「で…これはどういう事か聞いても良いか?」
ロキプラとの戦いを終えた直後にアッシェと合流を果たした万能者は説明を求めた。
戦いがあった事は事実。そんな事は言わずとも分かる。
彼が一番に聞きたかったのは、アッシェとと共にいるグレイ、グリクの事であった。
「…」
だがアッシェは答えない。
対する万能者はアッシェが答える筈がないという事も分かっていた。
ましてや彼女が勝手に行動した事を決して咎めている訳ではない。
だが状況を把握したい万能者にとってはどうしても聞かなくてはならない事でもあった。
するとアッシェに支えられながら立っていたグレイが口を開く。
「私から話そう。万能者とやら」
「確か…グレイであってるよな」
「そうだ。お前が知りたがっているこの状況とやらを説明しよう…。済まないが座れる所に下ろしてくれないか?」
一旦落ち着ける所で説明したいのかグレイにそう頼み込みれたアッシェは一つ頷いてグレイを座れそうな所までに連れていく。
適当な所で座らせるとグレイは現状の説明を始め、その傍らでアッシェは静かに説明が終わるのを待つ事にした。
それから数分後、グレイから一通りの説明を受けた万能者は成る程なと頷きながらアッシェへの方へと向いた。
「島に向かっていったのはその為だったんだな、アッシェさん」
「……」
その問いに頷いて肯定を示すアッシェ。
出会ってから時間はそう経っていないものの変わらず無口な性格に苦笑いを浮かべる万能者。
とは言え今は合流出来た事を喜んでいる暇はない。
作戦の第二段階はすぐに始まるだろうし、何より他の味方との合流しなくてはならない。
時間が限られている今、迅速に動く必要があった。
「それでだ。二人はどうするのよ?このままこっち側に身を寄せる感じか?」
「そうだな。そいつに…いや、アッシェと共に行動していた上にあれ程の事をしたのだからな。今更向こうには戻れまい」
「…良いのか?」
「自ら望んだことなのだ、同情は不要だ。それにだ──」
グレイの視線がアッシェにへと向けられる。
その視線に気づいたのか虚ろな赤い瞳がグレイを見つめた。
「こっち側に引き連れた"責任"…取ってもらうぞ?」
「ならば私も"責任"とやらを取ってもらおう。状況が状況とは言え、別の組織に身を置く事になってしまったからな」
グレイの台詞にグリクもまた乗っかる。
そんな二人に万能者は指で頬を掻きつつアッシェを見た。
無表情に無口。
半ば強引とも言える形で組織の鞍替えの責任を求められたにも関わらず普段と変わらぬ様子で立ち尽くしている。
「あー…アッシェさん、頑張ってくれよ…?」
「…」
元はと言えばアッシェが自ら行った事。
こうなってしまった今、万能者ではどうする事も出来ない。
せめて応援程度ぐらいはしてやろうという思いから彼はアッシェにそう伝える。
対するアッシェは反応一つすら見せる事無く、座っていたグレイを抱えると静かに歩き出した。
その行動に万能者とグリクはお互いに頷き、彼女の後を追いかける。
今は他の面子との合流を図る。
破壊の静けさが残った場所を四人は朽ちた屍の上を超え、静かに去っていった。
戦場を抜け、味方との合流を果たす為にルースキー島を移動していた四人。
ロキプラとの戦いで盛大に響いていた戦いの音は何処かへと消え去り、それを示すかのように火の粉を交え、熱を帯びた風が緩やかに街の間を駆け抜けていく。
散り散りとなった味方との合流は未だ叶わず、敵とも会敵しない不気味な状況。
それでも尚、四人の脚が止まる事はなかった。
グレイやグリクは兎も角として、アッシェや万能者は違う。
何の為にここを訪れたのか。その目的は何なのか。
果たさなくてはならない事があるからこそ、その脚が今になって止まる事を許さない。
「あれは…」
島の端付近までやってきた頃合いだろうか。
何かを見つけたのか、万能者は足を止めた。
そして彼が見つめる先を他の三人も見つめるとそこには今まさに移動中であったシャマール達の姿があった。
彼女達もグレイとグリクを連れて歩いていたアッシェと万能者をに気付いたのか、その姿を見つけるとすぐに駆け寄って来た。
「無事だったか、万能者」
「お互いにな。それで状況は?」
「あの光の雨の影響が大きくてな。一旦ルースキー島の端に待機している揚陸艇に乗り込み移動。海上の艦艇に戻り戦力を立て直す」
「なら俺達も良いか?預けたいのもいるしな」
「預けたいもの?」
首を傾げるシャマールに万能者の後ろからアッシェが現れる。
グレイを肩に担ぎ、その隣をグリクが寄り添っている。
それを見てシャマールは成る程と頷き、アッシェを見た。
「万能者を救い出し、グレイにグリクまでも救い出すとはな…。流石だな、アッシェさん」
「…」
「相変わらず無口だなぁ…少しぐらいは反応してほしいものだが」
その台詞に万能者はうんうんと頷くもアッシェはいつも通りの平常運転。
二人して苦笑いを浮かべつつ、シャマールの表情が切り替わる。
「和んでいる暇はない。今すぐに異動しよう。四人はあいつらについていけ」
「そっちは?」
「私は調べ物だ。安心しろ、すぐに合流する」
そう言ってシャマールは踵を返し、何処かへと消え去っていく。
彼女の後ろ姿を見つめつつも、集団が移動開始したのか四人はそれについていくように歩き出した。
そして島に待機していた揚陸艇に乗り込んだ後、海上の艦艇に帰還。
漸くというべきか、一息つける時が来たのであった。
投稿が遅れて大変申し訳ない!
仕事の影響で多忙になり、執筆時間が中々取れませんでした…。
その影響で今回は短めです。
コラボ主催者様の最新話に乗っかり、アッシェらも一旦補給を受ける形を取ります。
第二段階に突入になりつつありますが、補給を受けている間はうちのアッシェに適当に絡んでもOKです。
後はコラボ主催者様と他の参加者様の流れ次第になるかな。
では次回ノシ