この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第26話

 

 

『魔王軍襲来!魔王軍襲来!既に一部が里の内部に侵入した模様!』

 

 

クリスがカズマの求愛を受けようとしたその矢先、魔王軍の襲来を告げる警報が鳴り響いた。

 

 

「もうっ!これからって時に!!」

 

 

「悔やんでいる暇はありませんよクリス、とにかく今は魔王軍を何とかするのが得策です」

 

 

「めぐみんの言うとおりだな、クリスはバッグを預かっててくれ。迎撃に参加するぞ!」

 

 

カズマはめぐみんに悪鬼滅殺を、クリスにバッグを渡し、窓から出ようとした。

 

 

「三人とも早く出なさい!全く…、既成事実を作らなきゃいけない大事な時に…。空気を読めない方々ですね」

 

 

そこにゆいゆいが扉から入って来て、部屋から出るよう促した。

 

 

「あ…、ごめんカズマ、あたし…」

 

 

するとクリスが何やらもじもじし始めた。

 

 

「あ~、クリスは"用事"が済んだら参加してくれ。俺とめぐみんは先に行ってるぞ?」

 

 

カズマはクリスの様子を見て、何かを察し、先に迎撃に参加することを伝え、めぐみんと一緒に部屋を出たのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

《クリスside》

 

 

「ハア…、ハア…、ハア…。…も、もう少し…、もう少しで…!」

 

 

あたしが"用事"を済ませてめぐみんの実家から出ると、そこには満身創痍のシルビアがいた。

 

 

「あら確かアンタは…、カズマとか言う冒険者の仲間…だっけ?」

 

 

シルビアはあたしが誰なのかを思い出したようだ。

 

 

「…そうよ、出会って早々悪いけど、アンタを倒させてもらうわ!」

 

 

あたしは腰からダガーを抜いて構える。

 

 

「悪いけど、アンタの相手をしている暇は無いんだよ!」

 

 

シルビアはそう言ってあたしに肉薄した。

 

 

「(…っ!速い!けど、これくらい…)」

 

 

対処できると思ったあたしの意識はここで途切れてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「…ねえ、ちょっと。いい加減起きなさい」

 

 

あれ…?あたし…。…そうだ、あたしシルビアと対峙して、それから首に何か衝撃が走って…。…って、身動きが取れない!?

 

 

「やっと起きたわね、悪いけどアンタを拘束させてもらったわよ。それより、ここは何処だか分かるかしら?」

 

 

シルビアに言われてあたしは周囲を見渡す。確かここは昨日めぐみんに案内された『世界を滅ぼしかねない兵器』が眠っている所…だったはず。

 

 

「どうやら察しが着いたようね。そうよ、ここは『世界を滅ぼしかねない兵器』が眠っている紅魔の里の地下格納庫よ。そんでアタシはこの格納庫に眠っている兵器を頂きに来たって訳」

 

 

…成る程ね。だから昨日連中はこそこそ隠れながら里に侵入していたって訳ね。…でも確か…。

 

 

「生憎だけど、それは無理なんじゃない?だってその格納庫は封印されているらしいから」

 

 

「そうね、でもぬかりはないわよ。"これ"をご覧なさい」

 

 

そう言ってシルビアは胸の谷間からカードのような物を取り出した。一体何処に何を入れてるのよ…、なんか見てるとイライラしてきた…。

 

 

「何か視線が痛いんだけど…、ま…まあいいわ。これは『結界殺し』と言って、アタシ達魔族が持つ魔道具の一つで、結界を破壊する事に特化した物よ。これがあれば、例え神々が封じた物だって…」

 

 

シルビアが結界殺しをかざすけど、何の反応もしなかった。そしてようやく夜目が効いてきたのか、扉の周りが見えるようになったよ。それであたしは気づいた、扉の横にパネルがあって、そこに『小並コマンド』って書かれていた事に。

 

 

どうやらこの扉を開けるには『小並コマンド』を入力しないといけないみたいだね。…あっ、だからカズマは昨日ここに来た時に少し動揺してたんだ。多分千里眼であの文字を読んだに違いない。

 

 

「くそ…、何なんだい!?何でうんともすんとも言わないんだい!」

 

 

シルビアは魔道具が反応しない事に苛立っているみたいだね…。カズマ…、あたしがいない事に気づいているかな…?ってあれはまさかディスクアニマルの鈍色蛇(ニビイロヘビ)!この子を起動させる事ができるのはカズマかお姉ちゃんしかいない!

 

 

あたしは鈍色蛇に向かって頷くと、鈍色蛇はこの場から去った。きっとカズマたちに知らせに行ったんだ。

 

 

「くっ…、まあいいわ。こう言った事の為にアンタを攫ったんだからね」

 

 

扉や壁を叩いていたシルビアがあたしの方へ来た。きっとあたしなら開けられると思ったんだろうね。

 

 

「ねえアンタ、この扉の封印、解けるんじゃない?」

 

 

「おあいにく様、あたしは解けないわよ」

 

 

本当は解き方を知ってるけど、あえて知らないフリをする。少しでも、カズマたちが来る時間を稼がないと。

 

 

「あら、アンタに選択肢は無いわよ?」

 

 

シルビアはそう言って、スカートの裾を持って上に上げた。…って、ええっ!?

 

 

「な…っ、ななっ…!」

 

 

「"コイツ"でアンタをヒィヒィ言わせる事だってできるのよ?アタシは"グロウキメラ"、半分は"女"で…」

 

 

「もう半分は"男"ですもの」

 

 

シルビアはあたしに股間に着いている"モノ"を近づけて来た。って止めてよ!そんな汚らわしいモノ、見せつけないでよ!

 

 

「ほら、"コイツ"を何とかしてほしかったら封印ヴォ!?」

 

 

シルビアがジリジリとあたしに近づくと、誰かがあたしの後ろから現れてシルビアの腹に飛び蹴りを喰らわせた。その後ろ姿は見間違えるはずは無かった。

 

 

「テメェ…、俺の女に何汚ねぇモン見せてんだ…?」

 

 

あたしの最愛の男性(ひと)にして最高のヒーロー…。

 

 

「カズマぁ…」

 

 

仮面ライダー響鬼に変身したカズマだった。

 

 

《クリスside end》

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「テメェ…、俺の女に何汚ねぇモン見せてんだ…?」

 

 

カズマの下に鈍色蛇が現れ、カズマは鈍色蛇が手に入れた情報を読む。するとクリスがシルビアに捕縛されている事を知り、急いでクリスの下へ駆けつけると、シルビアがクリスに自分の股間を見せていた為、カズマはシルビアに飛び蹴りを喰らわせたのだった。

 

 

「クリス!」

 

 

「お姉…ぢゃん……。あだじ…、怖がっだ…、怖がっだよぉ…」

 

 

カズマの後を追いかけていたアスタがクリスに駆け寄ると、余程怖かったのか、大泣きしてしまった。その様子をめぐみん達が見ていた。

 

 

「クリス…、相当怖い思いをしたんだな…。おいシルビアと言ったか、俺の逆鱗に軽々しく触れた事、後悔させてやる」

 

 

カズマは拳を鳴らしながらシルビアに近づく。

 

 

「くっ…、こうなったら!」

 

 

シルビアはパネルに近づきボタンを操作する。そして操作したボタンは偶然にも『上上下下左右左右BA』と小並コマンドだった。

 

 

ゴゴゴゴゴ………。

 

 

そして扉が開いた。

 

 

「扉が!」

 

 

「まさか封印が解かれるとは!」

 

 

「アハハ、ラッキーだわ!これで『魔術師殺し』を手に入れられるわ!!」

 

 

シルビアは喜びながら格納庫の中へと入る。

 

 

「っ!?今なら…」

 

 

自身を拘束していた鞭をアスタに切断してもらったクリスは、パネルを操作し、扉を閉めたのだった。

 

 

「クリス…、よく封印の仕方が分かりましたね…」

 

 

「丁度シルビアが押した所を見ていたからね」

 

 

めぐみんが扉の操作をしたクリスに感心していると、クリスはネタばらしをした。

 

 

その時、格納庫全体が"揺れ出した"。

 

 

「この揺れ…、道が塞がれてしまう!皆、早くここから離れて外へ!!」

 

 

カズマの指示で全員が外へ出る。そしてカズマが格納庫に通じる入り口から離れたその時、格納庫の扉が吹っ飛び、そこから下半身が鋼鉄の蛇のような姿になったシルビアが現れた。

 

 

「アハハハハハハッ!!残念だったわね!アタシがただ兵器を持ち出すと思った?アタシはグロウキメラ、兵器だろうが何だろうが、身体に取り込んで一体化する力を持つ!我が名はシルビア!強化モンスター開発局局長にして自らの身体に合成と改造を繰り返してきた者!!」

 

 

シルビアは名乗りを上げると、口から炎を吐き出し、里を燃やそうとした。

 

 

「くっ…、火が燃え広がるのが速い!皆、テレポートで高い所へ脱出を!急いで!」

 

 

カズマの指示によって全員がテレポートで近くの丘まで避難したのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ああ…、里が…燃えていく…」

 

 

「…もはや、この里は捨てるしかないな。魔王軍の思い通りにされるのは癪だが、生きてさえいればまたやり直せる…」

 

 

族長を始めとした紅魔族全員、カズマパーティー全員は丘の上から里が燃えていく光景を眺めていた。

 

 

「…許せねぇ」

 

 

「カズマ?」

 

 

カズマがぼそりと呟き、その言葉を隣にいるめぐみんが聞き取り、カズマに視線を向ける。

 

 

「めぐみんやゆんゆんが生まれ育った思い出深い故郷を…、何も考えずに破壊するなんて…!」

 

 

カズマは怒りを表すかのように拳を握る。

 

 

「カズマ…、こうして私達の為に怒ってくれるのはとても嬉しいです。確かにこの里には嬉しい事や楽しい事、たくさんの思い出があります。でも、さっき族長が言った通り、生きてさえいれば、やり直せるのです。だから…」

 

 

めぐみんはカズマの手を握りながら微笑む。だがカズマは見てしまった。めぐみんの目から涙が流れる所を。

 

 

「カズマ…?カズマッ!!」

 

 

カズマは自分の手を握っているめぐみんの手を優しく振りほどき、シルビアに向けて駆け出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「アハハハハッ!!燃えなさい!何もかも燃え尽きちゃいなさい!!」

 

 

シルビアは吐いた炎を見ながら高笑いをする。すると炎の中からカズマが現れた。

 

 

「何だいアンタ?アタシと戦う気かい?」

 

 

シルビアはカズマを発見し、声を掛ける。だが、カズマはシルビアの問いかけを無視し、シルビアに詰め寄る。

 

 

そしてカズマはシルビアの腹に強烈なパンチを繰り出した。

 

 

「グハァ!?」

 

 

シルビアはくの字になりながら後ろへ吹っ飛んだ。

 

 

「グゥ…、この強烈な一撃…。まさか、さっきの…」

 

 

「言ったはずだ、後悔させてやるってな」

 

 

カズマは周囲の炎を巻き込みながら自身の身体が燃え上がる。そしてカズマは響鬼・紅に変身した。

 

 

「紫だった身体が紅に…、アンタは一体何者なんだい!?」

 

 

「我が名はカズマ!始まりの街アクセル随一の最強の冒険者にして貴様達魔王軍を滅ぼす者!!我が名はカズマ、またの名を仮面ライダー響鬼なり!!」

 

 

カズマは名乗りを上げた。

 

 

「カズマ…?まさか昨日あの紅魔族の小娘が言っていたベルディアを倒したってのは…」

 

 

「ああ本当だ。"俺が倒した"」

 

 

カズマの肯定にシルビアは身震いした。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

一方、めぐみん達はと言うと…。

 

 

「カズマのバカ!幾ら自分が強いからと言って、たった一人でシルビアと戦いに行くなんて!」

 

 

カズマの行動にアスタは悪態を突いていた。

 

 

「アスタ、カズマは勝ちますよね…?」

 

 

「……今の状態じゃ厳しいわね。もし紅になっても、力は五分五分。最悪、同士討ちって事も…」

 

 

アスタの予想に、めぐみんは顔を青ざめた。

 

 

「…めぐみん、カズマの後を追わないで。もし今めぐみんがカズマの後を追いかけたら、カズマが一人で戦いに行った意味が無いから」

 

 

めぐみんが走り出そうとした所をアスタは身を挺して止めた。

 

 

「アスタ、行かせて下さい。でないと…撃ちますよ?」

 

 

めぐみんは爆裂魔法を撃てるように魔力を込める。

 

 

「めぐみん落ち着きなさい、私は"今の状態"と言ったのよ?勝てる方法が一つだけあるわ。クリス、"アレ"を出して」

 

 

「"アレ"って…、まさか装甲声刃(アームドセイバー)!?ダメだよお姉ちゃん!アレはまだカズマには扱えないよ!」

 

 

クリスはアスタが何を出させたいのかを悟ると、アスタの作戦を否定し始めた。

 

 

「クリス、今この状況を打破するにはそれしか無いの」

 

 

「でも、もし"適合"しなかったら、カズマはもう二度と変身できなくなっちゃうんだよ?!」

 

 

「大丈夫よ、カズマなら適合する。カズマを愛するあなたが信じなくちゃ、めぐみんしかカズマを信じないわよ?そんなんじゃ、カズマの婚約者失格よ?」

 

 

アスタに論されたクリスは、渋々ではあるが、バッグから装甲声刃を取り出した。

 

 

「あの…、そのダガーのような剣は何ですか?それと、先程から不安な言葉が聞こえていたのですが…」

 

 

「これは『音擊増幅剣(おんげきぞうふくけん)・装甲声刃』、カズマが変身する響鬼の"最強の姿"になる為に必要な武器よ」

 

 

アスタはクリスから装甲声刃を受け取りながら説明をする。

 

 

「なら早くそれを「だけど、これが出す波長に適合しなければ、二度と変身できなくなっちゃうの」…え?」

 

 

めぐみんの言葉を遮るように言ったアスタの言葉が、めぐみんを動揺させた。

 

 

「まあカズマの波長に合わせて作ってあるから大丈夫だと思うけど、念には念を入れて、私はクリスとミツルギの三人でもう一度あの格納庫へ行ってみるわ。もしかしたら、『魔術師殺し』に対抗し得るヒントがあるかもしれないしね」

 

 

「でしたら私がテレポートで送ります!」

 

 

そこにゆんゆんが同行を申し出た為、アスタはクリスとキョウヤ、ゆんゆんの三人を連れて行く事にした。

 

 

「めぐみん、とりあえず"コレ"を持っていて」

 

 

アスタはクリスが持っていたカズマのバッグと装甲声刃、そして音角を渡した。

 

 

「その音角はディスクアニマルを起動させるのと、情報を読み取る為だけに作った物で、変身はできないから。それじゃゆんゆん、テレポートお願い」

 

 

アスタはゆんゆんにテレポートをお願いし、ゆんゆんはテレポートを発動させた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「さて…と、ゆんゆんは魔力回復に集中する為に外で待機していて。ミツルギはゆんゆんの護衛を、中は私とクリスの二人で探すわ」

 

 

格納庫に到着したアスタは、ゆんゆんとキョウヤに指示を出し、クリスと一緒に中を探索するのだった。

 

 

「さて…何かめぼしい物は…っと何コレ?」

 

 

アスタは足下にある物を拾い上げた。

 

 

「これって…、どう見ても"ゲーム○ーイ"じゃない…」

 

 

アスタが見つけた物はこの世界には無い(カズマ達の世界の)ゲーム機だった。そしてアスタは周りを見渡すと、"ファ○コン"や"6○"等のゲーム機ばかりだった。

 

 

「お姉ちゃん、こっち来て!」

 

 

クリスがアスタを呼んだ為、アスタはゲーム機を放り投げ、クリスの下へと向かった。

 

 

「お姉ちゃん、これ…」

 

 

「手記…みたいね。どれどれ…?あら、日本語で書かれているわ。え~っと…」

 

 

『○月×日、ヤバい、この施設の事がバレた。でも幸いな事に俺の作った物が何なのかまでは分からなかったらしい。国の研究資金でゲームやオモチャ作ってた事が知られたらどんな目に遭わされるやら…』

 

 

『○月×日、俺の楽園に踏み込んできたお偉いさんがゲームの用途を聞いてきた。オモチャですよなんて素直に言える訳がない、これらは世界を滅ぼしかねない兵器ですと真面目な顔でぶっこいとした。同僚の女研究者が「こ、これが…」とおののいていた。スイッチを勝手に入れてピコーンって起動音にビクッとしてた。普段気が強いクセになにゲーム相手にビビってんスか?』

 

 

「…ねえお姉ちゃん、あたしこの手記書いた人に心当たりがあるんだけど…」

 

 

「…偶然ね、私もよ。とりあえず続きを読むわね」

 

 

『○月×日、俺の研究所に多くの予算をつけてやると言われた、その代わり魔王に対抗できる兵器を作れとの事。いやもう俺のチート能力で十分国に貢献したじゃん。 「争いは何も生み出さない…」と真面目ぶって言ってみたら引っ叩かれた。仕方ないので何か作ろうかと思ったけど、何作ろう』

 

 

『○月×日、巨大人型ロボを作ろうと思う、変身合体できるヤツ。そうしたら舐めんなって怒られたが、魔法に強くてデカいの作っとけばいいんじゃないっスかねと鼻ほじりながら言ってみたらあっさり通った。何をモデルにしようかと思っていた所にちょうど野良犬が。コイツでいいや、犬型兵器「魔術師殺し」と名付けてやろう』

 

 

『○月×日、設計図を提出したら、「なるほど蛇か、脚を付けるよりも楽そうだし、考えたな」いやそれ犬なんですが、絵心ないのはわかっているけどちゃんと見ろ、胴体が長い犬だろうが。…あらためて見ると蛇だわこれ』

 

 

『○月×日、実験開始。うん、ちゃんと動いた。…でもバッテリーが全然持たないわこれ。魔族相手にけしかけてみたらビビってたので、これは我々人間の手に余るとか言ってここにしまっておこう。バッテリーがないから動かないけど、その内キメラの材料にして生体兵器にできないかな。それならバッテリー要らずだし格好良さそうなのに』

 

 

『○月×日、対魔王用の新兵器できた。と言っても要は改造人間なんですがね。改造手術受けたいヤツを募集したら抽選になるほどの人気だった。皆どれだけ改造人間に憧れ抱いているんだ、手術後には記憶がなくなるんだけど、いいのか。魔法使い適性を最大レベルに上げるだけの簡単な手術と説明したのに、連中がワガママ言い出した。ついでに紅目(あかめ)にしてほしいだの、一人一人の体に機体番号とか付かないのかだのと、この国はこんな連中ばっかなのか』

 

 

『○月×日、手術がようやく終わった。「マスター、我々に新しい名を」とか言ってきた。マスターって誰だよ。面倒臭いから適当なあだ名を付けてやった。何か喜んでたが、コイツらの感性どうなってんだろ。でもコイツらすげえ強い。何かお偉いさんに褒められたし、せっかくだから種族名でも付けてやろう。目の色に合わせて「紅魔族」』

 

 

「「ええっ!!」」Σ(Д゚;/)/

 

 

手記を途中まで読んでいたアスタとクリスは、めぐみん達のご先祖様誕生の秘密を知ってしまった。

 

 

「まさかめぐみん達のご先祖様が改造人間だったなんて…」

 

 

「あぁ…、だからめぐみんのうなじにバーコードみたいな刺青があったんだ…」

 

 

「クリス、何で知ってるの?」

 

 

「一緒にカズマの求愛を受けている時に」

 

 

「……とりあえず続きを読むわね…」

 

 

『○月×日、紅魔族の連中が彼らの天敵である「魔術師殺し」に対抗可能な兵器が欲しいとごねだした。いやアレ動きませんよ?大体お前らの天敵として作った訳じゃないし、そもそもバッテリー切れてますから。いくら説明しても誰一人聞かないから適当な武器を作ってやった。…適当に作るつもりが何だか懲りすぎて凄い代物になった。電磁加速要素なんてないけど、便宜上「レールガン(仮名)」とでも名付けとこう』

 

 

『レールガン(仮名)凄え、マジ凄え。これこそ世界を滅ぼしかねない兵器じゃね?魔力を圧縮して撃ち出すだけのお手軽兵器だったはずなのに、連中に一発撃たせてみたらあまりの威力にビックリした。とは言えこんな威力を誇るのも今だけだろう。あり合わせの部品で作ったものだし、数発撃ったらぶっ壊れそう。悪用されても怖いからしまっとこう。というか長さが長さだし、物干し竿代わりにちょうどいいな』

 

 

『しかしまいったな。紅魔族計画が上手くいった事で、気を良くしたお偉いさん達が莫大な国家予算をかけて超大型の機動兵器を作る計画を立てている。そんなもん簡単にできると思ってんのかね。ほんとバカじゃねーの?』

 

 

『まあ、俺には関係ない話ですがね!』

 

 

「「………」」

 

 

アスタとクリスは手記を読み終えると同時に項垂れた。

 

 

「まさかデストロイヤーを造った人とこの人が同一人物だったなんて…」

 

 

「と…とにかく、このレールガンって物を探そうよ!」

 

 

「そうね、でも物干し竿くらいの長さがあるならすぐに見つかるはずだけど…んっ?"物干し竿くらいの長さ"?」

 

 

アスタは自分が言った言葉に違和感を覚えた。そして

 

 

「あ~っ!分かったレールガンの在り処が!」

 

 

レールガンが何処にあるのか"思い出した"のだった。

 

 

「お姉ちゃん本当!?」

 

 

「ええ!ってかクリス、アンタも見ているはずよ!次の目的地は"あそこ"よ!」

 

 

アスタは一目散に駆け出し、クリスもアスタの後を追った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「まさかあのシルビアと互角とは…」

 

 

「………」

 

 

丘の上で見ていた皆は、カズマとシルビアの戦いは互角の勝負に驚いていた。

 

 

「皆、持ってきたわよ!『魔術師殺し』の対抗策を!」

 

 

そこにアスタとクリス、キョウヤとゆんゆんがレールガンを持って到着した。

 

 

「アスタ、ミツルギとゆんゆんが持っているそれが対抗策なのですか?」

 

 

「そうよ、これは魔力を圧縮して撃ち出すと書かれていたから、ここにいる紅魔族全員の魔力を込めれば撃てるはずよ!」

 

 

「分かりました。皆さん、魔力を!」

 

 

めぐみんの指示で紅魔族全員が魔力を放出する。するとレールガンのマガジンに当たる部分が魔力を吸収し始めた。

 

 

「まだなのか?」

 

 

「多分だけど撃てるだけの魔力がまだ溜まっていないんだわ」

 

 

丘にいる人達の中で唯一狙撃ができるキースが撃てる状態なのか質問すると、アスタがまだ溜まっていないことを伝える。

 

 

「……溜まったわ!キース、そこの引き金に指を添えて狙いを!」

 

 

魔力が十分に溜まったのを確認したアスタは、キースに使い方を教える。

 

 

「狙いを定めたら引き金を引いて」

 

 

「了解。…狙い撃つ!」

 

 

キースはシルビアに狙いを定め、引き金を引いた。するとレールガンから魔力の銃弾が撃ち出された。そしてシルビアに直撃する…と思いきや、当たる直前でシルビアが気づき、弾道から離れ直撃を免れた。

 

 

「避けられた!?」

 

 

「そんな…、狙撃を使ったのに!?」

 

 

クリスとキースはシルビアが避けた事に驚いた。

 

 

「もう一度魔力を!」

 

 

「ダメ、今の一発で発射口が破竹のように壊れてる!もう使い物にならないよ!」

 

 

めぐみんがもう一度魔力を込めようとするが、クリスがレールガンの状態を口にした。

 

 

「……こうなったら、最後の手段ね。めぐみん、カズマに装甲声刃を。それから、バッグをクリスに」

 

 

「…分かりました」

 

 

めぐみんはバッグをクリスに渡し、ぶっころりーに頼んでカズマの下へテレポートしてもらった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「何だったんだい、今の?」

 

 

シルビアが自分に迫っていたものに気を取られていると

 

 

「カズマ」

 

 

めぐみんがぶっころりーと共にカズマの横に現れた。

 

 

「めぐみん、それにぶっころりーか」

 

 

「アスタからこれを渡すよう言われました」

 

 

「これは…、装甲声刃か」

 

 

めぐみんはカズマに装甲声刃を渡した。

 

 

「カズマ…、必ず勝ってくださいね。…んっ」

 

 

めぐみんはカズマの口(があるであろう所)にキスをした。そしてぶっころりーに頼んでテレポートした。

 

 

「サンキュー、めぐみん。いくぜ、"響鬼・装甲"!」

 

 

カズマは装甲声刃にあるメガホンマイクに向かって声を発する。すると何処からともなくディスクアニマルが集まり、変型しながらカズマの体に纏わりつき、鎧の一部となる。そして金色の茜鷹が胸に装着され、額に"甲"の字型の装甲が装着された。

 

 

「なっ…、何だい!何なんだいその姿は!?」

 

 

「仮面ライダー響鬼最強の姿…、その名も…」

 

 

装甲響鬼(アームドヒビキ)

 

 

「アームド…ヒビキ」

 

 

カズマが放つ威圧にシルビアは臆してしまった。

 

 

「シルビア、俺はお前を許さない。地獄で閻魔様に懺悔するんだな、"音擊刃(おんげきは)鬼神覚声(きしんかくせい)"!!」

 

 

カズマは装甲声刃のメガホンマイクに声を発すると、その声を音擊として増幅させ、装甲声刃の刃がカズマの身長以上に伸びると、カズマは一気に装甲声刃を縦に振り下ろし、シルビアを一刀両断した。

 

 

 

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