Gungrave D.S.F.L   作:白黒モンブラン

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─kick their ass!─


※2023/04/24 コラボ参加者様の投稿内容に伴い、内容加筆及び修正致しました。

(変更前)共に行動する者がいない事から島に到達して早々アッシェは単身で突撃

(変更後)搭乗したヘリを狙撃により破壊され、当初の降下ポイントから大きく外れた地点からの行動へ
※ヘリの狙撃云々の内容はガンアーク弐式様作「MALE DOLLS外伝集」の「極東にて:1」を見ていただけると、より内容が分かるかと思います

ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
何卒ご理解、ご了承の程よろしくお願いいたします。


EP-Extra Grim reaper in a girl's tears 1

戦いの音がまるで雑音のみ構成された交響曲の様に連奏する。

作戦会議から一日半後、パラデウスの部隊と狂った団体によって汚染され感染者となった民間時でごった返したルースキー島には血と硝煙、鉄と熱の豪雨が降り注ぐと共に戦いの音を奏でていく。

パラデウスという組織を、ウィリアムという男を許さない者達が各々が持ってきた最新装備で白き軍勢との戦いに身を投じていく中、同じく今回の作戦に参加し救出対象である川崎和紗の救いを求める声を聞きつけ、地獄の番犬と棺桶を引っ提げ現れた灰被りの死神(アッシェ・ノーグレイヴ)の姿もそこにあった。

搭乗していたヘリを何者かによる狙撃により破壊され、当初の降下ポイントから大きく外れた場所に降りたアッシェは早々に単身で行動していた。

元より一人での参加。共に行動する者などいない。

いつも一人なのは最早変わりようの無い事実であった。

 

「…」

 

爆発と銃声、僅かに聞こえる呻き声。

嗅ぎ慣れた死臭が漂う戦場はアッシェにとっては馴染み深い場所。

それ故にと言うべきか。

白き軍勢が単身で行動するアッシェを破壊せんと現れるのは何ら不思議なことではなかった。

ストレツィ、ロデレオ、ガンナー…群れを成して立ち塞がるパラデウスの駒達。

だがアッシェの表情は変わらない。驚きも焦りも諦めもない。変わらない『無』。

そして立ち塞がる敵を、破壊すべき敵をその虚ろな赤い瞳が一瞥した次の瞬間──

 

「…!」

 

パラデウスの駒達ですら反応出来なかった脅威的な速さでホルスターから地獄の番犬(ケルベロス)が引き抜かれた。

ライトヘッド、レフトヘッドの銃口が敵を捕らえ、自らの存在を知らしめるかのように高らかに吼える。

放たれた弾丸はストレツィとロデレオの頭を木端微塵に吹き飛ばし、やがて咆哮は全てを喰らいつく牙へと昇華した。

まるでステップを踏み様な足取りで両手に持った銃を踊るかの様に連射し、次々と放たれていく15mmの弾丸。常人では扱えない反動と重量を誇る"拳銃"を二丁携え、機関銃の如く撃ち続ける事が出来る彼女の前では例えそれが最新装備で固められた敵ですら木端微塵に吹き飛ばされ、無残な骸へと還る他ない。

 

「…」

 

身体を敵へと向けずとも、それが人ではないとしても殺気で分かる。

右腕で背中へと回し、左方向から飛び出してきたストレツィの頭目掛けて発砲。

ライトヘッドから放たれた15mm弾がストレツィの頭に着弾、破壊。

中にあったナニカと生体パーツをぶちまけながら、地面へと崩れる。

ノールックからのヘッドショットなどアッシェにとって朝飯前。

流れる様な早撃ちでガンナーの武器と四肢を破壊し、達磨へと成り果てたソレへ止めの一撃を叩きこむとアッシェはその場で飛び上がりながら体を捻りつつ背面撃ち、そのまま着地しながら体を前へと回転させつつ周囲のストレツィとロデレオを破壊しながら、接近してきた高い耐久力を持つグラディエーターへと狙いを定め一秒間の内に無数の弾丸を叩きつけて木端微塵に破壊。

飛び交う光線。舞う薬莢。広がる硝煙の中で悲鳴のない無音の死と轟音の様な銃声が連鎖する。

絶望的な状況とでも言える様な光景でケルベロスの引き金を引き、全方位へと向かって掃射するアッシェ。

が、敵は次々と姿を現れ始め、中にはパラデウスによって感染させられた感染者まで戦いの音を聞きつけ不気味な足取りでアッシェへと襲い掛かろうとしていた。

それでもアッシェの表情は変わらない。

だが流石に数が多いとは思ったのか、ライトヘッドを上へと放り投げるとデスホーラーと繋がった鎖を手を伸ばし前へと構えた。

デスホーラーに施された髑髏の両目が薄っすらと輝きを放った時、装甲の側面が展開。中から飛び出すはアッシェの身長よりも数倍はあるであろう巨大なミサイル。

それが宙に固定されるとアッシェは片足を軸に素早く体を回転。

身体の柔らかさを活かして片足を振り上げ、パラデウスの軍勢へと向かって棺桶から出現した巨大なミサイル(Death Blow Ver.Ⅱ)を思い切り蹴り飛ばした。

光の嵐の中をミサイルは駆け抜ける。撃ち落とされる事無く突き進み、やがてそれは群れの中央、持ち前のジェットパックで至近距離によるレールガンの一撃をアッシェへと喰らわせようとしていたロデレオに着弾。そしてその図体通り、ミサイルは大爆発し周囲を巻き込む程の死の一撃が瞬く間に広がった。

熱を持った閃光が駆け抜け、空へと向かって高々と爆炎と大きなキノコ雲が浮かび上がる。

普通の爆発であれば誰も気にしないだろうが、戦闘が始まって早々での巨大な爆発。

流石に規模が大きすぎたのかアッシェが耳に着けている通信機から混乱の声が響いていた。

 

『なんだあの爆発・・・!?』

 

『あっちで誰か戦っている?でも誰が・・・?』

 

『おい、待て。あのアッシェという女性はどこに行った!?

 

『見てない・・・?まさか単身で戦っているのか!?』

 

散り散りになった今。大規模とも言える爆発は誰の目にも留まる事であろう。

加えて誰とも合流せず起きたのであれば尚の事。

だがアッシェは通信に答える事無く、沈黙を貫いていた。

広がった爆炎が静かに消え去り、そこに残ったのは真っ黒になった地面と残り火のみ。

敵の亡骸も、その一部もない。硝煙の香りだけが残る。

静まり返ったその場でアッシェの右腕が上へと向けられる。

すると先ほど投げ飛ばした筈のライトヘッドがその手に収まり、アッシェはゆっくりとその場を後にする。

一歩踏み出す度に棺桶と鎖が軋む音が小さく鳴る。

未だ存在しているであろうパラデウスの部隊を全て破壊すべく、灰被りの死神は己の存在知らしめるような音を立てながら歩き出し始めた。

 

「…」

 

この時、アッシェは言葉にはしなかったものの妙だと感じていた。

確かに元凶であるパラデウスが動いているのは事実。

そしてそのパラデウスと繋がっている新ソ連が動いているのも事実。

だがそれだけなら大して考える事無く戦いに集中すればいい。

 

(…何かいる)

 

自分達では知り得なかった何かが動いている。

先のヘリの狙撃が良い例である。

そう思えるほどにこの戦場は気を付けていなければ分からない妙な違和感に包まれていた。

だとしてもそれを事前に見抜き、対処するのは自身の仕事ではない。

結局の所、アッシェは武器を手に戦う事しか出来ないのだから。

ケルベロスを素早く回転させ、新たに姿を見せたパラデウス兵へと向けるアッシェ。

鈍重な歩みで敵の攻撃に被弾しながらもお構いなしに前へと進みながらケルベロスを連射。

轟音の様な銃声が絶えなく響き渡り、パラデウス兵に破壊だけをもたらす。

空の薬莢が地面に転がる音が響いた時、ふとアッシェは足を止めた。

周囲に敵の姿などない。気にするような場所など何一つ無い。

 

「…」

 

正面を向いたまま動かないアッシェ。

すると何かを感じ取ったのだろうか。

彼女はケルベロスを太股のホルスターに収め、後ろ腰のホルスターに収めたオルトロスを引き抜いた。

そして左手用の灰と銀で染まったオルトロス…【セカンドヘッド】の銃口をゆっくりと左方向へと向けつつ静かに目を伏せた。

 

「…」

 

戦いの音が、雑音が、全ての音が消え去る。

広がるは無音の世界。心臓の鼓動さえも聞こえない。

尖らせた神経の先。己と言う気配を極限にまで削り、"気"を以て狙いを定める。

生前と今の彼女が有するありとあらゆる全てを用いる。

 

「…手で撃たず」

 

その口から紡がれる言葉さえも、この世界では響かない。

 

「気で撃ち、銃で殺さない。私は──」

 

カチリ、とセカンドヘッドの撃鉄が静かに起こされる。

シリンダーが回転し、装填が完了を知らせる。

紡がれる言葉と共に遠くから音が返ってくる。

やがて大きくなる音と共にアッシェの目がゆっくりと開かれたその時…

 

「──心を以て撃つ」

 

全ての音をかき消してしまう様な銃声が木霊した。

放たれた弾丸に立ち塞がるものなど無し。

風を超え、木々を超え、銃弾の嵐を通り抜け、罠の隙間を過ぎ去り、番犬の一撃は駆け抜けていく。

殺意すらも感じさせない死神の一射は──

 

「ッ!????」

 

誰にも気づかれる事無く移動中であった最上級ネイトの一人であるモリドーの背に展開されていた蜘蛛を思わせる多脚アームの内、二つを穿ち破壊した。

狙撃。それは分かる。

問題なのは自身に気付かれる事無くアームの二つを破壊した事であり、何よりも敵はいつでも気付かれる事無く狙い撃ちが可能であるという事。

 

「くっ…」

 

このルートを通っていれば再び狙い撃ちされる。

狙撃手を始末するのではなく、その場から引く事を選択したモリドーは敵の射程距離から素早く離れた。

モリドーが離れたのを気配で察知したアッシェは向けていたセカンドヘッドを静かに下ろし、ホルスターへと納めた。

追わなかったのは、その必要がないと判断した為。そして今回の作戦の応援要請を出したシャマールがモリドーに対し並ならぬ怒りを持っていた事から、彼女が何とかするであろうという判断によるもの。

そして何よりも─

 

「…」

 

白き装いに身を包み、白銀の大鎌を持った少女(白ネイト)と黒き装いに身を包み、身の丈以上はある重火器を手にした少女(黒ネイト)がアッシェの目の前に佇んでいた事が追わなかった理由であった。

如何にも死神と言うべき姿をした少女と重火器を持った少女。その姿にアッシェは思い出す。

最上級ネイト以外にもネイトと呼ばれる存在がいる、と。そして彼女らがそうである、と。

 

「…」

 

敵と会話することなどない。が、アッシェは二人と見て、ある事に気付いていた。

 

(…震えている)

 

何かを恐れている様な、そんな震え。

僅かにであるが、アッシェは見逃さなかった。

 

(…救う)

 

最初こそは破壊すべきと判断していた。

洗脳され続けるのであれば殺して解放する事が救いになると思った為である。

だが彼女達の様子を見て、アッシェは考えを改めた。

何に対して恐れているかは分からない。

だが彼女達にも恐れる感情があるのであれば、人らしい感情が宿っているのであれば話は違う。

無力化し、解放する。シャマールやリヴァイル辺りに二人の身を保護させる。

自身は先導者にはなれない。なれたとしても全てを破壊する死神にしかなれない。

そうだとしても救う事は出来る。殺し以外の方法があるのであれば、尚の事。

 

「…」

 

ケルベロスを引き抜き、両腕を交差させアッシェは構える。

辺りを支配する沈黙。やがてそれは…

 

「!」

 

白ネイトが大鎌を構えアッシェへと突進したことによって破られた。




単身でアッシェは戦場へと突撃。
装弾数10億発のコスモガンと武装棺桶をぶん回しながら、パラデウス兵を片っ端から破壊して回っております。

そしてコラボ主催者様、申し訳ねぇ。
モリドーの装備、ちょいと一部破壊させて頂きました。(不都合があれば修正致します)

次回は白黒ネイト戦かな…状況次第では早い内に決着がつくかも。
因みにアッシェはパラデウスの事は作戦会議で知った程度なので詳しくなかったりする。

またこのあとがきにて、ちょいと情報を記載しておきます。

:Death Blow Ver.Ⅱ
棺桶の側面装甲を展開し、中から出現させた巨大なミサイルを敵へと蹴り飛ばすデモリッション・ショット。
(ガングレイヴゴアverのDeath Blow。デスペラード撃ちも良いけど、これはこれで結構好きだったりする)

:ファーストヘッド&セカンドヘッド
ケルベロスに似た形をしたリボルバーであり、オルトロスシリーズの銃。
それぞれカラーが異なり、銀と黒が染まった銃が右手用の「ファーストヘッド」、灰と銀が染まった銃が左手用の「セカンドヘッド」である。
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