がっこうぐらし! 実績「二度と目覚める事のない悪夢」獲得RTA   作:ランディー55

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ニヒリズム

 夕日が差し込む部屋の中でりーさんと二人でコーヒーを飲む。苦い。

 昼間は“かれら”と鳳条が死闘を繰り広げ、八つ時になると私と鳳条で三階の掃除。それが終わり今に至る訳だが…、りーさんと話す事がない。

 さすがにずっと黙ってるのも何か気まずいので私が話題を探している丁度その時、りーさんが口を開いた。

 

「…胡桃は何であんな事したの…? …鳳条君と心中だなんて…」

 

「…あー…そういやそうだったな。それに関しては実の所私にもよく分からん」

 

「分からない…?」

 

「ああ、自分でも。ただの勘だよ、勘。こうすりゃいいって思ったんだ

 りーさんにも経験あるだろ? 適当にやった方が上手く行くって事。そんな感じだよ

 それに生きてる意味もないしなーって」

 

「…何か…何か…ないの?」

 

「難しい事を聞くな…。

 そんな物はない。強いて言うなら鳳条が殺した先輩か」

 

「…でも、彼のおかげで貴女は…」

 

「分かってるよ、あいつのせいにした所で何も変わらないのは分かってる。何より過去。

 でもあいつが先輩を殺したのも、私を助けたのも事実だ。だから憎いし愛おしいんだ」

 

「…何か…新しく見つけるのは…」

 

「わがままだけど今さら希望何て持ちたくない、余計な絶望を喰らうだけだ。そうだろ?」

 

「……………」

 

「それに今さら何言ったって無駄だよ、無駄。過去の事なんてどうしようもない、そしてこれからの事もな。全部無意味だ」

 

「…無意味?」

 

「だってそうだろ? 飯もない、救助も見込めない、同じ人間さえ信用出来ない。この状況でどうやって生き延びろと? 仮に生き延びてどうしろと? 他の場所、県、国がどうなってるのかも分からないのに。

 “ランダル・コーポレーション”って世界的な企業だし、下手したら全世界がこうなってるんじゃないのか?」

 

「……ランダル・コーポレーション? 何でその会社が…?」

 

「あぁ、これ全部想定されてたらしい。生物兵器だって。

 もしかしたら企業と国とが連携して総動員でこの町を消すかも…何てな」

 

「……」

 

「まあ、今の私達にとっては全部どうでもいい。どうせ誰にも気にされずに私達は死ぬ。そうだろ?」

「…鳳条君がいれば…もしかしたら…」

 

「りーさん。現実を見ろよ、諦めろよ。

 生きる為に必要な事は全部鳳条に押し付けて何もせずに遊んでたのは他でもない私達じゃないか。

 私達が現実と言う名の“かれら”に立ち向かえないのは学園生活部とか言ってずっと現実逃避したてからじゃないか。

 自分で自分の首を絞めてたから、この結果なんじゃないのか?」

 

「……………」

 

「勿論、私もだけど…。自業自得とはこの事か。

 …はぁ…、あーあ。ほんっと…何で生きてるんだろうな、私。

 今までそんな事考えてもなかった。いや、考える必要がないぐらい恵まれてたんだな」

 

「………なら胡桃は…どうして今生きてるの?」

 

「単純だよ、一人で死にたくない。それだけ」

 

 気づけば日は沈み暗くなっていた。照明が部屋を照らす。

 

 そういや鳳条、まだ戻ってこないのか。寝室に行ってくると言ってたし…めぐねえの相手でもしているのだろうか?

 

 残ってるコーヒーに口をつけ飲み干した。苦い、これの何がいいのか。

 

 りーさんにコーヒーを用意してくれた事の感謝を伝え、様子を見てくると言って部屋を出た。

 昼には死体と血溜があったとは思えないぐらいに綺麗に掃除された廊下を歩き寝室まで行き、扉を開いた。

 中ではめぐねえが鳳条に抱きついて寝ていた。

 

 …人のモノを何を好き勝手に…、しかも私が着ようと思っていた制服じゃないのかそれ…

 

 胸から混み上がる黒い感情でめぐねえを殴り飛ばしそうになるのをどうにか抑えつつ、私は小刻みに震える鳳条からめぐねえを引き剥がして寝袋の上に寝かせた。そして上から別の寝袋を被せる。

 寝袋の数に関しては問題ない、今は四人だ。十分足りる。

 

「ほら行くぞ、りーさんが待ってる」

 

 私は鳳条の色白く細い腕を掴んで無理矢理連れ出し、りーさんの所までつれていく。部屋の机には乾パンとりーさんのメモ帳が置かれていた。

 

 りーさんが鳳条にめぐねえの事を問うと、鳳条は暗い顔で「…それは後ででいい?」と返事をした。

 鳳条の様子で察したのかりーさんは「ええ…」とだけ答える。

 

 そしてそのまま三人で、乾パンをつまみながら無価値の無意味な生存戦略を練った。

 

 まず飯と水。

 水は問題ない、学校の設備が生きてる。しかし飯に関してはまだ食える物を探すしかない、荒らされた時にお釈迦になった物が大半だ。

 四人分と考えてもせいぜい二日分の非常食だけ。これを多いと見るか少ないと見るか。

 ただ購買部の物を狙えば一週間ぐらいはいけるだろう。食堂の物は…うん、止めとこう。

 

 続いて服。

 あるにはあるし問題ない。今は大半が洗濯して干している最中だ。屋上だし匂いも問題ないだろう、雨でも降らない限りは。

 着る物が無くて私だけタオル一枚なのも今だけだ。

 

 そして生活する場所。

 三階はすでに制圧済、ロッカーから個室トイレの中までしらみつぶしに確認した。盲点はない。

 階段にも新しくバリケードをガチガチに固めた。代償として階段での移動が出来なくなったが、エレベーターで移動すればいいので大した問題ではない。

 強いて言うなら防火扉が使い物にならなくなったのが痛いな…、どんな力が加わったらああなるのやら…。

 

 まあ、この3つは大丈夫だ。理論上、一週間の生存は確約された。

 ただ…

 

「…で、それはいいとして…具体的にこれからどうするんだ? 鳳条」

 

「…具体的?」

 

「生き延びてどうするのかって話だ」

 

「それは……」

 

「ないだろ? 生きる意味。死にたくないから、それだけだろ?

 だらだらと破滅を先延ばしにしてるだけだ」

 

「胡桃…!」

 

「何が違う、りーさん。

 食える飯は理論上、一週間。理論上だ。それが出来なきゃ二日で底を尽きる。

 確かに水があれば食わずでも三週間は生きれるらしいが、そんな苦しみながら生にしがみつきたいか?」

 

「…今日はもう寝よう。時間はある、この話は明日でもいいんじゃないか…?」

 

 時計は11時を指している。確かにもう夜中も夜中だ。時間があるのも事実。

 

「………はぁ…、分かったよ…」

 

 感情が納得いとアピールするが、どうせ明日になれば忘れてるか。

 

「じゃあ、私は先に寝かしてもらう」

 

「…なあ」

 

「?」

 

「死にたいのか? 胡桃は…」

 

「りーさんにも言ったが、私は一人寂しく死にたくないだけだ」

 

 扉を閉じる。寝室に行き頭まで寝袋に入る。

 思ったよりタオルが邪魔なのでもぞもぞと脱いで外に投げ出した。

 

 …ホント、何で私生きてるんだろ…

 

 

 

 

 

 

 

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