この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第44話

 

 

「……と言う事があったのさ」

 

 

『女神エリス感謝祭』が終わった翌日、ダストは自身に起きた過去を話した。

 

 

「まさかダストが貴族の生まれだったなんて…」

 

 

「長く一緒のパーティーを組んでいた俺でも、知らなかったぞ…」

 

 

ダストと一緒のパーティーメンバーであるリーンとテイラーは意外そうな顔をしていた。

 

 

「…ダスト殿、ドラゴンはその後……」

 

 

「…殺されたよ、俺の目の前で。"見せしめ"だとよ」

 

 

「そんな…」

 

 

クレアの質問に答えたダストの言葉に、アイリスは口を手で隠しながら涙を流した。

 

 

「…だからかな、コイツの目を見た瞬間、コイツを助けようと思ったのは」

 

 

ダストはリザードンの頭を撫でながら感傷に浸っていた。

 

 

「……さて、俺は洗いざらい話した。次はカズマの番だぜ、"コイツらが何者なのか"、カズマは知ってるんだろ?」

 

 

「…ああ」

 

 

カズマはリザードン達の事を話した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

『ポケットモンスター』、縮めて『ポケモン』。カズマとリアがいた世界、今いる世界とは違う世界に存在する摩訶不思議な生き物。

 

 

その数は二百、四百、六百。それ以上存在する。

 

 

生息地域は様々で、山や森、洞窟。川や海。街にまで。

 

 

そして人々はポケモンと共存し、時には戦わせ、時には一緒に仕事をしたり。人とポケモンはお互いに協力し合いながら生きている。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「……これが俺が知ってるポケモンの全てだ」

 

 

カズマがポケモンについての説明を終えると、全員が呆気に取られていた。

 

 

「因みに、ポケモンは"ある条件"をクリアすると、姿形が変化すたりする。それを"進化"と言っているんだ、ピカチュウやリザードンもその進化したポケモンの一体なんだ」

 

 

「では、ピカチュウやリザードンも、また進化をするのですか?」

 

 

「ピカチュウは進化するけど、リザードンは最終進化体…つまり、もう進化しないんだ。…例外を除いてね」

 

 

「…例外?」

 

 

カズマの意味深な物言いにダストが首を傾げた。

 

 

「ダストは経験あるだろ?リザードンの姿が変わったのを」

 

 

「…ああ、あの時か」

 

 

「あれは一部のポケモンがなれる"メガ進化"と呼ばれる進化で、メガ進化をするには"2つの道具"が必要なんだ」

 

 

カズマはダストから預かっていた宝玉を見せた。

 

 

「これがメガ進化する時に必要な道具の一つ、"キーストーン"だ」

 

 

「これが…」

 

 

クレアはキーストーンを持ち上げ、まじまじと見た。

 

 

「お兄様、先程"必要な道具の一つ"と仰いましたが、他にも何か必要なのですか?」

 

 

「良い所に気が付いたなアイリス、メガ進化を行うにはキーストーンの他にポケモンに持たせる"メガストーン"が必要なんだ。これがそのメガストーンさ」

 

 

カズマはリザードンが持っていたメガストーンをテーブルに置いた。

 

 

「だけどこのメガストーンとキーストーンがあってもメガ進化できない。メガ進化をするには、キーストーンとメガストーン、そして"人とポケモンとの絆"が必要なんだ。その3つが揃って、初めてメガ進化ができる様になる…んだが、どうにも腑に落ちないんだよな」

 

 

「どう言う事だカズマ?」

 

 

「リザードンのメガ進化は二種類確認されているんだが…、ダストのリザードンがなった姿は、その二種類の特徴と混合しているんだよ。通常ならメガ進化できるポケモンの姿は一種類なんだが、一部のポケモンは二種類存在していて、メガストーンによって姿形が違ってくるんだ」

 

 

「…そうか!ダストのリザードンは"メガリザードン"のXとYの二種類の特徴を持っていた!」

 

 

カズマの説明にリア以外頭に『?』を浮かべていたが、リアはカズマが言っていた事を理解した。

 

 

「その通りだリア。"メガリザードンX"の特徴は"一回り大きい黒色の体躯と青い炎"で、"メガリザードンY"の特徴は"飛ぶ事に特化したシャープな体躯と赤い炎"なんだ。それでダストのリザードンは、"メガリザードンX"と"メガリザードンY"の特徴の一部を持っているんだ」

 

 

「普通ならメガストーン一つにつき、どちらか一方しかなれないのよね。…でも、ダストのリザードンは一つのメガストーンで二つの特徴を持つメガ進化をした」

 

 

リアの疑問にカズマは頷いた。

 

 

「…まあ、ポケモンと同じようにメガ進化も全て解明された訳じゃ無いから、全く別の姿になっても不思議じゃないからな」

 

 

「…では、今後リザードンがメガ進化したら、どう呼べば良いのでしょうか?」

 

 

「そうだな…、安直だけど『メガリザードン(ダブル)』なんてどうだ?」

 

 

「『メガリザードンW』か…、良いんじゃないか?」

 

 

カズマの案は概ね好評だった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「カズマ殿、以前話していた件ですが、王都にあるアルダープの屋敷はカズマ殿達のパーティーが王都へ来られた際に使用する事で落ち着きました。それに伴って、屋敷に保管されている宝はクリス殿が鑑定をし、神器若しくは神器級に値する物以外は全て売り払い、七割を我々、残りをカズマ殿が納める…と言う事で」

 

 

「クレア姉さん、申し訳ないんだけど、今回の徴収は全て俺にくれないか?リザードンの寝床やピカチュウ達の食費に、アクセルハーツの運営費で、色々入り用だから」

 

 

「そうか、ならそう手配しよう」

 

 

一週間後、カズマは王都からの使者と言う事で、クレアと一緒に領主としての仕事をしていた。

 

 

「カズマカズマ、街の近くにあるアルダープの屋敷はどうするのですか?」

 

 

「屋敷は解体して更地にして、アスレチックパークを作ろうと思っている」

 

 

「解体して更地…ですか。…うずうず」

 

 

カズマの補佐として、ミニスカメイド姿のめぐみんが街の近くにあるアルダープの屋敷について質問をし、カズマが答えると、めぐみんは何かを期待するかのような眼差しをカズマに向けた。

 

 

「はははっ、屋敷を解体する方法はめぐみんの爆裂魔法と決めているから、その時はよろしく頼むよ」

 

 

「はいっ!我が爆裂魔法で悪徳貴族(アルダープ)の屋敷を木っ端微塵にしてみせましょう!」

 

 

カズマはめぐみんの期待に答えるかのように頭を撫でながら言うと、めぐみんは嬉々とした表情で答えた。

 

 

「…と言っても、今はまだ親方と見積りの途中だから、めぐみんの出番はまだ先かな?」

 

 

カズマの言葉にめぐみんはガックリと項垂れた。

 

 

「カズマ殿、アスレチックパーク…とは、どのようなものなのでしょうか?」

 

 

「一応図面はありますけど…、あった。これです」

 

 

カズマは図面を広げ、クレアに見せた。

 

 

「ほうほう…。中央に野外ステージを設けて、それを囲むようにベンチを配置。そして外側に…これは?」

 

 

「これがアスレチック、つまり"障害物"です」

 

 

「……カズマ、この"ターザンロープ"と言うのは?」

 

 

「それは俺がいた世界に『ターザン』と言うジャングルと呼ばれる密林地帯で育った青年の物語があって、蔦を使って木から木へ移動する手段を模したアスレチックだ」

 

 

クレアふ図面を見て感心し、めぐみんはアスレチックの一つを指差してカズマに質問し、カズマはどういう物なのかを説明した。

 

 

「…カズマ殿、その"ターザンロープ"の所にあるこの丸い物は?」

 

 

「これはロープを繋いだ滑車を巻き戻す為に使う取っ手です。それを回して滑車を自分の所へ戻して、滑車が戻りきるとロックが掛かります。そしてロープにしがみつくとロックが外れ、向こう側へ行けるようになります」

 

 

「なるほど…。しかし、この高さではもし落ちた時に大怪我をするのでは?」

 

 

クレアは万が一に起きるであろう事を指摘する。

 

 

「その辺りは各所にジャイアントトードの皮を使ったマットレスを敷きます。それと高さがある所にはマットレスの上に網を張って落ちても怪我をしないように考慮していますので」

 

 

「そうか、もし網が破れたとしても、そのマットレスが衝撃を吸収して…」

 

 

「その通り、それに使うのは使い古したベッド用のマットレスなので、コストも大幅に削減できます」

 

 

カズマの考慮にクレアは頷いた。

 

 

「でも、これだとモンスターとかに襲われたりしないでしょうか?」

 

 

「その辺はアスタにモンスター避けの結界を張ってもらうから大丈夫。問題は雨や雪が降った時は使えないって所だな」

 

 

「…確かに。滑りやすくなる上に、風邪でも引かれたら…」

 

 

「その時は使用禁止を言い渡すしかないのでは?」

 

 

「……当面、その処置でやるしかない…か」

 

 

三人はアスレチックパークの問題点を並べては、頭を抱えるのだった。

 

 

 

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