今回の話は作品自体の趣旨からずれている上、作者の政治思想を満載に盛り込んでいます。
予めご了承ください。
魘夢
01
翌朝。とは言ってもまだ空が暗い時間帯。《ナゼ》の町にある宿、《木亭宿》に泊まる十八人のプレイヤーたちの一人であるあんまろん……否、
((ぉがぁーさぁーん……))
夢に見るのは幼き日、エチオピアでの記憶。
そして母の
((《
その
踏み潰され、切り刻まれ、やがて肉片へと変貌していく母の姿に、当時少女であった
((おかあざぁあーん!))
嗚咽交じりの声で母を呼べば、自分を地面に押さえつけている男たちから「うるさい」と頬を
涙ながらに暴力を止めるよう頼めば、「ふざけるな」と
言葉も話も通じない、一方的な虐待が彼女を襲う。何故自分がこれ程までに
02
悪夢に耐えかねたあんまろんが、荒い息使いとともにベッドから飛び起きる。カーテンで覆われた窓を見れば時間帯はまだ夜が明けた直後であり、ギルドメンバーを含めたプレイヤーたちは昨日の疲れがまだ残っているのか、
彼ら彼女らの寝顔を見て安心しきったあんまろんは、緊張がほどけた
「あははっ…………何で今さら、あの時のこと夢に見るんだろう…………」
一口に政治家と言っても彼女の母は立法を司る国会議員であり、さらにその議員たちの中でも特に嫌われ者として煙たがられていた政党に所属していたのである。
「汗べったべた…………お風呂で流さなきゃ」
ベッドを降りて風呂場に向かう間も、思い出すのは夢の内容と幼い日の記憶ばかり。その時は悲惨な経験をしたが、幸運にもその出来事があってから一週間と待たず、母の亡骸ともども助け出されたことも鮮明に覚えている。
故郷である日本に向かう船に揺られながら母の知人から聞かされた話。そして直近の出来事で幼いながらに思い知った。母の所業、政党の目的、人間の醜悪な本性。
(…………中学にあがるまで何もかもが憎かったなぁ……)
母は平和主義に基づいて世界平和を訴える活動家でもあったが、その平和を実現するにあたってまるで
廊下を歩きながら母から聞かされた言葉の数々を思い出せば、
(ゲームなんてなおさら話が成立しないし……何で私こんなに暢気に構えてるんだろう……)
気付けば脱衣場で一糸
自分が帰国してからは大きな事件に巻き込まれることはなかったが、やはり世間からは思想的嫌悪感から冷ややかな目を向けられた。特にその頑固な思想が原因で自滅した母への非難は凄まじかったが、これは気にならなかった。
だが同年代の子供には敬遠され、その子供の親たちからは事ある毎に愚痴を聞かされることが増え、そんなストレス満載としか言い様のない生活が中学生になるまで続き、限界に近付いた頃。
(ま、悩んでる暇なんてないよね)
彼女はエルダー・テイルと出会った。湯桶に
母の思想を否定してくれる、愚かな母が遺した呪縛を忘れさせてくれるものを手に入れた。
「お母さん、今私は暴力が肯定される世界にいるよ」
ちょうど、太陽が水平線の果てから顔を出す。大災害を迎えて最初の朝が、《セルデシア》に訪れた瞬間だった。