Gungrave D.S.F.L   作:白黒モンブラン

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─救済の手を─


EP-Extra Grim reaper in a girl's tears 1.5

弧を描いた白銀の刃が、無慈悲な光線が、番犬の弾丸が戦場を駆け抜けていく。

この島の何処かで多くの敵と戦い続ける者達が居る中、三人しかいないその戦場は余りにも異質とも言えた。

まるで周囲の介入を拒む様な尋常じゃない程の殺気。その場は最早『戦場』とは言い難かった。

 

「ッ!」

 

華奢な体から振るわれる白銀の大鎌。

死神の一撃を彷彿とさせる白ネイトの一撃はその首を刎ねんとアッシェへと襲い掛かった。

常人であれば、反応すら出来ない一撃。

しかしアッシェは容易く反応しライトヘッドで一撃を受け止めつつ、勢いそのままに自身の体を回転させ攻撃を受け流し白ネイトを後ろへと蹴り飛ばすと素早く身体を反転。

遠方からの射撃へ移行しつつある黒ネイトからの狙いが外れる為、横へと駆け出しながらレフトヘッドを発砲。

パラデウス兵に囲まれた時の早撃ちではなく、一発一発の狙いを重視した正確な射撃。

敢えてその体に当てず、しかし少しでも動けば直撃してしまうであろう精密機器染みた射撃。

その威力は一度手にしている重火器で一発受け止めた際の反動をその身をもって知ったのか、次弾が発射される僅かな隙をついて黒ネイトが動いた。

人間離れした動きでその場から飛び退き、再び重火器を構え直した瞬間、ここぞと言わんばかりのタイミングでレフトヘッドから放たれた一発が銃身に直撃した。

 

「ッ!」

 

上へと跳ねあがる銃身。反動により体が悲鳴を上げる。

驚愕に満ちた表情が僅かに浮かんだのも束の間、素早く態勢を立て直し重火器をアッシェへと向ける黒ネイト。

しかしその目に広がったのは、蹴り飛ばされ地面に叩きつけられた白ネイトが大鎌を杖代わりに立ち上がろうとしている姿だけ。

つい先ほどまで轟音の様な銃声を響かせる銃で攻撃してきていた筈の(アッシェ)の姿はどこにもなかった。

 

「…?」

 

どこへ消えた。

そんな表情を浮かべる黒ネイト。

敵を探そうと周囲を見渡そうとした時、その体に走ったナニカと殺気が迫ってくる方向へと黒ネイトの頭が勢い良く向けられた。

目に映るは上空から迫ってくる白いコートを纏った女の姿。

巨銃と腕に巻いた鎖と繋いだ棺桶を装備しながらも高く飛び上がる事の出来る異常な身体能力に若干の驚きを交えつつ、迎撃か回避かを迫られる黒ネイト。

迎撃は出来る。だが重火器の大型故に取り回しの悪さを加味すれば狙いを定める時間は無い。

回避さえすれば白ネイトとの連携が取れる。

 

「…」

 

ほんの僅かな時間で自身が取るべき行動を導き出した黒ネイトは前へと飛び込む形で離脱、白ネイトとの合流を目指す。

直後、巨大な物体が降って来たのではないかと思えるほどに流星の様なアッシェの蹴りが地面に炸裂。

破砕音と共に地が割れ、空へと土埃が舞い上がり周囲へと広がる。

視界を覆う程の土埃。

その発信源の中で影がゆらりと動き出すと広がった土埃が晴れていき影の姿が露わとなる。

白いコートを揺らめかせ、棺桶と繋がった鎖が揺れる音が響く。

ゆったりとした動きで身体が振り向かれると両手に握られた二丁の巨銃が白ネイトと黒ネイトへと向けられた。

 

「!」

 

「…」

 

あの巨銃の威力は分かっている。

一撃でも貰えば只では済まないのは言わずとも分かる。

示し合わせていないにも関わらず、二人は同時に行動開始。

白ネイトが大鎌を構えて突撃し黒ネイトが突撃する白ネイトが接近戦へと持ち込める様に重火器による援護を始める。

対するアッシェはケルベロスを連射しながらステップを踏み様に後方へと交代しつつ迫りくる白ネイトへと迎撃し、黒ネイトが持つ重火器から放たれる光線の中を避けていく。

銃弾と光線、巨銃から飛び出す薬莢が空へと舞い上がる中、白ネイトが地を一気に蹴りアッシェに急接近。

命を刈り取る形をした大鎌による連撃が次々と繰り出され、アッシェは斬撃と光線の回避とケルベロスを用いた斬撃の受け流しを余儀なくされる。

横薙ぎから振り下ろし。刀身の切っ先が地に深く突き刺さると白ネイトは振り下ろした反動を活かして飛び上がり大鎌を引き抜きつつ跳躍。

空中で姿勢を立て直し急降下による横薙ぎを繰り出さそうとした瞬間、アッシェが動き出した。

地面を蹴り一気に跳躍。レフトヘッドで斬撃と受け止め弾き飛ばし姿勢が崩れた所をライトヘッドを握っているにも関わらず右腕で白ネイトの頭を抱え込みながら地上へと引きずり下ろすと、レフトヘッドを大鎌へと目掛けて連射し破壊。

白ネイトの戦力を完全に削ぐと彼女は押し飛ばし、アッシェは黒ネイトへと駆け出す。

飛び交う光線の中、被弾もお構いなし駆け抜けていき一気に急接近。

一瞬にして間合いを詰められた事に反応に遅れた黒ネイト。それを見逃さなかったアッシェはデスホーラーと繋がった鎖を握り、反動を付けると同時に地面が割れる程の脚力で飛び上がった。

反動によって振り上げられたデスホーラーを構え、黒ネイトへと狙いを定める。

人間はおろか、人形ですら持ち上げる事が不可能な程の重量を誇る武装棺桶。

それが思い切り叩きつけられたら、どうなるかなど分かり切った事。

咄嗟の瞬間で反応遅れる黒ネイト。

飛び退こうとするもそれすらも許さない無慈悲な一撃が彼女目掛けて振り下ろされた。

 

(…死)

 

降り注いでくる巨大な棺桶を前に黒ネイトは初めて"死"というのを覚えた。

最上級ネイトの機嫌によって殺される"自分達"。

彼女らの機嫌を損ねない為、"お父様"の役に立つ為…それが戦う理由。

だがこの時、黒ネイトは思ってしまった。

 

(…死に、たくない…)

 

"死"への拒絶。

 

(…生きていたい…)

 

"生"への渇望。

 

(誰か…)

 

今まで思う事も、感じる事すらなかった"人"としての感情。

胸の内に宿った"人"としての感情が、『心』というものが──

 

(助けて…)

 

ウィリアム(ロクデナシのクソ親父)としての娘というレール(人生)からを外れる鍵になったと言えた。

 

「…っ」

 

頬を伝う初めて流れる涙。

初めて宿した感情。初めて宿した心。

だと言うのに現実は余りにも非情で、涙を流す目に映るは死を与えようとする死神の姿が一つ。

最早黒ネイトに戦う意思はない。手にした重火器を前へと放り投げ"死"を受け入れる態勢を取った瞬間、棺桶が振り下ろされ、周囲に破砕音と土埃をまき散らした。

 

「…?」

 

死んだと黒ネイトは思った。

だが不思議と痛みはなく、何故か戦いの音がその耳に届いていた。

どういう事だろうかと恐る恐る目を開くと、そこに木端微塵に破壊された重火器とあの棺桶を背負い直す彼女(アッシェ)の姿があった。

 

「…」

 

虚ろな赤い瞳が黒ネイトを見つめる。

どうしてだと言った視線をぶつける黒ネイトにアッシェは視線を返すのみ。

すると彼女は後ろへと振り向き、白ネイトの方へと見る。

大鎌を破壊され戦力を削がれた今、完全に丸腰。命を奪わず、無力化するだけに留めたアッシェに白ネイトもまた同じような問いをアッシェを見つめる視線に込めていた。

 

「…」

 

だがアッシェは答えない。

白ネイトと黒ネイトを一瞥すると彼女は鎖が軋む音を響かせながら歩き出し始めた。

そのまま歩き去っていくかと思いきや、ふとアッシェは足を止め滅多に開くことの無い口を開いた。

 

「…自由に生きろ」

 

ウィリアム(ロクデナシのクソ親父)としての使い勝手が良い駒としてではなく、一人の少女として生きろ。

僅かな言葉で紡がれた台詞に込められた意味を、果たして二人は理解できたであろうか。

だが少なくともその表情に困惑は見受けれない。行うべき行動を見定めたというべきか、二人は静かに頷いていた。

 

「…貴女の名前は?」

 

去ろうとするアッシェに白ネイトがその名を問うもアッシェは答える事無く、歩き去っていく。

白ネイトと黒ネイトには去り行く名も知らぬ死神の姿だけがその脳裏に刻まれるのであった。




はい…。なんやかんややってますが、コラボ編。
白ネイトと黒ネイト(二人)を無力化し、自由に生きる様にアッシェが示しました。
その事により二人は戦線離脱し、保護してくれそうな所を探してこの戦場を彷徨います。

…どこかお優しい誰かがこの二人を保護してくれるとすっげぇ嬉しいなぁ(チラチラ)

長引かせるべきかと思いつつも早々に片付けます。
さぁて…あとはコラボ主催者様とコラボ参加者様の流れに合わせましょうか

ではではノシ
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