ボられるかボられないか。それが問題だ   作:あずき@

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第10話

現在、私たち受験生はトリックタワーの天辺に立っていた。

 

そこで豆みたいな見た目の試験管からルール説明を聞かされた後、三次試験がスタートした。

 

(制限時間は72時間か……初めましてから始めるには時間が足りないなぁ……)

 

「はぁ……憂鬱だ………」

 

「な〜にいきなり辛気臭いこと言ってんだよ」

 

「あ…いやちょっとね……」

 

「もしかしてタワーが高くてビビっちゃってるとか〜?」

 

人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべるキルア。

 

「ううん。そうじゃなくて……ていうか逆にこのタワーを見てるとやけに親近感が湧くんだよね〜。怒髪天を貫いてるぞって感じが特に、ね」

 

「はぁ〜? なんだよそれ。全然意味わかんね〜。やっぱイブって変わってんな」

 

「え〜、キルア君にだけは言われたくな〜い」

 

「キルア君って言うな! …せめてキルアって呼べよな」

 

「え〜? どうしよっかな〜」

 

そんな二人の様子を見ていた受験生達は皆、心を一つに同様の呪詛を唱えた。

 

((((((爆発しろ‼︎))))))

 

 

 

 

 

その後、キルアと行動を共にすることになったイブは、クラピカとレオリオの二人を紹介され四人でタワー内部へと侵入した。

 

中は個室となっており唯一ある扉は固く閉ざされていた。

 

他には制限時間がカウントダウン方式で刻まれる腕輪と『多数決の道

君達5人は ここからゴールまでの道のりを 多数決で乗り越えなければならない』と書かれた立看板があるのみだった。

 

「5人となると後1人、誰かがこの部屋に降りてくるまで待つしかないな……」

 

「くそォ。いきなりどんずまりなんてツいてねぇ。………にしても」

 

チラリと仲良く並んで立つキルアとイブに視線を向けるレオリオ。

 

「ん? なんだよ?」

 

「いや〜お前も隅に置けないなぁ。こ〜んな可愛らしい彼女がいるなんてよぉ」

 

ニヤニヤとイヤラしい笑みを浮かべるレオリオ。

 

「か…⁉︎ 誰が彼女だ‼︎ 誰が‼︎ イブはただの友達! 彼女なんかじゃねぇよ‼︎」

 

「お〜、いつも冷静なキルア君がやけに必死だなぁ〜。あっやしぃ〜」

 

「この野郎〜…! ぶっ殺してやーーー 」

 

「キルア落ち着け! レオリオもあまりからかうもんじゃないぞ」

 

「へいへい。わかりやしたよ。……ったく。ちょっとした冗談じゃねぇか。

 

にしても後1人はまだ来ねぇのかよ。もしかしてもう全員、別ルートで行っちまったんじゃねーか?

 

今頃、上に残ってるのは、よっぽどのマヌケだぜ」

 

と、そのとき不意に天井からコツッという物音が響いた。

 

見るとタイルの一枚が段々と降りてきている。

 

そしてガコンッという激しい音と共に最後の5人目…トンパが落ちてきた。

4人は一様に複雑そうな表情を浮かべた。

 

 

 

 

 

その後の展開は案の定、トンパが足を引っ張るカタチとなり、その都度、私を含めた4人がフォローしていった。

 

レオリオは、そのことにいちいち過敏に反応していたが、皆で(主に私が)必死に宥めることでなんとか事無きを得た。

 

そしてやっとこさ最初のステージへと到着したのだった。

 

 

 

 

「我々は審査委員会に雇われた試練官である‼︎

 

ここでお前達は我々5人と戦わなければならない。

 

勝負は一対一で行い各自一度だけしか戦えない‼︎ 順番は自由に決めて結構‼︎

 

お前達は多数決ーーーすなわち3勝以上すればここを通過することが出来る‼︎

 

戦い方は自由‼︎ 引き分けはなし‼︎ 片方が負けを認めた場合において残された片方を勝利者とする‼︎」

 

5名の死刑囚の内の1人が叫ぶように説明する。

 

「こちらの一番手はオレだ‼︎ さぁそちらも選ばれよ‼︎」

 

「オレが行こう!」

 

トンパが一歩前に出る。が、しかし相手がデスマッチを提案した途端、あっさりギブアップを宣言。いきなりの白星スタートとなった。

 

その後のロウソクを使った炎の耐久力を競う対決も相手のロウソクの先を手刀で切り落としたキルアの勝利だった。

 

次の対決はレルートと言う女死刑囚が相手だった。対戦内容は賭け事で結果から言えばスケベ心にホヤされたレオリオの負けで終了した。対決直後に睨み付けてやったら速攻で平謝りされた。

 

負け越しているとは言えここまではまだマシだった。

 

問題は次の対決に起こった。

 

クラピカの対戦相手、マジタニと言う死刑囚はかなり特徴的なビジュアルをしており、2m近い長身に細身の燕尾服を纏った角刈りの大男で薄暗いタワー内部にも関わらず黒のサングラスを着用していた。

 

「………勝負の方法はなんだ?」

 

クラピカが静かに尋ねる。

 

「わざわざ選ばしてくれるとはありがたいねェ。

 

それじゃあお言葉に甘えて……デスマッチでお願いします」

 

「わかった……では始めようか」

 

改めてリングの上で対峙すると二人の体格に随分と差があることがわかる。

 

マジタニが上着を脱ぐとその下から無駄なく引き締まった筋肉の集合体が露わになった。

 

「兄者。上着を頼む」

 

戸愚r……マジタニが外野にいるフードを被った死刑囚に上着を投げ渡す。

 

「…もういいか?」

 

再びクラピカが尋ねるとマジタニが手をかざして言葉を制した。

 

「初めて〝敵″に会えた。いい試合をしよう…」

 

「⁇ ……はい。じゃあそろそろい「先ずは小手調べ」…どうぞ」

 

「先ずは小手調べからだ。……80%‼︎」

 

「⁉︎」

 

凄まじい勢いでマジタニの筋肉が肥大していく。

 

「フゥゥゥゥゥ……ひゃおっ‼︎!」

 

マジタニは謎の掛け声と共に天高くジャンプし、落下の勢いに任せてクラピカの足元の床を拳で粉砕した。

 

その瞬間、クラピカは確かにそれを目の当たりにした。

 

マジタニの背中に刻まれた刺青ーーーー

 

(弟)と書かれたそれを!

 

「……兄者というのは実兄だったんだな?」

 

「よくわかったねェ。ご褒美を用意してくるからちょっと待っててねェ」

 

「…………うん」

 

30分後…

 

ようやくマジタニ(弟)が戻ってきた。

 

巨大な石造りのリングを背中に担いだ状態で!

 

「なっ⁉︎」

 

「フゥゥゥゥゥ……ひゃおっ‼︎‼︎」

 

例の掛け声と共に垂直にジャンプし空中でリングを高々と放り投げるマジタニ(弟)。

 

そのまま足元の設置されているリングを蹴り飛ばし、同時に上空のリングに指先を引っ掛け一気に下へ引き下げるマジタニ(弟)。

 

そうすることで自らの肉体(からだ)を上空のリングよりも高い位置に押し上げることができるマジタニ(弟)。

 

その結果、見事に上空のリングが足元の支柱と合わさり、リングを新調することに成功した。

 

「ご褒美とは言ったがそれ以前に自分で壊しちゃったものだしねェ。そう言うとこはキチンとしとかないとねェ」

 

「………なるほど」

 

その後、クラピカが普通に殴り飛ばして勝利した。

 

これで二対二となり勝負は最後の対決に持ち込むカタチとなった。

 

最後の対決はイブとマジタニ(兄)によるデスマッチ。どちらかが死ぬまで戦い続けるという内容だった。

 

マジタニ(兄)は弟とは真逆で、えらく痩せ細っており、それこそ風に吹かれただけで飛ばされてしまいそうな、そんな見てくれをしていた。

 

(でも油断はできないわね…)

 

警戒を一切怠ることなく構えを取るイブ。

 

一方、相手はというとニタニタと下卑た笑みを浮かべて、上から下へと舐め回すようにイブを見つめていた。

 

「うっ…そんなにジロジロ見つめないでください。悪寒が走ります」

 

「そいつは無理な相談だぜ。なんたってこちとらず〜っと女気のない生活を強いられてきたんだ。アンタみたいな可愛らしいお嬢ちゃんを見つけるとついつい舐め回したくなっちまうのさ。キヒヒヒヒ」

 

「………それはアナタの自業自得っしょう。罪を犯したことに後悔はないんですか?」

 

「後悔〜? 後悔ねぇ……してるっちゃ〜してるかなぁ……」

 

「それじゃあ…!「なんでもっと痛ぶってから始末しなかったのかってさぁ‼︎」……最低ですね」

 

「最低で結構! むしろ最低最高ォ‼︎

 

あ〜、昂るゥゥゥ……」

 

そう言ってマジタニ(兄)は壁を素手で抉り取った。

 

「久々にシャバの肉をつかめる…」

 

「ふぅ……いいでしょう。私がアナタを粛清してさしあげます! フリークス一族の名にかけて!」

 

「ケヒヒヒヒヒヒ…! ケーーーーーーッ‼︎‼︎‼︎」

 

勢いよく飛び掛かるマジタニ(兄)に対しイブはと言うと、腰だめに拳を構えた姿勢のまま微動だにせず、ただひたすら待ちの状態を貫いた。

 

マジタニ(兄)の爪先が残り数ミリの所まで迫ってきた次の瞬間、肉眼では決して捉えることができず、更には音すらも置き去りにした正拳がイブの元から解き放たれた。

 

マジタニ(兄)は粉々に砕け散りながら上空遥か彼方までぶっ飛んでいった。

 

「チョキ(爪)がグー(拳)に勝てるわけないでしょうが」

 

かくして無事、5人は次のステージへと足を進めるに至った。

 

 

 

 

その後、様々なトラップに苛まれながらもどうにかこうにか前に進む一行。その目の前に立ちはだかる最後の関門……それがこの二つの扉、その名も『最後の別れ道』である。

 

具体的にどのようなものかと言うと、ゴールまでの道中に仕掛けられた罠の数と距離が大きくことなる二つの道、つまり5人全員で進むことができるが、ゴールまで最低でも45時間はかかる長くて困難な道と3分程度しかかからないが、3人でしか進めない短く簡単な道のどちらかを選択するというものだ。

 

「……さて先に言っておくぜ。オレはどんな方法であろうと3人の中に残るつもりだ」

 

そう語るレオリオに対してイブは……

 

「私は5人の方を選ぶべきだと思います。せっかくここまで来たんですから5人で通過したいです」

 

「……オレだってホントはそうしたいけど…残り1時間もないとなっちゃあ短い道を選ぶより仕方ないわな」

 

キルアが皆の心に閉まっていた本音の部分を吐き出した。

 

 

 

 

 

制限時間まで残すところ3分弱。

 

ゴールの扉から出て来たのは………なんと5人全員だった!

 

「全くイチかバチかだったな」

 

「それもこれもクラピカのおかげだ」

 

「しかしあの場面でよく思いついたものです」

 

「『長く困難な道』の方から入って50分以内に壁を壊し『短く簡単な道』の方へ出る。確かにこれなら5人で時間内に脱出できるもんな」

 

「なに、対戦したマジタニ(兄)が素手で壁を壊していたのを思い出して、イケると踏んだまでだ」

 

((((それならもっと前の段階で気付けたんじゃ……))))

 

当然、そのことを口に出せる者はいなかった。




どうも。あずき@です。

今回、展開上どうしてもクラピカさんがアホの子っぽくなってしまいました(汗)

「クラピカはそんなこと言わない!」
「ウチのクラピカがこんなにアホなわけがない!」等々、憤られる方も多々おられるでしょうが、その点に関してはある程度ご容赦願えたらありがたいです。

グダグダ言い訳しましたが、これからも一つよろしくお願いします!
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