この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第16話

 

 

カズマの罪状が取り下げられてから数日後、屋敷に王国検察官のセナがまた訪れた。

 

 

「紅茶をどうぞ、この前のローズティーではありませんが」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

セナは出された紅茶を一口啜る。

 

 

「それで…、遥々お越し頂いた理由は?まさかまた…」

 

 

「いえ、国家転覆罪に関してはギルドの方々の協力もあって、もうその罪は無くなりました。伺った要件なのですが…」

 

 

セナが言うには、冬にも関わらず冬眠中だったジャイアントトードが何かに怯えるように地面から這い出しているとのこと。

 

 

「それで報告を聞けば、ここ数日、爆裂魔法を連発している者がいるとか…」

 

 

「あぁ~、確かにここ最近、カエルがいないのを理由に、街の周辺で爆裂散歩に行っていましたね」

 

 

カズマはめぐみんと共に爆裂魔法を撃つ日課のことを伝えた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「くっ…、何か今回は異様に数が多いなっ!」

 

 

カズマは屋敷に残っていためぐみんとアスタ、それとカズマの動向を見たいと言ったセナの四人でカエルの駆除をしていた。

 

 

因みにテイラーたちは武器や防具を新調するために出掛けており、クリスも天界での用事、ダクネスも実家へ、キョウヤたち三人は王都に用事があるらしく、昨日出発していた。

 

 

カズマは音角剣でカエルを倒していたが、数が減る気配は無く、寧ろ増える一方だった。

 

 

「こうなったら我が爆裂魔法で…」

 

 

「止めろっ!今爆裂魔法を撃てば更に数が増える!めぐみんの爆裂魔法は"最後の切り札"なんだから、散らばってる時に撃たないでくれ!」

 

 

「カズマっ!このままじゃ囲まれちゃうよ!どうするの!?」

 

 

めぐみんが爆裂魔法を撃とうとした所をカズマが静止させると、アスタが自分たちの周辺にカエルが集まり出していることを伝える。

 

 

「こうなったら…、めぐみん、バッグを頼む!」

 

 

カズマは音角剣を元の音角に戻し、バッグから烈雷を取り出し、バッグをめぐみんに預けた。

 

 

「『音撃道・弦』!」

 

 

《弦・ゲン・ゲーン!》

 

 

そしてカズマは音角を鳴らし、響鬼(弦)に変身した。

 

 

「あれは…」

 

 

「カズマが変身した姿です。ミツルギが言っていましたが、あの姿は"カメンライダーヒビキ"と言うそうです」

 

 

「カメン…ライダー…、ヒビキ」

 

 

めぐみんの説明にセナは呆然とした。

 

 

響鬼に変身したカズマは烈雷を振り回し、次々にカエルを屠る。

 

 

「きゃあ~っ!!」

 

 

「っ!?めぐみん!アスタ!セナさん!」

 

 

するとアスタの悲鳴が聞こえたと思った途端、めぐみんたちがカエルに囲まれていた。

 

 

「(どうする!?今助けに行っても一人は確実に喰われる!三人を無事に助け出すにはどうしたら…)」

 

 

カズマはどうすればめぐみんたちを無傷で助け出せるか考えていると

 

 

『ライト・オブ・セイバー!』

 

 

光の刃がカエルを一刀両断した。

 

 

『エナジー・イグニッション!』

 

 

更にめぐみんたちの周辺にいたカエルが次々に発火し、絶命する。

 

 

「誰だか知らんが、とにかく助かった!オリャッ!!」

 

 

カズマはめぐみんたちが無事でいることを確認すると、自分の周辺に集まったカエルを悉く切り伏せ

 

 

「これで最後だ!『音撃斬・雷電激震』!」

 

 

烈雷をカエルの腹に突き刺し、音撃モードにした烈雷を鳴らす。そしてカエルは爆散した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「めぐみん!アスタ!セナさん!大丈夫か!?」

 

 

顔だけ変身を解いたカズマがめぐみんたちの下へ駆け寄る。

 

 

「私は大丈夫です、アスタも彼女も無事です」

 

 

めぐみんはカズマに抱きつきながら答えると、カズマは安堵したのか、めぐみんの頭を撫で始めた。

 

 

「ところで、さっきの魔法は誰が?」

 

 

「先程使われたのは"上級魔法"です。それと、その上級魔法を使ったのは彼女のようです」

 

 

セナが視線を向けた先には、紅い瞳の女の子がいた。

 

 

「さっきは助けてくれてありがとう、俺一人じゃ対応し切れなかったから」

 

 

「い…、いえ。助けた訳じゃないですから。ラ…ライバルがカエルなんかにやられたりしたら私の立場がないし…」

 

 

女の子はめぐみんをチラチラ見ながら言い淀む。

 

 

「めぐみん、知り合いか?」

 

 

「知り合いと聞かれればそうですね、彼女は"ゆんゆん"と言って私と同じ紅魔族で友人です。それと彼女の自称ではありますが、私のライバルだとか」

 

 

めぐみんはゆんゆんをカズマたちに紹介した。

 

 

「何やら積もる話もあるでしょうし、自分はこれで失礼します。サトウカズマさん、もしかしたら今回のような事をまた依頼するかもしれませんが、その時はよろしくお願いします」

 

 

セナは空気を読んでか、その場を去った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「…で、ゆんゆん。あなた性懲りも無くまた勝負を挑むつもりですか?」

 

 

「も…もちろん!あなたに勝つまでは族長の椅子には座らないって決めてるもの!」

 

 

カズマとアスタはゆんゆんが言った"族長の椅子"と言うフレーズを聞いて首を傾げた。

 

 

「そう言えば言ってませんでしたね、ゆんゆんは私たち紅魔族の長の娘なんです。それで紅魔の里にある学園では私が1位でゆんゆんが2位でしたので、事あるごとに勝負を挑まれまして…」

 

 

「よく私のお弁当を巻き上げられました…」

 

 

カズマとアスタはゆんゆんに可哀想な眼差しを送った。

 

 

「私の家は貧乏なので、ゆんゆんのお弁当が生命線だったのです。今となっては良い思い出です」

 

 

「おかげで私はいつもお腹ペコペコだったよ…、ってそんな思い出話をしに来たんじゃないわよ!めぐみん、勝負よ!」

 

 

「勝負は受けますが、場所を変えませんか?寒いですし」

 

 

「そうだな、勝負は場所を変えてやろうか」

 

 

カズマはめぐみんの提案を受け入れ、ゆんゆんを誘う。ゆんゆんもめぐみんの提案を受け入れた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「それじゃ、勝負の内容は"コレ"で」

 

 

屋敷に到着したカズマ一行は、ゆんゆんを招き入れ、リビングに入ると、カズマはバッグからボードゲームを取り出した。

 

 

「何ですか?これ」

 

 

「懐かしいな、"リバーシ"か」

 

 

めぐみんがカズマに質問をすると、横からキョウヤが顔を覗かせた。

 

 

「おっ、キョウヤじゃないか。お帰り、フィオとクレメアは?」

 

 

「ただいま、カズマ君。二人はお風呂に向かってるよ。…ところで、彼女は一体?」

 

 

キョウヤはゆんゆんに視線を向けると、ゆんゆんはおどおどしながら縮こまった。

 

 

「彼女はゆんゆんと言って、めぐみんの友達なんだって」

 

 

するとアスタがカズマの横から答えた。

 

 

「なるほど…、僕はミツルギキョウヤ。彼、カズマ君のパーティーのメンバーの一人さ。よろしく」

 

 

「よ…よろしくお願いします……」

 

 

キョウヤはゆんゆんに自己紹介をしながらお辞儀をすると、ゆんゆんは挨拶しながら更に縮こまった。

 

 

「あれ…?」

 

 

「気を悪くしたのであれば、ゆんゆんの代わりに私が謝ります。ゆんゆんは昔から、紅魔族以外の人の前では緊張してそうなってしまうのですよ」

 

 

ゆんゆんの態度を見たキョウヤは首を傾げると、めぐみんがゆんゆんのフォローをした。

 

 

「そうだったのか…。ところで、二人はこれの遊び方知ってる?」

 

 

カズマがめぐみんとゆんゆんに質問すると、二人は首を横に振った。

 

 

「ならお手本を見せようか。キョウヤ、悪いが相手を頼む」

 

 

「いいよ、僕もやりたかったしね」

 

 

キョウヤはカズマと向かい合わせになるようにテーブルを挟む形で座った。

 

 

「リバーシはこの片面が黒、もう片面が白の石を使うんだ。まず最初に、石を二個ずつこうやって配置する」

 

 

カズマは黒、キョウヤは白を表にした手持ちの石を二個ずつ、×の字になるように中央の4マスに配置した。

 

 

「これで準備完了っと。キョウヤ、今回は遊び方の説明だから、俺が先攻でいいか?」

 

 

「構わないよ。あっ、二人とも、先攻は黒、後攻は白ってルールだから、そこは変えちゃ駄目だからね」

 

 

キョウヤはめぐみんとゆんゆんにルールの一つを教え、二人は頷いた。

 

 

「それじゃ俺が先攻だから…、ここ」

 

 

カズマは白の石を挟み込むように黒の石を置き、白の石をひっくり返した。

 

 

「こうやって挟み込むように石を置くと、ひっくり返すことができるんだ。因みに石を置けるのは一回まで、一回置いたら次は相手が石を置く。それを交互に繰り返すんだ」

 

 

今度はキョウヤが白の石を置き、ひっくり返す。そしてカズマが石を置き、ひっくり返す。

 

 

「…あれ?斜めもひっくり返すことができるのですか?」

 

 

カズマが石を斜めに挟んだ状態でひっくり返した時にめぐみんが質問をした。

 

 

「そう、リバーシのルールでは『縦、横、斜め』のどちらかで挟むことができればいいんだ。それと、もしひっくり返すことができない場合は自動的に相手の番となる。そして最終的に自分の石の色が多い方が勝ちとなる」

 

 

めぐみんの質問にカズマが答え、ゲームは進んでいった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「…ほい、これで終わり」

 

 

カズマが最後の石を置き、ひっくり返す。

 

 

「……この様子だと、数える必要は無さそうだね」

 

 

キョウヤの言う通り、36マスあるボードの上はほぼ黒一色だった。

 

 

「…白が10、黒が26。カズマの勝利ですね」

 

 

「だな。いや~久々に熱中したな、対戦相手ありがとうキョウヤ。良い勝負だった」

 

 

「次は負けないよ、カズマ君」

 

 

二人は立ち上がって互いの健闘を称えるように握手をした。

 

 

「ではこの勝負は私の勝ちと言う事で」

 

 

「ちょっと待って!なんでめぐみんの勝ちになるの!?」

 

 

「カズマと私はもはや一心同体と言っても過言ではありません。カズマの勝利は私の勝利」

 

 

ゆんゆんの疑問にめぐみんはさも当然と言わんばかりに言った。

 

 

「…えっ?一心同体?どういうこと?」

 

 

「私とカズマは結婚を約束した関係です。恥ずかしいので言わせないでください」

 

 

めぐみんはカズマに抱きつきながら言うと

 

 

「う…嘘よっ!?お子ちゃま体型のめぐみんに恋人なんて~っ!!」

 

 

ゆんゆんは叫びながら屋敷を飛び出して去ったのだった。

 

 

「お子ちゃまって…、私はあなたと同い年ですよ?」

 

 

「同い年って、めぐみんは今何歳だよ?」

 

 

「私が13で、ゆんゆんが14です。ですが来月で14になりますので、私とゆんゆんは同い年になります」

 

 

カズマはめぐみんの誕生日が近いことに驚いた。

 

 

「めぐみんの誕生日って来月なのか!?ならパーティーを開かなくちゃな!」

 

 

「別にいつも通りで良いですよ。でも、少し豪勢なご飯を…」

 

 

めぐみんが言い切る前にカズマはキョウヤを連れてリビングから出ていってしまい、めぐみんのささやかな願いは聞き入れられなかった。

 

 

その後カズマとキョウヤから聞いたのか、アスタとフィオとクレメアの三人がめぐみんに誕生日が何日なのかを聞きに来たので、めぐみんが正直に答えると、三人でこそこそ話し、その場を去った。

 

 

三人の行動が何を示すのか、めぐみんはさっぱり分からず、首を傾げていた。

 

 

 

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