この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第17話

 

 

めぐみんの友人である紅魔族のゆんゆんと出会った翌日、カズマはめぐみんと昨夜帰って来たクリスの二人を連れてデートをしていた。

 

 

「安いよ安いよ~!お姉ちゃん、一本どうだい?」

 

 

この日はちょうどお祭りなのか、屋台が出ており、普段よりも賑わっていた。そしてちょうど串焼きの屋台を通り過ぎようとした所で、屋台を見つめる一人の女の子の姿を見つけた。

 

 

「よう、確か…ゆんゆんだったよな」

 

 

「あ……、えっと…カズマ…さん」

 

 

「そう言えば、ちゃんと自己紹介してなかったな。俺はサトウカズマ、この始まりの街"アクセル"に住む冒険者だ。よろしく」

 

 

カズマはゆんゆんに自己紹介をしていなかったことを思いだし、自己紹介をする。

 

 

「へぇ~、この子が昨日話していたゆんゆんちゃんなんだね。あたしはクリス、見ての通り盗賊だよ。そんでもって、カズマの恋人の一人で~っす!」

 

 

クリスもゆんゆんに自己紹介をすると

 

 

「えっ?恋人…?」

 

 

ゆんゆんはカズマにめぐみん以外の恋人がいることに疑問を持った。

 

 

「ゆんゆん、昨日言い忘れたのですが、カズマは私の他にもう一人、こちらのクリスとも恋人になっているのです。それと、カズマのことを優柔不断とは思わないで下さい、カズマは私とクリスに二人同時に告白していますし、私たちも互いの気持ちを知って、今の関係になっているのですから」

 

 

「えぇっ、そうなの!?」

 

 

「そうなんだよね、あたしとめぐみんは教会でカズマに同時に告白されたんだ~。あの時は嬉しかったな、カズマはめぐみんを選ぶと思っていたのに、まさかあたしにも告白してくれるなんて…えへへ~」

 

 

クリスはカズマの腕に抱きつきながら頬を朱色に染めた。

 

 

「ほえ~、三人とも相思相愛なんですね」

 

 

「それほどでも…あるけどな。ところで、あれ買わないのか?」

 

 

カズマは露店を指差す。

 

 

「カズマ、紅魔の里にはこう言った露店は無いので、恐らくは買い方を知らないのでは?」

 

 

「そういうことか。おっちゃん、串焼きを三本セットで"4つ"くれ!」

 

 

「あいよ!一本1000エリスだから、1万2000エリスね。ところで兄ちゃん冒険者かい?最近、近くのダンジョンに妙なモンスターが出るらしいから気をつけなよ?何でも動く物を見かけると、くっついて自爆するとか何とか」

 

 

カズマは露店の主に串焼きを注文し、金を支払う。主は串焼きを用意しながら最近聞いた噂をカズマに教えて、串焼きを渡した。

 

 

「ありがとう、注意しとくよ。串焼きサンキューな!」

 

 

「毎度!また寄ってくれよ!」

 

 

カズマはめぐみんたちを連れて、主に手を振りながらその場を離れた。

 

 

「ほい、これはめぐみんの分で、こっちはクリス。んでもって…これはゆんゆんの分」

 

 

「えっ…?良いんですか?」

 

 

「昨日今日と会えたのも、何かの縁。俺としてはめぐみんの友達と仲良くしたいからな」

 

 

カズマはめぐみんとクリス、そしてゆんゆんに串焼きを配ると、ゆんゆんは戸惑うが、カズマは笑いながら串焼きを差し出した。

 

 

「ゆんゆん、早く受け取って下さい。因みにお金は不要です、それはカズマの好意であり、あなたがそれの対価としてお金を渡すと、カズマの好意を無下にすることになりますから」

 

 

めぐみんに言われ、ゆんゆんは取り出そうとした財布を引っ込め、串焼きを受け取った。

 

 

「……美味しい」

 

 

ゆんゆんは受け取った串焼きを一つ頬張ると、その美味しさに感動した。

 

 

「いつもカズマの料理で舌が肥えていると思ったのですが、こういった料理も捨て難いですね」

 

 

「俺の料理を褒めてくれてありがとよ。でも本職にはまだまだ敵わないぜ」

 

 

カズマたちが串焼きを食べ歩きをしていると、ちょうど目の前に射的の屋台があった。そしてゆんゆんは棚に並んでいる景品の一つを見つめていた。

 

 

「……おっちゃん、一回頼む。"狙撃"スキルは使っちゃダメ?」

 

 

「ダメダメ!"狙撃"スキルと職業が『アーチャー』はお断りだよ!(あん)ちゃん、職業は『アーチャー』じゃねえよな?」

 

 

「ああ、俺の職業は『冒険者』だ。ほら、証拠のカード」

 

 

カズマは冒険者カードを主に見せた。

 

 

「……確かに、『アーチャー』じゃねえな。んじゃ一回500エリスだ、それと、"狙撃"スキルは使うなよ?」

 

 

カードを返してもらったカズマは、狙いを定め、矢を放つ。すると矢は寸分の狂いも無く、ゆんゆんが見つめていた冬将軍の人形に当たり、台から落ちた。

 

 

「やるねぇ兄ちゃん、!ほら、景品だ」

 

 

「ありがとう。ほらゆんゆん、これ欲しかったんだろ?」

 

 

カズマは受け取った人形をゆんゆんに渡した。

 

 

「あの、ありがとうございますっ」

 

 

ゆんゆんは男性なら見惚れる笑顔をカズマに向けた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後、ゆんゆんばかりは不公平と言わんばかりにめぐみんとクリスが射的の景品をおねだりしたので、カズマは景品を取り、その場を去ったのだった。

 

 

「ありがとうございます、カズマ」

 

 

「烈風とは使い勝手が違うのに、よく当てれたね」

 

 

「キースから弓矢の使い方を教わっていたからな」

 

 

めぐみんはカズマに感謝の言葉を送り、クリスはカズマが弓矢を使えることに感心していると、カズマはパーティーメンバーの一人に教わったことを話した。

 

 

「おりゃあ!!」

 

 

ガンッ!!

 

 

「ぬあ、いででっ…」

 

 

『ハイ!このお兄さんも無理でしたー!さあ、次の挑戦者はいませんか!?伝説の鉱石"アダマンタイト"!見事"一撃"で破壊できたら高額賞金ゲット!参加費は一万エリス!魔法を使っても構いません!お客さん一人失敗するごとに五千エリスが賞金に上乗せされます!』

 

 

すると人だかりが見えたので覗いて見ると、屈強そうな男がハンマーで鉱石を破壊しようとしたが、鉱石の方が固かったのか傷一つつかなかった。

 

 

「ほう…、アダマンタイト砕きですか」

 

 

「アダマンタイトって、結構レアな鉱物だから、見るだけでも価値はあるよ」

 

 

めぐみんたちは人混みを掻き分けて見物することにした。

 

 

『あー残念!このお客さんも無理でしたか!この街の冒険者の方々には荷が重かったでしょうか!?機動要塞デストロイヤーをも倒したと聞き、わざわざやって来たのですが!!』

 

 

「…めぐみん、行けるか?」

 

 

「我が爆裂魔法なら破壊することは可能ですが、もし街中で撃てばこの辺り一帯が大惨事となってしまうでしょうね」

 

 

カズマはめぐみんに質問をすると、めぐみんは可能と言うが、周囲への被害も考えて発言した。

 

 

「確かにめぐみんの爆裂魔法は周囲にも影響を及ぼす…、クリスも一撃であの固い鉱物を破壊する力は無い…、ゆんゆんの上級魔法なら行けると思うが…」

 

 

「そんなっ、無理ですよっアダマンタイトなんて!爆裂魔法とまではいかなくても、爆発魔法とか、炸裂魔法と言った爆発系魔法じゃないと…」

 

 

ゆんゆんは自分では無理と言った。

 

 

「…と、なると」

 

 

「残るは…」

 

 

クリスとめぐみんは同時に一人の男の顔を見る。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『さあ次の挑戦者はこのお兄さんだ!』

 

 

「あはは…、どもども」

 

 

カズマは音撃棒・烈火を持ってアダマンタイトの前に立っていた。

 

 

「やれやれ…、行くぜ。『音撃道・打』!」

 

 

《打・ダーン!》

 

 

「「ボヨヨンボヨヨン」」

 

 

「えっ…めぐみん?今の何?」

 

 

「気にしないで下さい」

 

 

「そうそう、気にしたら負けだよ」

 

 

カズマが音角に音声入力をし、音角がモード音声を流す。するとめぐみんとクリスは胸を揺らす動作をしたので、ゆんゆんが質問をすると、めぐみんとクリスは気にしないように言った。

 

 

その間、カズマは響鬼に変身しており、音撃鼓・爆炎火炎鼓をアダマンタイトにセットしていた。

 

 

「音撃打・一気火勢(いっきかせい)!」

 

 

カズマは力を溜めた烈火をその名の通り、一気に振り下ろし、爆裂火炎鼓を叩いた。するとアダマンタイトは音撃に耐えられなかったのか、爆散した。

 

 

『きっ…、決まった~~っ!!誰もが壊せなかったアダマンタイトを壊したのはこの人だ~~っ!!』

 

 

ワアアァァァ~~ッ!!

 

 

「やりやがったぜカズ坊!」

 

 

「流石魔王軍の幹部やデストロイヤーを倒した英雄なだけはあるぜ!」

 

 

観客はカズマがアダマンタイトを破壊したことに大いに湧いた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「流石だねカズマ」

 

 

「力を溜めるのがネックだが、威力は十分だからなあの技は」

 

 

相当な人数ご挑戦していたのか、カズマが受け取った金額は数十万エリスになっていた。

 

 

「そう言えば、ゆんゆんってめぐみん以外に友達っているのか?」

 

 

カズマの質問にゆんゆんは言葉を詰まらせた。

 

 

「カズマ、ゆんゆんは私以外に友達と呼べる人はいません」

 

 

「なっ…、ちゃんといるもん!"ふにふら"さんとか、"どどんこ"さんとか…」

 

 

「それはあなたが"ご飯を奢るから"と言って、着いていっただけです。それは厳密には友達とは言えません」

 

 

めぐみんとゆんゆんのやり取りを見ていたカズマとクリスは困惑した表情をした。

 

 

「つまり、ゆんゆんは紅魔の里では唯一の"常識人"なので、里では浮いてしまっていたのです。まあ、私もどっちかと言えば里の皆寄りですが」

 

 

めぐみんはもじもじしながら顔を背けた。

 

 

「そ…、そうだったんだ。……ねえカズマ」

 

 

「クリス、そこなら先は言わなくても良い。多分同じ事を思ったはずだ」

 

 

クリスはカズマの顔を見ながら何かを言おうとしたが、カズマに止められた。

 

 

「なあゆんゆん、もし君さえ良かったらなんだが…。俺たちと"友達"にならないか?」

 

 

「……えっ?」

 

 

「そうそう!あたしたちと友達になって、一緒のパーティーに入れば、寂しい思いはしなくて済むよ!」

 

 

カズマとクリスはゆんゆんをパーティーに勧誘した。

 

 

「……めぐみん」

 

 

「そこから先はあなたが決めることです、私はその事に関して一切口出しはしません。…まあ、あなたが入ってくれれば、私としても大助かりですが」

 

 

ゆんゆんはめぐみんに助けを求めたが、めぐみんはきっぱりと断った。

 

 

「……こんな私で良ければ、よろしくお願いします」

 

 

ゆんゆんが出した答えは"YES"だった。

 

 

「こちらこそよろしくお願いするよ、ようこそゆんゆん。我がパーティーへ」

 

 

カズマとめぐみんもクリスはゆんゆんに手を差し出した。ゆんゆんはその3つの手を見ながら

 

 

「…はいっ!不束者(ふつつかもの)ですが、よろしくお願いしますっ!」

 

 

カズマたちの手を握った。

 

 

「その言葉はお嫁に行く時の言葉ですよ、ゆんゆん」

 

 

「そうだよ!いくらパーティーに加わったとは言え、カズマはあたしとめぐみんの旦那様なんだから!」

 

 

「ふええっ!?」

 

 

言葉を間違えたゆんゆんにめぐみんが訂正を促し、クリスはゆんゆんを威嚇し、ゆんゆんはオロオロしてしまい、カズマはそんな様子を笑いながら見ていたのだった。

 

 

 

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