この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第43話

 

 

『女神エリス感謝祭』最終日、カズマは一人で屋台を見回っていた。すると

 

 

「さあいらっしゃいいらっしゃい!領主様が考案したTA()MA()SE()N()!食べられるのは今だけだよ!」

 

 

見知った顔が屋台を開いていた。

 

 

「おい、"ベルディア"、"ハンス"、"シルビア"」

 

 

「いらっしゃい!…って坊やかい」

 

 

「おおっ!誰かと思えばカメンライダーヒビキではないか!」

 

 

「んげっ!?あん時のガキかよ…!」

 

 

そう、見知った顔とは以前倒した魔王軍の幹部であるベルディアとハンスとシルビアだった。しかも三人共ご丁寧に頭部には捻り鉢巻をしており、祭り用の法被(はっぴ)も着ていた。

 

 

ぶっちゃけ、鎧の亡霊(デュラハン)であるベルディアは浮いた存在だった。

 

 

「何でこの街で屋台を開いているんだ?確かお前達は俺達が倒したはずだが…」

 

 

「確かに私達は坊や達に倒され、地獄に堕ちたさ。それで地獄で過ごしてしたらエリスって言う女神が『アクセルの街でお祭りを行いますから、良かったら来ませんか?』って誘われてね、んでお言葉に甘えて今日限りだけどこの世界に甦ったって訳さ。その証拠に、頭の上に輪っかがあるだろ?」

 

 

シルビアは自分の頭の上を指差す。そこには某『七つ集めると願いを叶えるボール』がある世界の死者に付いている輪っかがあった。そしてよく見ると、ベルディアとハンスの頭上にも、シルビアと同じ輪っかがあった。

 

 

「そうだったのか…」

 

 

「そう言う事。…あっ、そうだ。確かそのエリスって女神から調べてほしいって頼まれていた事があったんだけど…、それってアンタ達が調べていなかったかい?」

 

 

「んあ?…ああ、あのアルダープって奴の事か」

 

 

「それなら俺が調べといたぞ。アルダープはあの地獄の公爵の一人であるマスクウェルと一緒にいたな、それも"生きたまま"」

 

 

ベルディアは地獄にアルダープが生きたまま存在している事を言った。

 

 

「あ~、マスクウェルに捕まっていたのかい」

 

 

「うむ、しかも既に心が崩壊して廃人状態になっていたぞ。あれはマスクウェルが好む悪感情を出し続けたせいだろうな」

 

 

「うへぇ~、そうはなりたくねぇな」

 

 

シルビア達はカズマそっちのけで盛り上がっていた。

 

 

「ま…まあ楽しんでいるならそれで良いさ。今日は敵対関係云々は無しで、楽しんでいってくれ。それと、たません一つ」

 

 

「まいど!三百エリスね」

 

 

カズマはベルディアに三百エリス支払い、たませんを受け取った後、屋台から離れた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「《さあさあ!領主様ご考案『コスプレ決闘(デュエル)大会』開催中!ルールは簡単、こちらが用意した衣装に着替え、これまたこちらで用意したカードを使って戦うだけ!更に十連勝された方には景品を贈呈致します!遊び方が分からない方はご安心を!隣で『遊び方教室』を行っております!大会の参加費用は五百エリスですが、教室の参加は無料ですので、是非ご参加下さい!》」

 

 

屋台ブースから少し離れた所では、これまたカズマが考案したゲームブースが賑わっていた。

 

 

「『遊び方教室』の参加者はこちらからお入り下さい!」

 

 

「いいかい、ここはね…」

 

 

『遊び方教室』では、ルールを知ってるリアやキョウヤが参加者にルールや遊び方を教えており

 

 

「《さあ今七連勝目を賭けた決闘が始まりました!実況は私、シンフォニア家長女のクレア。解説にはアクセル新領主筆頭メイドの一人であるクリス殿でお送りします》」

 

 

大会では実況席が設けられており、そこにクレアとクリスの二人が座っていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

そしてこの日の太陽が地平線に沈み、辺りが暗くなった頃。

 

 

「やっとのんびり回れますね」

 

 

「だね~。あ~、喉がカラカラ」

 

 

決闘大会が滞りなく終わった為、クリスは偶然にもめぐみんと回っていたカズマと一緒に祭りを堪能していた。

 

 

ヒュルルルル…ド~ン

 

 

すると夜空に大きな火の花が咲いた。

 

 

「おお~っ!」

 

 

「花火大会が始まったようですね、ではカズマ!"参戦"しましょう!」

 

 

「はいっ!?Σ(Д゚;/)/」

 

 

めぐみんの言葉にカズマは目玉が飛び出るほど驚いた。

 

 

「あっ、カズマは知らないんだっけ?この時期はかがり火を炊いているでしょ?それに虫型のモンスターが寄って来るんだけど、そのモンスターは街の上空を旋回しながら襲撃のチャンスを狙っているんだよ。そこで、花火を打ち上げてモンスター達への"宣戦布告"をするんだよ」

 

 

クリスの説明にカズマは目が点になってしまった。そしてよく見ると、カズマ達を横切るウィザード職の人達が走っていた。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「くそっ、相変わらず硬いな!」

 

 

鎧を着たダクネスは襲撃してきた虫を倒そうと剣を振るっているが、相変わらず当たる気配が無かった。

 

 

「っ!?しまっ…」

 

 

ダクネスの横から虫が現れ、ダクネスに当たろうとした瞬間、突如"剣が横から現れ、虫を貫いた"。

 

 

「ダクネス、大丈夫か!?」

 

 

そこに剣を棒に括り着けた即席の槍を持ったダストが現れた。どうやら、先程の剣はダストの攻撃だったようだ。

 

 

「ダストか!助かった!」

 

 

「良いって事よ!それに、まだまだ虫はたくさんいるから油断すんじゃねぇぞ!?」

 

 

「無論だ!」

 

 

ダクネスとダストは背中合わせになって虫を迎撃する。だが、虫の数が多いのか、二人の息が上がり始めた。

 

 

「ハァ…、ハァ…、ハァ…。ダスト、まだいけるか?」

 

 

「もちろん!…って言いたいが、こんだけ数が多いと、ちとヤバいな」

 

 

ダストが少し弱気になった所を好機と見たのか、虫達が一斉に二人に襲い掛かった。

 

 

「リザーッ!!」

 

 

するとそこに炎が二人の頭上に上がり、虫達を一掃した。

 

 

「な…何だ!?」

 

 

「分からねぇ、一体何が…」

 

 

二人が困惑していると、二人の目の前にオレンジの皮膚のドラゴンが降り立った。

 

 

「リザーッ!!」

 

 

「何だコイツは!?」

 

 

「知らねぇよ!新手のモンスターか?」

 

 

二人は警戒しているが、ドラゴンは二人を襲う気配はしなかった。

 

 

「何なんだコイツ…?…んっ?その目…、もしかしてお前か?」

 

 

「リザ」

 

 

ダストはドラゴンの目を見て問いかけると、ドラゴンは頷いた。

 

 

「知ってるのか?」

 

 

「ああ、あれはダクネス達と出会う前なんだが…」

 

 

ダストは当時の事を思い出しながら語った。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

ダストがカズマ達と出会う前、売れる物を探す為ゴミ捨て場に来ていた。だがそこには先客がいた。

 

 

ダストは尻尾の先端に火が灯っているから、火竜(サラマンダー)の子供と思っていた。

 

 

すると街に雨が降り注ぎ、ダストは火竜を濡れないように抱え、ゴミ捨て場から走り出した。

 

 

近くの軒下で雨宿りをすると、ダストは持っていたタオルで火竜の体を拭いた。すると火竜から腹の虫が鳴った為、ダストは持っていたパンの欠片を火竜に差し出した。

 

 

火竜はダストとパンを交互に見つめ、そしてパンを受け取り、食べ始めた。

 

 

ダストはその様子を見つめていると、視界に光が差した。そして空を見上げると、雨雲は既に通り過ぎており、雲の切れ間から陽光が差していた。

 

 

ダストはその場で火竜と別れ、翌日にもう一度ゴミ捨て場に行くと、なんとあの火竜がその場にいた。

 

 

それから数日、ダストは火竜に食べ物を与え、ダストと火竜は仲良くなっていた。

 

 

ところがある日、ダストはいつものように食べ物を持ってゴミ捨て場に行くと、火竜の姿は無かった。

 

 

ダストは『警察に見つかって処分された』か、『仲間の元に戻った』と思った。そしてダストは空を見上げながらこう思った。

 

 

『願わくは、仲間の元に戻れた事を…』

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「…これが、俺と火竜の出会い話さ」

 

 

「そんな事が…。何とも美しい友情だな」

 

 

ダストの話を聞いていたダクネスは目に涙を浮かべていると

 

 

「ダスト、ダクネス!無事か!?」

 

 

ピカチュウとジラフとアンナを連れたカズマとめぐみんとクリスが現れた。

 

 

「カズマ!めぐみん!クリス!俺達は大丈夫だぜ、コイツが助けてくれたからな」

 

 

「リザーッ!!」

 

 

ダストはドラゴンを撫でると、ドラゴンは嬉しそうに炎を上空に吐いた。

 

 

「って"リザードン"じゃねぇか!?ピカチュウといい、リザードンといい、何でこの世界に"ポケモン"がいるんだよ!?」

 

 

「"リザードン"?"ポケモン"?」

 

 

「それは後で説明するから、今はあの虫を何とかしようぜ?」

 

 

カズマはバッグから烈風を取り出し、銃口を上空に向けた。

 

 

「そうしたいのは山々なんだが、こう…空を飛んでいると」

 

 

ダストは上空に視線を向ける。するとリザードンが爪でダストの肩をつついた。

 

 

「リザ」

 

 

「…"乗れ"って事か?」

 

 

ダストがリザードンに視線を向けると、リザードンはダストに背中を見せていた。ダストはリザードンに質問をすると、リザードンは頷いた。

 

 

「…よしっ、やってやるか!」

 

 

「リザ!」

 

 

ダストはリザードンの背中にしがみつく。

 

 

「ならダスト、これを使ってくれ」

 

 

そこにカズマがバッグから取り出した物をダストに手渡した。

 

 

「…何だこりゃ?」

 

 

「そいつは"薙刀"って言って、敵を薙ぎ払う事に特化した槍みたいな武器さ。リーチに気を付ければ、リザードンに刃が当たらなくて済むぞ」

 

 

「…サンキュー、カズマ。んじゃ行くぜ、"相棒"!」

 

 

「リザーッ!!」

 

 

ダストを背中に乗せたリザードンは大きく羽ばたき、空を飛んだ。

 

 

「おりゃ!」

 

 

「リザッ、リーザーッ!」

 

 

ダストは薙刀を振るい、リザードンは"緑色のエネルギー"を纏った爪で攻撃する。

 

 

「へへっ、俺達良いコンビだな!」

 

 

「リザ!」

 

 

ダストとリザードンは次々に虫を倒していく。時には炎を吐き、時には翼から起こした"風の刃"で。すると虫達はダストとリザードンを脅威と見たのか、攻撃をダスト達に集中するようになった。

 

 

「おっと!…どうやら俺達に集中してきたようだな。相棒、やるぜ!」

 

 

「リザーッ!」

 

 

リザードンは"かえんほうしゃ"や"ドラゴンクロー"、"エアスラッシュ"を駆使しながら虫を倒し、ダストも薙刀を振るって虫を両断していった。

 

 

「…まだまだ、俺達の力はこんなもんじゃねえ!」

 

 

ダストが左手を握り締めると、左手から光が溢れ出した。

 

 

「なっ…、何だ?」

 

 

ダストは恐る恐る左手を開くと、手のひらに"虹色に光る玉"があった。

 

 

「何だこれ…?コレから相棒の心が伝わってくる…。相棒、いっちょやるぞ!」

 

 

ダストは玉を握り締め、リザードンの背中でジャンプした。

 

 

「……これが、俺達の…絆だーっ!!」

 

 

「リーーッ、ザーーッ!!」

 

 

ダストは左手を空に向けて突き出すと、リザードンを光の繭が包んだ。そして光の繭が破裂すると、リザードンの姿が変貌していた。

 

 

体は通常よりも一回り大きくなり、頭の角は二本から三本に、両手首には小さい翼のような物が生え、尻尾の炎は青く、体の色がオレンジから黒になっていた。

 

 

「よっと…、行くぜ相棒!」

 

 

「リザーッ!!」

 

 

ダストはリザードンの背中に再び乗ると、リザードンは物凄い速さで虫達に向かって飛んだ。

 

 

「そらよっ!」

 

 

「リザッ!」

 

 

ダストとリザードンは虫とすれ違い様に薙刀とドラゴンクローで虫を切り裂いた。

 

 

「そんじゃ、止めと行こうぜ!」

 

 

「リザッ!リーーッザーッ!!」

 

 

リザードンは特大のかえんほうしゃで次々と虫達を焼き払っていった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「ふぅ…、ようやく片付いたな」

 

 

「リザ」

 

 

ダストはリザードンと一緒にカズマ達がいる所に降り立った。リザードンの姿は既に元の姿に戻っていた。

 

 

「凄いです、ダストさん!」

 

 

「おわっ!?アイリス様?」

 

 

そこにクレアとレインを連れたアイリスが目を輝かせながらダストに詰め寄った。

 

 

「ドラゴンに乗って戦っている時のダストさんは、まるであの噂のドラゴンナイトみたいでした!」

 

 

「……そんな大層な男じゃねえよ俺は」

 

 

「えっ?」

 

 

「……何でもない」

 

 

「……?」

 

 

ダストは自分が言った言葉を否定するかのように首を振った。

 

 

「…まあ、何はともあれ皆が無事で良かった」

 

 

「…だな!」

 

 

「それでダスト、提案なんだが、…もし良かったらソイツの世話…してみないか?」

 

 

カズマはリザードンの世話をダストに任せる事を提案した。

 

 

「いいのか、俺で?」

 

 

「良いも何も、ソイツはお前に懐いているからな。他に頼める人はいないさ」

 

 

「……分かった。んじゃこれからもよろしく頼むぜ、相棒!」

 

 

「リザーッ!」

 

 

リザードンは嬉しそうにダストに抱きつき、ダストはリザードンの頭を優しく撫でるのだった。

 

 

 

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