以降、台の名称は作中では「海物語夜桜超旋風」という記載になります。
※参考動画(当作品に関して、下記チャンネル・動画のコメント欄で触れる等の行為はお控えください。)
チャンネル名:パチンコ・スロット・ガーデンチャンネル
タイトル:【くずパチ 第73話】単発の時代は終了!超旋風ラッシュで脳汁が止まらない!
【くずパチ 第74話】大当たり共存不可?4か月ぶりのプラスでくず歓喜!
空気階段の鈴木もぐらさんと人力舎所属の岡野陽一さんが人生をかけて撮影しているパチンコチャンネルです。パチンコを知らなくても見れるトークの良さと、パチンコならではのリアクションが本当に面白いので、一見の価値ありです。
「私、あなたのような美人に目がないの…。ねえ、もっと赤いモノ、見せて頂戴?」
ー轟音と目もくらむような光の中、一人の美女が聞いたものを虜にするよう声で語り掛ける。
シルクの様に滑らかな銀髪と、それよりも白い陶磁器のような肌。明らかに日本人離れした顔つきはまるでファンタジーの世界から出てきたといわんばかりに整っている。加えて男ならば、いや女性でさえも憧れるであろうプロポーションとも相まって、彼女はもはや一つの芸術品のようであった。ー
ーそんな女の視線は、今、目の前の一人の少女に向けられている。ー
ー砂糖菓子よりも甘い、蠱惑的なセリフを吐き出す口は三日月の形にゆがめられ、口の端からは小さく、白く、そして何より鋭い牙が見えている。ー
「ねえ、ほんとに少しだけでいいの。少しだけ、あなたに赤いモノを見せてほしい。」
ーこの光景を一言で表すならば、妖艶。場面を切り取って絵画にすれば確実に異端と認定され、されど誰もが目を離せないようなそんな光景。そう、これは、吸血鬼の女王が生贄のための生娘を食す前口上でありー
「いやまあ、あなたというよりはその左下の桜ビスカスに赤いモノ見せてほしいのかもしれないわね。」
ーん?ー
「確かに、他のリーチに比べればあなたが出てきた方が当たりやすいのも事実だけど、いつも『ごめーん』とか『残念』で済ませるじゃないあなた。」
ーおや?吸血鬼の女王??ー
「しかもこの前なんてあなた、魚群*1まで引き連れてきたくせに外したわよね。美人には目がないのは事実だけど、私にも我慢の限界というのはあるのよ。」
ーあれ?生贄は?誰もが目を離せないような怪奇的で狂騒的で魅力的な光景は?ー
「というか、さっきから誰よ、私のパチンコ実況しているやつは!ただでさえ煩いパチンコ店でこんなに実況するなんてろくな奴じゃないわ!!マナー違反よ!!!」
ーえ、聞こえてんの?というかこのまま続けるの?…まあ、仕事はしないとか。『そんな彼女の頭に、横の席からチョップが下りてくる。』ー
「うるせーのはお前だ、ドアホ。あと、桜ビスカスが光ると当たるのは桜ビスカスモード。お前が今やってるのは海モードだろうが。*2」
「え、そうだっけ?まあいいわ、じゃあ魚群来なさいほら。」
ーすいません、間違えました。吸血鬼の女王じゃなくてただのパチンカーだったんですね。ー
「というかこの実況はマジで何?」
「私が知る訳ないでしょ。あ、また外れた。モー、マリンちゃん*3しっかりしてよね!!」
「いちいち演出に怒るなって…。」
ーこれは、一人の社会不適業者と、一人の社会不適合自称吸血鬼が送る、特に何もないパチンカーの日常である。ー
「なんかナレーションが締めに入ってるわよ。」
「いいよ、別に困らないし。お、魚群。よっしゃ大当たりゲット!」
「あー、ずるい!そろそろ当たり来なさいよ私の台!!」
ーえー、聞いてた話と違うんだけど…。ー
※※※※※
「結局、俺の台が20連続大当たりで快勝。そっちは700ハマリ*4で資金終了か。」
「しょうがないじゃない!結局あの後桜ビスカスモードに変えても一回も光らなかったんだから!!」
「いや、あのモード別に光らなくても当たるときは当たるし。」
「え、そうなの!?じゃあ私の引きが本当にダメってことじゃない!!」
ー遊戯にひと段落が付き、パチンコ店内の喫煙所で休憩している2人。現在喫煙所内には2人しかおらず、他の利用客も部屋の入り口に彼女の姿を認めると居心地が悪いのか、回れ右して元の席に戻ってしまう。ー
「あら、別に遠慮なんかしなくていいのに。…というかこのナレーション、いつまでいるのかしら。」
ーいやー、なんか消え時を見失ってしまいまして。普通ないらしいっすよね、そういうナレーション。ー
「普通にナレーションと会話すんじゃんお前…。というかナレーション、お前口調砕けてね?」
ーそっすかね?いやでも、自分吸血鬼の女王周りのナレーションできるって聞いてたのに、入ってみたらパチンコ屋じゃないっすか。なんかどっかで情報間違ったのかもしれないっすけど、やっぱモチベーションは下がるっつーか。ー
「へー、ナレーションってそういう仕組みだったのね。あの時の勇者との最終決戦とかも裏じゃナレーションがいたのかしら。ま、どうでもいいわね。それよりコタロー、あなたの玉、ちょっと分けてくださらない?私、次は当たる気がするのよね!!」
ーいや、勇者との決戦てwww。なんかそういうパチンコ台でもあるんすか?ー
「いや、本物のやつ。強かったわねー彼。ほぼ死にかけたし。まあおかげでこっちに来れたからいいけど。それよりコタロー、どうよ?私に先行投資してみない?損はさせないわよ??」
「ここまでの資金も俺の金だろうが…。はあ、横にいる奴が打てないってのもかわいそうな話だしな。しょうがねえ、ちょっと玉分けてやるか。」
ーえ?ー
「やった!さすがコタロー。あなたの雄姿と融資は決して忘れないわ!!私、パリエスト=チャレンコフの名前に誓います!!!」
「うまいこと言ったつもりか知らんが、せっかくなら勝てよ。お前にも超旋風ラッシュ*5の楽しさは味わってほしいわ。」
「あったりまえじゃない!勝って今日は焼肉よ!!」
ーえ?パリエスト=チャレンコフ?先輩ナレーターがこれ以上の大仕事はないって言ってた、ナレーター界の祭典、ナーベル文化賞すら受賞した聖一万年戦争で人外たちのボスをやってた?ー
「だから、そういってるじゃない。というか、ナレーター界って何よ。」
「パー子、そろそろ戻ろう。45分休憩札*6も立ててないから、店内アナウンスで呼び出されるかもしれん。」
「あ、そうね。早く戻りましょ。行くわよコタロー!あの海を制圧しに!!」
「はいはい。んじゃ、ナレーター、締めよろしく」
ーえ??本物???ガチの吸血鬼の女王????ー
「だからそういってるじゃない。ほら、早く締めて。」
ーあ、ハイ。…えー、『これは、一人の社会不適業者と、一人の社会不適合吸血鬼(ガチ)が送る、特に何もないパチンカーの日常である』。え?これ俺続けていいの?確か向こうの世界じゃ吸血鬼の女王を殺し切れなかったと確信している勇者が血眼になってこの人探してるんじゃ?ー
「さ、気合い入れていくわよー!」
「気合い入れても当たる確率は変わらんけどな。」
「全く、水差してくれちゃって。こういうのは言っとくもんなのよ。ほら、コタローも。」
「ここまでの結果的に今日はクールキャラの方が当たるのかもな。」
「は!確かに!!神様、さっきの気合い取り消し!!!今日は私クールキャラで行くわ!!!!」
ーいや、あんた向こうの世界じゃほぼ神扱いだったろ。というか待って、マジで吸血鬼の女王がパチンコやってんの?おい、待て!ー
※※※※※
「しっかし、単調に魚が右から左に流れていくだけなのに、海物語ってパチンコは面白いのねえ。」
「まあ歴史あるシリーズものだしな。シンプルな中にもこちらを沸き立たせる要素はたくさんあるし固定客も多い。マリンちゃんも、リオのカーニバルで踊ったり*7、魔法少女になったり*8と大忙しだ。」
「へー、そんなのもあるの。今度はそっち打つのもありかもね。」
ー喫煙室からでた2人は、再度並んでパチンコ台に向き合う。コタローと呼ばれる男性の大当たりもひと段落しており、現在は2人で通常状態である。ー
「お、ようやく落ち着いたか、ナレーター。よかったよかった。」
「全く。人の話を疑ってばかりじゃ駄目よ。あなたの出す聖一万年戦争クイズに正解してようやく私を認めるだなんて。向こうの世界だったら死刑よ死刑。」
ーハイ、スイマセンデシタ。ー
「え、ナレーターにも影響及ぼせんの?」
「そういう概念があるって知ってればそれごと葬り去る魔法があるのよ。ま、こっちの世界には魔法の基になる成分が存在しないから使えないけど。よかったわね、ナレーター。」
ーハイ、アリガトウゴザイマス。ー
「相変わらず、パー子の元の世界とやらは物騒だな…。」
「別にこっちにも戦争はあるでしょ。使う武器が違うだけよ。」
「そんなもんかねー。あ、パー子、そのリーチ熱いんじゃないか?」
「え、何よ。結局桜ビスカスも光ってないじゃない。あ!! PUSH!!??*9」
「さっきも言ったろ、桜ビスカスモードはそっちが光らなくても当たるって。」
「そうだったわ。南無!」
ー全身全霊といった様子でパチンコ台の真ん中にある貝殻状のボタンを押すパー子。次の瞬間、けたたましい機械音と、極彩色色に変化した桜ビスカスの役物*10が落ちてきた。そう、彼女の台が大当たりした証拠である。ー
「やった!やったわ、コタロー!!大当たりよ!!!」
「よかったな。ま、結構使ったが、この台なら取り返せるだろ。」
「そうね。なんて言ったって90%継続*11ですもの!!余裕よ余裕。閉店まで大当たりし続けて、店員を困らせてやるわ!!!」
ー世界が変わろうと、時代が変わろうと変わらないものがある。彼女の発言は、まさしく『フラグ』というものであった。ー
※※※※※
ー茫然自失。今の彼女を表す言葉はそれしかあるまい。結局のところ、彼女は初の大当たりの後、1度も連続させて大当たりをさせることができなかった。今はその後も細かく当たりを重ねたコタローと2人で彼らの住むマンションへ向かっているところである。ー
「ありえないわ。90%継続なのに単発で終了だなんて。だってそうじゃない。100回やって90回は当たるのよ!遠隔*12だわ!!あの店、絶対にやってるわ!!!」
「あほ。たまたま10回の方を先に引いただけだろ。今時遠隔だなんて言葉、お前か昭和を忘れられないご年配者しか使ってねーぞ。」
ー歩きながらも彼女の愚痴は止まらない。人間であろうとなかろうと、パチンコで負けた存在というのは大体こうなるものである。ー
「というかナレーター!あんた何よさっきの、『まさしくフラグというものであった(キリッ)』ってやつ!私が外したの絶対あれのせいじゃない!!」
ーいや、あなたの引きですよ!何ナレーターのせいにしてるんですか!!ー
「うるさい!せっかくいい流れだったのに、余計な水差すから流れが変わったのよ!!」
ーはい、でた。流れとか言う人。大体、休憩明けにクールキャラで行くとか言っておきながら感情丸出しだから神様にも嫌われたんじゃないですか!?ー
「なんですって!?いうじゃないあなた。この私にそこまで口答えしたのはあの勇者以来よ。今ここであなたを処刑するわ!!」
ー魔法も使えないんだから無理でしょ!はい、俺の勝ち!!ー
「むぐぐぐぐ…。魔法は無理でもこの怒りを力に変えて…。原子の存在と気の流れを完全に読み解ければ…!!」
ーあれ、なんかパー子さんの周り歪んでません?あれ、なんかやばくね?パー子さん?パリエストさん?パリエスト=チャレンコフ女王様??待って、ごめんなさい、まだ死にたくない!彼女もできたことないのに死んだら死んでも死にきれない!!ー
「あ、行けそう。今ならなんかできそうだわ。見てなさいナレーター。これがあんたの見る最後の景色よ!」
ーあかんあかんあかん!!『そんな彼女の頭に、コタローのチョップが炸裂した。』すんませんコタローさん、何とかしてください!!!ー
「あほ、町ごと壊す気か。やるならもっと森の中とか海の上とかでやれ。」
「あ、それもそうね。パチンコ屋の営業に影響が出ても困るし。今度にするわ。」
ーあれ、助かったけど、これ事実上の処刑宣告じゃね?ー
「それよりほら、今日は2人の結果を合わせたら微妙にプラスだ。どうだ?この前近くに新しい焼肉屋できたらしいし行かないか?」
「いいわね!!さすがコタロー。パチンコに勝って焼肉だなんて最高じゃない!!!ほら、エスコートなさい。食べながら次打つ台について会議しないと。」
「勝ったの俺なんだけどな…。まあいいか。」
ーもう俺、森にも海にも行けないのか。青い海、白い砂浜まぶしい日差しとか、うっそうと生い茂る不気味な森とか、テンプレナレーションやりたかったなあ。ー
「何うだうだ言ってるの。ほら、早く締める!」
ーハイ、カシコマリマシタ。ー
ーこうして、2人のパチンカーのとある一日は暮れていった。彼らの進む先に何があるのか。それはまだ、誰も知らない物語。ー
「まあ、別に何もないけどな。」
「ひとまずは焼肉があるじゃない。そして明日はまたパチンコよ!!」
ーあの、締めのナレーションの後にセリフ入れるのやめてもらっていいですか。ー
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