この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第37話

 

 

「なあ…、"クーロンヒュドラ"って、何だ?」

 

 

カズマが屋敷に戻ってから開口一番、質問をした。

 

 

『だあっ!?』

 

 

カズマの質問にキョウヤ以外全員がずっこけた。因みに今カズマ達がいるのは屋敷のリビングであり、リビングにはダクネス以外全員と、窓からジラフが頭を屋敷の中に入れていた。

 

 

「クーロンヒュドラを知らないのですか!?」

 

 

「あはは…、カズマ君の反応は僕もした事があるから分かるよ…」

 

 

カズマの反応にキョウヤは苦笑いを浮かべていた。

 

 

「あっ、そっか。カズマは"違う国"から来たんだからクーロンヒュドラの事は知らないんだっけ?これはクーロンヒュドラよ」

 

 

アスタはカズマにクーロンヒュドラの手配書を見せた。

 

 

「これは…、まるで"ヤマタノオロチ"みたいだな」

 

 

「ヤマタノオロチって、確かカズマとキョウヤの国の神話に出てくるモンスターだっけ?」

 

 

ヤマタノオロチ

 

 

日本の神話に登場する胴体が一つで、首と尻尾が八つある超巨大な蛇である。

 

 

その昔、スサノオノミコトが酒をがぶ飲みさせ、退治したとされる。

 

 

そして尻尾の四つ目か五つ目を斬ると剣が埋め込まれており、その剣が後にゲーム等に出てくるクサナギノツルギであるとされる。

 

 

(※諸説あり)

 

 

「クーロンヒュドラは汚い湖等に生息するモンスターで、体内に蓄積している魔力を使い果たすと、湖の底に潜って周囲の魔力を吸い上げちゃうのよ。それで魔力を吸収し終えるまで十年は掛かるんだけど、最後に目撃されたのが今から十年前で…」

 

 

「なるほど、時期的にクーロンヒュドラが目覚めるって事か。それで、何でダクネスは一人でコイツを受けたんだ?」

 

 

「それが分からないのよ、私達がいくら理由を聞いてもはぐらかすから」

 

 

カズマはダクネスがこの依頼を受けた理由を質問するが、誰一人知らなかった。

 

 

「とりあえずコイツの情報が欲しい、アスタとクリスはギルドに行ってコイツの情報を出来るだけ集めてくれ。他の皆は自由に行動してくれて構わないから」

 

 

「でしたらカズマ殿、私達は一度王都に戻り、騎士団を派遣する手筈を整えようと思うのだが」

 

 

「…確かに、戦力は多いに越した事は無いな。クレア姉さん、頼みます」

 

 

カズマはクレアの申し出を受ける事にした。

 

 

「分かった。今日はもう遅いから明日、出立しよう。アイリス様、それでよろしいですか?」

 

 

「構いません。こんな時に駄々をこねる訳にはいきませんから」

 

 

「ありがとうございます、アイリス様」

 

 

カズマの計らいでアイリスとクレアとレインの三人は王都へ戻る事になった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから2日、アスタとクリスの二人はギルドで手に入れたクーロンヒュドラの情報を持って屋敷に帰って来ていた。

 

 

「これがクーロンヒュドラの情報よ」

 

 

「助かる。…なるほど、コイツは蓄積させた魔力を使って再生したり、攻撃をしてくる様だな」

 

 

「どうするカズマ君?アイリス様達が派遣して下さる騎士団は早くても後3日は掛かるみたいだが…」

 

 

「残念だが時間的猶予は無さそうだ。キョウヤ、今からギルドに行って協力者の募集をしてきてくれ。内容は…」

 

 

カズマはキョウヤにクーロンヒュドラ討伐の協力をお願いする広告を出してもらう様お願いをした。キョウヤは頷き、早速ギルドへ向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

翌日、カズマとめぐみんはクーロンヒュドラがいる湖がある森へ来ていた。

 

 

「カズマ、この森を抜ければクーロンヒュドラがいる湖に着きます」

 

 

めぐみんがカズマを案内していると、ガサガサと茂みが動いた。

 

 

「っ!?めぐみん、俺の後ろに」

 

 

カズマはめぐみんの前に立つ。そして茂みの揺れが大きくなると

 

 

「ピカ?」

 

 

そこから黄色いモンスターが現れた。

 

 

「おや、可愛いモンスターですね」

 

 

「待てめぐみん!ソイツに…」

 

 

めぐみんがモンスターに触れようとした瞬間

 

 

「ピ~カ~…、ヂュウ~ッ!!」

 

 

「アババババババ…!」

 

 

モンスターは電撃を放ち、めぐみんはその電撃を浴びてしまった。

 

 

「めぐみん、大丈夫か!?」

 

 

「し…、シビレビレ~」

 

 

カズマはめぐみんに駆け寄り、抱き起こすが、めぐみんは体が麻痺してしまったのか、体を動かせずにいた。

 

 

「ピカ~…」

 

 

「悪かった、悪かったよ!もうお前の縄張りには近づかないから!」

 

 

カズマはめぐみんをおんぶすると、来た道を戻って行った。その後、屋敷に戻ったカズマはキョウヤから話を聞き、作戦を決行するのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

 

その翌日、ダクネスは一人クーロンヒュドラがいる湖に向かっていた。

 

 

「遅えぞ、ダクネス」

 

 

「なっ…カズマ」

 

 

ダクネスの目の前には大勢の冒険者を引き連れたカズマがいた。

 

 

「…何をしに来た?」

 

 

「何を…ってそれはこっちのセリフだバカネス!たった一人で討伐できる程コイツは甘くねえ!少しは仲間を頼れ!」

 

 

カズマはダクネスの頭を小突く。

 

 

「…すまなかった」

 

 

ダクネスは自分の事を心配してくれるカズマ達に謝った。

 

 

「ったく…。よし、それじゃ作戦を説明するぞ!まず盗賊部隊は鋼鉄製のワイヤーを持って待機!リーダーはクリスだ!」

 

 

「了解!」

 

 

「次にアーチャー部隊!フック付きの矢を用意して待機!リーダーはキース!」

 

 

「任せろ!」

 

 

「クルセイダー部隊は後衛を守る為、その場で待機!リーダーはテイラー!ダストにキョウヤ達は臨機応変に動いてくれ!」

 

 

「仲間は絶対守るから安心しな!」

 

 

「了解した!」

 

 

「ウィザード部隊は魔法を撃てるよう後方待機!リーダーはリーンとゆんゆん!めぐみんは最後の切り札として全体の指揮を!」

 

 

「「了解!」」

 

 

「分かりました!」

 

 

「ダクネスはヒュドラの正面で囮スキルを使用!奴の気を引き付けてくれ!」

 

 

「分かった!」

 

 

カズマは次々に指示を出していった。

 

 

「カズマ、私は?」

 

 

「アスタは女神の姿になって湖を浄化してくれ。綺麗な水を嫌うヒュドラならすぐに現れるだろうから、合図を送り次第戻ってプリースト部隊の指揮を頼む。プリースト部隊はヒュドラが現れたら全員にフル支援と、怪我人の治療を」

 

 

「分かったわ!」

 

 

アスタは早速女神(アクア)の姿になり、湖に入った。すると段々水が浄化されていき、湖の中心に巨大な影が現れた。

 

 

「アクア!ヒュドラが現れた!急いで戻れ!!」

 

 

カズマはアクアに指示を出し、アクアは急いで湖から上がり、後方へ下がった。そして湖から毒々しい色合いをしたヒュドラが現れた。

 

 

「お前の相手はこの私だ!"デコイ"!」

 

 

ダクネスは囮スキルでヒュドラの気を引く。そしてヒュドラはダクネスに噛みつこうとしたが、ダクネスはヒュドラの牙をがっちりと掴み、離さなかった。

 

 

「今だよ!"バインド"!!」

 

 

その隙を突いたクリスが指示を出し、盗賊部隊全員がワイヤーを投げながらバインドを発動させた。するとワイヤーはヒュドラの八つの首全てを一纏めに縛り上げた。

 

 

「今だ!矢を放て!」

 

 

キースの号令でアーチャー部隊全員が矢を放ち、フックがワイヤーに引っ掛かった。

 

 

「よし今だ!思い切り引けー!!」

 

 

テイラーの号令でクルセイダー部隊全員がヒュドラを湖から引き上げようとロープを引っ張った。

 

 

「……駄目だ!逆に引っ張られる!」

 

 

しかし、ヒュドラの力が強いのか、逆にヒュドラがクルセイダー部隊を引っ張った。

 

 

「ウィザード部隊、攻撃開始です!」

 

 

だがめぐみんの指揮により、ウィザード部隊の攻撃が始まり、ヒュドラは傷を負ったり、首を斬られたりされた。

 

 

「…よし、いけるか!?」

 

 

カズマは作戦が成功した事で安心したのも束の間、ヒュドラは首を大きく動かし、カズマを森まで吹っ飛ばしてしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「いてて…」

 

 

ヒュドラに吹っ飛ばされたカズマは、木に体を打ち付けてしまい、動けなくなっていた。

 

 

「ピカチュ~ウ」

 

 

そこに先日の黄色いモンスターが赤い頬から電気を出しながら現れた。

 

 

「…お前か。すまないな、縄張りには近づかないって言ったのに近づいちまって…」

 

 

カズマは痛む体を起こしながらモンスターに謝った。

 

 

「ピカ…」

 

 

モンスターはカズマを睨みながら警戒していた。

 

 

「…すぐにここから立ち去るから、待っていてくれ。それと…、今は湖に近づくんじゃねえぞ?危ないからな」

 

 

カズマは痛みを堪えながら立ち上がり、湖に向かった。モンスターはそんなカズマの姿を見送った後、カズマの後を追うように走り出した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「カズマっ!大丈夫なの!?」

 

 

カズマが湖に到着した途端、アクアが近づき、ヒールを使って傷を治療した。

 

 

「何とかな…。…状況は?」

 

 

「…最悪の一歩手前ね。カズマが吹っ飛ばされた後、ヒュドラはワイヤーを外そうともがいているわ」

 

 

アクアが視線を向けた先では、ヒュドラが首を左右に大きく振り、ワイヤーを外そうとしていた。ロープを持っているクルセイダー部隊が何とか持ちこたえているが、時間の問題だった。

 

 

「早く何とかしないと…うぐっ!」

 

 

カズマはヒュドラに近づこうとするが、まだ治療は終わっておらず、痛みがカズマの体を走った。

 

 

「カズマっ、無理しないで!」

 

 

「でも…」

 

 

カズマはアクアの制止を振り切ろうとした矢先

 

 

「チュ~、ピッカ!」

 

 

"何か"がヒュドラの体に攻撃をした。

 

 

「一体なに!?」

 

 

「あれは…!」

 

 

カズマはヒュドラに攻撃をしたのが誰か、しっかりと見た。そしてヒュドラに攻撃をしたものがカズマの目の前で着地した。

 

 

「ピッカ!」

 

 

「お前…」

 

 

そう、カズマを追い掛けたあの黄色いモンスターだった。

 

 

「…助けてくれる…のか?」

 

 

「ピカ!」

 

 

カズマはモンスターに話しかけると、モンスターはカズマを見て頷いた。

 

 

「…ありがとう。よし、"ピカチュウ"!君に決めた!!」

 

 

「ピカチュウ!!」

 

 

カズマは黄色いモンスターこと『ピカチュウ』と共に戦う事を決めた。

 

 

「ピカチュウ、『でんこうせっか』!」

 

 

「ピカ!」

 

 

カズマはピカチュウに指示を出すと、ピカチュウは電光石火の名の通り素早い動きでヒュドラに近づき、ヒュドラの胴体にダメージを与えた。

 

 

「ピカチュウ、ヒュドラの首に『アイアンテール』!」

 

 

「ピッカ!チュ~、ピッカ!」

 

 

「ギャアアアッ!!」

 

 

ピカチュウはカズマの指示通り、ヒュドラの首に鋼鉄化した尻尾を叩きつけた。するとヒュドラはピカチュウの攻撃によって怯んだ。

 

 

「今だっ!ピカチュウ『10まんボルト』!!」

 

 

「ピッカ!ピ~カ~チュウ~ッ!!」

 

 

カズマはヒュドラが怯んだ隙を狙い、ピカチュウに指示を出す。そしてピカチュウは強力な電撃をヒュドラに浴びせた。

 

 

「ギャアアアッ!!ア…、ガ…」

 

 

10まんボルトの効果なのか、ヒュドラは麻痺してしまった。

 

 

「お兄ちゃん、お待たせしました!!」

 

 

「王国騎士団、ただいま到着だ!」

 

 

そこにアイリス達が騎士団を引き連れて現れた。

 

 

「アイリス!クレア姉さんにレイン姉さんも!こんなにも早く到着するなんて…」

 

 

「早くお兄ちゃんに会いたくて、急いで来ました!」

 

 

「まさか移動の大半を強行軍するとは思いませんでした…」

 

 

クレアの言う通り、騎士団全員が疲弊しており、アクア達プリースト部隊が騎士団を回復させていた。

 

 

「ピカッ、ピカチュウ!」

 

 

「ああ、これだけいれば倒せる!皆、もう一踏ん張りだ!」

 

 

カズマの号令でクルセイダー部隊と回復した騎士団がヒュドラを湖から引き上げようとロープを引っ張った。

 

 

「…まだ、まだ足りない…!」

 

 

だがヒュドラは残っている力を振り絞り、湖に潜ろうとしていた。

 

 

「…ピカッ!」

 

 

「ピカチュウ?」

 

 

ピカチュウはカズマを力強く見つめる。

 

 

「…もしかして、"アレ"を使えるのか?」

 

 

カズマの質問にピカチュウは頷いた。

 

 

「…分かった。ピカチュウ、お前に託す!ピカチュウ、『ボルテッカー』!!」

 

 

「ピッカ!ピカピカピカピカピカピカ…、ピッカ!!」

 

 

カズマは"ピチュー"、"ピカチュウ"、"ライチュウ"しか使えない技『ボルテッカー』をピカチュウに指示する。ピカチュウは電撃をその身に纏いながらヒュドラに突撃する。そしてピカチュウはヒュドラの腹に突撃し、ヒュドラは湖から吹っ飛ばされた。

 

 

「めぐみん!!今だっ!!」

 

 

「了解です!いきますよ!」

 

 

『エクスプロージョンッッッ!!!』

 

 

カズマはめぐみんに指示を出し、めぐみんは渾身の爆裂魔法をヒュドラに喰らわせた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「いや~、何とかなったな!」

 

 

「ですね。騎士団も長年眠らせるのが精一杯だったのに、よもや倒す事ができるなんて…」

 

 

ダストの言葉にクレアが頷いた。

 

 

「それも、こんな小さな協力者のおかげですものね」

 

 

レインが見つめる先には、カズマとピカチュウがいた。

 

 

「ピカチュウ、お前のおかげでヒュドラを倒せたよ。ありがとう」

 

 

「ピカピカチュウ」

 

 

カズマはピカチュウにお礼を言うと、ピカチュウは首を横に振った。

 

 

「ピカ、ピカピ、ピカチュウ」

 

 

「『倒せたのはあなたのおかげ』だって?…それでも、お前が協力してくれたからさ。だから、ありがとう」

 

 

「ピ…、ピカ~」

 

 

カズマはピカチュウの頭を撫でると、ピカチュウは気持ち良さそうに目を細めた。

 

 

「…さて、俺達はそろそろ帰るよ。ピカチュウ、またどこかで会おうな」

 

 

カズマはピカチュウを置いて湖から去ろうとした。

 

 

「…ピカ!」

 

 

だが、ピカチュウはカズマの背中に飛び乗ったのだった。

 

 

「ピカチュウ…、お前…俺達と一緒にいたいのか?」

 

 

「ピッカ!」

 

 

カズマがピカチュウに質問すると、ピカチュウは笑顔で鳴いた。

 

 

「そっか…。ならこれからもよろしくな!ピカチュウ、ゲットだぜ!」

 

 

「ピッピカチュウッ!」

 

 

こうして、不思議な生き物『ポケットモンスター(縮めてポケモン)』ピカチュウが仲間になった。これからも彼らの冒険は続く。

 

 

続くったら続く。

 

 

 

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