この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第42話

 

 

「とても良い宣言だったよ、カズマ」

 

 

『女神エリス感謝祭』開催の宣言を終えたカズマは、クリスに労われた。

 

 

「ありがとうクリス、これならエリス様も喜ぶだろ?」

 

 

「…うんっ!」

 

 

クリスは満面の笑みを浮かべてカズマに抱きついた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「やあカズマ君!久しぶりだね」

 

 

カズマはクリスと一緒に祭りの見回り(と言う名のデート)をしていると、ゆんゆんの父親である"ひろぽん"に声を掛けられた。

 

 

「族長、お久しぶりです」

 

 

「ああ、此度は我等の申し出を受けてくれてありがとう」

 

 

カズマとひろぽんはお互いに握手をした。

 

 

「あっ、お兄様!」

 

 

そこにクレアとレインを引き連れたアイリスが現れたのだった。

 

 

「アイリス!それにクレア姉さんとレイン姉さんも」

 

 

「お久しぶりです、カズマさん」

 

 

「カズマ殿、本日の『女神エリス感謝祭』の開催、誠におめでとう。…ところで、そちらの方は?」

 

 

クレアはひろぽんの事を知らなかったので、カズマに誰なのかを質問した。

 

 

「我が名は"ひろぽん"!紅魔族の族長にして上級魔法を操る者!」

 

 

ひろぽんは紅魔族特有の名乗りを上げた。

 

 

「…とまあ、名乗りの通り、彼はひろぽんさん。紅魔族の族長でゆんゆんの父親でもあるんだ」

 

 

「よろしく頼むぞ!」

 

 

「これはこれはご丁寧にありがとうございます。私はベルセルク・スタイリッシュ・ソード・アイリスと申します」

 

 

アイリスもひろぽんに自己紹介をした。

 

 

「娘のゆんゆんから聞いております、何でも王都に住む姫君(ひめぎみ)とか。これからもよろしくお願いいたしますぞ」

 

 

「こちらこそ」

 

 

「ところで族長、出店(でみせ)や頼んでいたの方は?」

 

 

「頼まれた方は滞りなく。出店は始まったばかりですが、物珍しさから見物人がちらほらと」

 

 

カズマの質問にひろぽんは指を差しながら答えた。カズマ達はひろぽんが指を差した方を見てみると、そこにはアクシズ教徒が出している屋台で客寄せをしている"ぶっころりー"や"あるえ"の姿があった。

 

 

「あらカズマさん、お久しぶりです」

 

 

「お義母さん、お久しぶりです。中々顔を見せられず、申し訳ありません」

 

 

そこに巫女装束を着たゆいゆいが姿を見せ、カズマは挨拶をした。

 

 

「別に気にしなくて良いですよ、領主になってお忙しい事を、娘から手紙で聞いていますので」

 

 

「…ありがとうございます。では、お義父さんへの顔合わせついでに"おみくじ"を引かせてもらいますよ」

 

 

「あら、わざわざありがとうございます。では、こちらへどうぞ」

 

 

カズマ達はゆいゆいに案内されて、紅魔族の出店に向かった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「あなた、ただいま戻りましたよ」

 

 

「おお、戻ったか。おや、誰かと思えば我が義息のカズマさんではないか」

 

 

「お義父さん、お久しぶりです。今日はおみくじを引きに来ました」

 

 

カズマ達が出店に到着すると、神主の格好をしたひょいざぶろーと会い、カズマは頭を下げる。

 

 

「そうか。…では皆さん、まずはこちらに五エリスお納め下さい」

 

 

ひょいざぶろーは賽銭箱を差し、カズマ達は言われるまま五エリスを奉納した。

 

 

「では皆さん、こちらの箱から棒を一本だけ、お取り下さいな」

 

 

今度はゆいゆいが天面に穴が空いた箱を取り出し、カズマ達はその箱から棒を一本ずつ抜いた。

 

 

「七…か」

 

 

「あたしは…十」

 

 

「二十五…と書かれています」

 

 

「私は…十四」

 

 

「二十です」

 

 

カズマ達は棒に書かれている番号を読むと

 

 

「分かりました。まずカズマさんのは…こちらですね。それからクリスさんは…これ。残りの皆さんのは…これと、これと、これですね」

 

 

ゆいゆいは棚に書かれた番号にある物を渡した。

 

 

「ありがとう、お義母さん」

 

 

「はい、またのお越しを」

 

 

「…あのカズマ殿?これは一体…?」

 

 

クレアはゆいゆいから受け取った物、『四つ葉のクッキー』をまじまじと見ていた。

 

 

「これは"フォーチュンクッキー"と言って、こうする…と」

 

 

カズマはクッキーを2つに割った。

 

 

「クッキーの中に…紙?」

 

 

「これがおみくじです。…おっ、大吉」

 

 

カズマはクッキーからおみくじを抜き取り、広げた。するとおみくじには『大吉』と書かれていた。

 

 

「何々…?『恋愛運・想いが成就』、『金運・思いがけない収入有り』、『仕事運・企画が成功』、『健康運・長年の成果が現れる』…だって」

 

 

カズマのおみくじを覗き見たクリスは、カズマのおみくじを読み上げた。そしてクリス達は自分のクッキーを割り、中のおみくじを広げた。

 

 

「あたしは…『小吉』」

 

 

「私は…『凶』?」

 

 

「私は…『末吉』と書かれています」

 

 

「私は…『中吉』ですね」

 

 

クリス達は自分のおみくじを読み上げていると

 

 

「クレア姉さん以外はそこそこな運勢だな…、じゃあクレア姉さん、ちょっとこっちに」

 

 

カズマはクレアを連れて出店の一角にある所へ来た。

 

 

「クレア姉さん、さっきのおみくじを細長く折ってこの紐に結ぶんだ」

 

 

「こ…こうか?」

 

 

クレアはカズマに言われた通りにおみくじを細長く折り、紐に結んだ。

 

 

「これでクレア姉さんの運勢は『凶』から『吉』に変わったよ」

 

 

「そ、そう…なのか?」

 

 

「うん」

 

 

カズマはにっこり微笑んだ。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

その後、巫女装束を着たゆんゆんとふにふらとどどんこ、更にめぐみんとこめっこが現れ、カズマはクリスとめぐみんを連れて祭りの見回りに繰り出した。

 

 

因みにアイリス達三人はめぐみん達と出会った後別れた。

 

 

そして休憩しながら祭りを回り、気が付けば夜になっていた。

 

 

「ちょっと!許可も無くこんな物売られては困ります!」

 

 

すると、アクシズ教徒のブースから大声が聞こえた。

 

 

「何かあったのか?」

 

 

「あっ、領主様!ちょっとこれ見て下さいよ!」

 

 

カズマが大声がした所に着くと、祭りの実行委員会の者が出店を指差した。そこには生け簀の中に巨大なおたまじゃくしが泳いでいた。

 

 

「生き物関係の出店は禁止になっているのに、ジャイアントトードの子供を売っているのですよ!」

 

 

「よし、今すぐ店を差し押さえろ!それからこの出店(でみせ)出店(しゅってん)を無期限の参加禁止を言い渡す!連れて行け!」

 

 

「ちょっと!そんな横暴は…、いや、ちょっと!めぐみんちゃ~ん、助けて~っ!」

 

 

祭りの実行委員会によって店番をしていたプリーストは連行されて行った。

 

 

「…なあめぐみん、あのプリーストは知り合いか?」

 

 

「私がこの街に着くまでに知り合ったプリーストで、名前は"セシリー"と言います。小さい女の子が好きで、よく私に『お姉さんと呼んで!』と言い寄っていました」

 

 

カズマはめぐみんの説明に頭を抱える。

 

 

そしてアクシズ教徒のブースは瞬く間に契約違反な商売をしていた罪で全員捕まってしまった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『女神エリス感謝祭』2日目、この日の朝からカズマはアクシズ教徒が起こした騒動の後始末を片付けていた為、祭りを見回るのが夜になってしまった。

 

 

「まったく…、アクシズ教徒は好き勝手やる奴ばかりだな!少しはアスタを見習えってんだ!」

 

 

「ごめんなさいカズマ…、ちゃんと言い聞かせたんだけど…」

 

 

「アスタが悪いんじゃねぇ、悪いのは約束を破ったアクシズ教徒(あいつら)なんだから」

 

 

そう、アスタはアクシズ教徒全員に誓約書を見せ、サインをさせた。だがアクシズ教徒達はその誓約書を"全て読まず"にサインをした為、誓約違反と言う事でカズマはアクシズ教徒達に街からの退去を命じたのだった。

 

 

当然アクシズ教徒達は文句を言っていたのだが、サインをした誓約書を見せた為、アクシズ教徒達はぶつぶつ言いながらアクセルから去った。

 

 

「……そう言えば、アクシズ教徒のブースはどうなるの?」

 

 

「今は紅魔族のブースになっているはずだ。元々そう言う契約を族長達としていたからな」

 

 

カズマはアスタと一緒にアクシズ教徒(現紅魔族)ブースに到着した。

 

 

「さあいらっしゃいいらっしゃい!紅魔の里限定、領主様が考えたYA()KI()SO()BA()はいかがですか!?」

 

 

「さあさあ、こちらにあるのは領主様が考案されたかき氷ですよ!冷たくて美味しいかき氷!食べなきゃ損ですよ!」

 

 

「野生のタコ焼き、出来立てだよ!外はカリカリ、中はふっくら!食べれるのはこのお祭りだけだよ!」

 

 

そこにはカズマが考案した食べ物を売る紅魔族の姿があった。

 

 

「焼きそばにかき氷、たこ焼きまで…。…ってカズマ、あれ…」

 

 

「んっ?…なんでわたあめの屋台があるんだ?」

 

 

アスタは屋台の一つを指差すと、そこにはわたあめの屋台があり、そこではクリスが店を切り盛りしていた。

 

 

「あっ、カズマにお姉ちゃん」

 

 

「クリス、なんで紅魔族のブースで屋台やってんだ?それにその機械って…」

 

 

「実は里にある例の地下格納庫を調べた時に、埃を被っていたこの魔導具がありまして。それでクリスに調べてもらった所、"わたあめ"なるお菓子を作る道具だと判明しまして」

 

 

カズマが何故わたあめを作る機械があるのか疑問に思っていると、そこにめぐみんが現れ、事情を説明したのだった。

 

 

「めぐみん。…でも、良く動かせたなコレ。俺なら怖くて動かそうとは思わんぞ」

 

 

「それは私も同意なのですが、クリスが…」

 

 

めぐみんはクリスを一瞥すると、クリスは下手な口笛を吹きながら視線を反らした。

 

 

「ク~リ~ス~?」

 

 

「だって…、わたあめ食べたかったんだもん…」

 

 

「可愛く言ったってダメ!今回は上手く動いたけど、下手すれば爆発する危険だってあるのよ!?ちゃんと反省しなさい!」

 

 

「はぁい…」

 

 

アスタに怒られたクリスはしょんぼりしてしまった。

 

 

「あはは…。それはそうと、ザラメなんてあったかな?」

 

 

「ああ、それならカズマの世界から持って来たらしいわよ?今カズマの世界じゃいろんな色のザラメを売ってるから、天界じゃちょっとしたわたあめブームらしいのよ。後輩の女神や天使達が、『誰が一番大きいわたあめを作る』とか『誰が一番カラフルなわたあめを作る』とか競っているって。この前クリスから聞いたのよ」

 

 

アスタの説明にカズマは呆然となってしまった。

 

 

「カズマ、こんな所にいたのか?もうすぐ"時間"だぞ?」

 

 

そこにダストが現れ、カズマを呼んだ。

 

 

「ダスト、もうそんな時間なのか。悪い皆、俺はこれから用事があるから、ちょっと抜けるぞ」

 

 

カズマはそう言って、ダストと一緒に走り去っていった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「カズマ、一体何処に行っちゃったんだろう…」

 

 

カズマがダストと走り去った後、アスタはめぐみんとクリスを連れて祭りを回っていた。因みにわたあめ屋は偶然にも出店(でみせ)が暇になったゆいゆいとひょいざぶろーが行っていたりする。

 

 

「何やらダストと一緒に慌てた様子で走り去って行きましたけど…?」

 

 

アスタとめぐみんとクリスはカズマがダストと一緒に走り去った理由を考えていると

 

 

「《皆さん、大変長らくお待たせしました!今宵、この街から生まれた踊り子集団『アクセルハーツ』の歌と、領主様達による演奏を執り行わせていただきます!!》」

 

 

魔導メガホンから聞こえた言葉に三人が反応した。

 

 

「今、『アクセルハーツ』って…」

 

 

「それに、『領主様達』とも言っていましたね。見に行きましょう!」

 

 

アスタ達は人混みを押し退けて前に進む。途中はぐれそうになるも、がっちりと手を繋いで人混みの最前列に到着した。

 

 

そこには、ステージ衣装を身に纏ったアクセルハーツのメンバーと、体だけ鬼の姿になっているカズマとダストとキョウヤの姿があった。

 

 

しかもカズマは音撃棒・烈火を、キョウヤは音撃モードになっている烈雷を、ダストは笛を持っていた。

 

 

「《では、お願いします!》」

 

 

司会の言葉にカズマ達は頷き合うと、演奏と歌を披露した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「《とても素晴らしい演奏と歌でした!皆さん、彼等に拍手を!》」

 

 

演奏と歌が終わると同時に観客が盛大な拍手をカズマ達に送った。

 

 

「皆、とても良かったよ」

 

 

「練習した甲斐があったってもんだな」

 

 

観客に見送られ、カズマ達は控え室で私服に着替え、疲れを癒していた。

 

 

「僕としてはダストが笛を吹ける事に驚いたよ。何時から吹けるようになっていたんだい?」

 

 

「小さい時から草笛とかを吹いていたからな、昔通った道すがらってやつさ」

 

 

「やっほ~カズマ!お疲れさま!」

 

 

そこにアスタとめぐみんとクリスの三人が控え室にやって来た。

 

 

「アスタ、めぐみん、クリス」

 

 

「カズマ、演奏凄い良かったよ!アクセルハーツの皆も歌声が凄い綺麗だったし!もう最高だよ!」

 

 

アスタは興奮気味にカズマに近寄った。

 

 

「アスタ、近いって!…でも、そんなに喜んでくれて良かった。やった甲斐があるもんだ」

 

 

「でもカズマ、カズマならともかく、ダストとミツルギの二人は何故鬼の姿になっていたの?音角はカズマしか持っていないのに…」

 

 

「その理由は"あれ"さ」

 

 

カズマが指差した所には、『鬼の着ぐるみ』があった。

 

 

「俺達はあれを着ていたって訳さ」

 

 

クリス達は『成る程…』と納得したのだった。

 

 

 

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