この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第1話

 

 

《カズマside》

 

 

「佐藤和真さん、あなたは不運にもお亡くなりにました」

 

 

俺の目の前に豪華な椅子に座り、これまた豪華な机に紅茶のセットを載せ、紅茶を優雅に飲む女性がいた。

 

 

「あの…、あなたは?」

 

 

「私は"アクア"、あなたの世界の概念で言う女神です。先程も申しましたが佐藤和真さん、あなたはお亡くなりになりました」

 

 

お亡くなり…?つまり俺、"死んだ"ってこと?何で…あっ。朧気(おぼろげ)ながら思い出した。確か学校からの下校途中で横断歩道を歩いていた小学生に信号無視をしたトラックが…。

 

 

「思い出しましたか?あなたは信号無視をしたトラックに轢かれて命を落としてしまったのです」

 

 

そうだ、俺は轢かれそうになった小学生を庇って…。

 

 

「因みにトラックの運転手ですが、酒を大量に飲んだ飲酒運転の上に居眠り運転をしていた為、信号が赤になっていることに気づかなかったようです。小学生の方も膝を擦りむいてしまいましたが、命に別状はありません」

 

 

トラックの運ちゃん飲酒と居眠りかよ!?絶対やっちゃいけないヤツじゃん!小学生の方は良かった。命を張った甲斐があるってもんだ。

 

 

「それで、あなたには2つの選択があります。まず1つは"天国へ行く"です。ですが天国は"魂だけの世界"なので、食事とかの欲求は無く、できることと言えばお喋りくらいです」

 

 

なんだそれ!?ほぼ無限地獄じゃん!

 

 

「もう1つは"現世の生まれ変わり"です。ですがこれに関しては"記憶を全て消去"しなければならないので、はっきり言ってお勧めはしません」

 

 

そりゃそうだ。今まで培った"俺"と言うものが無くなるのは正直嬉しくない。

 

 

「そこであなたには3つ目の選択肢があります。あなたには異世界に行ってもらいたいのです。その世界は"魔法"があり、"モンスター"が蔓延っており、"魔王"が存在します」

 

 

"魔法"とか"モンスター"とか"魔王"とか…、まるでファンタジーだな。でも、最初の2つよりも幾分かマシだな。

 

 

「そして異世界へ行ってくれるのなら、"特典"を差し上げられます。ですが、"時を止める"とか"世界を支配する"と言った強すぎる特典は与えることはできませんし、こちらのカタログから選ぶことになります」

 

 

女神は俺に昔の電話帳ほどの分厚さがある本を渡してきた。

 

 

「もしそのカタログに無い特典が申し出てください。その時は私の上司との相談の上、差し上げます」

 

 

成る程…、余程危険な特典でなければ大丈夫って訳か…。……よし!

 

 

「決まりました。『仮面ライダー響鬼』をお願いしたいです」

 

 

「『仮面ライダー響鬼』…ですか。確かカタログには載っていない特典でしたね、今上司と相談しますので少々お待ちください」

 

 

女神は自身の側に電話機を出し、ダイヤルを回して電話を掛けた。恐らくさっき言ってた上司に連絡するんだろう。

 

 

「…あっ、お疲れさまです。アクアです。お忙しい所申し訳ありません。実は…」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「はい…、はい…、はい…。わかりました、丁度当人も側にいますので…。はい、ありがとうございました」

 

 

5分くらい経過しただろうか、女神は受話器を置いた。

 

 

「お待たせしました。上司に相談した結果、特典の譲渡は許可されました」

 

 

おぉマジか!

 

 

「ですが、1つ問題がありまして…。響鬼になるには"鍛え抜かれた肉体と精神"が必要不可欠で、今のあなたに譲渡しても…」

 

 

あっ…、そうか。鬼になれないどころか、最悪"牛鬼"になってしまうってことか。

 

 

「そこで、あなたにはここ天界で響鬼になる為の修行をつけることになりました」

 

 

えっ…、修行?マジで?

 

 

「修行の内容は私たち女神が課したメニューをこなしていけば、大丈夫です」

 

 

「先輩」

 

 

あれ?誰だこの人。さっき彼女のことを"先輩"って呼んだけど…。

 

 

「エリス!紹介します、私の後輩の女神でエリスと言います」

 

 

「アクア先輩からご紹介預かりましたエリスです、よろしくお願いします」

 

 

エリスと呼ばれた女神が頭を下げて挨拶してくれたので、俺も頭を下げて挨拶する。さっきのアクアと言った女神といい、このエリスと言った女神といい、女神と言う存在はみんな美形なのか?

 

 

「それで先輩、お願いしたいこととは…?」

 

 

「実は…、かくかくしかじか…」

 

 

「まるまるうまうま…と言う訳ですか。わかりました、私がカズマさんの面倒を見ます」

 

 

「お願いね?私も時間が空いたら様子を見るから。お礼は向こうの世界の"シュワシュワ"で」

 

 

なんか俺の知らぬ所で話がまとまっているんだが…?

 

 

「お待たせしました。カズマさん、修行の時は私エリスが見ることになりましたので、よろしくお願いしますね」

 

 

エリスは屈託の無い笑顔を俺に向けた。…ヤベェ、可愛い。

 

 

「それじゃ、早速始めましょうか」

 

 

そんなこんなで、俺の響鬼を譲渡するための修行が始まった。

 

 

《カズマside end》

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから…

 

 

《カズマside》

 

 

 

「……うん、身体共に精神は十分鍛えられました」

 

 

あれから約5年、俺は自分を鍛えに鍛え抜いた。…まぁそのほとんどが精神的修行だったが。

 

 

エリス曰く

 

 

「現状肉体を鍛えようにも、そもそも肉体が無いので鍛えることはできませんから」

 

 

だった。けど、苦しかった修行を終え、やっと特典を譲渡してもらえるからやって良かった。

 

 

「それではカズマさん、こちらをお受け取りください」

 

 

エリスは俺に『変身音叉 音角』を渡してくれた。

 

 

「その音角は特別使用で、魔力を込めれば剣になる代物です」

 

 

…成る程。試しに魔力を音角に込めてみると、確かに音角の角の部分が伸びて剣になった。

 

 

「それと、変身する前に"あるワード"を音声入力すると、武器が変わる仕組みになります。例えば、『音撃道・管』と言えば武器が管楽器に、『音撃道・弦』と言えば武器が弦楽器になります」

 

 

なにそれすげぇ!それなら戦いの幅が広がるってもんだ!

 

 

「それからこれを」

 

 

…んっ?なんだそのショルダーバッグは。

 

 

「これはあの有名な"青い猫型ロボット"が着けているポケットの仕組みをあしらえた"四次元バッグ"になります」

 

 

いやいやそんな著作権無視しちゃ駄目でしょ!?

 

 

「大丈夫ですよ、ちゃんと当人には許可を頂いていますから」

 

 

ニッコリ笑った彼女を尻目に、俺は頭を抱えた。

 

 

「このバッグの中にはディスクアニマル全種がそれぞれ20枚入った箱、それから『音撃鼓 爆裂火炎鼓』と『音撃棒 烈火』、『音撃管 烈風』と『音撃鳴(おんげきめい) 鳴風(なりかぜ)』、『音撃弦 列雷』と『音撃(しん) 雷轟(らいごう)』、『音撃増幅剣(おんげきぞうふくけん) 装甲声刃(アームドセイバー)』が入っています」

 

 

なにその大盤振る舞い!?

 

 

「エリス、特典の譲渡終わった?」

 

 

俺が譲渡された物に若干引いていると、彼女の後ろからアクアが現れた。

 

 

「先輩。はい、たった今譲渡の方は終わりました。ただ…」

 

 

「ああ~、譲渡した物が多過ぎて引かれたんでしょ?まったく、だから言ったじゃない。『渡す物が多過ぎ』って」

 

 

どうやらアクアは渡す物を減らすよう進言していたみたいだな。…まぁ、多いに越したことはないからいいけど。

 

 

「オホンッ、それじゃカズマさん。特典に関しての注意事項です。まず知ってるとは思いますが、変身した後は服は無くなり、裸になってしまいます。なので変身を解除する時には十分気をつけてください」

 

 

確かに人前で変身を解除すれば、俺の"お粗末な物"を見せることになるからな。

 

 

「それと、ディスクアニマルですが、もし壊れた場合、自動でこの天界に送られて、私たちが修理します。そして修理が終わったら、自動で箱に戻る仕組みとなりますので」

 

 

成る程、もし壊れたとしても直してくれるのか。ありがたい。

 

 

「他は…、そうそう!四次元バックに入っている武器は変身しなくても取り出せますし、変身した時に自動で転送されますよ」

 

 

おおっ!それはありがたい!いちいち変身した後に付け替えなくて良さそうだ。

 

 

「後は…、これで全部ね。カズマさんからは質問ありますか?」

 

 

質問…?そうだな…。

 

 

「向こうの世界の言語の読み書きとかは…」

 

 

「それは大丈夫です。向こうに着いたと同時に翻訳されますので」

 

 

それは良かった。じゃなきゃ言語の勉強をしなくちゃいけないからな。

 

 

「他は大丈夫ですか?」

 

 

「はい、大丈夫です。今までありがとうございました」

 

 

俺は着ている制服の上にショルダーバッグを担ぎ、魔方陣の上に立った。

 

 

「「それではカズマさん、あなたの旅路が良いものでありますように」」

 

 

女神二人は俺に祝福の言葉を掛けてくれた。そして俺は異世界へと送り出された。

 

 

 

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