Gungrave D.S.F.L   作:白黒モンブラン

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──ひとまずの休息──


EP-Extra Grim reaper in a girl's tears 5

海中を静かに、かつ迅速に作戦領域へと飛ばす潜水艦。

その船内内部はルースキー島での戦いで負傷した兵士や人形、次の作戦に備えて補給を行う者達で行き交う状況が出来上がっていた。

イレギュラーの発生に加え、次の作戦はこれ以上に厳しいものとなるのは明白。

それを分かっているからこそ、格納庫にて戦いに備える彼女らの表情は緊張が混ざっていたのだが"彼女"だけはと違った。

 

「……」

 

巨大な棺桶に傍に置き、背を壁に預けてその場に佇むその姿。

ルビーの様な赤い瞳、表情に一切の緊張はなく、寧ろ表情すら浮かばず無を貫き通す一人の女性。

彼女の名はアッシェ・ノーグレイヴ。

先の戦いにて最上位ネイトの二人の保護、敵対した最上位ネイトの撃退に加え重戦車の様な戦い方でパラデウス側に多大な損害を与えた功労者。

そんな彼女はこの潜水艇に乗ってからはというものの、格納庫の隅に佇んでから一歩も動いてはいなかった。

普通であれば補給なり治療なりを受けるべきなのだが、彼女が持つ銃と彼女自身の体質もあって補給も治療も受ける必要性は全くなかった。

 

「……」

 

作戦の第二段階自体は始まってはいない。

だが先に研究所へと突撃した部隊に加え、シャマールすら戻ってきてはいない状況にある。

そこから思うに第二段階はこうして移動している間に動き出しているという事をアッシェは理解している。

普段であれば誰にも告げずに自分一人で勝手に行動しているのだが、一度潜水艇に乗ってしまった以上は動ける筈もなく、こうして彼女はその時が来るのをじっと待っていたのだ。

 

「……」

 

この状態がいつまで続くかなど分かる訳がない。

とは言え流石のアッシェも一時間近くその場で佇むのはどうかと判断したのだろう。

腰の後ろに配置したホルスターからオルトロスシリーズの銃であり左手用の『セカンドヘッド』を引き抜くと弾倉を横へと取り出した。

密かに移動する正体不明の敵(モリドー)を狙撃する際に放った一発。

様々な事情もあって再装填してないままの状態であった。

ロッドを動かして既に冷め切った薬莢を取り出し、カートリッジベルトに刺したオルトロス用の弾丸を取り出し装填。

シリンダーを元の位置へと戻して流れる様な動作で華麗なガンスピンと同時にセカンドヘッドをホルスターへと納めた時、アッシェの元にある人形が歩み寄って来た。

 

「よっ、アッシェ」

 

眼帯に黒髪、ガンケースらしくものを背負った一体の人形。

作業を終えた彼女を見つけて声をかけたのは、初めてこの潜水艦で出会い握手を交わした人形、M16だった。

 

「……」

 

声を掛けられながらも一切反応しないアッシェ。

だがその代わりに赤い瞳は笑みを湛えたまま歩み寄ってくるM16へと向けられていた。

 

「無事だったみたいだな。おまけに最上位ネイトらの保護までやってのけるとは驚きだ」

 

「……」

 

そう言いながらアッシェの隣に並び立つM16。

背を壁に預け話しかけてくる彼女にアッシェはそっと目を伏せた。

まるでそうだなと相槌を打つ様な仕草。

彼女の珍しい反応にお?と思いつつもM16は言葉を続ける。

 

「確かグレイだったか?あいつから話は聞いたよ。…無口だがその胸の内には熱いモン秘めているんだな、アッシェは」

 

「……」

 

「そんな事はないって言いたげだな?」

 

軽く肩を竦めた後、M16の顔がアッシェへ向けられる。

その浮かべる表情は彼女らしい笑みだったが、そこには何処か家族へと向けられる何かがあった。

 

「否定する事なんてないさ。お前は良い奴だよ、アッシェ」

 

「……」

 

一瞬戸惑いながらもアッシェは静かに頷く。

 

「それでいい。素直なのはいい事だ」

 

「……」

 

「ま、作戦はまだある。第二段階では一緒になるかは分からないが、お互いに頑張ろうじゃないか」

 

彼女の言う通り、作戦は終わってはいない。

こうして話しているのも緊張をほぐそうとしているだけなのかも知れない。

最もアッシェもM16も歴戦の戦士。修羅場など腐る程くぐり抜けてきた。

その点を踏まえるとこの会話は緊張をほぐす為ではなく、単にちょっとした暇つぶしなのかもしれないが。

 

「さて…そろそろ、姉妹らの所に行くよ。第二段階も近いしな。もし時間があるならアッシェも会ってやってくれ」

 

「…」

 

「心配するなって。妹たちはお前を怖がったりはしない。それだけは信じてくれてもオーケーだ」

 

「……」

 

ここまで来て何度か言葉を交わしてきた相手が言うのだ。

それを信じる事にしたアッシェは頷き、デスホーラーを担ぎ背を預けていた壁から離れると歩き出した。

 

「ん?どっか行くのか?」

 

妹達が居るであろう場所とは違う方向へと向かうアッシェの後ろからM16からそんな問いが飛んでくる。

その問いに何時もの様に頷きアッシェはそのまま歩き去ろうとするが、M16が呼び止めた。

初めて会った時、電脳がはじき出した答え。

その答えを知るであろうアッシェへと向かって疑問をぶつける。

 

「…その体、何時からそうなんだ」

 

「……!」

 

その問いにアッシェの目は見開かれる。

彼女の口から思っていなかった問いにアッシェは歩みを進めていた足を止めて、ゆっくりと振り返る。

鋭い目つきで睨むようにしてM16を見つめるアッシェ。

どこでそれを知ったんだと鋭い眼差しの中にその台詞は交えていた。

相手が一般人なら余りの圧に答える事もなく気を失っていただろう。

だがアッシェが見つめる先に居るのは歴戦の戦士たるM16。

彼女の圧に押されることもなく、それどころか変わらない様子で口を開いた。

 

「ここがそう判別したんだ」

 

そう言いながら自身の頭を指で小突くM16。

 

「最初こそは驚いたよ、本当に。…生きた屍とは思いもしなかったからな」

 

「…」

 

「全部答えろとは言わない。ただ一つだけ聞かせてくれ」

 

神妙な面持ちでアッシェを見つめるM16。

この問いに返ってくる答えが自身が望むものである事を願いながら、それを口にする。

 

「その体は誰かによって無理やりされたものなのか…?」

 

そうであるのであれば、この作戦が終わった後にやるべき事が確定する。

一つの生を終え、静かに眠っていた者を弄び蘇らせた奴がいる。

そんな奴を生きているのであれば、指揮官にも手伝ってもらい葬る。

出来ればそうあってほしい。こうなったのは誰かによるものだと…。

 

 

 

 

 

 

 

だが────

 

 

 

 

 

 

 

「違う…」

 

 

 

 

 

 

 

その思いは────

 

 

 

 

 

 

 

「自ら望んだ…」

 

 

 

 

 

 

 

彼女の口から出た答えによって無慈悲にも潰された。

 

「っ!……何故求めたんだ?」

 

家族(ファミリー)を守る為、家族を止める為…」

 

ファミリー、そして家族。

意味合いとしては同じ意味を持つ。

しかし態々言い分ける様にして口にしたその台詞。

そこにアッシェがそうなった意味を指し示す答えがあるとM16は思った。

だが、紡がれた言葉にその真意を問う程の勇気が何故か今のM16にはなかった。

 

「……」

 

これ以上の問いは無い。

そう判断しアッシェは歩き出す。

白いコートを纏った人物の背をM16は只々見つめる事しか出来なかった。




前に投稿したのが一か月前…やと?
何やってんだああぁぁっ!!!!!

全てはAC6が悪い!!!(最低

はい、ご久しぶりです。
主催者様が動き出したのでこちらもメインシステム起動でございます。
第二段階に突入という認識にはなりますが…私は上手く踊れるかどうか…
大変楽しみです、ご友人♡
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