみせるよ。」

 

もうエデン条約で起こる悲劇を完全解決することは不可能だ。

情報を手に入れたからと言って親友達の手助けになる訳でもない。

ホモの助力が見込めない以上、ナギサと先生に任せるしかない。

ならば今大事なのは、同盟者でもある目の前の男を理解する事だ。

 

「私は君の事をよく知らない。だから教えてくれ、何故君がその立場に居るのか。」

「………どういう事だ?」

「そのままの意味だよ、何故先生という立場ではないのか。君の言動から察するに、裏社会でやっていくには難儀だろう?」

 

セイアの発言は的を射ていた。

自らをゲマトリアだと称しながらも基本的に助けを求められれば所属関係なく助ける。

黒崎コユキや調月リオが良い例だ。

はっきり言って損得勘定をしない行動は裏社会に不向きだ。

 

セイアにはそんなホモが悪ぶっているだけの面倒見の良い大人に見えた。

キヴォトスの先生とは真逆のスタンス、しかしその根幹にあるものは同じだと感じた。

ゲマトリアでなければ先生とシャーレで活動してたかもしれないと思わせる程に。

 

「これは完全に私の憶測なのだが────君は先生だったんだろう?」

「………。」

 

沈黙。

否定しないということは、それが事実だと肯定していた。

やがて観念したかのようにホモは話し始める。

 

「君の言う通り私はここ(キヴォトス)とは違うところで先生をしていた。何十年も前からここの先生と同じようにな。」

「外の世界かい?」

「そうとも言える、キヴォトスと変わらない神秘の溢れる都市だったが。」

「ここ以外にもそんな場所があるなんて……。」

「聞いたことがないのも無理はない、その都市は()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

「ッ!?」

 

クツクツと笑うかのような声色で話された衝撃の一言。

嘘を言っているようには思えない、だが真実だとも思えない。

誤魔化すかのような雰囲気の中に、確かに怒りを感じ取った。

それが自分に当てられたものなのか、他になのかはセイアには分からない。

確かなことはセイアにはどうしてもホモがそんな事をする人物には見えないという事だけだ。

 

「失敗したのだ私は。だからゲマトリアという裏の立場でこの世界に降り立った。違う立場だからこそ、見える物も取れる行動も違う。」

 

セイアは何も言えない。

もう彼は自分が救う事を諦めている。

恐らく手を伸ばした彼女たちもホモ自身に救った自覚は無いのだろう。

 

「そろそろ目覚めの時だ、君にもやるべき事があるはずだ。」

「……これだけは言わせてくれ。どれだけ自分を卑下しようとも、君に着いてる生徒達は救われたと思うよ。」

 

それだけを言い残し、セイアは霧の奥へと進んで行った。

自分が成すべきことをやり遂げるために。

ホモはセイアの言葉を反芻し、言葉をこぼす。

 

「救われた……か、そんなはず無いだろうに。」

 

真に救ったなどと宣う気は無い、結果的に成行きでそうなっただけだ。

自分は困っていた生徒に粉をかけ、自身の都合の良い風に動かしているだけの腐れ外道なのだから。

 

ホモはセイアに嘘をついた。

今の話は全て自分の憶測、自分がキヴォトスに来る前の事は朧気にしか覚えていない。

ホモが都市を滅ぼしたというのも憶測に過ぎない。

だが滅んだことは確定事項、それは自分が滅ぼしたのと何ら変わらない。

 

記憶にあるのは栄えた都市の変わり果てた景色と、色彩に対する憎悪、1度自分が死を経験した事。

そして自分の手で殺した生徒の顔だけであった。

他の思い出は全て黒く塗りつぶされたかの様に思い出せない。

自分が以前どんな人物だったのかさえも。

 

それでもホモは自分のやるべき事だけは忘れずにいた。

それは狂気なまでの執着心だった。

 

 

「もう二度と、貴様に滅びを成させるものか。」

 

 





ホモ君に関する新情報まとめ。

・山海経で1人が仲間入りした
・クリフォトはキヴォトスの防衛措置
・ユスティナ聖徒会のような特定場所を必要としない複製の作成を企画
・セイアと同盟関係を結んでいた
・ホモ、前職は先生だった(憶測)
・既に第2の故郷とも言える都市は滅んでいる
・↑恐らくホモが自身の手で滅ぼした(憶測)
・少なくとも生徒1人の殺害経験あり
・ゲマトリアにいるのは違う立場で行動できるから
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