この素晴らしい世界に祝福の音色を   作:レイファルクス

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第9話

 

 

キョウヤとの勝負を受けた日から数日後、アクセルの街はもうじき冬本番となり、寒さが増していた。

 

 

「さて、これから来る冬に向けて準備をしたい所だが、クエストは相変わらず高難度のクエストしか残っていないのが現状だ」

 

 

ギルドに来たカズマたちはクエストボードを見ながら呟いていた。

 

 

「ねえねえ、これなんてどうかな?」

 

 

クリスが指差したクエストは『雪精の討伐』と書かれたクエストだった。

 

 

「『雪精』?なんだそりゃ」

 

 

「雪精ってのは雪玉に目が付いた精霊の一種よ。人に与える害は無くて、一匹倒す度に春が半日早く来ると言われているわ」

 

 

カズマの疑問にアスタが答えると、カズマは雪精の討伐のクエストを受注することを即決した。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

カズマたちは雪精が出る雪山に到着すると、早速雪精を討伐するために動いた。

 

 

「えいっ!やあ!とお!」

 

 

「それっ!」

 

 

「はあっ!」

 

 

ダクネスは剣、めぐみんは杖、クリスはダガー、アスタは虫取り網、カズマは響鬼(打)に変身して鬼火を使い、順調に雪精を討伐したり捕まえたりした。

 

 

「アスタ、雪精を捕まえてどうするんだ?」

 

 

「この子たちは冷たいから、冷蔵庫の代わりにと思って」

 

 

アスタは網で捕まえた雪精をボックスに入れていた瓶の中に入れた。

 

 

「くっ…、こうなったら」

 

 

「めぐみんストップ」

 

 

めぐみんは雪精を倒せない苛立ちで爆裂魔法を撃とうとした所をカズマに止められた。

 

 

「こんな所で爆裂魔法を撃ったら、最悪雪崩が起きる可能性がある。爆裂散歩には付き合うから我慢してくれ」

 

 

カズマは自分の胸にめぐみんの頭を押し当て、めぐみんを落ち着かせようとする。その行動が吉と出たのか、めぐみんは爆裂魔法を撃たずにカズマに抱きついた。

 

 

すると降雪量が多くなり、吹雪が起き始めた。

 

 

「来たわね。カズマも日本(向こうの世界)にいたなら聞いたことがあると思うわ、この時期になると訪れる冬の風物詩…、殺された同胞の仇を討たんとする雪精の主」

 

 

「冬将軍の到来よ」

 

 

吹雪の中から現れたのは、白い鎧武者だった。しかも兜にはご丁寧に"冬"の文字があった。

 

 

「なんで鎧武者が冬将軍なんだ?」

 

 

「大方、カズマより先に来た転生者が『冬将軍=鎧武者』と洒落で連想したからじゃない?」

 

 

カズマは頭痛がしたのか、頭を押さえた。

 

 

冬将軍は刀の柄を握ると、居合い斬りを繰り出した。

 

 

「危ない!」

 

 

キィン…

 

 

ダクネスがカズマの前に立ち、冬将軍の刀を受け止めようとするが、逆にダクネスの剣が折られてしまった。

 

 

「ダクネス、お前馬鹿か!?刀は剣と違って切れ味が異様に高いんだ!普通の剣じゃ折られるのは当然だ!」

 

 

「カズマ!そんなことより土下座して土下座!冬将軍は寛大な精霊だから武器を捨てて土下座すれば見逃してくれるわ!」

 

 

アスタは虫取り網とボックスを捨て、その場で土下座をし、クリスも握っていたダガーを捨て、土下座をしていた。

 

 

「ダクネス、あなたも武器を捨てて土下座を!」

 

 

「聖騎士である私がモンスターに頭を下げるなど…、いや…しかし下げたくもない頭を無理やり下げさせられるなんて、どんなご褒美か…」

 

 

アスタはダクネスにも土下座をするよう言うが、ダクネスは変態性癖が発動してしまい、棒立ちになっていた。

 

 

「仕方ない…。ダクネス、めぐみんを頼む」

 

 

カズマは自分の腕の中で死んだふりをしているめぐみんをダクネスに預けた。

 

 

「カズマ、どうするつもりなの!?早く土下座しないと…」

 

 

「悪いが、俺は土下座しない。寧ろ、冬将軍と戦ってみたい」

 

 

カズマの発言にアスタとクリスは驚いてしまった。

 

 

「はぁっ!?カズマ変なこと言わないでよ!!」

 

 

「そうだよ!もし死んじゃったらめぐみんやあたしはカズマ君の後を追って自殺する確率絶大だよ!?」

 

 

「大丈夫、お前らを残して死ぬ気は更々無いから」

 

 

仮面で見えないが、カズマはアスタたちを見て笑った。カズマの言葉を聞いたメンバーは全員顔を紅くした。

 

 

「冬将軍!俺と勝負だ!!」

 

 

カズマは烈火を両手に装備し、鬼石の先端から刃を出す『烈火剣』を作り、冬将軍に向かって駆け出した。

 

 

冬将軍は日本刀を鞘に収め、再び居合い斬りを繰り出す。だがカズマは"敢えて"日本刀を烈火剣で受け止め、刃を寝かせることで力を受け流した。

 

 

「幾ら切れ味が鋭い日本刀でも、所詮は雪。熱や高温には耐えられまい」

 

 

カズマが言った通り、冬将軍の刀は受け止められた箇所が"刃こぼれ"してしまっていた。

 

 

これを機と見たカズマは冬将軍に攻撃を仕掛ける。冬将軍は刃こぼれした刀で応戦するが、刃がぶつかる度に冬将軍の刀が刃こぼれしていくという悪循環が起こっていた。

 

 

「そりゃ!!」

 

 

そしてカズマが烈火剣を振り下ろすと、冬将軍の刀が真っ二つに折れてしまった。

 

 

「ハアアァァァ……」

 

 

カズマは気合いを込めると、変身する時と同様に身体が炎に包まれた。だが変身する時とは違い、炎の色は紫では無く"赤色"だった。

 

 

「響鬼・(くれない)

 

 

そして炎が収まると、響鬼の紫色だった体表は真紅に染まっていた。

 

 

「出た!響鬼の強化形態の紅!」

 

 

「これなら勝てるよ!」

 

 

アスタとクリスは響鬼・紅の姿を見た途端、興奮した。

 

 

響鬼・紅になったカズマの気迫に圧されたのか、冬将軍は後退り、尻餅をついてしまった。カズマは直ぐ様冬将軍の腹に乗り、『音撃鼓・爆裂火炎鼓』を押し当てた。

 

 

「音撃打・爆裂真紅(ばくれつしんく)の型!!」

 

 

カズマは大きくなった爆裂火炎鼓を烈火で何度も叩く。そして最後の一撃を叩き込むと、冬将軍は爆散したのだった。

 

 

 

 

……

 

 

………

 

 

「おめでとうございます。雪精の討伐と捕獲合わせて60万エリス、そして冬将軍の討伐300万エリス、合計で360万エリスとなります」

 

 

雪精並びに冬将軍を討伐したカズマたちは、高額の報酬を受け取るのだった。

 

 

そしてカズマとめぐみんは爆裂散歩に赴き、いつもの湖畔で爆裂魔法を撃ち、めぐみんはカズマにおんぶされて屋敷に戻ったのだった。

 

 

 

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