この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第48話

 

 

「え〜、紹介します。新しく仲間になった…」

 

 

「怠惰と暴虐を司る女神、ウォルバクよ。よろしく」

 

 

カズマがウォルバクと肌を重ねた翌日の朝食後、カズマはウォルバクをメンバー全員に紹介した。その中にはキョウヤもいた。

 

 

「…ねえカズマさん、私…頭の整理が追いついてないんですけど…」

 

 

「だよな…。俺も皆と会う前、唐突に言われたから…」

 

 

事の発端は数十分前、皆の朝食を準備していたカズマにウォルバクが『私、あなたの仲間になるから』と言われたのが原因である。

 

 

「とりあえず、今日の予定を伝える。めぐみんとゆんゆん、ピカチュウは俺とウォルバクさんと一緒に"紅魔の里"に向かって"用事"を済ませる。その後はテレポートでアクセルに帰る。残りは一度王都に向かい、フィオとクレメアを回収。その後商隊と一緒にアクセルへ帰還。…これで良いか?」

 

 

カズマの予定に異議を唱える者はいなかった。

 

 

「それじゃ、この予定で行動するぞ」

 

 

この日の予定が決まったカズマ達は、食器を片す為に動くのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「…よし、到着したな」

 

 

予定を決めてから数分後、カズマとピカチュウ、めぐみんとゆんゆん、そしてウォルバクはゆんゆんのテレポートで紅魔の里に到着していた。

 

 

「それでカズマ、ウォルバクさんを私達紅魔族の神にすると言っていましたが、どうするのですか?」

 

 

「まずは里にある"神社"に行こう」

 

 

「でしたらこっちですね!」

 

 

カズマ達はゆんゆんの案内の元、紅魔の里にある神社に向かった。

 

 

「…ねえカズマ、"これ"がご神体?」

 

 

「疑う気持ちは分かりますが、その通りです」

 

 

ウォルバクはご神体である"ネコミミスク水少女"のフィギュアを見て茫然としていた。

 

 

「ウォルバクさん、お願いします」

 

 

ウォルバクはご神体であるフィギュアに手を翳し、自身の力を少しだけ注ぐ。するとフィギュアが淡い光を放ったと思いきや、その光はすぐに消えた。

 

 

「これでいいわ」

 

 

「ありがとうござい…ます……」

 

 

「…?どうしたの?」

 

 

カズマは自分の頭を指差す。そしてウォルバクは自分の手を頭に持っていくと

 

 

「…え?」

 

 

触れた感触に違和感を感じた。まるで"猫の耳がそこにある"かのような。

 

 

「ねえ2人共、私の頭…どうなってるか、分かる?」

 

 

「えっと…、ネコミミみたいな物が…」

 

 

「はい、"生えています"」

 

 

ウォルバクは自分の頭がどうなってるかをめぐみんとゆんゆんの2人に質問すると、2人ははっきりと答えた。期待していた答えでは無かった事にウォルバクは膝を折り、地面に手を着いた。

 

 

「…ま、まあ悪魔みたいな角よりかは可愛らしくて良いんじゃないですか?」

 

 

「そ…そうよね!」

 

 

カズマの言葉にウォルバクはガバッと起き上がった。

 

 

「それでカズマ、これからどうしますか?里の皆にウォルバクさんを紹介しますか?」

 

 

「…そうだな、一度顔合わせをしておくか」

 

 

めぐみんの提案でウォルバクを紅魔族全員に紹介する事になった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「族長、皆を呼び寄せて一体何をするんですか?」

 

 

カズマ達はウォルバクを紅魔族全員に紹介するべく、一度ゆんゆんの父親であるひろぽんに話を通し、族長命令で全員を広場に集めてもらったのである。

 

 

「うむ…。実は我々紅魔族に新たな神が降臨されたのだ」

 

 

ひろぽんの説明に全員がざわつき始めた。

 

 

「静粛に!…ではお願いします」

 

 

「…我が名はウォルバク!"元"魔王軍幹部の一人にして怠惰と暴虐を司る女神である者!紅魔族を見守る神となった者!」

 

 

ひろぽんの後ろに控えていたウォルバクは一歩前に踏み出すと、マントを翻しながら紅魔族特有の名乗りを上げた。

 

 

「ウォルバクって、確か里に封印されていた邪神…!」

 

 

「皆が心配する気持ちは分かる。…だが、彼女は邪神では無い。その証拠にめぐみんのカードにある討伐欄にウォルバクの名があった」

 

 

ひろぽんの説明にまたもや全員がざわついた。

 

 

「あなた達が不安がるのは仕方ないわ、この里に封印されていた邪神と同じ名前なんですもの。…でも、私は皆に誓うわ。私はあなた達を導くと!その証拠を今見せましょう!」

 

 

ウォルバクはそう言うと、めぐみんに向けて手を翳した。するとめぐみんの体が淡く光り始めた。

 

 

「今彼女に私の力の一部を与えたわ。彼女は私から爆裂魔法を教わり、"ネタ魔法"と罵られながらもその魔法を極め、遂には私をも超える爆裂魔法使いとなった!この恩恵は我が愛弟子への褒美であり、爆裂魔法使いの免許皆伝とする!」

 

 

ウォルバクはめぐみんにウィンクをすると、めぐみんは微笑みを返したのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

それから、カズマ達はめぐみんの実家で一夜を明かし、ゆんゆんのテレポートでアクセルへと戻ったのだった。

 

 

「いや〜、上手く行って良かった良かった」

 

 

「ですね。もし受け入れてもらえなかったら、里の皆に爆裂魔法を喰らわせていましたよ」

 

 

「不吉な事言わないでよめぐみん!」

 

 

「不吉も何も私の"師匠"を馬鹿にする者は誰であろうと許しはしません」

 

 

「めぐみん…」

 

 

めぐみんの言葉が嬉しかったのか、ウォルバクは1筋の涙を流していた。

 

 

「それでカズマ、師匠はこれからどうするのですか?」

 

 

「そうだな…、紅魔の里で冒険者登録は済ませているし…」

 

 

そう、ウォルバクは紅魔の里にある学校『レッドプリズン』で冒険者登録をし、その多大な魔力から職業をアークウィザードにしていた。

 

 

「……そうだ!あそこなら!」

 

 

カズマは妙案が思いついたのか、ウォルバク達を連れて"ある場所"へ向かった。

 

 

「ここだ」

 

 

「ここって…」

 

 

「そう、『ウィズ魔法具店』だ。こんちは〜」

 

 

カズマはウォルバク達をウィズ魔法具店に連れて来ると、その扉を開けたのだった。

 

 

「いらっしゃいませ!」

 

 

「へいらっしゃい!…なんだここ最近恋人との一夜を明かせずに悶々としている爆裂娘に爆裂娘以外友がいない紅魔の娘に他の女と肌を重ねたカズマではないか」

 

 

「おいバニル!悪感情を得る為とは言え、秘密を暴露するんじゃねえ!!」

 

 

カズマは顔を紅くしながらバニルに詰寄ろうとしたが、彼の手を掴む者がいた。

 

 

「カズマ…、バニルが言っていた事は本当ですか?…いえ、バニルが言うのなら本当なのでしょう。誰なのですか肌を重ねた相手というのは?」

 

 

カズマが振り向いたその先には、ハイライトが消え、今以上に紅い光を宿した目をしためぐみんがいた。

 

 

「フハハッ!憎しみによる悪感情は美味であるが、羞恥心による悪感情もこれまた美味である!」

 

 

「相変わらずゲスいわねバニル」

 

 

「おお、誰かと思えばカズマと肌を重ね、カズマの子を孕もうと企んでいるウォルバクではないか!久しいな」

 

 

バニルがウォルバクの恥ずかしい過去を口にした瞬間、ウォルバクの顔が紅くなった。

 

 

「そうですか…、肌を重ねたのは師匠でしたか。…これはクリスと一緒にO☆HA☆NA☆SHIしないといけませんね…」

 

 

「めぐみん…、顔…怖いよ…」

 

 

めぐみんの能面のような表情にゆんゆんは涙を流しながら震えていた。

 

 

「ふむ…、悪感情を得るのはここまでにして、我輩の全てを見通す眼で既に知っているが敢えて聞こう。この店に来た理由は何だ?」

 

 

「最初から聞いてくれよ…。実はウォルバクさんをこの店で働かせて欲しいんだ」

 

 

バニルの質問にカズマは答え、その理由を順を追って説明した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「なるほど…。うむ、なら我輩が認めよう」

 

 

「こっちからお願いしといてなんだが、良いのか?」

 

 

「構わん。それにポンコツ店主も乗り気の様だしな」

 

 

バニルが向けた視線の先には、ウィズとウォルバク、めぐみんとゆんゆんの4人による女子会が開かれていた。

 

 

「……まあ、ウィズが良いならそれで良いけどな。…それと済まないが、もしウォルバクさんの力が必要な時には一声掛けるから、その時には…」

 

 

「うむ、遠慮なく連れて行くが良い。我輩が許可する」

 

 

こうしてウォルバクはウィズ魔法具店の売り子として働く事になった。因みにウォルバクが売り子になってから『スタイル抜群のネコミミエプロン姿のお姉さん』と言う口コミが発端となり、ウォルバクの姿を一目見ようと冒険者達が押し寄せ、これを好機と見たバニルが次々に商品を売り捌き、ウィズの店の売り上げが大幅に上がった。

 

 

 

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