この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

23 / 48
今回も原作の話を前後させて、『紅魔の里編』から始まります。


第23話

 

 

カズマパーティーにキリンの『ジラフ』が加わって、更に賑やかになってから数日後…。

 

 

「カズマさん、私…カズマさんの子供が欲しい!」

 

 

『……はい?』

 

 

ゆんゆんの爆弾発言にリビングにいたパーティーメンバー全員が思考停止した。

 

 

「ゆんゆん…、カズマの子供が欲しいとは…。私たちを差し置いて、よくそんな事言えますね…」

 

 

「これは由々しき事態だよ…」

 

 

ただ、めぐみんとクリスを除いては。

 

 

「だって…、私とカズマさんが子供を作らないと世界が…」

 

 

「ちょっと待ってくれ、とりあえず説明をプリーズ」

 

 

カズマが説明を要求すると、ゆんゆんは二枚の手紙を差し出した。そこには紅魔の里が魔王軍に進撃されていること、もう一枚には何やら小説染みた言葉の羅列が記されていた。

 

 

「……あの、手紙の最後に『紅魔族英雄伝 第一章 著者:あるえ』とあります。それと追伸で『郵便代が高いので、族長に頼んで同封させてもらいました。二章ができたらまた送ります』…と」

 

 

めぐみんの言葉にゆんゆんを除く全員が納得した。

 

 

「な~んだ、ただの物語か。びっくりした」

 

 

「びっくりしたのは私ですよっ!さっきのクリスさんは本当に怖かったんですから!」

 

 

涙目で訴えるゆんゆんをクリスは笑いながら慰めた。

 

 

「ですが、族長からの手紙は事実です。我々紅魔族は、魔王軍から目の敵にされていますからね。ですが、知ってるとは思いますが我々紅魔族はほぼ全員がアークウィザードですので、余程の事が無ければ負けたりはしません」

 

 

「…でも、放ってはおけないな。なあゆんゆん、『テレポート』は使えるか?」

 

 

カズマの質問にゆんゆんは首を横に振った。

 

 

「里へ行くなら、この街からまず『アルカンレティア』を経由して、そこから徒歩で2日ほどの距離があります」

 

 

めぐみんは里までの距離をカズマに伝えると

 

 

「『アルカンレティア』!?」

 

 

アスタがめぐみんの言葉に反応した。

 

 

「アスタ、アルカンレティアがどうした?」

 

 

「カズマ君、アルカンレティアは別名『水と温泉の都』と言われていて、様々な効能がある温泉が有名なんだ」

 

 

「しかも、水の女神アクアを御神体とする『アクシズ教』の総本山なのよ!!」

 

 

カズマの質問にキョウヤとアスタが答えた。

 

 

「あぁ~、お姉ちゃんはアクシズ教徒だから、アルカンレティアに行ってみたいんだったね…」

 

 

ゆんゆんを慰めていたクリスは苦笑いを浮かべながらアスタが興奮している理由を話す。

 

 

「なるほどね…。アスタ、興奮している所悪いんだが…」

 

 

「分かってるわよ、アルカンレティアは後回しでしょ?私だって時と場合を読むわよ。先ずは紅魔の里へ行って、アルカンレティアは帰りの時とかで良いわよ」

 

 

カズマはアスタに注意をしようとするが、アスタはちゃんと理解している様だった。

 

 

「分かってるなら良い。それじゃ皆、紅魔の里に向けて準備を整えようか」

 

 

カズマの一言でメンバーは各々準備を始めるのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

カズマたちが準備を整え始めて2日、カズマたちはアルカンレティア行きのキャラバンに紛れていた。

 

 

「しかしカズマ、よくこんな物拵えたな」

 

 

ダストが見ていたのは、ジラフに繋がれた荷台だった。

 

 

「ジラフが仲間になってから作っていたんだ。連結部を作るのに苦労したがな」

 

 

カズマが製作した荷台は二輌編成で、荷台の間には列車などで見られる連結部があった。

 

 

「そういやダクネス、お前その鎧はどうしたんだ?」

 

 

「む?これか。この前カズマがアダマンタイトを手に入れて、私が譲り受けたことがあっただろう?この鎧はそのアダマンタイトを含んだ鎧なのだ!軽くて丈夫、まさに私にとって理想の鎧なのだよ!」

 

 

ダクネスは意気揚々と鎧について語った。

 

 

「カズマ~っ!そろそろ出発するって!」

 

 

そこにアスタがキャラバンの前からやって来て、出発する旨を伝えた。

 

 

「了解だ!それじゃ皆、乗ってくれ!」

 

 

カズマが乗車を促すと、ダストたちはそれぞれ馬車の客席に座った。そして程なくして、キャラバンとカズマたちはアルカンレティアに向けて出発したのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……平和だな~」

 

 

キャラバンが出発してから数時間、何の異常も無く、キャラバンは進んでいた。

 

 

「…んっ?」

 

 

すると、ジラフの手綱を握っていたカズマの目に、土煙が向かって来ているのが見えた。

 

 

「どうしましたカズマ?」

 

 

「いや…、向こうから土煙が見えて…」

 

 

カズマの横に座っていためぐみんがカズマに質問をすると、カズマは見えた光景を口にした。

 

 

「ふむ…、ここらで土煙を出す程の速さを持つ生物と言ったら、この前倒したリザードランナーの群れか『走り鷹鳶(たかとび)』ぐらいですね」

 

 

「走り高跳び…?」

 

 

「カズマ、『走り鷹鳶』って言うのは鳥類界の王者で、タカとトンビのハイブリッドなんだよ。飛べない代わりにとんでもない脚力を持っている危険なモンスターなんだよ。見た目はカズマの世界にいる"駝鳥(ダチョウ)"と同じかな」

 

 

めぐみんは土煙を立てている主を考察すると、カズマは聞き慣れない単語に戸惑い、めぐみんの反対側に座っていたクリスが補足をした。

 

 

「なるほどな…。って、ちょっと待て。アイツらこっちに向かって来てないか?」

 

 

カズマに言われてめぐみんとクリスもカズマが見ている方へ視線を向ける。

 

 

「…確かに、こちらへ近づいて来ているような?」

 

 

「ねえカズマ、荷台とかにアダマンタイトのような硬い鉱石とか積んでいないよね…?」

 

 

クリスの質問にカズマは首を横に振ろうとしたが、思い止まった。カズマには心当たりがあった。

 

 

「カッカズマ!もの凄く速い生き物が、真っ直ぐこちらへ来ているぞ!…と言うか、連中が私を凝視している気がするぞ!!」

 

 

そう、カズマは出発前にダクネスがアダマンタイトを使った鎧を着ていることに。

 

 

「くそっ、狙いはダクネス(の鎧)か!?総員第一種戦闘配置!商隊を守るぞ!キース、リーン、ゆんゆんの三人は魔法や狙撃による遠距離攻撃を!アスタはキースに運強化支援(ブレッシング)筋力強化支援(パワード)を!他の皆は商隊の護衛を頼む!」

 

 

『了解!』

 

 

カズマはメンバー全員に指示を出し、ジラフに取り付けていた荷台との連結具を外し、(あぶみ)が付いた(あん)を取り付けた。

 

 

「カズマ、そんなの取り付けてどうするの!?」

 

 

「俺も出るから取り付けたんだよ!行ってくる!」

 

 

カズマはジラフに乗り、バッグから烈風を取り出して走り鷹鳶の群れに突っ込んで行った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「くそっ、速くて狙いが定まらない!」

 

 

キースは狙撃で走り鷹鳶を狙い撃ちするが、相手の足が速いせいで、中々仕留められずにいた。

 

 

「私が足止めをします!『ボトムレス・スワンプ』!」

 

 

ゆんゆんが走り鷹鳶の進路上に泥沼魔法を仕掛けると、走り鷹鳶の勢いが削がれた。

 

 

「おおっ!上級魔法の一つの泥沼魔法!ゆんゆん、いつの間に覚えたの?」

 

 

「この前の買い出しの時にウィズさんから教わりました!ですがこれでも勢いは止まりませんね」

 

 

「だったらコレね!『クリエイト・ウォーター』!からの『フリーズ』!」

 

 

リーンが泥沼の周りに水を撒いたと同時に氷らせると、走り鷹鳶はその氷に足を取られ、次々に転んでしまった。

 

 

「えぇっ!?初級魔法にこんな使い方が!?」

 

 

「ハハハッ!ゴブリン狩りの時にカズマが使った戦法か!」

 

 

「そっ!あれを見て私も初級魔法を覚えたんだから!」

 

 

ゆんゆんはリーンの魔法の使い方に驚き、キースはゴブリン狩りの時の事を思い出し、笑った。

 

 

「だったらゆんゆんが泥沼魔法を使った後、リーンが氷らせれば更に足止めできるんじゃないか?」

 

 

「それいいわね!今度やってみようよ!」

 

 

「ええ!」

 

 

三人は笑いながら連携し、走り鷹鳶の足止めをした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「いやはやあなた方のおかげで助かりました!ささっ、こちらを召し上がって下さい!」

 

 

走り鷹鳶の襲撃を退けた日の夜、カズマは商隊の代表からお礼として走り鷹鳶の肉を使った料理がもてなされた。

 

 

「しかしお見事でした!泥沼魔法を使うアークウィザードに、初級魔法を駆使して更なる足止めをされたウィザード、あの数の走り鷹鳶を次々に倒されたアーチャー!そして珍妙な馬に跨がりながらアーチャーの方と一緒に倒したあなた様の手腕!お礼といっては何ですが…、街に着き次第、護衛としての報酬を…」

 

 

「それは結構です。走り鷹鳶の群れを引き寄せてしまったのは我々の不手際ですし、その尻拭いをしただけですから」

 

 

代表はカズマに報酬を渡そうとしていたが、カズマはそれを断った。カズマとしては自分たちが引き寄せた不手際というマッチポンプな状況での報酬の受け取りはしたくなかったのだ。

 

 

「な…、何という方だ!この世知辛い世にまだあなた方のような本物の冒険者がいたとは…!」

 

 

代表はカズマの心意気に深く感銘し、涙を流した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

走り鷹鳶の襲撃から凡そ2日、カズマたちはアルカンレティアの門の前までやって来た。

 

 

「色々と助けていただいてありがとうございます。是非とも報酬を受け取って頂きたいのですが…」

 

 

「報酬の件はお断りしたはずですが…」

 

 

「はい、ですから我々が経営する宿の宿泊券をお渡しします。もしアルカンレティアへお寄りになった際には、どうぞご贔屓に」

 

 

「そういう事でしたら…」

 

 

カズマは渋々ではあるが、人数分の宿泊券を受け取り、キャラバンはアルカンレティアの門を潜ったのだった。

 

 

「さて…、ここからは俺たちだけで進まないとな。めぐみん、ゆんゆん。案内を頼むぞ。さしあたっては危険なモンスターとかを教えてくれると助かる」

 

 

カズマのお願いに二人は頷いた。

 

 

「そうですね…、まずこの辺りで危険なモンスターと言えば、『安楽少女』でしょうか」

 

 

「安楽少女?」

 

 

「聞いたことがある。確か保護欲を抱かせる容姿や行動を取る植物型のモンスターで、物理的な危害を加える事は無いが、一度でも情が移ってしまえば死ぬまで囚われてしまい、その死体を養分にするとか」

 

 

めぐみんが危険なモンスターの名を挙げるとキョウヤが詳細を口にした。

 

 

「今ミツルギが話した通りです。付け加えるなら、少人数の前に現れるため、今の私たちのような大人数の前には、姿を現さないので、そこまで危険ではありません」

 

 

「そっか。よし、皆客車と荷台に乗ってくれ。キースは荷台の屋根の上に乗って周辺の警戒を、クリスは客車、フィオは荷台に乗って敵感知スキルでキースのフォローを。キョウヤとクレメア、ダストは荷台に、残りのメンバーは客車に乗ってくれ」

 

 

カズマが指示を出し、メンバーがそれぞれ客車と荷台に乗ったのを確認すると、ジラフは馬車を引いて走り出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

道中何事も無く、カズマたちは平原の手前で野宿をすることにした。

 

 

「ねえカズマ、この前から使っている"ソレ"はなに?」

 

 

カズマが何かを建てている所に、フィオが話しかけた。

 

 

「これは"天幕"って言って、簡易的な家みたいな物さ。…っと、設営終わり、これは女子用だから先に入って休んでていいからな」

 

 

カズマは天幕を設営し終えると、荷台の方へと歩いて行った。

 

 

「カズマ、何か手伝えることはありますか?」

 

 

「めぐみん。丁度これから飯を作る所だったから、下ごしらえを手伝ってくれるか?」

 

 

カズマはこれから調理をしようとしていたらしく、手伝えることがあるか聞いてきためぐみんに手伝いをお願いした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「よし、今日も元気に出発しようか!」

 

 

野営の道具を片付けたカズマ一行は意気揚々と平原を横断するため、出発した。道中モンスターをキースとカズマが千里眼スキルで発見し、体力の無駄使いを防ぐために時々遠回りをしていた。

 

 

「…んっ?あれは」

 

 

その途中、カズマがモンスターの影を見つけた。

 

 

「カズマ、どうしました?」

 

 

「いや、向こうにモンスターの影を見つけてな」

 

 

「今はこの辺りなので、この付近にいるモンスター…は……」

 

 

地図とにらめっこしていためぐみんが段々顔を青ざめていった。

 

 

「カズマ、逃げましょう!」

 

 

「ど…、どうした急に?」

 

 

めぐみんの逃走希望にカズマはびっくりした。

 

 

「この付近にいるモンスターは"オーク"です!恐らくカズマが見たモンスターの影はオークに間違いありません!気付かれる前に逃げましょう!」

 

 

「オーク…?確かに女性ならオークを恐れるのは分かるが、そんなに危険なのか?」

 

 

「いいですかカズマ、カズマが思い描いているのは"オスのオーク"で、しかも絶滅していますので、今いるオークは全てメスなのです」

 

 

めぐみんの説明にカズマは目が点になっていた。すると

 

 

「あら、いい男じゃない。ねえ、あたしといい事しましょう?」

 

 

めぐみんの説得空しく、カズマたちはオークに見つかってしまった。

 

 

「に…逃げるぞ!!ジラフ、全速力だ!振り切れ!!」

 

 

カズマの命令でジラフは嘶くと、全速力で走り出した。

 

 

「ちょっとカズマ!?どうしたの!?」

 

 

「オークに見つかった!足止めを頼む!!」

 

 

客車からアスタが顔を覗かせ、状況の説明を要求すると、カズマは早口で状況を説明した。

 

 

「なっ!?オークって男の天敵じゃない!リーン!ゆんゆん!足止めを!」

 

 

「わかりました!『ボトムレス・スワンプ』!」

 

 

「了解!『フリーズ』!!」

 

 

アスタの指示でゆんゆんが泥沼魔法を使い、オークが泥沼に嵌まった所をリーンが凍結させて身動きを取れなくさせた。

 

 

だが、騒ぎを聞きつけたのか、仲間のオークが次々に現れた。

 

 

「これじゃキリがありません!振り切る前にこちらの魔力が尽きてしまいます!」

 

 

ゆんゆんは泥沼魔法を連発して足止めをするが、オークたちは泥沼を迂回したりして避けていた。

 

 

「ねえカズマ、『ドレインタッチ』でゆんゆんに魔力を渡すことできない!?デストロイヤーの時のめぐみんとクリスみたいに!」

 

 

「リーン…、それはカズマにゆんゆんをセクハラさせようと言う事でしょうか?」

 

 

「そういう事なら流石に見逃せないけど…?」

 

 

めぐみんとクリスはハイライトを消した目でリーンを睨む。リーンは二人の目を見て涙目で震え出した。

 

 

「いや、『ドレインタッチ』は難しいが、リーンは良い事を言った!ゆんゆん、『ボトムレス・スワンプ』をオークたちの周りに仕掛けてくれ!」

 

 

カズマは何かを閃いたのか、ゆんゆんに指示を出す。そしてゆんゆんはカズマに言われた通り、泥沼をオークたちの周りに仕掛け、オークたちは足を止めた。

 

 

「めぐみん!」

 

 

「感謝しますカズマ、これなら一網打尽にできます!『エクスプロージョン』!!」

 

 

カズマの指示でハイライトが戻っためぐみんがオークたちに爆裂魔法をブチかまし、何とか振り切ることに成功したのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「な…何とか逃げ切ったな…」

 

 

無事オークたちから逃げ切ったカズマたちは、森の中で休憩を取っていた。

 

 

「もうしませんもうしません…。セクハラ発言はもうしません…」

 

 

「リーンの奴、すっかりトラウマになっちまってるな…」

 

 

めぐみんとクリスのハイライトが無くなった目を見たリーンは未だに震えており、譫言(うわごと)のようにぶつぶつと呟いており、その姿を見たカズマは苦笑いを浮かべていた。

 

 

「リーンさん、大丈夫ですか?」

 

 

「ピィーッ!!ガクガクブルブルガクガクブルブル…」

 

 

ゆんゆんはリーンを心配し声を掛けるが、逆効果となり、リーンは大声を上げて更に怯えてしまった。

 

 

「おいこっちだ!こっちから声がしたぞ!」

 

 

するとリーンの声を聞きつけたのか、茂みから何者かがカズマたちの前に現れた。

 

 

「へへへ、いたぜ。紅魔族の子ども二人と、冒険者風の人間だ。やっと見つけたぜ、散々煮え湯を飲まされている紅魔族だ。絶対に逃がさねえ、八つ裂きにしてやる!」

 

 

茂みから現れたのは、紅魔の里を襲っている魔王軍の戦闘兵だった。

 

 

「くそっ!キョウヤ、クレメア、ダスト!戦闘準備!消耗しているゆんゆんとリーンは馬車の中へ!テイラーとダクネスは馬車を守れ!フィオとクリスはテイラーとダクネスの援護を!アスタは俺を含む前衛職全員にフル支援を!『音撃道・斬』!」

 

 

《斬・ザン・ザーン!》

 

 

カズマはバッグから烈雷を取り出しながら全員に指示を出し、バッグをクリスに預け、響鬼に変身した。

 

 

「ジラフ、疲れている所申し訳ないけど、カズマたちを助けてあげて!」

 

 

クリスはジラフを繋いでいたベルトを外すと、ジラフは角と体に紫電を走らせた。

 

 

「へぇ…、俺たちとやるってか?野郎共、殺っちまえ!!」

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

カズマたちと魔王軍との戦いが始まって数十分後…。

 

 

「ハァ…、ハァ…、ハァ…」

 

 

カズマたち前衛組は肩を大きく上下させながら息を整えていた。

 

 

「こんな奴らに半数近くまでやられるとはな…。だが、お前たちも限界の筈だぜ?」

 

 

カズマたちは頑張って魔王軍を相手にしていたが、やはり数の暴力には勝てず、体力が減る一方だった。

 

 

「それじゃあな、くたばれ!!」

 

 

魔王軍の一体が武器を振りかぶると、何処からともなく光の刃が飛んできて、魔王軍を蹴散らした。

 

 

「肉片も残らずに消え去るがいい、我が心の深淵より生まれる闇の炎によって!」

 

 

「もうダメだ我慢ができない!この俺の破壊衝動を鎮めるための贄となれ…!」

 

 

「さあ、永久(とこしえ)に眠るがいい…。我が氷の(かいな)に抱かれて…!」

 

 

「お逝きなさい。あなた達の事は忘れないわ。そう、永遠に刻まれるの…、この私の魂の記憶の中に…!」

 

 

そして四人の紅魔族が現れ、それぞれ決め台詞を述べると

 

 

『ライト・オブ・セイバー!』

 

 

『ライト・オブ・セイバー!』

 

 

『セイバーッ!』

 

 

『セイバーッッッ!』

 

 

四人同時に"同じ魔法"を放ち、魔王軍を次々に倒していった。

 

 

「…すげぇぜ!俺も負けられないぜ!!」

 

 

カズマは烈雷を音撃モードに変形させると

 

 

「『音撃斬・雷電激震』!!」

 

 

その場で烈雷を弾き鳴らす。そしてある程度烈雷を弾き鳴らした後、烈雷を頭上で回し、足元の地面に烈雷を突き刺した。

 

 

すると音撃がカズマを中心に波紋の様に広がり、魔王軍の兵士たち"だけ"を爆散させたのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「またまた近くを警戒して来てみれば…、めぐみんとゆんゆんじゃないか。久しぶりだな」

 

 

「ぶっころりーじゃないですか!お久しぶりです、助かりました」

 

 

魔王軍の兵士たちを迎撃した紅魔族の一人がカズマたちに声を掛けると、めぐみんがその人の名を言いながら感謝の言葉を送った。

 

 

「いやいや、ところで…なんでこんな所にいるんだい?それとその後ろの人たちは…?」

 

 

「族長からの手紙を受け取りまして、それで里帰りがてら顔を見せに…。それと、後ろの人たちは私たちの冒険仲間です」

 

 

めぐみんがぶっころりーに仲間を紹介すると

 

 

「ならば聞け!我が名はぶっころりー!紅魔族随一の靴屋のせがれ。魔王軍遊撃部隊員筆頭アークウィザードにして上級魔法を操る者…!」

 

 

紅魔族特有の挨拶をした。めぐみんは拍手し、ゆんゆんは後ろで恥ずかしがっていると

 

 

《ギュイーン!》

 

 

「我が名はカズマ!始まりの街アクセルを拠点にする冒険者で、悪しき魔物を打ち倒す音色を奏でし者!我が名はカズマ!又の名を仮面ライダー響鬼!」

 

 

今度はカズマが烈雷を弾き鳴らし、自己紹介をした。

 

 

「おぉ…!普通なら俺達の名乗りを受けると引かれるのに、俺達の名乗りに答える処か上を行く名乗りを返してくれるとは…!」

 

 

カズマの名乗りにぶっころりーたちは感激していた。

 

 

「それでぶっころりー、私たちを紅魔の里までテレポートしてくれますか?」

 

 

「お安い御用さ。ささっ、皆集まって!…『テレポート』」

 

 

めぐみんはぶっころりーに里までテレポートしてもらう様お願いすると、ぶっころりーは2つ返事で了承し、ジラフを繋げた馬車に集まったのを確認した後、テレポートを使ったのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「さあ着いたよ、ようこそ紅魔の里へ!」

 

 

カズマたちが到着したのは、魔王軍に進撃されているとは到底思えない程、のどかな里だった。

 

 

「へぇ~、ここがめぐみんたちの故郷か…」

 

 

「懐かしいですね、里は以前のままです」

 

 

めぐみんは久しぶりの故郷に懐かしんでいた。

 

 

「それじゃ俺達は哨戒任務に戻るから。ゆっくりしていってくれ、旅の方々」

 

 

ぶっころりーはそう言って指を鳴らすと、姿を消した。

 

 

「き…、消えた…?」

 

 

「いえ違います。今のは光の屈折させる魔法を使って、姿を消した様に見せているだけです。きっと今も近くで見ていると思いますよ」

 

 

アスタがぶっころりーたちが消えたことにびっくりしていると、ゆんゆんが消えた理由を話した。

 

 

「………」

 

 

カズマは"とある一点"を凝視すると、烈風を取り出し、その一点に銃口を向けた。

 

 

「カズマ、流石に烈風で撃ち抜かれるのは洒落にならないので止めて下さい」

 

 

するとめぐみんがさりげなく烈風の銃口を下に向けさせたが、銃口が地面に向いた瞬間、カズマは引き金を引いて空気弾を撃った。

 

 

着弾地点から煙が立つと、その場から離れるように土煙が上がった。

 

 

「カズマ…、鬼ですね」

 

 

めぐみんはカズマの行動に若干引いていた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。